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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/12/4

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-エルモA-

さっくり攻めるエルモ講座第4話。
副題がウルトラマンシリーズであることに、お気付きの人はいるのだろうか。

(1)△5三銀  第1話・エルモ① 第3話・帰ってきたエルモ
(2)△4三銀  第2話・エルモセブン
(3)△6四歩
(4)△1四歩



今回は上図から(3)△6四歩を見ていきます。

上図からの指し手
△6四歩    ▲4六銀    △4三銀    ▲3五歩



△6四歩には▲5九金も有力ながら、「さっくり攻める」方針に従って▲4六銀。△6四歩は△6四角の筋がなくなったところなので、斜め棒銀に出るのは「形」でもあります。
上図からはいろいろな応手が考えられるので、順に考えていきましょう。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲同 銀    △4五歩    ▲3三角成  △同 飛    ▲3六歩



▲3五歩に△同歩と取るのは「やっちゃダメ」と言われますが、意外と簡単ではありません。ちゃんと押さえておきましょう。
▲3六歩で▲3四歩と打つのは、△同銀▲4四銀△3一飛▲2四歩△6二角▲2二角△4一飛▲2三歩成△4四飛で先手不満。

上図からの指し手(a)
△3四歩    ▲2四歩    △3五歩    ▲2三歩成  △3四飛    ▲2四と
△3二飛    ▲7七角    △4四銀打  ▲1四と



△3四歩には銀を犠牲にし、と金を作ります。ただし活用の仕方が難しく、▲2四と~▲7七角~▲1四と、は知らないとかなり指しにくいでしょう。
上図まで進めば、油断は禁物ながら先手やや有利の形勢です。

指し手(b)
△4六歩    ▲2四歩    △4七歩成  ▲2三歩成  △3五飛    ▲同 歩
△4四角    ▲8八角    △同角成    ▲同 玉    △4四角    ▲7七銀



△4六歩に対して普通は取る一手ですが、▲同銀は△3六飛▲3七歩△3四飛、▲同歩は△4七角で容易ではありません。よって、と金作りは甘受して▲2四歩から攻め合います。
△4四角で△4六角は、▲2七飛△5八銀▲2五角△2六歩▲1七飛で切れ模様になり、先手やや良し。
△4四角には▲8八角で玉が遠ざかるのが好手で、上図まで進んで先手が指せそうです。

指し手②
△4五歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲3七銀    △4四角    ▲7七角
△3五角    ▲3六銀



次に▲3五歩に対して△4五歩を考えます。これには角交換後、敢えて▲3七銀と引くのがミソ。
△4四角~△3五角が振り飛車の受けの秘手ですが、▲3六銀とプレスして先手よし。

指し手③
△1二香    ▲5五歩    △3五歩    ▲5四歩    △3六歩    ▲3五銀



今度は▲3五歩に△1二香。以前から振り飛車を指し慣れた人にとっては、一番自然に見えるかもしれません。
以下の手順はエルモ囲いの攻め筋として、定跡化されました。どこかで▲2四歩を入れておくのも考えられるのですが、入っても意外と突き捨てが活きない感じ。
△3六歩に▲3五銀は△3七歩成を受けておらず、以前は考えにくい手でしたが、最近はソフトの評価値の影響もあって精査が進みました。

上図からの指し手(a)
△4二角    ▲3四歩    △3七歩成  ▲同 桂    △3六歩    ▲4五桂
△同 歩    ▲2四歩    △3七歩成  ▲2六飛    △2四歩    ▲1一角成



△4二角で単に△3七歩成は、▲同桂△3六歩▲5八飛△3七歩成▲5三歩成△4七と▲5六飛で、わずかに先手よしか。途中の▲5八飛と回ることができるのがエルモ囲いの特徴です。
△4二角を利かすことで5筋の駒の利きを一枚増やしますが、▲4五桂と捨て、手順に▲1一角成を実現します。
空成りではあるものの、馬で駒を取りながら飛車をいじめることができるので、いい勝負のようです。

指し手(b)
△4二角    ▲3四歩    △5四銀    ▲2六飛    △5五歩    ▲3六飛
△4三金    ▲3七桂



歩成を諦めて△5四銀も考えられます。▲4四角には△5三角があるので、先手も▲2六飛と受けるぐらい。しかし以下▲3六飛~▲3七桂となれば、いつの間にか先手は好形を築くことができました。
形勢は互角ながら、先手にそれほど不満は無いでしょう。

指し手④
△6五歩    ▲5五歩    △3五歩    ▲5四歩    △3六歩    ▲2六飛
△4二角    ▲3五歩    △5四銀    ▲2四歩    △同 角    ▲4四角



最後に▲3五歩に△6五歩を考えます。これが後手にとっては最有力か。
△3六歩までは同様に進みますが、同じく▲3五銀とするのは△4二角▲3四歩△5四銀▲2六飛の局面で、△6六歩が嫌味な一着。
よって今度は▲2六飛と受け、以下上図まで。一応仕掛けは成立していると言えそうです(これからの将棋)。

今回の展開は、vs四間飛車のエルモ囲いの定跡より手損している計算なのですが、それが振り飛車側にとってメリットになっているとは言い難く、居飛車側も指せると考えられます。
油断したところをやっつけましょう!w

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KKK 2021/11/14

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。

また、来週末はお休みとさせていただきます。


-帰ってきたエルモ-

いつぶりかの対三間飛車エルモ囲い講座、第3話…

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二飛
▲2五歩    △3三角    ▲6八玉    △4二銀    ▲7八玉    △9四歩
▲9六歩    △6二玉    ▲5六歩    △7二玉    ▲6八銀    △8二玉
▲3六歩    △7二銀    ▲5七銀右  △5二金左  ▲7九金    △5四歩
▲1六歩



