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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2022/5/14

土曜日です。
リモートで行いたいと思います。

今年3月の出口vs久保戦の対局では、角交換振り飛車の新趣向の駒組みになりました。しかしこれは私が机上の研究として、1年以上前に紹介した形と全くの同一でした(2021/1/12の記事)。
この話を某Sにしたところ、全く興味無さそうにされたのが悲しかったとです…。

最近サボっていて、将棋小話の書き溜めが無くなりました。
そこで現在進行中の超難解流行形、「相掛かり▲9六歩」をテーマに連載を作ろうかと思案中です。私も主力にしている戦型の1つであり、角交換四間飛車の連載以来のマジ研究になりそうです。
ただテーマがでかすぎるので、いつスタートできるかは分かりませんw


-駒の繰り替えテクニック-

というわけで今回は、前回のKKKの復習をば。
下の局面は私が後手を持っていて、現れた将棋です。



ここまでの駒組みのまとめ方に差があり、やや後手が作戦勝ちの局面。しかしゆっくりしていると、7筋の位を取られている場合は居飛車の形が良くなっていきます。
ただ角交換振り飛車では手待ちをされることも多いと思うので、あえて一人千日手をすることにしました。先手はどう打開すればいいでしょうか?

上図からの指し手①
△4二金    ▲8六歩    △5二金    ▲8五歩    △4二金    ▲5七銀
△5二金    ▲6八銀    △4二金    ▲6七銀上  △5二金    ▲4六歩



まずは玉を固める手法から。
右銀を6七に持っていくのは角交換振り飛車でよく出てきます。もし上図まで固めることができれば、むしろ先手が作戦勝ちです。一例ですが▲8七銀~▲3八金~▲4九飛のような感じで、打開は簡単にできます。
指し手②
△4二金    ▲8六歩    △5二金    ▲8五歩    △4二金    ▲5七銀
△5二金    ▲4六歩    △4二金    ▲6七金    △5二金    ▲7八玉
△4二金    ▲8九飛



バランス型の陣形も有力です。
玉を7八に構えたあと、地下鉄飛車で相手の玉頭を狙います。上図から△2五歩▲同歩△同桂と攻められても、▲2九飛で逆に打開の機会となります。

このように、駒を繰り替えて有効な陣形を作る知識・技は大切です。
将棋は変わりますが、最近よく指されている三間飛車の将棋で、流行形に下の形があります。


先手の囲いは、後手が△3五歩としてくることを想定してのものといえます。しかし仮に裏切って△7四歩から駒組みを進めてきたとしましょう。

上図からの指し手
△7四歩    ▲9八香    △8四歩    ▲9九玉
△7三桂    ▲7九金    △6三金    ▲8八金



有効な仕掛けが無いときに穴熊に組み替えるのはよくありますが、この形は最近になって出てきたものです。この穴熊は私の体感では「あまり堅くないなぁー」と思っていますが、少なくともこの時点で相手玉と比べると”遠い”といえます。

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KKK 2022/5/8

日曜日です。
自宅で行いたいと思います。


-ゴキゲンな角交換振り飛車-

ゴキゲン中飛車の出だし(▲2六歩△3四歩▲7六歩△5四歩)から、角交換振り飛車を目指す作戦があります。△5四歩が▲6五角を緩和する意味があり、飛車を振るリスクを下げています。

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △5四歩    ▲2五歩    △3二飛



5筋を通り過ぎて△3二飛と振るのが、菅井流の一着です(最近は指していないと思いますが)。初タイトル獲得の原動力となった戦法ですが、特に名前は付いていません。
一見しただけでは意味を理解するのが難しいので、もう少し進めてみます。

上図からの指し手(1)
▲4八銀    △4二銀    ▲6八玉    △8八角成  ▲同 銀    △2二飛



▲4八銀で▲2四歩は、△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△3三角▲2八飛△2六歩で後手十分。これはよく知られた変化です。
また△8八角成で△6二玉は、▲2四歩△同歩▲同飛△8八角成▲同銀に、△3三角だと▲2一飛成が金当たりになって先手よし。ただし△3三角ではなく△3一金という手は部分的な定跡で、これはあるかもしれません。
ただこの戦法の本意は△2二飛と振り直すことにあります。普通の角交換向かい飛車のように見えますが、△3三桂や△3三銀を保留できているのが主張です。

上図からの指し手
▲7八玉    △6二玉    ▲9六歩    △9四歩    ▲4六歩    △7二玉
▲4七銀    △8二玉    ▲3六歩    △7二銀    ▲5八金右  △5三銀
▲8六歩    △4四歩    ▲7七桂    △4二金    ▲8七銀    △3三桂
▲8八玉    △2一飛    ▲7八金



