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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2022/6/18

土曜日です。
リモートで行いたいと思います。


将棋小話 -縁遠い戦型-

プロがよく指している将棋でも、アマには難しくて好まれない戦型はままあるものです。しかしながら、「この将棋よく見るなぁ」と思う頃には、ある程度の形はその人にインプットされていることでしょう。そうなるとちょっと漫然と局面を眺めるようになるかもしれません。
見たことのない将棋の方が、お目にかかったときの脳への刺激は大きいかも。



上図は横歩取りに戦型が確定したところ。熱心な人が後手番で誘導して、ぼちぼちと指され続けています。最近はここで△4二玉と指し、次に△7四歩と突く手が多いですね。
色々な手がある局面ですが、今日はこんな指し方をご紹介。

上図からの指し手
△8八角成  ▲同 銀    △3三桂



角交換し△3三桂と跳ねる手は、割と最近発見された指し方ではないかと思っていますが、誰が最初に指したのかは不明。もし詳しい御仁がいたら教えてほしいですが、見たこともないという人の方が多いかと思います。

上図からの指し手(1)
▲7七角    △7六飛    ▲7二歩    △同 金    ▲3三角成  △同 金
▲同飛成    △4二銀    ▲7七銀    △2六飛



▲7七角と打つ手は最初に考えてみる手。ただ良くすることは簡単ではありません。
▲7二歩と打つのが手筋で、△同銀は▲8二歩があります。これで壁を強要してから、▲3三角成と突っ込みます。
しかし△4二銀と普通に当てられてみると意外と大変。上図まで進んで、竜当たりが残っているので以下▲2七歩△同飛成▲2八歩と先手を取り、△2五龍▲3二龍△4一角。先手が悪くはなさそうな気がしますが、後手を持ってもいい感触もあります。

指し手(2)
▲2四飛    △2二銀    ▲6八玉    △5二玉    ▲3八銀    △2三銀
▲2八飛    △8四飛



▲2四飛が本手。△2二銀に▲2一角と強襲するのは△2三銀▲2八飛(▲3二角成や▲2三同飛成は無理筋のようだ)△4二玉▲3二角成△同玉で耐えているようです。
よって上図までが一例で、一旦落ち着いた展開になります。この局面は従来の横歩取りに近い形となっており、少なくとも青野流は防げています。(正確にはダイレクトで▲2八飛と引けていることや、▲8七歩を保留できていることがあり、先手に主張が多いが)かつて後手番で横歩取りが好きだった方には食指が動くかもしれません。

普段は縁が無い指し方にも、興味を持てる一助となれば。

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KKK 2021/12/18

土曜日に行います。

次の連載をどうするか思案中。(実は結構書き溜めてるんですが…)


全18回に及んだ横歩取り基本講座(きほんこうざ…?)、まさかの完結…!
ラストは青野流(9)△4二銀型を解説します。



△4二銀型は対青野流という観点で、かなり優秀だと思います。
△4二銀には▲3六飛と引き、青野流を諦める将棋もよく指されています。以下△5二玉▲8七歩△8四飛▲2六飛△2三歩が一例で、これからの将棋となります。
この将棋については割愛させていただき、青野流がどうなるかを見ていきましょう。

上図からの指し手①
△4一玉    ▲3七桂    △2二歩    ▲3八銀



後手はまず△4一玉で金にひもを付け、続いて△2二歩と打ちます。部分的には無筋の手ですが、角のラインや先手からの▲2二歩を先受けしています。

上図からの指し手①-1
△6二銀    ▲3五飛    △5一金    ▲8七歩    △8四飛    ▲2五飛
△7四歩    ▲2九飛    △7三桂    ▲4八金    △9四歩    ▲9六歩



△6二銀~△5一金は中原囲いの構え。初見ならばこう指したくなるところでしょう。
後手陣は堅く、▲8七歩は「速攻は諦めました」という手です。ここで▲2五飛と突っ張っても、△8二飛▲4六歩△8六歩▲8五歩△7四歩▲4五桂△4四角▲同角△同歩▲5五角△1四角(単に△8五飛とすると▲4四角で、桂を捨てて飛車を抜く筋があって大変。よって先に角を利かしておく。)で後手十分。
上図までで後手の陣形は完成し、そろそろ攻めたいところですが…。

上図からの指し手
△8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲4六歩    △7六飛    ▲3三角成
△同 桂    ▲4七銀    △8六飛    ▲8七歩    △8四飛    ▲8八銀
△4四歩    ▲3五歩    △4三銀    ▲2六飛    △1四歩    ▲1六角
△6一角    ▲3六飛    △2三金    ▲2六飛



少々長くなりますが、形勢が目に見えるところまで進めます。
一見後手が歩をかすめて好調のようですが、先手は淡々と駒組みを進めます。現代調のバランス型の好形を作り、いよいよ桂頭を狙って動き出します。
上図は先手よし。結局、中原囲いを作っても後手からの厚い攻めが難しいために、逆に先手に駒組みでリードを許してしまうようです。色々変化はありますが、主流は①-2△7二銀に移っています。

指し手①-2
△7二銀



上図からの指し手①-2-1
▲3五飛    △7四歩    ▲1六歩    △7六飛    ▲3三角成  △同 桂
▲7七金    △7五飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲8三歩    △7六歩
▲7八金    △5五角    ▲4六角



▲3五飛には△8二飛も考えられますが、△7四歩~△7六飛の激しく順を考えてみたいところ。△7六飛と取った時、▲8五飛に強いのが△7二銀型の利点です。
本譜は豊島vs永瀬の叡王戦の進行で、お互い一歩も引かないプロらしい将棋。形勢は超難解です。

指し手①-2-2
▲9六歩    △8二飛    ▲8四歩



▲9六歩と一旦様子見する方がプロの実戦では多いでしょうか。これには△8二飛と引き、先手は▲8四歩と飛車の横利きで上から押さえます。

指し手①-2-2-1
△8八角成  ▲同 銀    △2八角    ▲3二飛成  △同 玉    ▲2九金
△3七角成  ▲同 銀



△8八角成~△2八角は複数の実戦例があります。飛車を切って金を打てば、角を捕まえることが可能です。
上図以下は手が広く、ほぼ互角の形勢といえそうです。

指し手①-2-2-2
△8八角成  ▲同 銀    △2八角    ▲2三歩    △同 歩    ▲2四歩
△3三歩    ▲2三歩成  △3四歩    ▲3二と    △同 玉    ▲2三歩
△2六歩



△8八角成~△2八角には▲2三歩と打つ手も有力。お互い歩の手筋を駆使した応酬です。
これもいい勝負。

指し手①-2-2-3
△2三金    ▲3三飛成  △同 桂    ▲6六角    △6四歩    ▲7七桂
△3二玉    ▲5六角    △4四歩    ▲9五歩    △5四歩    ▲9四歩



△2三金で飛車を追う手も考えられます。△8四飛とされてはいけないので、飛車を切って▲6六角。以下先手は2枚の両睨みの自陣角で手を作っていきます。
本譜は昨年の王将リーグ、藤井vs羽生戦の進行で羽生九段が公式戦で初めて藤井三冠に勝利した将棋ですが、上図の端に手を付けたところではやや先手良しと思われます。