上図が基本図で、ここから三間飛車側には4つの指し手が考えられると(1年以上前に)述べました。
(1)△5三銀  第1話・エルモ①
(2)△4三銀  第2話・エルモセブン
(3)△6四歩
(4)△1四歩

今回は(3)△6四歩に入る前に、(1)△5三銀で「後で取り上げる」とした変化を見ていきます。当初の構想では最後に持ってくる予定だったのですが、私の記憶整理の都合上こうなりましたw

上図からの指し手
△5三銀    ▲4六歩    △4二飛    ▲3七桂    △6四銀    ▲6六歩



▲4六歩~▲3七桂と攻めの形を作りますが、△6四銀は「好きにはさせん!」という姿勢。(第1話では△6四歩でした。)
対しては▲6六歩とし、歩越し銀には歩で対抗します。(ただし銀対抗する▲6六銀も有力です。今回は割愛。)

上図からの指し手①
△7四歩    ▲6五歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲6七銀
△6四歩    ▲7七桂    △7三桂    ▲5八金



△7四歩には▲6五歩とさらに歩を突きます。もし△7三銀引なら▲6六銀で位を支えられて、後手作戦負け気味。よって銀挟みにされるのは承知の上で、強く△同銀と取ります。
先手は2筋の突き捨てが大事な手で、単に▲6七銀だと△4五歩から暴れられてしまいます。
▲7七桂で銀を取る権利が生まれましたが、すぐに取らずに一度▲5八金と自陣に手を入れるのが呼吸です。

上図からの指し手(a)
△6三金    ▲8九玉    △8四歩    ▲6八金寄



△6三金は一見当然の手のようですが、実は疑問手。さらに悠々と自陣整備を進めて、先手が作戦勝ち。ひたすら固めて最後に銀を取ればOKです。
遮二無二攻めるだけでなく、こういった融通性の高さもエルモ囲いの魅力です。

指し手(b)
△4三飛    ▲8九玉    △8五桂    ▲6五桂    △同 歩    ▲8六歩
△3五歩    ▲2六飛    △8七桂    ▲8五歩    △7九桂成  ▲同 玉
△8七金    ▲3五歩



ということで△4三飛が有力手。飛車を横に使うつもりです。
△4三飛に▲6五桂も考えられ、以下△同歩▲6八金寄△4二角▲4五歩△3三桂▲4四歩△6三飛が一例で、いい勝負です。
▲8九玉には△8五桂!が鬼手。▲同桂なら△8四歩で桂を取り返して後手よし。
上図まで盤面全体で戦いが始まり、形勢は難解。お互い力が出せる展開です。

指し手②
△5三銀    ▲6五歩    △6四歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲5八金
△6五銀    ▲3五歩    △3二飛



振り飛車の秘手として、△6四銀▲6六歩に△5三銀と引っ込む手があります。何をしているかわからないようですが、▲6六歩を見て後手番らしくおとなしくしようという構え。
次に△6四歩とされると先手は打開に苦労するので、やはり▲6五歩と伸ばします。そして△6四歩と反発することになり、小競り合いが始まりました。
△6五銀には▲6七金とする手も自然で、以下△4三飛で互角の将棋。ただのちに△6六歩と叩かれそうなのは気にくわないところです。
そこで▲3五歩でさわやかに攻める手を本譜としました。

上図からの指し手
▲2四歩    △同 歩    ▲2五桂    △同 歩    ▲3四歩    △4二角
▲2五飛    △3四飛    ▲6五飛    △3八飛成  ▲4八金



▲2四歩△同歩と突き捨てを入れて、▲4五歩と行くのが普通の指し手。この方(▲4五歩)が本筋なのですが、▲2五桂という奇手も存在します。
以下先手は銀を取り、後手は飛車を成ることに成功しました。形勢は難解です。

今回は三間飛車側にとっても有力な指し方であり、居飛車目線では反撃も受けますが、きっぱりとした攻めが続くのが本エルモ囲い講座の魅力です。(1年以上前のことだからお忘れだと思いますが、それがテーマとなっていました。)
最近の対抗形の将棋は、難解なねじり合いになることも多いですからね。

拍手が3つ以上ついたら続きます!

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KKK 2021/9/11

今週末は土曜日に行います。
来週末は県名人戦(9/19)の特訓をしているため、お休みさせてください。


-振り飛車新時代-

つい最近まで、振り飛車の囲いと言えば、ほぼ美濃囲い一択でした。(あとは穴熊があるぐらい。)

一体いつから美濃囲いは存在したのでしょうか。
調べてみたところ、実は江戸時代の中期~後期には、もう美濃囲いが指されていたようです。とても長い歴史を持つ囲いですが、戦前は△7二玉型で戦うような振り飛車も多く指されていました。(江戸時代の将棋、つまりは御城将棋だが、残存する棋譜によるとということ。昔は中央の手厚さを重視していたため、玉を深く囲うことは主流にはならなかった。)
美濃囲いが当然のように選ばれるようになったのがいつなのか、私には正確なところはわかりませんが、戦後から美濃囲いが主流になったのではないかと思われます。(大山一強時代の1960年ぐらいにはもう美濃だけだった。)

さて、それほど長い時代の間、美濃囲いは振り飛車で最も優秀な囲いと信じ続けられてきたわけですが、現代ではそれが見直されていることは、私も以前から言及してきました。それは振りミレ(トーチカ)や耀龍(2枚金の形)という居飛車穴熊対策の囲いでしたが、実は急戦系でも美濃囲い以外で戦う作戦が考えられています。

というわけで、今回は四間飛車の金美濃作戦をご紹介します。

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △9四歩    ▲9六歩    △4四歩
▲4八銀    △4二飛    ▲5六歩    △6二玉    ▲6八玉    △7二玉
▲7八玉    △3二銀