向かい飛車にしてからは駒組みになりますが、上記の手順は一例です。
後手は美濃囲いにしっかり組んでから、△4二銀型を活かして△5三銀と上がります。
△4四歩では先に△3三桂と活用したいところですが、▲5六角と打たれる可能性があります。以下△2一飛▲3四角△4二金▲6六歩△4四歩▲3七桂…のような感じに進み、意外と角をいじめることができません。機を見て角をどかした後、▲3五歩~▲3四歩を狙いにされます。この筋に限りませんが、△3三桂型はこの桂が目標とされることが多いのです。
本譜に戻り、△4二金には▲3一角と打たれる手が気になります(無難に指すなら△3二金もある)が、 △3二飛▲4二角成△同飛▲2四歩に△4五歩(▲同歩なら△6四角)で後手指せます。仮に▲3七桂型でも、▲2四歩の瞬間△1五角(桂歩取り)で受かります。
よって上図まで進んで、これからの将棋です。ただ、後手にも主張がある局面と思います(たぶん菅井さんもそう思っている)が、評価値はあまり良くありません。これは角交換振り飛車の宿命みたいなところがあります。

指し手(2)
▲2二角成  △同 飛    ▲5三角    △4二銀    ▲8六角成  △6二玉
▲6八玉



△5四歩の弊害として、▲5三角の打ち込みから馬作りを許す点があります。先手としては馬は強力ですが、手数を掛けているので馬を(角と交換になったりして)消されないように注意しなければなりません。例えば▲2六角成は△4四角と合わせられて、いきなり失敗します。

上図からの指し手①
△7二玉    ▲7八玉    △8二玉    ▲4八銀    △7二銀    ▲7七馬
△3三銀    ▲8八玉    △4四角    ▲6六歩    △2四歩    ▲同 歩
△同 銀    ▲6七馬    △2五銀


まずは後手が淡々と美濃囲いにする指し方を考えます。
先手はどこかで馬を活用したいところで、▲7七馬は飛車に当てて第一感です。ただ駒組みが制限されている意味もあり、例えば▲3六歩とすると△5五角で馬が消えてしまいます。
▲8八玉などなら何の問題も無さそうですが、それでも△4四角と合わせるのが狙いの一着。逆棒銀に出て積極的です。
上図はいい勝負(ちゃんと指せば2筋を破られることは無さそう)ながら、先手がやや不満な展開に思います。

指し手②
△7二玉    ▲7八玉    △8二玉    ▲6八馬    △7二銀    ▲4八銀
△3三銀    ▲5六歩    △9四歩    ▲9六歩    △5二金左  ▲8八銀



私は▲6八馬と引くのが有力だと思っています。△3三銀に▲5六歩と突けば、逆棒銀は防ぐことができます。
後手が戦えないことはないですが、先手に馬を作ったアドバンテージはあると考えています。

指し手③
△4四角    ▲7七桂    △7二玉    ▲7八玉    △3三銀    ▲4六歩



馬を引かれる前に△4四角と打ってしまうのはどうでしょうか。本譜のタイミングなら▲7七桂と防ぐしかないですが、馬の働きが弱くなりました。
▲4六歩は角を追って反撃するために必要な一手です。

上図からの指し手(a)
△2四歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲4五歩    △6二角    ▲6五桂
△5二金右  ▲7七馬



単純に逆棒銀を決行すると、▲4五歩~▲6五桂とカウンターが飛んできます。▲7七馬と矛先を変えて、先手が優勢です。

指し手(b)
△6二銀    ▲7五馬    △2四歩    ▲4五歩    △7七角成  ▲同 玉
△2五歩



というわけで一旦△6二銀と備えます。
▲7五馬は▲6五馬や、▲4五歩と角を追って▲6六馬が狙い。そこで△2四歩▲4五歩には△7七角成と切り飛ばしてしまいます。
凄い駒損ではあるものの、陣形の安定度の差があるので難しそう。私の感覚では、どちらも持ちたくないw

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △5四歩    ▲4八銀    △8八角成
▲同 銀    △2二飛



5手目が▲2五歩で無い場合、いきなり△8八角成~△2二飛が成立します。懸案の▲5三角は△4二角で受かります。
これは菅井流と比較し、後手が手得の上▲5三角のリスクが無いので、(形勢はともかく)後手が気分良く指せます。

ゴキゲン中飛車は、1つの独立した戦法として用いられることが多く、5手目に▲4八銀でも△5五歩と突いてしまいがちです。こちらに不都合が無ければ、相手の指し手が多少変わっても気にならないのかもしれません。
しかし見えていないだけで、▲2六歩型を活かした有力な作戦は存在しています。逆に実はこちらにとって得な変化があるのに、いつも逃していたなんてこともあるのです。
余談ですが、ゴキ中に超速(5手目に▲2五歩の戦法)が圧倒的にメジャーなのは、ここに理由の1つがあると考えています。

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KKK 2022/3/21

(日にちを変更しました)
月曜日(祝)に行います。
リモート研究会です。


-新しいことを学ぼうとする、その取り組みが大切-

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲7六歩    △2二飛
▲3三角成  △同 桂    ▲6五角    △4五桂



前回のKKKより。
私は指しませんが、初手から▲2六歩△3四歩に▲2五歩と決める指し方をする場合、△3三角▲7六歩に△2二飛とダイレクトで回る作戦があります。先手の指し手は、後手の作戦を狭める意図があると私は思っているのですが、これは先手が▲2六歩△3四歩▲2五歩と決めなければ出現しえない将棋です。
以下、普通に▲4八銀などとするのは△4二銀で、後手が△4二飛などで途中下車した場合と比べて1手得になります。よって▲3三角成~▲6五角を打ち、△4五桂から激しい展開になだれ込みます。