指し手①-2-3
▲1六歩    △8二飛    ▲1五歩    △8八角成  ▲同 銀    △3三銀
▲3五飛    △4四角    ▲7七桂    △3五角    ▲同 歩    △4四銀
▲3四歩    △5二玉



先ほどは△8二飛に▲8四歩としていましたが、この手を打たないとどうなるのでしょうか。実戦例として▲9六歩~▲8四歩に代え▲1六歩~▲1五歩とした将棋があります。
後手は△4四角と打って飛車角交換に成功しますが、形勢自体は難しそうです。
ちなみに実戦(梶浦vs羽生)では▲7七桂のところで▲8三歩△同飛▲7七桂としたため、以下△3五角▲同歩△4四銀▲3四歩に△8七歩と打たれ、▲同銀△同飛成▲同金△7九飛は後手有利のようです。本譜の△5二玉で△8七歩▲同銀△同飛成▲同金△7九飛は、▲8八金で逆に先手有利と(評価値上では)出ます。1歩で形勢が変わるので、かなり際どいバランスで成り立っている変化です。

指し手②
△7六飛    ▲7七角    △7五飛    ▲3七桂



△4一玉で△7六飛も有力。▲7七角に△7五飛とは不思議な手ですが、初出はおそらく渡辺vs糸谷の棋王戦。

上図からの指し手②-1
△5二玉    ▲8四飛    △8二歩    ▲3八銀    △7四歩    ▲8六飛



△5二玉に上記の実戦では▲3八金でしたが、本譜の進行も普通です。先手が指せるように見えますが、(研究手をタイトル戦でぶつけたであろう)糸谷八段はこれぐらいなら後手を持ってもよいという判断でしょうか。

指し手②-2
△4四歩    ▲7六歩    △6五飛    ▲4四角    △8五飛    ▲8八歩
△2三金    ▲3三角成  △同 桂    ▲3五飛    △同 飛    ▲同 歩
△3六歩    ▲2一飛    △6二玉



△4四歩と突く手も考えられ、いかにも激しいことになりそうです。
▲7六歩は5段目から飛車をどかして桂を活用したいという意思で、△6五飛で△8五飛なら▲8六歩が利きそうです。
飛車の直射を消してから▲4四角を実行しますが、△8五飛であらかじめ▲8四飛を消しておく、虚々実々の展開。対して▲8六歩△同飛▲8七歩と先手を取ると、△7六飛▲4五桂△4六歩となって実は後手が有利。
以下は飛車交換から攻め合いで、実戦例のある進行ですが、正確には後手良しか(実戦的には超難解)。うちのソフトは▲4四角で▲8二歩△同銀▲4四角を示しています。

最初はもっとササっと書くつもりだった横歩取り講座ですが、自身の研究も兼ねて納得のいくように書いたら、ちょっとした本ぐらいの分量になった気がします。
以前書いた変化で研究が更新された部分もあり、連載が終わっても研究は続きます。
貴方の研究で面白い変化が見つかったら、ぜひ教えてくださいね。

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KKK 2021/11/28

日曜日に行います。

寒くなってきましたね。
私は季節の変わり目になると必ずと言っていいほど風邪を引きますが、皆様は暖かくして気を付けてお過ごしくださいませ。
ストーブの前で黙々と棋譜並べに勤しみましょう。。。


長期連載になっている青野流、今回は(8)△6二玉型。
横歩取りでは△7二銀型がベーシックになってから、△6二玉と上がる(或いは直す)形が時折見られるようになりました。後手の右側に美濃囲いがあるような感覚です。



青野流にこだわるなら自然なのは▲3六歩ですが、実は実戦例が一番多いのは▲9六歩です。順に解説しますが、この辺りは前例に引っ張られている感じもします。
今回はまず①▲3六飛を検討します。

上図からの指し手①
▲3六飛    △8四飛    ▲2六飛    △8八角成  ▲同 銀    △4四角
▲2一飛成  △8八角成  ▲9五角    △8九馬    ▲8四角    △7八馬
▲8二歩    △8三歩    ▲8一歩成



これを最初に持ってきたのは、通常と異なる変化が現れることと、かつて大きな舞台で指された順であるからです。名人戦の羽生vs佐藤天彦戦で出現した手順し、▲2六飛に対して後手は△8八角成~△4四角と強襲に出ました。
▲2一飛成では▲2四飛も有力で、甲乙つけがたい。
▲9五角はこの形の頻出手筋で、勢い駒の取り合いになります。さらに▲8二歩△8三歩▲8一歩成と、この上なく激しい展開となりました。
名人戦で指されているだけあって、これだけやり合っても形勢不明の難しい将棋です。

指し手②
▲9六歩



▲9六歩は▲7七桂と跳ねる準備。青野流にとって、9筋の歩突きはかなり価値が高い手です。また、最初に△6二玉型に相対した人間にとっては、「通常形と異なるから一度様子を見よう」という思考もあったでしょう。加えて、私も調べてみて判ったのですが、△6二玉型というのはパスされると意外に次の手が難しいところがあります。

上図からの指し手(a)
△9四歩    ▲3六歩    △8二歩    ▲7七桂    △7六飛    ▲3七桂
△5五角



△9四歩と挨拶を返すのは、先手の方が9筋の突き合いの価値が高そうなので指しにくい手ですが、実戦例があります(藤井vs西尾戦)。
▲3六歩に対し△8二歩は時折見られる先受けで、△5二玉型でも検討しました。基本的には△7六飛と回る準備。先手も▲7七桂~▲3七桂と両桂をジャンプする準備ができました。先に当たりをかわす△5五角でどうかですが、ウチのソフトは先手十分と評価しています。

そこで(a)△9四歩以外の手を考えてみましょう。
まず「なら先に△8二歩打っちゃおうよ」は、△8二歩▲3六飛△8四飛▲3八金となります。これは▲3六飛と引かれると△8二歩がひどい形で先手十分。
また△7六飛は、▲8四飛△8二歩▲3八金△2六飛▲2八銀…これも後手がかなり手損するような感じになり、先手十分。

よって(b)△2二銀、(c)△4二銀、(d)△7二銀を考察します。

指し手(b)
△2二銀    ▲7七桂    △5二玉    ▲3六歩    △2三銀    ▲3五飛
△8四飛    ▲3七桂    △3四銀    ▲8五飛



本譜も実戦例がある手順。
▲7七桂を見て相対的に△5二玉と戻すのは、自然なように見えます。先手はやはり▲3七桂とこちらの桂を活用しましたが、ウチのソフトは代えて▲6五桂を指摘しており、先手が指せると見ているようです。
本譜は△3四銀に▲8五飛とぶつけますが、ほぼ互角といえそうです。

(b)△2二銀は実戦例が何局か指されていますが、▲3六歩とつかず後で▲3六飛と戻るような進展も多くあります。例えば△2二銀▲9五歩△2三銀▲3六飛△8四飛▲3八金△5二玉…という将棋がありました。9筋の位を取られたり△2三銀を決めたのが後手にとってどれほど損なのかハッキリしませんが、少し面白くないような気がします。

指し手(c)
△4二銀    ▲3六飛    △7二銀    ▲8七歩    △8四飛    ▲2六飛
△2三歩



(c)△4二銀は中央を厚くした手。
普通の横歩取りの形と随分離れたので、ここまでされると▲3六飛と戻したくなります。以下上図まで進んで、果たしてどうか。さっぱりわからないというのが正直な感想w