ここまでの手順に特に違和感はないかと思いますが、後手は△4一金型を維持するのが作戦のポイントです。△5二金左と上がってしまうと金美濃との相性が悪く、今回のテーマとは別の作戦になります。
先手の急戦策として、(1)エルモ囲いと(2)▲5七銀左型急戦について見ていきます。

上図からの指し手(1)
▲5七銀    △4三銀    ▲2五歩    △3三角    ▲3六歩    △8二玉
▲6八銀上  △6二銀    ▲7九金    △7二金



△8二玉~△6二銀~△7二金の形が「金美濃」囲いです。名前に"美濃"と入っていますが、全然美濃じゃないですねw(ちなみに△6三銀型になると「木村美濃」になる。これは一応美濃囲いから派生するが、やっぱり美濃ではない。)
一方▲6八銀上~▲7九金はエルモ囲いで、こちらは昔から囲いの形としては存在していたものの、現代で新たな戦術として取り入れられて名前が付いたもの。現代では急戦系の囲いとして、お手軽でまぁまぁ堅いとの評判で、出現確率としては最も高いでしょう(舟囲いという汎用性の塊のような奴は除く)。

上図からの指し手①
▲4六銀    △4五歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲5七銀引  △2二飛
▲5八金    △5四歩    ▲6六歩    △6四角



▲4六銀はエルモ囲いで一番シンプルな仕掛け。先手の陣形だけなら、プロでも何局も指されています。
対して、いきなり△4五歩が今までありそうで無かった対応方法です。角交換の後△2二飛と受ければ、攻めを収めることができます。
▲5八金~▲6六歩は自然な第2次駒組み(正確にはやや疑問か)ですが、いきなり△6四角と打つ手がありました。

上図からの指し手
▲3七角    △同角成    ▲同 桂    △5三銀    ▲4八金    △4四銀右
▲8八玉    △2一飛    ▲7八金    △4二金    ▲6七銀    △3五歩
▲2六飛    △6二角



先手は▲3七角と合わせるのが自然な対応。しかし△同角成▲同桂と桂をわざと跳ねさせた後、△5三銀~△4四銀右と力強く繰り出すのが良い手です。
以下自陣整備してから△3五歩と桂頭攻めし、後手有利。▲2六飛には△6二角と数を足す手があり、かえって飛車まで召し取られそうです。

指し手②
▲4六銀    △3二金    ▲3五歩    △4五歩    ▲3三角成  △同 桂
▲5五銀    △5四歩    ▲6六銀    △3五歩



▲4六銀には△3二金と上がる手も有力。左辺は軽く捌く従来の振り飛車ではなく、全体でバランスを取るのが基本的な姿勢です。△3二金型と金美濃が相性の良い形というわけですね。
▲3五歩にはやはり△4五歩と反発し、上図まで進めば後手指せる形勢です。

指し手③
▲1六歩    △1四歩    ▲4八金    △5四歩    ▲3八飛    △3二金
▲3五歩    △同 歩    ▲4六銀    △4五歩    ▲3五銀    △8八角成
▲同 玉    △6四角



いきなり▲4六銀と出ても上手くいかないので、▲1六歩~▲4八金と自陣に手を入れ、▲3八飛と寄るのがちょっとしたジャブです。対して従来の常識だと△3二飛とするのが「普通」ですが、やはり△3二金とするのがこの形には合っているでしょう。
▲3五歩~▲4六銀にはまたもや△4五歩の対抗策一本で、△6四角とこのラインで牽制すれば急戦は挫折します。後手十分。

エルモ編はこれぐらいで区切りとしますが、実は私も実戦でこの展開を指しています。去年の県名人戦挑戦者決定戦決勝、vsW塚五段戦(私が居飛車側)です。
その将棋はお互いバランスを取りながら駒を組み替える、難解な神経戦に進みました。こうなると全くアマチュア向きではないですが、1局の将棋となります。(当時のブログで、たしか「この形が出るとは思わなかった」と書きましたが、普通のアマは全然気にしなくていい変化だと思いますw 高い実力を有するW塚くん(全国クラス)相手だからこそ出現した将棋です。)

指し手(2)
▲5八金右  △4三銀    ▲2五歩    △3三角    ▲3六歩    △8二玉
▲6八銀    △6二銀    ▲5七銀左  △7二金    ▲6八金上  △5四歩
▲4六歩    △3二金



次に(2)▲5七銀左型急戦の対応について考えます。
後手の組み方は全く同じです(お手軽!)。▲4六銀型の急戦については、エルモ囲いと同じ対応策で問題ありません。
▲4六歩には△3二金としておけば、▲4五歩からの仕掛けも気にする必要が無くなります。

上図からの指し手
▲3七銀    △4一飛    ▲3八飛    △5一飛
▲3五歩    △同 歩    ▲2六銀    △4五歩



先手は棒銀に出るのが最後の手段。これには△4一飛~△5一飛と中飛車に組み替えます。こうなると昔の中飛車vs棒銀の将棋とほぼ同じです。
仕掛けに対してタイミングよく△4五歩とするのは、振り飛車の呼吸。