上図からの指し手(1)
▲4三角成  △5七桂不成  ▲5八金右  △6九桂成  ▲同 玉    △4二銀
▲6五馬    △7二銀    ▲6六馬    △3二金



△4五桂は5七を何か受けさせて、△5五角と打つつもり。先手の飛車の横利きを止めれば、9九の香が受けづらくなります。
まず▲4三角成と受けない変化は、金桂交換で後手が駒得に。
△4二銀に▲3四馬は、△5五角▲6六桂△3六歩で先手が危険です。
よって上図まで進んで、最後の飛車角交換を恐れない△3二金が好手。駒得が大きく後手がやや有利な形勢でしょう。

指し手(2)
▲7八金    △5七桂成  ▲8三角成  △8二飛    ▲6五馬    △6七成桂
▲同 金    △8七飛成  ▲7八銀    △8八龍



(2)▲7八金は△5五角の筋をカバーしながら、△5七桂不成が両取りにならないようにした手。よって△5七桂成としますが、そこで▲4三角成は△4二飛で後手良し。
本譜▲8三角成にも△8二飛とぶつけます。成桂が狭いので(多少もったいない感じもしますが)△6七成桂~△8七飛成を実行し、上図まで。難しいながら後手が指せると言われています。

指し手(3)
▲4八銀    △5五角    ▲9八香    △9九角成  ▲7八銀    △4二飛
▲8三角成  △9八馬    ▲5六馬    △8四香    ▲4五馬    △8七香成



(3)▲4八銀には狙いの△5五角を放ち、以前は後手が良いと言われていました。ただし結論から述べてしまうと、現在は先手が指せる変化とされています。
一旦先手は桂にヒモを付けて▲7八銀としますが、△4二飛と受けるのが面白い手。やはり後で△8二飛と回る手を残しています。単に△9八馬とした実戦例もあるものの、▲4三角成で先手良しと言われています。
△8四香はかなり厳しそうな手。一度△4四歩と受けておく手も見えますが、▲7九金△8四香▲4六歩△8七香成▲同銀△同馬▲8八香で先手が指せます。
本譜は▲4五馬で桂を取り返せたものの、△8七香成の局面は先手が辛そうにも思えるところです。

上図からの指し手
▲同 銀    △同 馬    ▲3九銀    △8二飛    ▲8八香    △6九馬
▲同 玉    △8七歩    ▲7五桂



▲3九銀は知らなければなかなか指せない手だと思います。後手同様に飛車の横利きが重要です。△8二飛にも▲8八香が強打で、▲3三角の王手飛車の筋があるので取ることができません。
本譜は最後の▲7五桂が、6三の地点を睨みながら、真の狙いは▲8三歩で飛車先を止めること。先手が指せそうです。

実は先手はこの展開を避けて、7手目に▲3三角成とせずに▲4八銀から穏やかに指したとしても、形勢が悪くなることはありません。ましてや後手がわざわざ6手目に△2二飛としてくること自体が少なくなっています。おろそかになりやすい変化だと思います。
ただ、私は初手から▲2六歩△3四歩▲2五歩という出だしを選択するからには、この変化は必ず押さえておくべきだと、切に思います。

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KKK 2021/4/18

日曜日に行います。


-感動の(?)最終回-

長期連載になっていた角交換四間飛車ですが、最後に居飛車が▲2五歩を突かない変化を考えてみましょう。これなら逆棒銀はありません。



ただし、▲2五歩に代えて何を指すのかはもちろん重要です。
例えば▲3六歩と突くと、すかさず△4四歩と普通の四間飛車に戻される可能性があります。それで居飛車が悪いわけではないですが、▲3六歩は急戦志向の一手。自分の得意戦法と照らし合わせる必要があるでしょう。
今回は普通の四間飛車に対して最有力と見られている、穴熊の含みを残す指し方を見ていきます。

上図からの指し手
▲5六歩    △7二銀   



方針を決めると、実は意外と先手が選べる手は多くありません。▲6六歩とじっくり行こうとするのは、2六歩型なら向かい飛車にされる手がないので一理ありますが、△7二銀の前だと角道を開けたまま振り穴にされて消極的です。▲5八金右△7二銀▲6六歩は、△3五歩▲2五歩△3三角▲7七角△2二飛で後手十分。
よって(1)▲5六歩+▲5八金右か、(2)▲5六歩+▲5七銀が候補となります。

上図からの指し手(1)
▲5八金右  △5二飛



▲5六歩を見てそれを目標に飛車を振り直すのは、振り飛車党ならやってみたい手。

上図からの指し手①
▲2五歩    △5四歩
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △8八角成  ▲同 銀    △2二飛
▲2三歩    △5二飛



居飛車の飛車先交換に対して、飛車をぶつけるのは常に角交換振り飛車の狙い筋。これは以前なら後手が軽いと言われていた(いい意味で)指し方ですが、現在の私の見解では後手が少し勝ちづらそうに思えます(この形なら)。実戦ではほとんど現れませんが、この場合は▲2四歩を決行してみる価値はあるでしょう。ただし僅かな違いによって全然上手くいかない場合もあるので注意。