指し手(d)
△7二銀    ▲7七桂    △4二金    ▲3六歩    △3二銀



△6二玉と関連するなら(d)△7二銀が一番自然でしょうか。
実戦例は▲7七桂に△9四歩ですが、▲3六歩△5五角▲6五桂は先手やや有利です。
そこで△4二金!が秘手。▲3六歩に△3二銀と上がれば、△4二銀型と違って角が自由です。
1局の将棋ですが、先手から2枚桂の仕掛けを与えなければ、▲7七桂型が重い形とは言えます。
ただし(d)△7二銀には▲7七桂の一手ではなく、▲3六歩にどう指すかはまた難しそうです。

結論として、▲9六歩型は不透明な部分が多いものの、有力という認識です。

指し手③
▲3六歩    △8二歩    ▲3八銀    △7六飛    ▲7七角    △2七歩
▲3七銀    △7五飛    ▲8四飛



自然に▲3六歩と突いたのは、豊島vs永瀬戦、前期の伝説の叡王戦の1局。
後手はやはり△8二歩と打っていますが、これなら▲9六歩を突いていなくても▲7七桂は可能です。これも有力だったと思います。
本譜は▲3八銀△7六飛▲7七角と進展。先手が無難に収めたという印象を受けます。
△2七歩は青野流でよく出てくる手筋。まだ▲3七桂と跳ねていない場合は、▲3七銀と受けるのが形です。

上図からの指し手
△2八歩成  ▲同 銀    △7七角成
▲同 桂    △5五角    ▲6六角    △2八角成  ▲7五角    △1九馬



実戦では後手が△4二銀と陣形を整えましたが、▲6八銀とされて先手が十分になりました。垂らした△2七歩があまり利いていない感じです。
ここでは△2八歩成▲同銀△7七角成▲同桂△5五角と踏み込めば難しかったでしょうか。以下飛車取りで▲6六角と返されますが、△2八角成から2枚替え。形勢は難解です。

指し手④
▲3六歩    △2六歩    ▲3八銀    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成
▲同 銀    △5五角    ▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成
▲2三歩    △3三桂



▲3六歩に対して、これまで見てきた△2二銀や△4二銀、△7二銀という手は、▲3七桂から攻められそうで指しづらいところ。しかし△2六歩や△7六飛、△8八角成といった手は考えられます。△5二玉型とどう違うのか、綿密な精査が必要です。
上図までは△5二玉型で出てきた進行と同一。▲2三歩までは定跡の進行でしたが、△6二玉型の場合は△3三桂で後手やや良し(▲2一飛が甘いため)。このように、△6二玉型が活きる変化もあります。
▲3六歩は一旦未解決とさせてください。

(8)△6二玉型は現れていない変化が多く、新たな可能性が潜んでいると思われます。これからまた実戦に出現するかもしれません。

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KKK 2021/11/7

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。




青野流(7)△5二玉型最終章。

指し手④
△8八角成  ▲同 銀    △5五角    ▲7七角    △7六飛



単に④△8八角成~△5五角と打つ変化を調べていきましょう。
△2六歩▲3八銀の交換が入った変化と違い、これには▲7七角と合わせるのが有力と言われています。△7六飛と寄れば▲7八金が浮いているので、先手は角を動かすことができません。

指し手④-1
▲2二歩    △同 角    ▲3七桂    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩



▲2二歩は散々出てきた一発ですが、今回はあっさり△同角と払ってしまいます。△7四飛とぶつけてサッパリさせてしまえば目標物がなく、先手が不満。
これが今まで△5五角に▲7七角の合わせが出てこなかった理由なのですが…。

指し手④-2
▲2八歩    △3三角    ▲3七桂    △7五飛    ▲8四飛    △8二歩
▲3八銀



今度は▲3九銀の形なので、▲2八歩と普通に受ける手が利きました。この方が先手陣がしっかりしています。
以下はゆっくりした流れになりますが、駒の伸びがよい先手が十分です。

指し手⑤
△4二銀    ▲3七桂



⑤△4二銀は玉を引き締めて、味が良さそうな手です。ただし△3二金が浮くので、△5二玉型では注意が必要です。

指し手⑤-1
△8八角成  ▲同 銀    △3三銀    ▲3五飛    △4四角    ▲7七角
△7六飛    ▲2五飛    △2四歩    ▲8五飛    △8二歩    ▲3八銀



▲3七桂には、▲4五桂が来る前に⑤-1△8八角成と角交換するのが第一の手段。
△8八角成で△7二銀などとすると、▲4五桂△8八角成▲3二飛成と踏み込み、ウチのソフトは先手有利と判定しています。△8八角成に対しても▲3二飛成は、△7八馬▲同銀△3一金で後手指せそう。
後手は△3三銀~△4四角と打つのが狙い。▲2五飛では単に▲8五飛とした実戦もあります。また本譜の最後、▲3八銀では▲6六歩と強く指した将棋もありますが、これは△7七飛成▲同銀△9四角と王手飛車をかけて後手がやや良いでしょう。
上図まで進むとハッキリしない将棋で、ほぼ互角と思います。

指し手⑤-2
△2三金    ▲3五飛    △5一金    ▲3八銀    △8四飛    ▲2五飛
△2四金    ▲2九飛    △8八角成  ▲同 銀    △3三桂    ▲4六角
△3五歩    ▲2五歩



⑤-2△2三金と浮いている金をかわしつつ、飛車を圧迫するのが第二の手段。昨年度の名局賞、藤井vs松尾戦がこの将棋でした。あの▲4一銀とタダ捨てした将棋です。
△5一金~△8四飛は不思議な感触ですが、ソフトの最善とも一致(当然プロは研究済み)。他にも有力な手はありそうに感じるところです。後手は基本的に▲3七桂を攻めようとしているらしく、△3三桂~△3五歩で難解な戦いに突入しました。
実戦は上図以下、△3六歩▲2四歩△3七歩成▲同銀△4五桂…と切り合いに。上図からのは△1五金も考えられ、▲3五角△2五桂▲4六角△2七歩のような展開が予想されます。形勢不明。

指し手⑥
△7四歩    ▲3七桂    △2三金    ▲3五飛    △3四歩    ▲2五飛
△2四歩    ▲4五飛



⑥△7四歩は新しい手。パッと見ただけでは意味がわからないので、まずは実戦譜を追っていきましょう。
▲4五飛では▲2九飛も考えられそうですが、まだ未知数の将棋で分析不能。

上図からの指し手
△8八角成  ▲同 銀    △3三桂    ▲4六飛    △5五角    ▲8七銀
△同飛成    ▲同 金    △4六角    ▲同 歩    △7九飛    ▲8八金
△4七銀    ▲同 玉    △4九飛成  ▲4八銀打   △2二金



△8八角成~△3三桂でようやく意図が見えてきました。△7三桂と跳ねることができるので飛車が狭く、飛車取りに△5五角や△4四角と打つ狙いです。
取り返した飛車を△7九飛と打ち、△4七銀~△4九飛成は一見後手好調を思わせる手順。しかし最後の△2二金で、例えば△5八金と攻めを継続すると、▲2一飛と打たれて逆に先手よしのようです。
上図は形勢不明で、今後指されるかは判りかねます。

