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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2023/7/29

土曜日に行います。
来られる方は前日までにご一報ください。


- KTF 四間飛車vs右銀急戦 No.6 -

右銀急戦最終回。
今回は△7二銀型に対して右銀急戦がどうなるかを、振り飛車目線で考えます。

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二飛    ▲5六歩    △6二玉    ▲6八玉    △7二銀
▲7八玉



後手としては上図で、△7一玉を保留するかどうかという選択肢があります。△7一玉保留は居飛車穴熊に対し、△6二玉型で指す作戦を含みにしています。
まずは美濃に普通に囲う手を考えてみます。

上図からの指し手(1)
△7一玉    ▲5八金右  △5二金左  ▲2五歩    △3三角    ▲5七銀
△3二銀    ▲3六歩    △8二玉



特に難しいところはありません。振り飛車としては淡々と美濃囲いに組んでも可能な穴熊対策は必須ですが、今回は割愛します。

上図からの指し手①
▲1六歩    △6四歩    ▲3七桂    △5四歩    ▲2六飛    △4三銀
▲4六銀    △4五歩



後手陣は急戦に強い形なので、まず▲1六歩と攻めの準備をする手を考えます。▲3七桂~▲2六飛はいつぞや本ブログで書いた攻めの形(”ノーマル振り飛車”カテゴリから探してね!)だったと思いますが、これで▲3五歩~▲4六銀の攻めの準備ができました。
しかし後手は△4三銀と備え、▲4六銀に△4五歩といきなり開戦します。

上図からの指し手
▲同 桂    △8八角成  ▲同 銀    △4四銀    ▲2四歩    △4五銀
▲2三歩成  △5六銀    ▲3二と    △4六飛    ▲同 歩    △5七桂



後手は2筋を破らせている間に、桂を取ります。そして△5六銀(△4六銀でなく)と出るのが好手で、飛車を切って△5七桂と絡むのが一連の手順。
△4四角の筋が残っており、ガンガン攻めて後手優勢。

指し手②
▲6八金上  △6四歩    ▲1六歩    △5四歩    ▲3七桂    △6三金
▲4六銀    △4三銀    ▲2六飛



よって△5七桂を打たせないために、先手は一度▲6八金上が必要になります。その場合は上図までの手順が自然(まぁ手順前後してもそんなに変わりはない)。
▲1六歩に△1四歩と受けるのは、これから解説する手順と比較して△6三金と△1四歩が代わる将棋となります。例えば△1四歩▲3七桂△5四歩▲4六銀△4三銀▲2六飛△3二飛に、▲5五歩と手を付けやすくなります。これはこれで1局。
▲3七桂に△4三銀は▲4五桂のポンポン桂が気になる。よって▲4六銀か▲2六飛を待って△4三銀と上がります。

上図からの指し手②-1
△3二飛    ▲3五歩    △5一角    ▲2四歩    △同 歩    ▲3四歩
△同 飛    ▲3六歩    △3二飛    ▲3五銀    △5五歩    ▲4六歩



△3二飛は3筋の備えとして自然ですが、▲3五歩と仕掛けるのは流れからこの一手。△5一角に▲3六飛なら△6二角▲3四歩△同銀としておき、先手から攻めづらい状態となります。△7四歩が突ければ後手不満無し。
しかし▲3四歩~▲3六歩という好手順があります。△5五歩という手筋で戦線拡大を図りますが、▲4六歩と押し上げて先手指しやすい。

指し手②-2
△2二飛



よって△2二飛と構える方が勝ります。

上図からの指し手②-2-1
▲5五歩    △同 歩    ▲同 銀    △5四歩    ▲4六銀    △7四歩
▲3五歩    △同 歩    ▲同 銀    △3四歩    ▲4六銀    △3二飛



△5四歩では△5二飛も有力で、振り飛車党ならこちらを指したい方が多いでしょう。ただ△7四歩と突くのがとても大きい手なので、本譜はそれまで辛抱する方針です。
△7四歩を突いてから、△3二飛として細かく形を直していきます。