上図からの指し手①
▲3三角成  △同 桂    ▲3五銀    △2七角    ▲3七飛    △4九角成



角交換すると△2七角の隙があり、これは後手が指せます。△3六角成を許さないのは▲3七飛ですが、△4九角成として十分。

指し手②
▲6六銀    △6四歩    ▲3五銀    △6五歩    ▲7七銀    △5五歩
▲4五歩    △5六歩    ▲4四歩    △5四銀



角交換拒否の▲6六銀には△6四歩~△6五歩と銀に働きかけ、5筋から攻めます。上図まで進むとお互い主張があり、ほぼ互角の形勢です。

この将棋はなにか、新鮮さと懐かしさが同居するような感覚がありますね。

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KKK 2021/8/14

土曜日に行います。


-楽しく指そう向かい飛車-

横歩取りの連載は難しいので、もっと読みやすい戦術講座もいいかなと思ったりします。イメージは中級者~初段の方向けぐらい。
副題はNHK講座のノリw

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲7六歩    △4四歩
▲4八銀    △2二飛



昨今は初手から▲2六歩~▲2五歩と指されることも、結構多いのではないかと思います。相居飛車戦において、初手から▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角の進行は手が狭い意味があり、プロの対局で指されることはほとんどありません。(ただし、相手の手を狭くしている=形を決めさせているという面もある。)ただ、この手を咎めることはほぼ不可能であり、いざ指されてみると悩む、という方もいらっしゃるでしょう。
テーマの「向かい飛車」は、相手が飛車先を突き越してきたときに威力を発揮します。ある意味、初手から▲2六歩~▲2五歩のアンチ作戦と言えるかもしれません。
△4四歩と角道を遮断し、△2二飛と振れば向かい飛車が成立します。

上図からの指し手
▲6八玉    △4二銀    ▲7八玉    △4三銀
▲5六歩    △6二玉    ▲5八金右  △7二玉    ▲5七銀    △8二玉



ここまでは駒組みで特に難しい手はありませんが、△4三銀は保留し場合によっては△5三銀型にするような作戦もあります。また△3一銀型のまま、機を見て△2四歩から開戦するような指し方も一時期注目されました。今回はこの辺りの細かいことは省略して、わかりやすく△4三銀型を解説します。
先手の▲5七銀は穴熊を視野に入れた手で、実戦でも同一局面が現れる可能性は高いと思います。(試しに私もネットで指したら、同じ局面になりましたw)

上図からの指し手(1)
▲7七角    △9四歩    ▲9六歩    △7二銀    ▲8八玉



△9四歩はこの辺りが突き時。先手も▲9六歩と受けますが、受けずにすぐに穴熊を目指すのは振り飛車側から急戦を仕掛けられて危険です。(この後の進行を見ればわかります。)

上図からの指し手①
△3二金    ▲7八銀    △1四歩    ▲3六歩    △2四歩    ▲同 歩
△同 飛    ▲2五歩    △2三飛



△3二金はがっつり仕掛ける構え。△2四歩の仕掛けを狙っているので、▲7八銀と締まるのは自然です。
後手は一度△1四歩と突いておき、△2四歩▲同歩△同飛と飛車をぶつけます。向かい飛車は、相手の飛車先を飛車で受ける守備的な作戦でもあるのですが、こういう攻撃的な指し方もできるのがやはり面白いところです。▲2四同飛と取ると、△同角▲4一飛△2三飛で召し取ることができます。よって▲2五歩ですが、△2三飛と1つ引くのが「小倉流」と呼ばれる作戦です。

上図からの指し手
▲1六歩    △1三桂    ▲3七桂    △3五歩
▲2六飛    △3六歩    ▲同 飛    △2五桂    ▲2四歩    △同 飛
▲3三飛成  △同 金    ▲4五桂    △3四飛



△1三桂が、先に△1四歩としていた狙い。以下流れるように△2五桂と跳ねだすことに成功しました。
もし仮に△2二飛と引いていた場合は、△2五桂に▲4五桂の跳ね違いが成立します。△2三飛は3三を強化している意味だったのです。
そこで先手は▲2四歩~▲3三飛成と凄い切り返しを放ちますが、最後の△3四飛が冷静で後手が有利です。これは後手の成功例ではありますが、向かい飛車特有の面白い変化と思います。

指し手②
△5二金左



次は本美濃で指す指し方を紹介します。
一見は持久戦模様なので、先手は穴熊に組みたくなりますが…

上図からの指し手(a)
▲9八香    △6四歩    ▲9九玉    △2四歩    ▲同 歩    △同 飛
▲同 飛    △同 角    ▲2二飛    △2八飛    ▲2一飛成  △9五歩



後手は▲9九玉にやはり△2四歩と仕掛けを断行します。△2四歩▲同歩△同飛に▲2五歩は、△2二飛▲8八銀△3五歩▲1六歩△3四銀▲1七桂△1四歩▲2四歩△1五歩…が一例。相手の穴熊がまだバラバラのうちに楽しく戦うことができます。△3五歩~△3四銀も向かい飛車ではよく出てくる筋です。
本譜は交換して▲2二飛と打ち込んできましたが、△2八飛と打ち返して△9五歩とどんどん攻めていきます。端は△8五桂の筋などがあり弱いところです。
整然とした美濃囲いで捌いて戦うことができれば、振り飛車党にとっては望むべき展開でしょう。上図以下、▲同歩△9七歩▲同香△3二銀!▲同龍△5七角成(取れば△9八銀まで)となれば後手有利。

指し手(b)
▲7八銀    △6四歩    ▲8六歩    △7四歩    ▲3六歩    △7三桂
▲6六歩    △6三金



先手に▲7八銀と締まられると、さすがに攻めることは難しくなります。
後手は高美濃に組んでじっくり指す展開。腕力勝負です。

居飛車目線の話をちょっとすると、▲7八銀に代えて▲6八金寄とすれば穴熊の含みを残すことができます。これには、初段ぐらいまでなら、△5四銀▲6六銀△6四歩…などで急戦の含みを残す方が勝ちやすいと思います。△2四歩だけでなく、△4五歩、△6五歩、△6五銀などの手があります。
堅い本美濃をそのまま残して、ちょこちょこ動いていくのが実戦的ですね。