いろいろな変化を見てきましたが、△5二玉型はどちらも一歩も退かず激しくなることが多いです。実力者かバトルジャンキー向けと言えるでしょうw

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KKK 2021/10/24

日曜日に行います。
土曜の朝日アマの結果如何で、こた(仮のテンションが変わりますw


青野流の(7)△5二玉型続き。今回は③△2六歩と垂らす変化を見ていきましょう。

指し手③
△2六歩



△2六歩には③-1▲3七桂、③-2▲3八銀、③-3▲2八歩が考えられます。

指し手③-1
▲3七桂    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成  ▲4五桂    △7六飛
▲8七銀    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲8二歩    △同 銀
▲5五角    △6四角



まずは△2六歩を受けず、③-1▲3七桂と攻め合いを目指す指し方を考えます。昔気楽なネット将棋とかでよく指されていました。
△8八角成では△7六飛と取った前例もありますが、▲7七桂でどうか。本譜の方が自然というか、やはり歩を成りたいところでしょう。
以下飛車交換になり、実戦では▲8二歩と打ちましたが、これは上図まででやや後手有利と思われる進行。他に良い手順があるかどうか、難解な将棋です。
③-2▲3八銀の方が主流。

指し手③-2-1
▲3八銀    △7六飛



▲3八銀には③-2-1△7六飛と③-2-2△8八角成が有力です。
さらに△7六飛には③-2-1-1▲7七角と③-2-1-2▲3三角成が考えられます。

指し手③-2-1-1
▲7七角    △同角成    ▲同 桂    △5五角    ▲2二歩    △3三桂
▲2一歩成  △4二銀



▲7七角では▲7七桂も一応ありますが、今度は△2六歩を利かされているので、△5五角で面白くないでしょう。▲7七角には部分的に前回取り上げた手順で進みます。▲7七角型に△2二同角はやはり利かされです。

指し手③-2-1-1-1
▲2三歩    △同 金    ▲8四飛    △4五桂    ▲8一飛成  △7七角成
▲同 金    △同飛成    ▲6八角    △6六桂



分岐がエグいことになっていますが、頑張ってお付き合いくださいw
▲2三歩△同金を入れてから▲8四飛と回るか、単に▲8四飛と回るかの2択。▲2三歩△同金を入れたのはタイトル戦、渡辺明vs佐藤天彦の棋王戦で指された手順です。
▲8四飛に対して、ようやく△2六歩と▲3八銀の交換を入れた成果が出ます。つまり、△4五桂が△3七歩を狙っているので、▲6八銀と受けることができません。▲8一飛成と攻め合いますが、最後の△6六桂が素晴らしい一着。
超難解ですが、先手が指しきれないと言われています。

指し手③-2-1-1-2
▲8四飛    △4五桂    ▲8一飛成  △7七角成  ▲同 金    △同飛成
▲7八歩    △6六桂    ▲4八玉     △6七龍     ▲6四桂



よって単に▲8四飛が最善か。対して同様に△4五桂と跳ねると、上図まで進みます。
何が違うかというと、▲6四桂に△4一玉と逃げられないこと(▲5二角で即詰み)。▲2三歩△同金が入っていたら逆に後手玉が広くなっており、逃げられてしまうところでした。
▲6四桂に△同歩は王手飛車ですし、△6二玉や△5一玉は▲8三角で寄り筋となります。

指し手③-2-1-1-3
▲8四飛    △8二歩    ▲7二歩    △同 銀    ▲8二飛成  △7四歩
▲8七龍    △7五歩    ▲6五桂



以上の理由で、▲8四飛には△8二歩と受けることとなります。△1九角成を防ぐのが難しく困ったようですが、▲7二歩が意表の一着。対して△同銀も意外です。△7二同金は今度こそ▲2三歩が利き、△同金なら▲3二角が厳しい手(△2六歩のせいで△2二歩と受けることができない)。▲2三歩に△4五桂は▲2二歩成△3三金▲6八銀△3七歩▲同桂△同桂成▲3一と寄で、壁金が痛く先手一手勝ち。
よって虚々実々の応酬を経て、上図まで進みます。形勢不明の熱戦。

指し手③-2-1-2
▲3三角成  △同 桂    ▲8四飛    △8二歩    ▲7二歩    △同 金
▲2四飛    △2七歩成  ▲同 飛



△2六歩▲3八銀△7六飛には、③-2-1-2▲3三角成も有力そうです(ただし実戦例はなし?)。
▲7二歩△同金と壁金にさせてから▲2四飛と戻るのが上手く、△2二銀とすれば▲2一角でツブれ。
上図からは△2六歩~△2五歩から△5五角を狙うのが考えられ、いい勝負です。

指し手③-2-2
▲3八銀    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成  ▲同 銀    △5五角



今度は▲3八銀に③-2-2△8八角成を見ていきます。
△2七歩成で形を乱してから△5五角と打ちます。△5五角に▲8七歩と打つと、△7六飛▲7七銀△7四飛で後手やや有利。
実戦では③-2-2-2▲8七銀が指されていますが、まずは③-2-2-1▲7七角はどうでしょうか。

指し手③-2-2-1
▲7七角    △7六飛    ▲2二歩    △3三桂    ▲2一歩成  △4二銀



部分的には今まで出てきた順ですが、形勢不明。個人的には▲7七角があまり利いていなくて、理屈上は後手勝ちのような気がします。

指し手③-2-2-2
▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成  ▲2三歩    △3三馬
▲3五飛    △2三馬    ▲8二歩    △同 銀    ▲2四歩    △3三馬
▲5六角    △4二銀    ▲8五飛



ということで▲8七銀と受けるのが有力。この変化は、数日の間にポンポンと同じ手順が何度も出現し、▲2三歩と打ったのが名人戦の佐藤天彦vs羽生戦で出た改良手。名人戦では△4四馬と引きましたが、△3三馬の方が有力と言われています。これまた難解ですが、先手が指せると見られているのか現在は指されていません。
▲5六角~▲8五飛が上手い手作りで、△7二金なら▲8三歩△7一銀▲8四飛打で先手よし。
ただ△3三馬では△3三桂のような手もあり、また実戦で現れる可能性もあります。

最後に△2六歩に③-3▲2八歩を検討します。これは藤井二冠が指した手です。

指し手③-3-1
▲2八歩    △7六飛    ▲7七角    △同角成    ▲同 桂    △2七歩成
▲2四飛    △2二銀    ▲2七飛



本譜は藤井vs村山戦。
後手は角交換してから△2七歩成としましたが、▲2四飛から治める順がありました。形勢は互角。

指し手③-3-2
▲2八歩    △2七歩成  ▲同 歩    △8八角成  ▲同 銀    △5五角
▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成  ▲2四飛



先に△2七歩成なら▲同歩と取るぐらい。
そこで△7六飛とすると、▲7七角△同角成に今度は▲同金と取る手が有力。以下△7四飛▲同飛△同歩▲2八角打△7三角▲8三飛とし、竜を作ってゆっくり指す流れ。先手十分と思います。
△8八角成~△5五角は▲3八銀型でも出てきましたが、今度は▲2三歩とできません。しかし▲2四飛とすれば意外と受け方が難しく、先手が指せそうです。(△2二銀は▲8八角で馬を消して先手よし。△2二香は▲3八銀型と違って串刺しにならない。)

