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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/7/17

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-穴熊の序盤と美濃囲いの速攻策-

最近の四間飛車は囲いが多様化し、新しい変化が続々と生まれています。
しかし今回は敢えて、昔ながらの指し方について研究したいと思います。福井ではS水師匠やY本さんがいつも小さな工夫を加えることで、現代っ子相手に序盤で作戦勝ちしていますね。

居飛車の持久戦模様に対して、四間飛車が序盤から動きを見せるというのは、(アマチュアでは)以前はよくある指し方でした。美濃囲いは完成に手数が掛からないので、居飛車の囲いが不十分なまま仕掛けることができそうだからです。

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二飛    ▲5六歩    △3二銀    ▲6八玉    △6二玉
▲7八玉    △7二銀    ▲5八金右  △7一玉    ▲2五歩    △3三角
▲5七銀    △5二金左  ▲7七角    △8二玉    ▲8八玉    △6四歩
▲6六歩    △4五歩



ここまで、特に難しい手順は無いかと思います。△6四歩は突いておきたいところで、▲6六歩~▲6五歩と6筋の位を取られる作戦は厄介です。
次の居飛車の手は、(1)▲6七金と(2)▲9八香に別れます。

上図からの指し手(1)
▲6七金    △4三銀    ▲9八香    △4四銀    ▲3六歩    △5四歩
▲9九玉    △5五歩    ▲6五歩



実は(1)▲6七金では▲7八金が一番無難。▲7八金とされると後手からの仕掛けはより難しくなるものの、穴熊にしたとき(作戦に依りますが)▲7九金を指すと手損になります。できれば▲7八金は省いて穴熊に潜りたい。
▲6七金には△4三銀~△4四銀で突撃を狙います。のちの△5五歩に手抜きできない(△5六歩に▲同銀、▲同金とも△5五歩がある)からです。四間飛車党なら誰でも一度は考えたことがある攻め筋でしょう。
△4三銀に▲6五歩と開戦するのは、△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛△2八歩で難しいですが後手も指せます。▲同飛なら△2七歩(取れば△4九角)があります。
▲3六歩は△3五銀の防ぎ。穴熊が未完成の状態で△5四歩~△5五歩と攻め込まれますが、▲6五歩が意表の一手。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲8八銀    △6三金    ▲7九金    △5六歩
▲同 金    △7四金    ▲2四歩    △同 歩    ▲3五歩    △同 銀
▲3三角成  △同 桂    ▲5四歩    △5二歩    ▲6八銀



▲6五歩は△5六歩の取り込みを緩和した手。以下本譜は後手の動きを無視して穴熊を完成させることができました。
△7四金は意地でも戦果を上げようとする強い手ですが、先手も穴熊ができれば戦いは望むところ。最後の▲6八銀が柔らかい手で、先手が指せます。

指し手②
△5六歩    ▲同 金    △5五歩    ▲6六金    △6五歩    ▲同 金
△4六歩    ▲同 歩    △5三銀    ▲5四歩    △6二銀    ▲5五金
△5六歩    ▲同 金    △7七角成  ▲同 桂    △4七角



▲6五歩に△同歩は後手自信がなかったので、△5六歩はどうでしょうか。△5五歩に▲6六金とかわせるのが▲6五歩の狙いですが、△4六歩~△5三銀で飛車先を通します。
△4六歩▲同歩に△5六歩も突き捨てるのは、▲同銀△5三銀▲3三角成△同桂▲5四歩△6二銀に、▲5七角が盤上を制圧する好手で先手よし。
▲5四歩を利かされるのは痛いですが、上図まで進めば先手も嫌な形です。

指し手(2)
▲9八香    △3五歩    ▲7八金    △4四飛    ▲6五歩



(2)▲9八香には△3五歩が有力。▲7八金で▲3八飛は後述します。
△4四飛~△3四飛の組み替えを許すと後手陣が軽いので、▲6五歩と反発。

上図からの指し手①
△3四飛    ▲3三角成  △同 銀    ▲3二角    △1二角    ▲6四歩
△同 飛    ▲6六歩    △5四歩    ▲4一角成  △5一金寄  ▲3一馬
△4二金上  ▲6七金右  △6一飛    ▲4二馬    △同 金    ▲1六歩



飛車を逃げる△3四飛には強く▲3三角成~▲3二角と打ち込みます。
以下この角は捕獲されてしまいますが、上図まで進んだ局面は先手がやや有利です。△1二角がひどい駒ですね。

指し手②
△同 歩    ▲4四角    △同 角    ▲7七桂    △3三角    ▲5五歩
△同 角    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3三角    ▲2六飛
△2四歩



よって飛車角交換の変化が有力です。
▲7七桂に△6六歩も考えられますが、▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲2六飛△4九角▲6八金左△5八角成▲同金△6七金▲6八金…怖い変化ではあるものの、先手受かっていそう。
先手も歩の補充ができなければ大変ですが、▲5五歩とすれば叶います。▲5五歩に対して△同角の前に△3六歩を利かそうとするのは、▲5六銀△3七歩成▲同桂で逆用されてしまいます。
上図までで形勢不明。飛車角交換で茫洋とした展開を厭わないなら、やってみる価値はあるでしょう。

指し手(3)
▲9八香    △3五歩    ▲3八飛    △4三銀    ▲7八金    △3二飛
▲2八飛    △4四銀    ▲6七金右  △5四歩    ▲9九玉    △4二角
▲6五歩    △3四飛    ▲6四歩    △3三桂    ▲2六飛    △6四角



△3五歩に▲3八飛は部分的に定跡とされる手ですが、△4三銀~△3二飛から石田流への組み替えを狙われます。(▲9八香で▲6七金右なら▲3六歩と仕掛けやすい。)
▲2八飛は△2二角~△3四飛を防いだ手。
▲6五歩では▲8八銀ももちろんあり、△3六歩か△3四飛で1局。最近多かった三間飛車からの組み替えの変化と似ており、比較してどうかというところです。
本譜も互角の形勢で、先手の手番で手が広く難しい将棋です。

これらの変化は、先手の組み方次第で現れる可能性があるわけですが、スルーされることがほとんどです。むしろ意識さえしていない人が多数かと思います。
しかし大体の新戦法というのは、過去の既存の手順の組み合わせです。他人が意識していない領域を突き詰めることで、新戦法のクリエイターになれるかも? ぶっちゃけトマホークとか藤井猛九段の手順を四間→三間に丸々流用しただけだし…。

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