指し手②
▲5七銀    △5四歩    ▲6六歩    △5五歩    ▲同 歩    △同 飛
▲5六歩    △5一飛    ▲7七角



先手がじっくり行くならこの手順。後手は軽い形で、たぶん振り飛車党は後手を持ちたいし居飛車党は先手を持ちたいんじゃないかという気がしますw

指し手(2)
▲5七銀    △5二飛    ▲2五歩    △5四歩   



(2)▲5六歩+▲5七銀の場合を見ていきます。今度は4九金型を生かし、▲4六銀と飛車先交換を防ぐ手を考えてみたいところ。

上図からの指し手(a)
▲2二角成  △同 銀
▲4六銀    △3三銀    ▲6八銀



この手順は、先手中飛車の変化で居飛車側が5筋の位を取らせない作戦を、先手でやったのと同じことになっています。後手は1手遅れているのですが、振り飛車側に打開の義務が無くむしろ気楽。体感的には振り飛車十分。

指し手(b)
▲4六銀    △5一飛    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3二金
▲2八飛    △2三歩    ▲3六歩    △8八角成  ▲同 銀    △4二銀
▲7七銀    △4四歩



単に▲4六銀の変化。飛先を交換されますが、△3二金と受けておきます。以下「歩越し銀には歩で対抗」の形を作ってどうか。振り飛車もやれそうに思います。

居飛車には工夫の余地があるものの、全体的には(後手番としては)振り飛車が指せそうな変化が多そうな感じがします。
最後に中飛車に振り直す形ではなく、角交換して向かい飛車を貫徹するとどうなるかを見てみましょう。

指し手(3)
▲5七銀    △8八角成  ▲同 玉    △3二銀    ▲7八銀    △3三銀    ▲6六歩
△2二飛    ▲6五歩    △2四歩    ▲6七銀    △5二金左  ▲7八金
△4四銀    ▲5八金    △3三桂    ▲4六歩    △2五歩    ▲同 歩
△同 飛    ▲同 飛    △同 桂    ▲4一角



長手数進めましたが、以前似たような形を解説しています。先手はいろいろな陣形が考えられるでしょう。後手としては▲2五歩と▲3六歩が入っていないので、△3三桂から△2五歩▲同歩△同飛で飛車ぶつける筋をやってみたくなります。しかし最後の▲4一角が、飛車の打ち場所を保留した不思議な感触の一着。形勢不明のようです。

角交換振り飛車の世界はまだまだ広いですが、一旦区切りといたします。
角交換四間飛車をテーマにしたこの連載は私の研究もふんだんに盛り込んだので、かなり難しかったと思います。(某名人に好評だったのは救いw)
完全に「小話」の域ではなかったと思いますが、また需要(コメントとかコメントとかコメントとか)があれば考えます。

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KKK 2021/4/3

土曜日に行います。

今年は花粉症が楽になるのが早いです。
このまま治ってしまわないだろうか(切実


-▲2五歩+▲3六歩型の章-



実は▲3六歩には角交換保留を咎める意図がある。つまりは▲2四歩からのジャブを狙っている。▲3六歩は▲3七桂や▲3五歩を作って、攻撃的な一手だ。
まずは後手がこの手に乗じようとする指し方を考えてみよう。

上図からの指し手(1)
△3二飛    ▲3七銀    △3五歩    ▲同 歩    △同 飛
▲4六銀    △3四飛    ▲2二角成  △同 銀    ▲6八銀    △4二金



△3二飛から3筋交換を目指すのは、振り飛車党なら指してみたくなる手だろう。しかし先手も▲3七銀~▲4六銀と手順に進出する。
まるで石田流の変化(3筋の折衝は居飛車の2手損だが、振り飛車側も後手番+飛車振り直しで2手損。つまり同じ手数の計算である。)だが、先手の右銀は好位置とされる配置だ。実際自然な△3二金とすると、いいタイミングで▲5六角と打たれて抑え込まれる。
形勢は先手十分と思われる。振り飛車側が後手とはいえ、指す気は全くしない。

指し手(2)
△8八角成  ▲同 銀    △2二銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛
△3一金



というわけで当初の予定通りに角交換する。しかし先手は遂に▲2四歩を決行。ただ後手も当然対策は用意している。△3一金は藤井猛九段が最初に指したと思うのだが、これを発想した人は天才である。

上図からの指し手①
▲2六飛    △3三銀    ▲2四歩    △1五角    ▲2八飛    △2四角



▲2六飛は定跡の一手なのだが。
△3三銀は△3一金の継続手。▲2三飛成と成れるのだが、△2二飛▲2四歩△2七角となると後手が優勢だ。
そこで▲2四歩と垂らすが、△1五角が私の気になっている手。上図はいかにも後手が危なそうに見えるが、咎めるのは難しそうだ。

指し手②
▲2八飛    △3三銀    ▲2四歩    △2二歩    ▲3七桂    △3二金
▲5八金右  △4四歩    ▲4六歩


今度は▲2四歩には△2二歩と受けるしかない。▲3七桂に攻めっ気に逸ると△4四銀なのだが、▲5八金右△3二金▲4六歩とされてイマイチだ。

上図からの指し手(a)
△6四角    ▲8六角    △同 角    ▲同 歩    △6四角    ▲4七金



△6四角は積極的な一手。先手は一度▲8六角と合わせておく。
上図以下、△4五歩▲同歩△同飛▲同桂△2八角成と強襲する手が考えられるのだが、▲8六歩と突いたことで少し玉が広くなっている。後手の攻めはやや無理筋か。