次で△5二玉型を一気に終わらせたい。(願望)

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KKK 2021/9/26

日曜日に行います。


青野流の連載で、前回は(7)△5二玉~①△7六飛と横歩を取る変化の、①-1▲7七桂とする手を見てきました。今回は主流をなす①-2▲7七角の変化ですが、さらに細かくなりますw
これには①-2-1△2六歩、①-2-2△同角成、①-2-3△7四飛、①-2-4△8二歩という手があります。

指し手①-2
▲7七角



指し手①-2-1
△2六歩    ▲8四飛    △8二歩    ▲8三歩    △7二金    ▲3三角成
△同 金    ▲8五飛



△2六歩に▲3八銀と受けるのは、基本図から△2六歩▲3八銀△7六飛▲7七角の変化と同一なので、そのときに解説します。
本譜の場合は▲8四飛と回るのが有力といわれています。▲8三歩△7二金で壁金の形にさせて、▲8五飛で▲2五飛を狙うのが△2六歩を咎めようとする手順です。

指し手①-2-1-1
△3二金    ▲7七金    △7四飛    ▲8二歩成  △同 銀    ▲8三歩
△同 銀    ▲5六角



△3二金では△2七歩成とした実戦もありますが、さすがにこれでは後手がつまらないでしょう。△3二金は△2二銀を用意した手ですが、▲7七金がありました。▲7七金に△3六飛は、▲2五飛△2二銀▲4五角でピッタリ飛車が詰んでいます。
よって上図まで進みますが、▲5六角と打てば角で飛車を取れる形。先手指せる。

指し手①-2-1-2
△7四飛    ▲2五飛    △2四金    ▲2六飛    △2五歩    ▲2八飛
△8三歩    ▲7七角



▲8五飛には△7四飛が有力で、今度▲8二歩成とするのは、△同銀▲8三歩に△7一銀で難しい。以下▲8二角には、△9四角▲8八飛△8二銀▲同歩成△8七歩▲同飛△7六角打で後手有利。
よって当初の狙い通り▲2五飛と指しますが、△2四金が力強い進出です。△8三歩と手を戻したときに先手の指す手が難しく、△5五角の傷を消す▲7七角を本譜としました。
形勢はほぼ互角と思われますが、後手を持ってまとめるのは大変な印象です。

指し手①-2-2
△7七同角成  ▲同 桂    △5五角    ▲2二歩



▲7七角に△同角成は、△5五角と打つのが狙い。△7七角成と△1九角成の両狙いです。先手はやはり▲2二歩が手筋の反撃となります。

指し手①-2-2-1
△同 角    ▲6八銀    △8六飛    ▲8七歩    △8二飛    ▲3七桂



この場合、▲2二歩に△同角は少し緩そうな感じです。
△8六飛に代えてもう一度△5五角は、再度▲2二歩と叩かれ、△同角▲3七桂△8六飛に▲4五桂からドンドン攻めて先手有利。
上図まで進むと先手が好形です。

指し手①-2-2-2
△3三桂    ▲2一歩成  △4二銀    ▲2三歩    △同 金    ▲8四飛
△4五桂    ▲6八銀    △8二歩    ▲2八歩



よって▲2二歩には△3三桂。▲2三歩と垂らして形を乱してから、▲8四飛と回ります。
そこで△4五桂と跳ねますが、△8二歩と単に受ける手が第1感でしょう。しかし△8二歩には▲6六歩で先手有利が定説で(▲2四歩と打っても先手良しか。)、以下△4五桂(△同角は▲8七飛で受かる)▲6七角△6六角▲6八銀△8四角▲7六角…で、難解ながら先手よし(▲2三歩△同金で形を乱した効果が出ている)。
本譜は▲6八銀~▲2八歩と受けるのが冷静で、先手が指せそうです。△8二歩では△1九角成▲8一飛成△2九馬という攻め合いもありますが、▲8五角でやはり先手指せそう。

指し手①-2-3
△7四飛    ▲同 飛    △同 歩



ここまでを見てきた限り、▲7七角は先手よしの変化が多そうです。そこで△7四飛とぶつけてしまう手が最有力と思われます。飛車交換になれば局面が茫洋とするので、お互い勘所が難しくなります。

指し手①-2-3-1
▲2四歩    △2二歩    ▲8三飛    △8二歩    ▲8五飛成  △2四角
▲3八銀    △5一角    ▲3五龍    △3三角



▲2四歩~▲8三飛は竜を作ってじっくり指す方針です。△5一角は、▲7四龍なら△7三角▲3七桂△2八飛と後手も飛車を打とうとしていますが、▲3五龍が方針に沿った手。▲2二角成があるので△3三角とぶつけて、ほぼ互角の将棋です。

指し手①-2-3-2
▲3七桂    △7七角成  ▲同 桂    △8六歩



▲3七桂の方が実戦例が多い手です。
以下△2九飛と打った実戦もありますが、▲4五桂△4四角▲8二歩△同銀▲4四角△同歩▲5五角△7一角▲8三歩△7三銀▲7二歩△同金▲4四角、と実戦そのままの進行で先手優勢。
また△4二銀は有力で、▲4五桂△7七角成▲同桂△3八歩▲同銀△3七歩とすれば後手も飛車を打ち込むことができます(形勢不明)。

指し手①-2-3-2-1
▲6五桂    △8七歩成    ▲同 金    △8九飛    ▲8八角    △8六歩
▲7七金



本譜の展開はタイトル戦で指されており、竜王戦の広瀬vs羽生戦。
△8六歩の垂れ歩に▲6五桂と元気よく跳ねました。以下も超難解な折衝で、形勢不明。

指し手①-2-3-2-2
▲8八歩    △6四角    ▲3八銀    △2八飛    ▲6九玉



これもタイトル戦、名人戦の豊島vs佐藤天彦戦です。ビッグタイトル戦の舞台で指されるような、当時大きなテーマとなっていた手順であることがわかります。
じっくり指す展開で、漠然と「これじゃあ先手が面白くなさそう」と思われた手順を、豊島さんが引っ張り出してきました。一見元気が出なさそうですが、手持ちの飛角を活かせるかどうか。いい勝負です。

指し手①-2-4
△8二歩    ▲3七桂    △7七角成  ▲同 桂    △3三金    ▲3五飛
△4四角    ▲4五桂    △3五角    ▲同 歩    △4四金    ▲2二歩



△8二歩を初めて見た方は、「えぇっ、なにそれ!?」と言いたくなるのではないでしょうか。部分的には指されている手で、△6二玉型ではタイトル戦で出現しています。
△5二玉の場合はどうかですが、△7七角成~△3三金とした実戦があります。▲8四飛を先受けされているので▲3五飛としましたが、△4四角以下難解な将棋となりました。▲3五飛ではそれでも▲8四飛が良く、以下△5五角▲4五桂△4四金▲2二歩と進むと先手が指せそうに思います。
△8二歩と打つ将棋は、これからの課題と言えそうです。

さて、①△7六飛~△8二歩という変化が出てきたので、△7六飛の前に②△8二歩はどうでしょうか。

指し手②
△8二歩    ▲7七桂    △7六飛    ▲3七桂    △7五飛    ▲7六歩
△5五飛    ▲6八銀



②△8二歩はほとんど実戦例がなく、先手の指すべき手がわからない、というのが正直なところ。歩が立たなくなったので、一例として▲7七桂が考えられます(これで①-2-4と別の変化に)。
上図まで進んで飛車が5五に鎮座するという凄い形ですが、形勢はほぼ互角と思われます。

次回は③△2六歩です。これまた主流の難しい変化。
まだまだ続くよ!