指し手(2)
▲3六歩    △5二金左  ▲7七角    △9二香    ▲8八玉    △9一玉
▲9八香    △8二銀    ▲9九玉    △7四歩    ▲8八銀    △7一金
▲7九金    △5一角    ▲6八金寄  △7三角    ▲4六歩    △3三桂



最後に相穴熊をご紹介します。
▲3六歩は▲3七桂を見せ、△2四歩を警戒している意味があります。これを見て後手は穴熊に切り替えました。
以下相穴熊になりますが、△5一角~△7三角と角を転回できるのが向かい飛車の強み。振り飛車で△3三桂と使えるのは気分よし。
以下はやはり力のぶつかり合いになります。定跡ではないので、玉を固めて力勝負したい人にはオススメです。

一口に向かい飛車といっても様々な形がありますが、向かい飛車独自の指し方というのは意外といろいろあるのだと、私も再認識しました。
大きな魅力を持つ振り飛車ですね。

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KKK 2021/7/17

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-穴熊の序盤と美濃囲いの速攻策-

最近の四間飛車は囲いが多様化し、新しい変化が続々と生まれています。
しかし今回は敢えて、昔ながらの指し方について研究したいと思います。福井ではS水師匠やY本さんがいつも小さな工夫を加えることで、現代っ子相手に序盤で作戦勝ちしていますね。

居飛車の持久戦模様に対して、四間飛車が序盤から動きを見せるというのは、(アマチュアでは)以前はよくある指し方でした。美濃囲いは完成に手数が掛からないので、居飛車の囲いが不十分なまま仕掛けることができそうだからです。

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二飛    ▲5六歩    △3二銀    ▲6八玉    △6二玉
▲7八玉    △7二銀    ▲5八金右  △7一玉    ▲2五歩    △3三角
▲5七銀    △5二金左  ▲7七角    △8二玉    ▲8八玉    △6四歩
▲6六歩    △4五歩



ここまで、特に難しい手順は無いかと思います。△6四歩は突いておきたいところで、▲6六歩~▲6五歩と6筋の位を取られる作戦は厄介です。
次の居飛車の手は、(1)▲6七金と(2)▲9八香に別れます。

上図からの指し手(1)
▲6七金    △4三銀    ▲9八香    △4四銀    ▲3六歩    △5四歩
▲9九玉    △5五歩    ▲6五歩



実は(1)▲6七金では▲7八金が一番無難。▲7八金とされると後手からの仕掛けはより難しくなるものの、穴熊にしたとき(作戦に依りますが)▲7九金を指すと手損になります。できれば▲7八金は省いて穴熊に潜りたい。
▲6七金には△4三銀~△4四銀で突撃を狙います。のちの△5五歩に手抜きできない(△5六歩に▲同銀、▲同金とも△5五歩がある)からです。四間飛車党なら誰でも一度は考えたことがある攻め筋でしょう。
△4三銀に▲6五歩と開戦するのは、△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛△2八歩で難しいですが後手も指せます。▲同飛なら△2七歩(取れば△4九角)があります。
▲3六歩は△3五銀の防ぎ。穴熊が未完成の状態で△5四歩~△5五歩と攻め込まれますが、▲6五歩が意表の一手。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲8八銀    △6三金    ▲7九金    △5六歩
▲同 金    △7四金    ▲2四歩    △同 歩    ▲3五歩    △同 銀
▲3三角成  △同 桂    ▲5四歩    △5二歩    ▲6八銀



▲6五歩は△5六歩の取り込みを緩和した手。以下本譜は後手の動きを無視して穴熊を完成させることができました。
△7四金は意地でも戦果を上げようとする強い手ですが、先手も穴熊ができれば戦いは望むところ。最後の▲6八銀が柔らかい手で、先手が指せます。

指し手②
△5六歩    ▲同 金    △5五歩    ▲6六金    △6五歩    ▲同 金
△4六歩    ▲同 歩    △5三銀    ▲5四歩    △6二銀    ▲5五金
△5六歩    ▲同 金    △7七角成  ▲同 桂    △4七角



▲6五歩に△同歩は後手自信がなかったので、△5六歩はどうでしょうか。△5五歩に▲6六金とかわせるのが▲6五歩の狙いですが、△4六歩~△5三銀で飛車先を通します。
△4六歩▲同歩に△5六歩も突き捨てるのは、▲同銀△5三銀▲3三角成△同桂▲5四歩△6二銀に、▲5七角が盤上を制圧する好手で先手よし。
▲5四歩を利かされるのは痛いですが、上図まで進めば先手も嫌な形です。

指し手(2)
▲9八香    △3五歩    ▲7八金    △4四飛    ▲6五歩



(2)▲9八香には△3五歩が有力。▲7八金で▲3八飛は後述します。
△4四飛~△3四飛の組み替えを許すと後手陣が軽いので、▲6五歩と反発。

上図からの指し手①
△3四飛    ▲3三角成  △同 銀    ▲3二角    △1二角    ▲6四歩
△同 飛    ▲6六歩    △5四歩    ▲4一角成  △5一金寄  ▲3一馬
△4二金上  ▲6七金右  △6一飛    ▲4二馬    △同 金    ▲1六歩



飛車を逃げる△3四飛には強く▲3三角成~▲3二角と打ち込みます。
以下この角は捕獲されてしまいますが、上図まで進んだ局面は先手がやや有利です。△1二角がひどい駒ですね。

指し手②
△同 歩    ▲4四角    △同 角    ▲7七桂    △3三角    ▲5五歩
△同 角    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3三角    ▲2六飛
△2四歩