指し手(b)
△4一飛    ▲9六歩    △9四歩    ▲7七銀    △4二銀



上図は1局の将棋。▲2四歩と△2二歩の形が押しこめられているようだが、先手に飛車先を交換させないと思えば悪くない。振り飛車からすれば、後手番としてはまぁまぁの展開と言えそうだ。
ちなみに△4二銀の繰り替えでは△5一飛~△5四歩~△4二角とすれば2四の歩を取れるが、これは先手が指せる変化。4筋から歩がぶつかるのが大きい。

さて、もっと工夫できないだろうか。


-▲2五歩+▲1六歩の研究-


上図からの指し手
△1四歩    ▲3六歩    △8八角成  ▲同 銀    △2二銀
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3一金    ▲2六飛



今度は▲2六飛と引く。もうお分かりかと思うが、△1五角と打つ手が消えている。

上図からの指し手
△3三銀
▲2四歩    △2二歩    ▲3七桂    △3二金    ▲7七銀    △4四歩
▲4六歩    △9四歩    ▲9六歩    △4一飛    ▲6五角



▲2六飛と▲2八飛以外は先ほどと全く同じと思える手順だが、実は▲7七銀と▲5八金右が違う。ちょっとした絡繰りだが、▲6五角が狙いの強襲だ。
対して△5四角と打つと、▲2九角とバックするのが好手。このときに△7六角と取ることができない。後は先手だけ▲4七銀~▲5六銀と好形を目指すことができ、自然な流れで先手が有利になりそうだ。

上図からの指し手
△4二飛    ▲5八金右  △6四歩    ▲3二角成  △同 飛    ▲4三金



△4二飛には一度▲5八金右と締める。後手に有効な手が無いことを見越している。以下▲3二角成  ~▲4三金と強襲して先手が有利。
上図以下、(ア)△3一飛は▲2五桂△2四銀▲4二金で飛車が死んで先手よし。
(イ)△6二飛は▲5三金△3二飛▲4三金△6二飛▲2三歩成△同歩▲3三金△同桂▲2三飛成で先手が指せる。
ところで実はソフトは▲4三金で▲4五歩を推奨しており、理由は▲4三金に(ウ)△6五角で粘れると見ているから。しかしさすがに先手がやれるだろう。
よって最初の▲1六歩に、後手は△1四歩と受けることができないということになる。となると自然なのは△8八角成になるが、居飛車側は先に手を選ばなかった意味がある。つまりは以前、私は「2手指さなければならない」と述べたが、▲2五歩しか形を決めていない。
よって今までの結論が全く変わる可能性が出てくる。ここから先は思い思いに考えてみてほしい。

次回は感動の最終回!の予定w
次の戦型テーマを募集中です。

拍手[1回]

KKK 2021/3/7

日曜日に行います。


-▲2五歩+▲5六歩の巻-


上図からの指し手
△8八角成  ▲同 玉    △2二銀
▲7八銀    △3三銀    ▲3六歩    △2二飛    ▲5七銀    △4四銀



▲5六歩と突くと、△8八角成に▲同玉と取りやすくなる。理由は▲3六歩が突きやすいからで、△5五角の王手飛車を防いでいる。よって後手は△4四銀と第2の攻め筋を狙うが…

上図からの指し手(1)
▲4六銀    △5四歩    ▲3七桂    △3三桂    ▲2九飛    △2一飛
▲4八金    △4二金    ▲8六歩



先手は▲4六銀と銀対抗にする形が間に合っている。こうなると後手からの仕掛けは封じたので、お互い引き飛車にして囲い合いとなる。
しかし銀対抗の形は、先手からの打開も難しい面がある。普通は筋違い角で3四の歩を取るのが常套手段なのだが、▲5六歩型だとそれも難しい。千日手が懸念されるが、どうなるだろうか。

上図からの指し手①
△6四歩    ▲8七銀    △6三銀
▲7八金    △7二金    ▲7七桂    △7四歩    ▲5七銀    △5三銀
▲4六歩    △4四歩    ▲6六歩    △7三桂    ▲6八銀    △8四歩
▲6七銀    △1四歩    ▲1六歩    △6二銀    ▲9八香    △3二金
▲9九飛



長手数進めて申し訳ないが、やはりしばらくは駒組みである。本譜は後手が木村美濃を選択。先手は固めながら、地下鉄飛車を開通させた。歩を持てば3筋の桂頭がお互いに弱点になる。仮に△8三金なら、▲3八金~▲4九飛のような感じで打開を狙う。後手にも△4一飛があるので、なんとも言えない将棋である。一応千日手は回避できそうな気がする。

指し手②
△7四歩    ▲8七銀    △8四歩    ▲7八金    △8三銀    ▲5七銀
△5三銀    ▲4六歩    △7二金    ▲4五桂    △同 桂    ▲同 歩