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KKK 2021/9/4

土曜日に行います。

カテゴリーを一新しました。
KKKの予告は複数のカテゴリーに亘って存在するので、お気を付けください。


今回は青野流の最難関、(7)△5二玉型を検討します。プロ間で最も実戦例が多く、変化が広い将棋となります。
私はここ数年この将棋から逃げていたので、調べなおして心が折れそうになりましたw

△5二玉は、どこかで▲3六飛と引く以前の横歩取りに対して自然な手なので、先手は▲3六歩と青野流を表明するのがワンセット。これを下の基本図とします。



基本図から考えられる指し手は、下の6通り。
①△7六飛
②△8二歩
③△2六歩
④△8八角成
⑤△4二銀
⑥△7四歩

最初に現状認識について述べておくと、主流は①△7六飛と③△2六歩。
⑤△4二銀は実戦例はそれほど多くないものの、有力と思われます。
④△8八角成は簡単ではないですが、現状は先手十分の認識。
②△8二歩⑥△7四歩はほとんど実戦例がなく、課題の局面と言えるでしょうか。(特に⑥△7四歩は今年の6月に初めて出現した将棋)

指し手①
△7六飛



①△7六飛はおそらく実戦例が最も多い変化です。先手は次の△8八角成を防ぐ手を指さなければいけませんが、①-1▲7七桂と①-2▲7七角が指されています。しかし他に①-3▲8四飛と①-4▲3三角成も考えられるので、先にこの2つを抑えておきましょう。

①-3▲8四飛は△8八角成に▲同飛と取ることができますが、△8六歩と上から止められるのが不満。△3六飛や△5五角という筋が残っていますし、▲3八金ぐらいなら△3三桂と活用して後手の駒が伸びてきます。

また①-4▲3三角成は、△同桂▲8四飛△8二歩のときに指す手が難しい。例えば▲3八金なら、△5五角▲7七歩△7四飛▲同飛△同歩▲2八歩に△3七歩で手になっているようです。▲2八歩と打てば難しいですが、これも先手が不満な流れです。

指し手①-1-1
▲7七桂    △7二金    ▲3七桂    △6二銀



①-1▲7七桂には①-1-1△7二金、①-1-2△5五角、①-1-3△8七歩が考えられます。(早くもむっちゃ複雑になってきたなw)
①-1-1△7二金は、▲8四飛に△8三歩と受けれるようにした手。青野流の比較的初期の手で、定跡書にも多く書かれた変化だと思いますが、以前に勉強したことは正直もう忘れました…。

指し手①-1-1-1
▲4五桂    △4四角    ▲2四歩    △3三桂    ▲2三歩成  △同 金
▲4四飛    △同 歩    ▲2四歩    △3四金    ▲3五歩



▲4五桂は青野流を指す上でやってみたい手。△4四角には▲2二歩も有力です。
本譜も先手が激しく攻め立てますが、決定打にはなっていません。最後の▲3五歩には△4五金、△4五桂のどちらも考えられ、形勢不明です。

指し手①-1-1-2
▲8四飛    △8三歩    ▲3四飛    △4四角    ▲4五桂    △7五飛
▲2二歩    △同 角    ▲3五飛



▲8四飛は1歩打たせて手を渡す指し方。△4四角は▲4五桂の先受けですが、それでも▲4五桂自体は有り得る手です。
上図以下は飛車の素抜き(▲5三桂成)を防ぐため、△4四角、△7四歩、△7四飛などが考えられます。これも難解。

指し手①-1-1-3
▲3八銀    △4四角    ▲4六歩    △3三桂    ▲4五歩    △5五角
▲4八金



▲3八銀は自陣を引き締める指し方。これを活かして△4四角に▲同飛とした将棋もありますが、さすがに後手が指せそうか。
▲4六歩に△同飛と取ってしまうのも考えられ、▲6五桂で激しくなります。
本譜は少し落ち着いて、いい勝負。

指し手①-1-1-4
▲8七金    △7五飛    ▲8四飛    △8三歩    ▲8六飛    △4四角



▲8七金はかなり主張の強い手。対して△7四飛とすれば、▲同飛△同歩▲4五桂△8六歩▲同金△4四角▲8四飛△8二歩▲7四飛△7三金▲4四飛△同歩▲6五桂…が一例で難解。
△7五飛なら▲8四飛~▲8六飛と引くことができますが、これはこれで難しい。やはりいい勝負です。

指し手①-1-2
▲7七桂    △5五角    ▲2二歩



▲7七桂には①-1-2△5五角も有力です。ここで▲2二歩と打つのが頻出の手筋で、今後もよく出てきます。さすがに相手をする必要がありますが、△3三桂と△同角が考えられます。

指し手①-1-2-1
△3三桂    ▲2一歩成  △4二銀    ▲8四飛



△3三桂は退かないという意思表示。以下▲2一歩成△4二銀に▲8四飛と回ります。ここでは△8二歩と△1九角成のどちらも有力。難解です。

指し手①-1-2-2
△同 角    ▲3七桂    △7二金    ▲3八銀    △6二銀



△2二同角も有力で、この形の場合は甲乙付け難いところ。▲7七角型でも▲2二歩は出てきますが、その場合は先手の角がより自由なので、手を渡すような△同角は指しづらくなります。
上図はやはりいい勝負。

指し手①-1-3
▲7七桂    △8七歩    ▲同 金    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲3七桂



▲7七桂に①-1-3△8七歩は、形を乱して△7四飛とぶつける狙いです。これも変化が広く、とても難しい将棋です。現状では力戦風味で、解析不能。

よって、①-1▲7七桂は互角に近い変化が多そうというのが結論です。先手から見ても一応有力といえそうですが、現状では廃れている状態となっています。
今選ばれているのは①-2▲7七角の変化です。

まだまだ先は長いですな。。。

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KKK 2021/8/21

土曜日に行います。
来られる方はご一報を。


今回は青野流の続き。(6)△4一玉の変化について考えていきましょう。プロではかなり少数派の指し方です。
ただ、最近ではB級1組順位戦・阿久津vs横山戦で出現しており、有力な変化です。



上図からの指し手①
▲3六歩    △5一金    ▲3七桂    △6二銀    ▲3八銀    △2二銀



中原囲いに組む変化は以前も取り上げましたが、△2二銀を後回しにすることで速攻を防ぐ狙いです。
▲3六歩に△4二銀も考えられますが、△4二銀型の章で後日改めて取り上げようと思います。
▲3八銀で▲4五桂と断固仕掛けるのは、△8八角成▲同銀に△3三歩▲2四飛△2三歩とベタベタ歩を打ってしまって後手が十分。以下▲2五飛△4二銀…で難しいですが、桂を取りきることはできそうです。
さて、上図以降先手には(a)▲2四歩、(b)▲3五飛、(c)▲9六歩が考えられます。順に見ていきましょう。