よって飛車角交換の変化が有力です。
▲7七桂に△6六歩も考えられますが、▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲2六飛△4九角▲6八金左△5八角成▲同金△6七金▲6八金…怖い変化ではあるものの、先手受かっていそう。
先手も歩の補充ができなければ大変ですが、▲5五歩とすれば叶います。▲5五歩に対して△同角の前に△3六歩を利かそうとするのは、▲5六銀△3七歩成▲同桂で逆用されてしまいます。
上図までで形勢不明。飛車角交換で茫洋とした展開を厭わないなら、やってみる価値はあるでしょう。

指し手(3)
▲9八香    △3五歩    ▲3八飛    △4三銀    ▲7八金    △3二飛
▲2八飛    △4四銀    ▲6七金右  △5四歩    ▲9九玉    △4二角
▲6五歩    △3四飛    ▲6四歩    △3三桂    ▲2六飛    △6四角



△3五歩に▲3八飛は部分的に定跡とされる手ですが、△4三銀~△3二飛から石田流への組み替えを狙われます。(▲9八香で▲6七金右なら▲3六歩と仕掛けやすい。)
▲2八飛は△2二角~△3四飛を防いだ手。
▲6五歩では▲8八銀ももちろんあり、△3六歩か△3四飛で1局。最近多かった三間飛車からの組み替えの変化と似ており、比較してどうかというところです。
本譜も互角の形勢で、先手の手番で手が広く難しい将棋です。

これらの変化は、先手の組み方次第で現れる可能性があるわけですが、スルーされることがほとんどです。むしろ意識さえしていない人が多数かと思います。
しかし大体の新戦法というのは、過去の既存の手順の組み合わせです。他人が意識していない領域を突き詰めることで、新戦法のクリエイターになれるかも? ぶっちゃけトマホークとか藤井猛九段の手順を四間→三間に丸々流用しただけだし…。

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KKK 2021/5/9

日曜日に行います。


-対四間の新型急戦-

久々の単発小話。
角道を止める四間飛車が最近ホットな戦型となっていますが、序盤早々の駒組みから工夫を凝らすことが多くなっています。最初はこれをテーマにしようかと思ったのですが、まとめてみようとして「難しすぎる」w
というわけで居飛車側の目線で、新型急戦を題材としたいと思います。居飛車も指される作戦が多いですが、また面白い指し方が増えました。



図までの指し方について少しばかり注釈をば。
後手は早めに9筋の端歩を打診していることが1つ。対して先手はあっさり端を受けるのが主流です。これはイビアナを目指している場合も同様で、これだけで1つのテーマにできそうです。まぁここでは現在の主流はそうなんだな、ぐらいに思っておいてくださいw
先手は穴熊含みで陣形を組んでいますが、▲3六歩で急戦を見せたのが上図です。後手は△7二玉型をキープしているのが2つ目のポイント。これは「振り飛車ミレニアム」や「耀龍四間飛車」を含みにしています。現時点では最も多い形ですが、いろいろな有力な形が多いところ。本譜は結局美濃にしますが、△5二金左を指させている形に焦点を絞ります。△4一金型だとまた変化が増えます。

上図からの指し手
△8二玉    ▲1六歩    △7二銀    ▲3七桂



△8二玉に対して、プロの将棋では▲7七角から穴熊を目指す方が主流。▲3六歩で△8二玉を指させることにより、先ほどの振りミレや耀龍を消した意味があります。今回はあくまで急戦を目指します。▲3七桂が古くて新しい形。

上図からの指し手(1)
△6四歩    ▲4五桂    △同 歩    ▲3三角成  △同 桂
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



△6四歩は例えば▲4六歩なら、△5四銀という玉頭銀を残した手です。しかし▲4五桂という「ポンポン桂」がこの場合は成立します。
上図まで進んで先手が少し指せそう。△2二歩は▲3一角で先手よし。△4四角▲8八角△同角成▲同銀△4六歩▲同歩△4五歩…などが一例で、後手も暴れるべく頑張ります。

指し手(2)
△5四歩    ▲4五桂    △同 歩    ▲2四歩    △8八角成  ▲同 銀    △5五歩


次に△5四歩を見てみましょう。同じくポンポン桂を発動すると、今度は▲3三角成△同桂▲2四歩には△6四角を利かされます。よって角交換を保留しますが、△5五歩として後手もやれそうな形勢です。▲2三歩成が一瞬厳しくありません。

指し手(3)
△5四歩    ▲2六飛    △3二飛    ▲4六歩    △2二飛    ▲6八金上



▲2六飛が本題となる一手。相手の手を見て▲4六歩と▲4六銀を使い分けます。△3二飛は▲4六銀の方を警戒した手で、△5一角と引いて3筋に備えることができます。(ただし以下▲7七角△7四歩▲8八玉と持久戦に切り替える作戦もある。これも新しい感覚の将棋だ。)
よって▲4六歩を選び、△2二飛と守ります。▲6八金上の2枚金の形が最近注目されている囲い。

上図からの指し手①
△7四歩    ▲5五歩    △同 歩    ▲3五歩    △5三金    ▲4五歩
△6四金    ▲4六銀



本譜は黒田五段vs井出四段の実戦譜。黒田五段は自らも四間飛車を指しこなしていることもあり、急戦系の将棋にも造詣が深い。先手は歩をリズムよく突き捨てて攻めます。後手は金の力で反撃しようとしますが、上図まで進展して先手有利。

指し手②
△6四歩    ▲3五歩    △同 歩    ▲4五歩    △同 歩    ▲3三角成
△同 桂    △4四角    ▲同 角    △同 銀    ▲3一角