今度は後手が銀冠を目指してみよう。△7四歩で先に△8四歩は、この場合は▲7五角という打開筋がある。 
△8三銀の瞬間に▲5七銀がミソ。▲4六歩に△4四歩と対抗すると、▲6六銀に△6四銀なら▲5五歩が成立する(△同歩なら▲5四角)。よって▲6六銀△7二金▲5五歩となるが、これは先手が指せる将棋。
本譜は桂交換して一応打開できそうな戦いになった。形勢自体はいい勝負だろうが、囲い側が全く同じ形で反対側は居飛車の方が駒が伸びているので、先手の方が気楽ではある(千日手懸念を除けば)。ただ後手には△8三銀で△6二金のような一旦停車も考えられるところで、工夫の余地はありそうだ。

指し手(2)
▲6六歩    △3三桂    ▲6五歩    △2一飛    ▲7七桂    △4二金    ▲6七銀
△4五銀    ▲7八金    △3六銀    ▲5八金


銀対抗の形にすると手堅くはあるものの、ややスッキリとしない展開となった。そこで今度は▲4六銀で▲6六歩を見ていく。大きく指して相手に手を渡す、おおらかで昭和チックな指し方だ。わざとスキを作り、後手に攻めさせてカウンターするようなイメージもある。
▲6六歩△3五歩は有力で、▲同歩△同銀▲6五歩のような展開で1局。
本譜はもう少し形を整え、▲6七銀に△4五銀でポイントを奪いにかかる。ここでは△2五桂というのも振り飛車必修の攻め筋で、こちらも有力そう。また、もし後手が動かずに△7四歩なら、▲7八金△8四歩▲6六銀右のようにガッチリした陣形が完成する。これは既に居飛車やや有利と言ってもいいだろう。むしろ△7四歩からの陣形整備が玉頭攻めに当たりにきた感じだ。
上図まで進行して後手は歩得を果たした。ただまだジャブのような感じなので、先手は▲7五歩などでカウンターのための陣形整備を継続することになる。形勢不明。

次回は▲2五歩+▲3六歩を見ていきます。後手の角交換保留を最も咎めにいく手です。

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KKK 2021/2/21

日曜日に行います。
DIYムズイです。


-KKS▲2五歩+▲5八金右の巻-



角交換四間飛車に戻って参りました。
さて、今回は▲2五歩△7二銀に▲5八金右を考察する。ここまでのあらすじ忘れたって人は、以前の記事を見て拍手1回してくだち。

上図からの指し手
△8八角成  ▲同 銀    △2二銀



▲5八金右は部分的には一番自然な手。しかしこの手を指してしまうと、△8八角成に▲同玉と取りづらくなる。例えば▲同玉△2二銀▲7八銀△3三銀に、▲4六歩だと△4四歩~△4五歩が有力。▲7七桂は△2二飛▲3六歩に△5四角という筋が気になる。

上図からの指し手(1)
▲7七銀    △3三銀    ▲6八金上  △2二飛   



先手は金銀がぴっちりくっついた形。ここで①▲4六歩と②▲3六歩を見ていく。

上図からの指し手①
▲4六歩    △2四歩
▲同 歩    △同 銀    ▲5六角    △3三銀    ▲2三歩    △5二飛
▲3六歩    △3二金    ▲3七桂    △5四歩



逆棒銀に対して、この形だと自陣角を打つぐらいが対抗手段になる。以下一例の進行だが、形勢は難解だ。先手としては筋違い角が働くか不透明だが、後手も上手くまとめきれるかは微妙なところ。個人的な感覚では先手を持って気乗りはしない。

指し手②
▲3六歩    △4四銀    ▲4六歩    △3五歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲4七銀



▲3六歩に△2四歩▲同歩△同銀は、今度は▲3七桂で問題なし。これまでも出てきたが、逆棒銀は基本▲3六歩が突いてあれば大丈夫だ。ただ、もし▲5八金が浮いている形だと、△2七歩~△4九角の筋が生じる可能性がある。
よって後手は第2の筋、3筋交換に打って出る。△3五同銀には▲6六角と打ち、△4四角▲同角△同銀▲4七銀とすれば、先手としては場を収めることができる。これには△3二飛▲3六歩△2二飛…と先手に歩を打たせるのが定跡となっているが、これは私の感覚では手損で得策ではない気がしている。△5四歩か△6四歩で強く駒組み合戦にしたいところだ。

上図からの指し手
△3二飛    ▲3八飛    △2七角



△3二飛では△3六歩と打つのも形である。私も最近までこれで後手十分かと思っていたのだが、▲3八飛△3二飛▲2四歩△同銀▲6六角と進むとむしろ先手がやれそう。
よって単に△3二飛とし、▲3八飛なら△2七角で後手が指せそうだ。▲3八飛以外だと▲3七歩とかになってしまいそうだが、振り飛車党ならさすがに後手持ちだろう。