上図からの指し手(a)
▲2四歩    △2七歩    ▲同 銀    △8八角成  ▲同 銀    △3三銀
▲3五飛    △2四銀    ▲3二飛成  △同 玉    ▲2二歩



(a)▲2四歩としたのが、件の阿久津vs横山戦の進行。後手の横山七段にとってはとっておきの作戦だったと推測しますが、阿久津八段も▲2四歩と新手(たぶん)で返します。ここでやはり▲4五桂と仕掛ける手も検証が必要ですが、今度は△8八角成▲同銀△2三銀▲3五飛△4四角▲7七角△7六飛で、難しいところはあるものの後手が指せそう。
△2七歩は青野流でよく出てくる手筋。先手の形を崩すことができます。
実戦は△2四銀で△2八角と打ち、▲4五桂△4四銀▲8七銀△3五銀▲2三歩成△同金▲8六銀…と飛車の取り合いになりましたが、△2八角には▲7七角で先手やや良しがウチのソフト説。しかし△2八角という手自体には警戒が必要です。
よって△2四銀ですが、これも激しい変化です。形勢不明。

指し手(b)
▲3五飛    △8二飛    ▲2五飛    △8六歩    ▲8五歩    △2四歩
▲3三角成  △同 銀    ▲2九飛    △8五飛    ▲8八歩



(b)▲3五飛にはいろいろな手があるものの、△8二飛と引く変化が有力。(▲8三歩~▲8四歩と叩かれる手が消えたため。)▲2五飛とすれば△2八角や△4四角は消えるものの、△8六歩にどうするか。▲4五桂とするのも考えられますが、△8七歩成▲3三桂不成△同桂▲同角成△同銀▲2一飛成△3一歩とこれまた激しい順に突入します。これも形勢不明です。
▲8五歩はのちに△8五飛と取ることができますが、▲7七桂が当たるのが気になるところ。上図以下、△5四角と△3一玉の実戦例があり、難解です。

指し手(c)
▲9六歩    △9四歩    ▲8七歩    △8二飛    ▲7七桂    △4四角
▲2四飛    △6四歩



(c)▲9六歩は角の可動域を広げた手。対して△9四歩と突き返すのは気が利かないようですが、先手に有効な手が無いのを見越しています。(仮に▲1六歩でも△1四歩と受けておきます。)
▲9六歩△9四歩の交換を活かすなら▲7七桂なのですが、△4四角が一旦桂の当たりをかわす手筋で、1局の将棋。
▲8七歩は手堅い手で、△8二飛で△8五飛なら▲7七桂△8二飛▲4五桂△4二角▲6五桂となって先手好調。しかし結局△8二飛にも▲7七桂としなければ、先手陣には△2八角の隙が残っています。(▲3九金と我慢する手もありますが。)後手はやはり△4四角と先受けし、△6四歩からは持久戦模様。後手がまずまずといえると思います。

指し手②
▲3六歩    △5一金    ▲3七桂    △6二銀    ▲3五飛



▲3八銀は形ですが、かえって△2八角を気にする必要がありました。よって先に▲3五飛はどうでしょうか。この手は藤井二冠が指しています。

上図からの指し手
△8二飛    ▲8七歩    △8八角成  ▲同 銀    △3三桂
▲2五桂    △同 桂    ▲同 飛    △6六桂    ▲同 歩    △3四角
▲2一飛成  △7八角成



後手はやはり△8二飛と引きます(藤井vs永瀬戦)。対して▲2五飛が有力で、△2二銀▲8七歩は1局の将棋。
藤井二冠は単に▲8七歩としましたが、△8八角成▲同銀△3三桂で飛車を簡単には戻させません。さらに▲2五桂と跳ねたものの(たぶん疑問手)、上図まで進んだ局面は後手有利のようです。(ただし実戦は逆転勝ち。)

次回は(7)△5二玉を予定しています。
青野流で過去に最も多くの局数があり、そして最も難解な変化です。たぶん1回では終わりません。そしてまとまる気がしません。覚悟していきましょうw

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KKK 2021/8/7

土曜日に行います。


現代横歩取りは難しい。
ブログの記事をまとめていて、私はひしひしとそう感じています。この手もあの手も互角、という風に変化は多いのに、悪手を指すと一気に敗勢になることも珍しくありません。私も現在進行形で研究を深めているので、既に書き直したい変化もいくつか現れています。
何某に「横歩取りの奴は読み飛ばしてます」と言われる始末ですw

しかし、「難しい」ことは対局において、決してマイナスではありません。だって、対局相手にとっても「難しい」のだから。横歩取りの全ての変化を暗記、理解はできなくても、手筋をより多く学んでおくことで、応用できる局面は無数に存在しています。(それはバランス型全盛の現代将棋において、横歩取りの戦型のみに限らない。)

ぜひめげずに読んでみてください。

今回は(5)△4二玉の回ですが、これは△2二銀~△4二玉の変化と大体同じです。よって特に書くこともないはずだったのですが、漏れていた変化があったのでピックアップします。



上図からの指し手①
△2二銀    ▲3六歩    △4二玉    ▲3七桂    △5二金    ▲3八銀
△2六歩    ▲2八歩



△5二金とがっちり組んで、△2六歩▲2八歩まで利かして、先手からの速攻を絶対許さない姿勢。以前の変化は△8二飛と早く引いていましたが、かえって▲8四歩と抑えられた意味もありました。

上図からの指し手
△2三銀    ▲3五飛    △8二飛    ▲3三角成
△同 桂    ▲7七桂    △2七歩成  ▲同 歩    △2八角    ▲8三歩
△同 飛    ▲5六角    △7四歩    ▲8四歩    △同 飛    ▲8五飛
△同 飛    ▲同 桂    △2二歩



それでも先手が攻撃を仕掛ける順を本線とします。▲3三角成~▲7七桂は超が付くほど強気。ここでは▲8七歩と一旦攻めを諦める順も実戦例があり、△6二銀▲2五飛△4四歩▲2六飛△7四歩…のような感じでこれからの将棋です。先手はさらに1歩取ることができましたが、▲2八歩の形自体はつらい意味もあります。
本譜は△2七歩成~△2八角で、これが最善かどうかは判別不能。先手は当然飛車をぶつけて勝負。△2二歩でぎりぎりバランスが取れているかどうか、「難しい」。

指し手②
△8二飛
▲3六歩    △2六歩    ▲3七桂    △2七歩成  ▲4五桂    △8八角成
▲同 銀    △3七と    ▲8三歩    △同 飛    ▲6五角    △8二飛
▲5三桂成  △3三金    ▲8三歩



もう1つ漏れていた変化を。これは最近手にした羽生先生の著書「現代調の将棋の研究」で取り上げられていた変化だったのですが、完全に忘却していましたw
以前述べた通り、△8二飛~△2六歩は現在進行形で指されている変化の1つ。そこで▲8三歩と叩いていることが多いのですが、本では単に▲3七桂~▲4五桂とされていました。
△8八角成に▲同銀とすると、△3七と が厳しくなることは以前述べた通り。ただ△3七と では△2三角▲3五飛△5二金のような順も考えられ、難解です。
本譜は▲8三歩~▲6五角で別の将棋に突入。激しい戦いになり形勢不明です。