△6四歩に対しても▲5五歩が有力で、黒田五段の予定はこちらだったかもしれません。
▲3五歩~▲4五歩の手順も考えられる攻め筋です。▲3三角成△同桂に単に▲3一角と打つと、△2一飛▲6四角成に△4四角が好位置の角。これは後手が指せそうです。
▲8八角に△4二金は▲4五桂で攻めが続いて先手がやや有利。よって△4四角と合わせて、以下▲3一角と打ち込みます。
上図以下は、△2一飛▲6四角成△5三銀▲7五馬に△2四歩が好手で、いい勝負です。さらに▲3四歩 △2五歩▲2九飛△3六歩に▲3九飛で互角の戦いが続きます。

指し手(3)
△5四歩    ▲2六飛    △6四歩    ▲6八金上  △7四歩    ▲4六銀
△5三金    ▲3五歩    △3二飛    ▲3四歩    △同 銀    ▲5五歩



△3二飛と備えない場合は、▲4六銀と出てみたいところ。ただその前にやはり▲6八金上と陣形を引き締めます。
△5三金は中央を厚くした手ですが、▲3五歩から仕掛けて▲5五歩とそれでも中央に手を付けます。形勢は難解。

もう少し手短に切りたいのですが、現代将棋は変化がますます細かくなるばかり…
いやはや、大変だ。

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KKK 2020/11/21

土曜日に行います。

詰ましにいかんでも勝ちやろ…って思ったら自玉が頓死った。頭が緩い。


-飛車先不突棒銀-

KKKには棒銀好きが多いので、今回は棒銀をテーマにしてみます。「飛車先不突?また珍戦法か」と思った貴方、ばかにしてはいけない。ちゃんと有力です。

初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲4八銀



今回は先手番で採用することを考える。
飛車先を突いてはいけないという縛り(?)があるので、序盤はやや変則的になる。振り飛車に対しての戦法なので次手は△4四歩だが、もちろん居飛車でこられることも考慮する必要がある。例えば雁木が得意なら△8四歩に▲6六歩とし、然程不自然な駒組みにはならない。
後手番でも問題なく成立するので、むしろそちらの方が指しやすいかも。

△4四歩▲5六歩△4二飛▲6八玉△9四歩▲9六歩△7二銀▲7八玉 △3二銀▲5八金右△4三銀▲3六歩△6二玉▲6八銀△7一玉▲5七銀左△5二金左▲6八金上△8二玉



四間飛車に対し、坦々と急戦の陣形を組み上げる。違うのは飛車先の歩が未だに2七に居ることだけだ。

▲3七銀△5四歩▲2六銀



そしてそのまま銀を進出する。とりま相手はビックリするだろうw

△6四歩▲3八飛△3二飛▲3五歩



後手が序盤で△3三角と上がっていると△2二角と戻って2手損になるが、△6四歩と△5四歩の分だけなので実はそれでもいい勝負。楽観しない方がよい。
後手は自然な指し手の積み重ねでここまで来たが、ここで(1)△同歩と応じるか、(2)△7四歩などで待つか選択になる。

(1)△同歩▲同銀△3四歩▲3三歩



後手は丁寧に場を収めようとするが、▲3三歩の手裏剣が手筋の一着。これには全ての駒で取る可能性があるが、
①△同桂は▲3四銀と普通に突進し、先手やや有利。△3七歩の切り返しが気になるものの、▲4三銀成と先に取ってしまえば良い。
②△同角▲3四銀△同銀▲同飛と進めて先手指せる。そこで△4五歩とさばこうとすれば、後手の飛車が浮いているので▲4四銀とねじ込めば優勢になる。
③△同飛が有力手。▲4四銀に対し、(a)△同銀▲同角△4九銀▲3九飛は先手玉が薄いものの、いい勝負。(b)△3二飛▲4三銀成△8八角成▲同玉△4三金は▲3六飛が好感触で、互角の戦いだ。
(2)△7四歩▲3四歩△同銀▲3五歩△4三銀▲2五銀△3三歩



▲3五歩が飛車先不突棒銀ならではの一手で、普通なら筋悪になるところ。▲2五銀という継続手があるのが強み。次に▲3四銀とぶつけることができれば先手が指せるので、△3三歩は仕方ない。ここを謝らせられれば、気分は上々だ。
以下、以前の私の研究では①▲2六歩~▲3六銀~▲2五歩とすれば先手良しだと考えていた。しかし改めて調べると、後手にも△3一角~△2二飛という意表の受けがある。形勢は互角としかいえない。
よって②▲4六歩の方がいいかもしれない。(a) △6三金なら、▲3六銀△3四歩▲4五歩と攻め立てて先手が十分。(b)△3一角▲3六銀△5三角と4筋を厚くするのがおそらく互角を保つ唯一の手段だが、知らないと相当指せない。

将棋小話のリクエストを随時募集中です。

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KKK 2020/8/29

土曜日に行います。
日曜日は朝倉象棋に参加します。


-四間飛車△6二金-

最近は飛車を振った後、△6二金と構える形が随所に登場するようになりました。居玉のまま先に△6二金と上がってしまう将棋も現れています。

△6二金とすると大体△7二玉型になるので、当初は「こんなの急戦で何とかなるさ」と思っていました。しかし四間飛車側も、美濃囲いの”コンパクトさ”と”1路の遠さ”を生かした受け方は最初から捨て、既存の戦い方を脱却しつつあると感じます。
個人的にはもう振り飛車というより、右玉の亜種ぐらいに思っていますw

もちろん、研究が進んで「やはり急戦が有力」となる可能性もあります。注目はしています。していますが…自分であまり指そうと思えないのは、あまりにも振り飛車チックでないからでしょうか。

きっと頭が固いですねw

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KKK 2020/6/6

土曜日、満を持して(?)復活します。
コロナ禍に対する感覚はそれぞれだと思いますので、自己責任でお願いいたします。


将棋小話 -elmoセブン

続きです。拍手を3連打したのは誰なんでしょう(笑)