上図からの指し手
▲3五歩    △同 歩    ▲同 銀    △4五歩    ▲3三角成  △同 飛
▲3六歩    △5五角    ▲4五桂    △3一飛    ▲2四歩    △3七角成



△3二飛に対し、▲5七銀などでじっくり指すのは1局。
先ほど△3二飛に▲3五歩で上手くいったので、今度も▲3五歩と指してみたいのですが、△5五角と打ち返す隙が生じていました。
上図はいい勝負ですが、高美濃の堅さは活きる展開です。

指し手②-2-2
▲3五歩    △同 歩    ▲同 銀    △3四歩    ▲4六銀    △5一角
▲3五歩    △6二角    ▲3四歩    △同 銀    ▲3六飛    △3二飛



この順は先ほど本文中で「先手から攻めづらい」とした局面と一緒。上図以下、▲3五歩△4三銀▲5五歩△同歩▲同銀△5四歩▲4六銀△7四歩とし、やはり高美濃完成が間に合います。以下▲2四歩△同歩▲2二歩と攻めてきたとしても、△同飛▲3四歩△3二歩▲3五銀に△2五歩と伸ばせば後手有利。

指し手②-2-3
▲3五歩    △同 歩    ▲同 銀    △3四歩    ▲4六銀    △5一角
▲5五歩    △5二飛    ▲5四歩    △同 金


△5一角に▲5五歩には、△5二飛と援軍を送ります。▲5四歩に△同金と取って、金を前線に出して戦います。これで居飛車が悪いわけではないですが、後手としてはこの戦いは望むところでしょう。

指し手(2)
△3二銀    ▲5八金右  △5二金左  ▲5七銀    △4三銀    ▲7七角
△6四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲3六歩    △7一玉    ▲4六銀
△8二玉



最初に述べた△7一玉を保留する場合は、急戦でそれを咎められるかどうかが焦点です。ただ、後手は△4三銀の形を決めたぐらいの違いしかありません。結局右銀急戦に対しては△8二玉が間に合い、上図は△7二玉型で触れたものより手が広い局面です。

右銀急戦に対して振り飛車が良くなることはなかなか無いですが、△7二銀型の場合、先手も明確なアドバンテージを得ることは難しいと考えます。よって△7二銀型では穴熊を選択する比重が高くなるといえます。

本連載はかなり本格的な内容となりました。
振り飛車の新しい講座連載を希望する方は↓の拍手と、どんな講座がいいかコメントよろしく!

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KKK 2023/6/10

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-KTF 四間飛車vs右銀急戦 No.5-



前回までは上図の局面で、▲3六歩と右銀急戦に大事な歩を突く手を見てきました。しかし次に一旦▲7七角と様子を見る手もあったので、上図で先に▲7七角も当然考えられるところです。

上図からの指し手
▲7七角    △7四歩    ▲3六歩    △6二金上  ▲4六銀    △3二飛
▲3五歩    △5四歩



後手は△7四歩と対穴熊を見据えた手を指し、そこで▲3六歩。そして金無双になる流れです。
△6二金上に▲3五歩の仕掛けは、△同歩▲4六銀△3六歩▲2六飛△3二飛▲3五銀△4五歩▲3三角成△同飛▲6八角までが前回も出てきた手順で、今度は△3七歩成▲同桂△4四銀と戦う将棋となります。形勢は難しいながら、これは先手つまらない感じがします。
上図からは手が広いのですが…    

上図からの指し手①
▲3四歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲3八飛    △4五歩
▲3三角成  △同 飛



▲3四歩からどんどん攻める手をまず考えます。
▲2四歩で▲5五歩と中央に手を付けるのは、△4三銀▲5四歩に△7三桂が好感触。形勢はいい勝負ですが、5筋に歩が利く形で△6五桂を許すのは、先手にとって嫌な感じです。
上図まで進んで、4六の銀に当たっていますが。