指し手③
△8二飛    ▲3六歩    △2六歩
▲3八銀    △4二玉    ▲3五飛    △2二銀    ▲3九金    △6二銀
▲8七歩    △8八角成  ▲同 銀    △4四角    ▲2五飛    △3三桂
▲2四飛    △8四飛



以前△8二飛~△2六歩に、先手が受けるのは利かされで「まぁ無いんじゃないの、知らんけど」ぐらいで流してしまいましたが、実は▲3八銀とした実戦例がありました。しかも指したのは藤井二冠!w 他の変化で△2六歩に▲3八銀や▲2八歩とすることはよくありますが、その機微はやはり難しく、経験が必要となるかもしれません。しかしながら、この辺りの感覚は前例に引っ張られる部分が大きく、結局どれも現れ得るのです(言い訳)。
本譜は▲3九金としたのが予定とは思いにくく、藤井二冠も想定を外れて手探りで指していたのではないかと推測します。△4四角からは先手の飛車が狭くなってしまったので、後手十分の形勢ではないかと思います。
ただ△2六歩に▲3八銀と受ける手自体は、まだ可能性があるのではないかという気もします。

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KKK 2021/7/25

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


今回は青野流の(4)△8五飛について検証します。



(4)△8五飛には▲7七桂と跳ねる手がまずは見えるところ。対して△8二飛と引くか、△2五飛と転回するかは二者択一です。

上図からの指し手①
▲7七桂    △8二飛



△8二飛は△8七歩の先手となっています。▲7七桂が攻めに働くか、悪形となるかが優劣の分かれ目となるでしょう。
さて、実はこの将棋、私も指したことがあります。おととしの県アマ選手権、2438県名人vsこた(仮の一戦です。

上図からの指し手(a)
▲8五歩    △7二銀    ▲7五歩    △4二銀
▲3六飛    △4四歩    ▲2六飛    △2三歩    ▲9六歩    △9四歩
▲3八銀    △5四歩    ▲9七角    △5三銀    ▲7六飛    △4二角
▲4八玉    △4一玉    ▲3九玉    △6四銀    ▲6六歩



2438くんは▲8五歩と打ちました。この時点で早くも「やべぇ…研究外れた…」と頭を抱えていましたw
早々に▲8五歩と打つと一見負担になりそうに見えるので、少し指しづらい手です。よって私はこれを咎める構想が無いかと考えました。先手は▲7五歩からひねり飛車を目指しますが、左銀と△4二角でこれを圧迫する構想です。
しかし▲2六飛△2三歩の交換で歩を打たされているのが痛く、△6四銀に堂々と▲6六歩で問題ありません。(2歩持ちなら、△8六歩▲同角△7四歩という攻め筋がある。)
実戦は△9五歩から無理やり動いたものの、的確に差を付けられ完敗を喫す。

結局早い▲8五歩を後手の利にするのは難しい。指し手(b)でプロの実戦を基に再考します。

指し手(b)
▲9六歩    △4二銀    ▲7五歩    △7二銀    ▲3六飛    △4一玉
▲8五歩    △6四歩    ▲1六歩    △6三銀    ▲3八銀    △4四角
▲8六飛    △5四歩    ▲8四歩    △7二金



最初に▲9六歩の方が手が広い意味はあります。(梶浦vs大橋戦)といっても、本譜の先手の狙いはほぼ2438くんと同じです。
対して後手は△6四歩~△6三銀と組んで、普通のひねり飛車対策の陣形。実戦では△5四歩で△2八歩と強く打ち込みましたが、本譜も自然な感じです。後手としては歩損しているのをどう見るかですが、1局の将棋でしょうか。

指し手(c)
▲9六歩    △4二銀    ▲3六歩    △4四歩    ▲3七桂    △4三銀
▲3五飛    △8六歩    ▲8五歩    △5四歩    ▲2五飛    △2三歩
▲9七角    △4二角    ▲7五歩    △6二銀    ▲6五飛    △9四歩
▲8六角    △7四歩



▲3六飛でなく▲3六歩と突っ張る変化はどうでしょうか。(谷川vs大橋戦)
△4四歩~△4三銀と組めば▲3七桂の活躍は抑えられそうです。
△8六歩は一見▲8五歩で効果がなさそうですが、△4二角と引いて▲7五歩から▲8六角の瞬間、△7四歩で手を作ることに成功しました。後手もそれなりに指せると思います。

指し手②
▲7七桂    △2五飛    ▲2八歩    △7二金    ▲8四飛    △8三歩
▲8六飛    △5二玉



▲7七桂には△2五飛も有力です。上図まで妥当な進行ですが、少し▲7七桂型が角を閉じ込めて重いような感じを受けます。(先手が1歩得であり、悪いわけではない。)

結論として、△8五飛にいきなり▲7七桂は先手がつまらないと思います。
本命は▲3六歩。

指し手③
▲3六歩    △4二銀    ▲7七桂



▲3六歩に△4二銀とすると、今度こそ▲7七桂が強力になります。やはり(a)△8二飛と(b)△2五飛が考えられます。

上図からの指し手(a)
△8二飛    ▲8三歩    △同 飛
▲8四歩    △8二飛    ▲6五桂    △5二金    ▲3七桂    △3一歩



△8二飛に▲8三歩~▲8四歩と行くのがミソ。(船江vs大橋戦)▲6五桂~▲3七桂と両桂の跳躍を狙います。
最後の△3一歩が強靭な一着で先手有利とまでは言い切れないものの、好調な駒運びです。

指し手(b)
△2五飛    ▲2八歩    △2二飛    ▲8四飛



今度▲7七桂に△2五飛と飛びのくのは、上図まで進んで先手が指せます。
指し手②の変化と比べて、▲3六歩と△4二銀の交換で▲3七桂~▲4五桂の筋が厳しくなっています。△2二飛と備えますが、▲8四飛にも△8二歩と凹むぐらいしかなく、あとは桂を跳ねていくだけでも相当でしょう。
ちなみに△2五飛に▲3七桂は、△2九飛成▲4五桂△2七歩と攻め合って後手よし。

指し手④
▲3六歩    △2五飛    ▲2八歩    △8五飛    ▲3八銀    △8二飛    ▲3七桂
△4四歩    ▲3五飛    △5四歩    ▲9六歩    △6二銀    ▲7七桂
△8六歩    ▲8五飛    △同 飛    ▲同 桂    △8二飛    ▲9三桂成
△同 桂    ▲6六角



よって▲7七桂と催促されなくても△2五飛と回ることになりそうです。この将棋は藤井二冠vs高橋九段戦で出現しています。
▲2八歩で▲3七桂と強気に攻め合いを目指すのは、△2九飛成▲4五桂△8八角成▲同銀△5二金▲7七桂…後手にとっても怖い変化なものの、先手の攻めが決まるかは微妙です。
▲2八歩に△8五飛と戻らないで△4二銀などと指すと、▲8四飛△8二歩▲3八金と進んで▲7七桂型の重い形を回避することができ、1歩得で先手十分です。
藤井二冠は陣形を整備したのち、▲7七桂~▲8五飛と飛車をぶつけていきました。高橋九段は△8二飛の自陣飛車で受け止めにかかりましたが、▲9三桂成~▲6六角が素晴らしい着想で手にしてしまいました。先手がやや有利と思われます。

結論として、私は(4)△8五飛では少し後手が面白くないと思います。

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