今回は②△4三銀という分岐を見ていきます。この局面ではやや違和感がある手ですが、最近は早く△4三銀と上がることが多いため、合流して現れることは多いと思います。



これには△5三銀型同様、▲4六歩と突きます。一度▲5九金とするのも有力と個人的には見ていますが、▲4六歩を本線とします。
ここで(1)△6四歩と(2)△2二飛が考えられます。

(1)△6四歩▲4八金△7四歩▲4五歩△4二飛▲3七桂


▲4六歩の急戦策に対して、△6四歩から高美濃を目指すのは一番オーソドックスで、昔からある対策です。以下上図まで進むと、見たことのある形ではないでしょうか。つまりは従来の▲5七銀左型舟囲いvs四間飛車の急戦定跡なのです(もちろんこれはelmo囲いではないですが)。もう少し進めてみます。

△6三金▲2四歩△同歩▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲3三角成△同桂▲8八角△4三飛▲2四飛


これも従来の手順を踏襲していますが、elmo囲いが生きる展開になりました。△4七歩などの反撃が甘くなってますし、囲いがしっかりしています。先手がやや有利。△4三飛では△2五桂の方がよいと思いますが、普通に▲同桂で先手が指せそうです。
よって(2)△2二飛と備えます。



さて、前回のテーマ「さっくり攻める」というのを覚えているでしょうか。備えようが何だろうが、やっぱり行ってみたくなるのが人情です(?)。

上図以下、▲4八金△6四歩▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲3一角△2一飛▲6四角成



これも以前からある裏定跡。△6四歩を見て▲4五歩と仕掛けます。しかし堂々と△同歩と取り、以下馬を作らせて上図。初めて見た方には、先手良しに思える進行でしょう。

△4四角▲6六銀△2四歩▲同歩△2六歩▲3七馬△2四飛▲5七金


△4四角が習いある振り飛車の自陣角。以下2筋から後手が逆襲し、後手陣は伸び伸びとした形になりました。
これも昔からの定跡では舟囲いでしたが、本譜はelmo。難解な形勢ですが、居飛車も指せるのではないかと見ています。

コメントが3つ以上ついたら続きます。
(「無理だろ!」というコメは受け付けておりませんw)

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将棋小話 -elmo①-

昨今、一番の人気を誇る振り飛車は三間飛車です。角を右側に引いて石田流を作る指し方は「下町流」などと呼ばれ、以前から指されていた形でしたが、序盤にちょっとした工夫を盛り込むことで優秀だと認識されました。
対する居飛車の対抗策としては、穴熊と左美濃が人気のイメージですが、急戦系の将棋もかなり様変わりしています。居飛車側にも振り飛車側にも新たな形が生まれました。

今回は急戦系の新しい将棋で一番の有名どころと言える、elmo囲いのお話です。テーマは、「さっくりと攻める」。



後手三間飛車を想定し、図は△5四歩と突いた局面。この局面を基本図とします。居飛車の▲6八銀の後▲7九金と寄った囲いが、今回の主役「elmo囲い」ですね。

始めに申し上げておくと、私は世で言われているほど「elmo囲い」が堅いとは思っていません。金が寄ったぐらいでそんなに堅くなるはずがないでしょうwぐらいに思っています。ソフト流は力将棋のような展開も多いと感じますが、それでは美濃囲いの1路の遠さが生きてきます。よって大切なのは迷わず攻めることのできる展開、速度計算をしやすい展開に持ち込むことではないでしょうか。この戦型では私はそういう考えの下、研究しています。

さて、将棋に戻ると図の△5四歩では、△6四歩や△4三銀といった手も自然に映ります。ただ△5四歩は後に突くことになる可能性が高い手。これを突かない展開は△4三銀~△5四銀ぐらいでこれも有力ですが、ここでは割愛します。
上図以下、▲1六歩で一度様子を見る。



ここで後手には①△5三銀、②△4三銀、③△6四歩、④△1四歩のどれかが普通の手でしょう。
今回は①△5三銀に対して、どうやって「さっくり攻める」かを考えます。以下▲4六歩△4二飛▲3七桂△6四歩▲4八金△7四歩。


△6四歩では△6四銀も有力。これは次回以降考えてみたい。
▲4八金が連結の良い形です。elmo囲いには▲5九金とする形もありますが、攻めが軽くなる嫌いがあります。ただ最初は▲4八金の形には違和感しか無かったですねw

さて、図で(a)▲5五歩とするのがウチのソフトでは有力だと挙がります。しかし、いかにもこれは「もっさり」した手ですw 有力ですが力将棋の風で、切り合いではありません。力自慢の方にはオススメですが、やはり4筋から攻めたいものです。ただ(b)▲4五歩は△同歩▲3三角成△同桂の後、△4六歩が残ります。
そこで(c)▲2六飛△6三金としてから、▲3五歩△同歩▲4五歩と仕掛けます。そのまま△同歩▲3三角成△同桂に▲3四角が好打。



一応、一区切りを見て形勢判断をすると、まぁいい勝負でしょう。ここで一番気になるのは(a)△4四角ですが、▲6六歩△6五歩▲2三角成△6六歩▲3四歩△6七歩成▲同銀△9九角成▲3三歩成(▲3三馬は△4四飛!が好手)△4四飛▲3四と△2二飛▲3三馬、で先手が指せそう。(b)△3六角が有力か。以下▲2四歩とやはりわかりやすく攻め、(1)△4六歩▲2三歩成△4七歩成▲3三と、の切り合いか、(2)△4四飛のワンクッションに▲6一角成の強襲でしょうか。
△3六角の利きから6九→7九と金が事前に避けているのはなんとなく効いたような気もしますね。

↓の拍手が3つ以上ついたら続きますw

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