指し手(2)
▲3六歩    △3三銀    ▲4六歩    △2二飛    ▲4七銀    △4四銀
▲6八金上  △3五歩    ▲同 歩    △同 銀   



▲7七銀に代えて▲3六歩を見ていこう。△2二飛で△4四歩は、今度は▲3七桂で4筋交換を防ぐことができる。以下は先ほどの順と同じように進んでいく。

上図からの指し手①
▲3八飛    △3二飛    ▲3三歩    △同 飛    ▲2二角    △4四銀



今度▲3八飛はどうなるだろうか。対して△4四銀なら、▲4五歩△同銀▲6六角△4四角▲同角△同歩に▲3一角が強手。以下△5二飛に▲4二歩が利き、先手が指せる。
△3二飛には一見▲3三歩が痛そうだが、最後の△4四銀が好手。以下▲1一角成なら、△3八飛成▲同銀△3三桂と振り飛車らしく指して後手がむしろ指せる。▲3三角成△同銀▲2八飛…の飛車角交換の展開になりそうだが、これは形勢不明である。

指し手②
▲7七角    △4四角    ▲3六歩    △7七角成  ▲同 銀    △4四銀
▲7五歩



3筋の歩交換のタイミングで、▲7七角を利かすのが手筋。△4四角と合わせるしかないが、手順に▲7七銀を指すことができる。手得を生かし、先手は位を取って模様を張りに行く。

上図からの指し手
△5二金左  ▲6六歩    △6四歩    ▲7六銀    △6三銀
▲6七金直  △7二金    ▲1六歩    △1四歩    ▲3七桂    △5四歩
▲2九飛    △6二金左  ▲5六歩



上図までの指し手は一例。△6三金と高美濃にする手もあるが、それほど展開は変わらないはず。先手はバランスを取りながら、じっくり指し進める方針である。後手が自力で打開するのは難しそう。先手を持って指しこなす腕力があれば、有力な指し方だ。

今回の指し方は振り飛車の動きがあったり、バランス重視の戦いになったりと、居飛車としては指しこなす難易度が少し高いかもしれません。次回は△8八角成に▲同玉と取って深く囲うために、▲2五歩+▲5六歩とする指し方を考えます。

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KKK 2021/1/30

土曜日に行います。




今回は前回の内容の続きから、▲2五歩+▲8六歩を考えてみます。
▲2五歩は、後手としても待ちうけている手なのだが、先手にとっても△4四歩から普通の四間飛車に戻す手を消している意味がある。この▲2五歩は最も自然な手なので、次回以降も▲2五歩+αを見ていきます。
閑話休題、▲8六歩は銀冠の一部となる手。次の△8八角成を待っている。

上図からの指し手(1)
△8八角成  ▲同 玉    △2二銀
▲7八銀    △3三銀    ▲7七桂    △2二飛



後手は基本手順。先手は▲8六歩を生かして銀冠に組みたいが、手が間に合っていない。

上図からの指し手①
▲5八金右  △2四歩
▲同 歩    △同 銀    ▲3六歩    △2五銀    ▲3七銀    △2六歩



▲5八金右には△2四歩が成立する。いわゆる逆棒銀で、定跡書などにもよく書かれている手順である。上図まで進めば後手がやや有利。

指し手②
▲3六歩    △4四銀
▲4六歩    △3五歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲4七銀    △3六歩


▲3六歩に△2四歩は、▲同歩△同銀▲3七桂で受け止めることができる。▲3六歩には△4四銀~△3五歩と3筋交換するのが、第2の攻め筋だ。△3六歩まで進展すれば後手が勝ちやすい。
ちなみに▲7七桂を省略している形の場合、△3五同銀には▲7七角という手がある。これは以下△4四角に、▲3六歩(既に▲4七銀が間に合っているのでこの手が打てる)△7七角成▲同桂△4四銀が一例となる。これは居飛車側にとって手得が大きい変化だ。
しかし▲7七桂を指さないと、▲4六歩の瞬間に△5五角(王手)と打つのが実戦的。△4六角~△7四歩~△7三角と睨みを利かされると、居飛車容易ではない将棋だと思う。

指し手(2)
△3五歩    ▲1六歩    △3二飛
▲4六歩    △3四飛    ▲2二角成  △同 銀    ▲8八銀    △3二金


他にも▲8六歩を緩手にするようなアイディアを考えてみよう。まずは「43戦法」。後手で早石田を目指す作戦である。
▲1六歩では先に▲4六歩と突きたいが、これは△4四歩から4筋交換されるのが気になる。
上図は先手に正確に指さされると後手が良くするのは大変だと思うが、▲8六歩は違和感が残る形だ。

指し手(3)
△3五歩    ▲1六歩    △4四歩
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3二金    ▲2八飛    △2三歩
▲5六歩    △4五歩



これは「立石流」。ついでに▲1六歩も緩手にしようとしているところがある。

ということで、居飛車側は後手の角交換から向かい飛車の攻撃筋に対して、▲2五歩+αにもっと有効な手を求めたいところなのです。振り飛車側は今回の場合、当初の予定通り角交換型にして指せるという結論ですが、派生する43戦法や立石流もぜひ指してみてください。いろいろ指せると、きっとさらに将棋が楽しくなりますよ ^^

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KKK 2021/1/23

土曜日に行います。

銀目杢の駒とか欲しいですね。
しかしながら私のひとつきの給料を軽く凌駕する現実w


-将棋は交互に指すゲームだ-

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4二飛    ▲4八銀    △6二玉
▲6八玉    △7二玉    ▲7八玉    △8二玉    ▲9六歩    △9四歩



後手が△8二玉とする変化を見ていこう。次の手は△7二銀だが、やはり便宜上端歩の交換を入れさせていただく。
さて、将棋はパスができないため、△8二玉~△7二銀に対して先手は2手指さないければいけない。(▲5九金右~▲4九金左とすればパスできるじゃん、とか言い出す貴方は天邪鬼であるw)
しかし早期に角交換する場合と違い、銀冠などの深い囲いに手を掛けることが難しい。なぜなら自分の角が邪魔だからw

先手が何を指すかによって、後手は展開を変えてくる。
先手は手が広いが、後の展開を見据えて2手を選ぶ必要がある。
あとちょっとだけつづくんじゃ。(結構続くフラグ)

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KKK 2021/1/16

一応土曜日を予定していますが、雪とかコロナとか諸々を鑑みてお出でくださいませ。
ちなみに車を近くに停めている方は、その場所に雪山が出現しています。。。


角交換四間飛車の△3三角の変化において、▲7七角と自陣角を据えるのが定跡とされる一手です。今回はこの変化を見ていきます。
②▲7七角



斜めのラインで桂と飛車を目標にする角。後手は(a)△4二銀と(b)△3二金が考えられる。

(a)以降の指し手A
△4二銀    ▲3六歩    △3二金    ▲3七銀    △2一飛
▲4六銀    △5四歩    ▲5八金右  △8二玉    ▲8八玉    △7二銀
▲7八銀



居飛車側は▲4六銀と繰り出して、桂頭を狙っていく。ただしいきなり▲3五歩と仕掛けると、△同歩▲同銀△6四角の反撃がある。以下▲4六銀△4四歩▲同角△4五歩…となれば形勢不明の勝負。しかしこの変化は振り飛車側が美濃囲いを急いでいると成立する可能性があるので、注意が必要だ。△8二玉~△7二銀の前に△3三角を急いだのはこうした理由による。
よって先手もじっくり陣形整備を行い、上図で左美濃が完成する。居飛車側がかなり勝ちやすい。

(a)以降の指し手B
△4二銀    ▲3六歩    △4四角    ▲6六歩    △5四歩    ▲3七銀    △8二玉    ▲4六銀
△7二銀    ▲5六歩    △6四歩    ▲5八金右  △6二角    ▲8八玉
△2一飛    ▲9八香


△4四角と合わせる変化はどうだろうか。これには▲6六歩と角交換を拒否してしまう手がある。後手は右銀のプレッシャーを避けるため角を退避するが、それをしり目に先手は穴熊を目指す。一見図々しく感じる指し方だが振り飛車側に咎める手段は無く、やはり居飛車十分だ。

今度は▲7七角に(b)△3二金と工夫してみる。

(b)以降の指し手A
△3二金    ▲3六歩    △6四角    ▲3七銀    △4五桂



△3二金はこの瞬間は違和感があるが、▲3六歩にいきなり△6四角と打つ狙い。今まで同様▲3七銀とすると、△4五桂が成立して振り飛車有利。▲4六銀なら△5七桂不成がある。飛車が取られる形だが、▲2二角成は△同銀で問題ない。

(b)以降の指し手B
△3二金    ▲3六歩    △6四角    ▲3七桂    △4二銀    ▲2九飛
△5四歩    ▲5六歩    △2一飛    ▲3八金


ということで△6四角には▲3七桂と受けることになる。これで先手の攻めは頓挫したようだが、居飛車も引き飛車に構えるのが良い構想だと思う。上図まで妥当な進行も、お互いの陣形を見比べていただきたい。次に▲5七銀と出て、後手の指し手を見て▲4六銀と▲6六銀を天秤にすれば先手有利と言ってしまってもいいだろう。

どうやら▲7七角がとても優秀なことが判ってきた。実際振り飛車側はかなり苦戦を強いられてきたのだが、ここからは私の研究を紹介する。

(a)以降の指し手X
△4二銀    ▲3六歩    △4四角    ▲6六歩    △5四歩    ▲3七銀
△7四歩



先ほどの△4四角と合わせる変化を採用し、△8二玉に代えて△7四歩とする。△7二玉型でバランスを取る算段だ。

振り飛車が△7二玉のまま戦うような将棋は最近、ノーマル四間飛車などで多く指されている。(耀龍四間飛車という名称が定着し始めている。)しかし、角交換振り飛車で指しているのは窪田七段ぐらいで、まだ未開拓の荒野である。初めて見たという方も多いかもしれない。

改めて、私の机上の研究に過ぎないことを申し添えておきます。

上図からの指し手
▲4六銀    △7三桂    ▲5八金右  △5二金左  ▲6七金    △6四歩


▲4六銀には△6二角も有力で、これは後に△7三角として居飛車側の攻め駒を牽制する指し方。
本譜の△7三桂は、居飛車側の囲いの方を牽制している。▲6七金では▲3五歩△同歩▲3八飛と攻める手が見えるものの、これは△3二飛でピッタリ受かる。
上図まで進むと1局。完全に未知の将棋だ。

というわけで、△3三角型は従来の指し方だと居飛車が指せますが、眠っている鉱脈を掘り起こせば面白い指し方となり得るかもしれません。
こっそり研究しておきましょうw

次回は、角を動かさず△8二玉~△7二銀と先に美濃囲いを完成させる指し方です。

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