上図からの指し手①-1
▲6六角    △4六歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲3四飛    △4七歩成
▲同 金    △2五角



銀取りを手抜く手は、左銀急戦では定跡とされる手順です。しかし右銀急戦では上図まで進み、△2五角が厳しく後手優勢。

指し手①-2
▲5七銀    △4三銀    ▲3三飛成  △同 桂    ▲3四歩    △同 銀
▲3一飛    △4三銀



よって銀を撤退しますが、後手は飛車をぶつけて捌きます。上図までよくある進行で、先手つまらないと言われる形です。後手は囲いが金無双なのがどうかですが、私の見解はやっぱり後手十分だと思います。

指し手②
▲6八金上  △4二角    ▲3四歩    △同 飛    ▲3五歩    △3二飛
▲3八飛



いきなり攻めるのは芳しくないということで、一例として▲6八金上とする手が有力です。上図まで進んで、1局の将棋としかいえないところでしょうか。

次回は後手が美濃囲い(△7二銀型)にする形を見ていきます。

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KKK 2023/5/7

研究会復活します。
日曜日に行いたいと思いますので、来られたい方はご一報ください。


- KTF 四間飛車vs右銀急戦 No.4 -



前回の変化は、上図から▲4六銀とした将棋でした。この四間飛車vs右銀急戦の変化はトップ棋士の実戦もあることから、最善に近い応酬であることがうかがえます。そしてほぼ互角の形勢であり、どちらも力が出せる将棋です。
しかし先手には、まだ別の仕掛け方が残っています。

上図からの指し手
▲3五歩    △同 歩    ▲4六銀



3筋を突き捨てて銀を出る仕掛け。右銀急戦ではかなり珍しい感じを受けます。
後手も今までと同じ受け方は利きません。

上図からの指し手①
△3六歩    ▲3五銀    △3七歩成  ▲同 桂    △3六歩    ▲3四歩
△1五角    ▲4五桂    △3七歩成  ▲2九飛    △3八と    ▲2七飛
△4五歩    ▲1一角成  △3七と    ▲2九飛    △3八と



△3六歩と逃げるのは部分的な手筋で、まずはこの手を考えます。対してすぐに▲3五銀という手は、相手の狙い筋に嵌るようで、以前は指しにくい手でした。しかしながら最近はソフトの力を借りて、すぐの▲3五銀が可能かどうかが精査されました。
結論は千日手。手順前後はあり得るものの、最終的には上図まで進みそうか。

指し手②
△3六歩    ▲2六飛    △3二飛    ▲3六飛    △4五歩    ▲3三角成  △同 飛
▲3五銀    △3四歩    ▲2六銀    △2八角    ▲2二角    △1九角成
▲1一角成  △2九馬    ▲2一馬    △1八馬



△3六歩に▲2六飛は一番普通の指し手。
△3二飛には▲3五銀と出てみたいですが、△4五歩▲3三角成△同飛▲6八角△6二角で先手がやや不満。以下▲3六飛△3四歩▲2六銀に△1四歩とじっと突いておき、▲7七角にも△4四銀でひと潰しとはいきません。
お互い敵陣に角を打ち合い、桂香を取り合うことになります。上図はいい勝負ですが、これも千日手になりそうな予感もします。

指し手③
△3六歩    ▲5五歩    △3二飛    ▲5四歩    △1五角    ▲2四歩
△同 角    ▲2六飛    △8二玉    ▲2二歩    △3七歩成  ▲同 銀
△3三桂    ▲4六歩    △3八歩



△3六歩に▲5五歩と突くのも有力。
▲5四歩に△4五歩と捌きを狙うのは、▲5五銀△3七歩成▲同桂△1五角に▲3八歩と受けておき、▲4五桂が残って先手優勢。
また▲2四歩に△3七歩成と踏み込むのは、▲2三歩成△3六飛に▲2五飛が角に当たるので先手が指せそうな気がします。
△8二玉の局面は手が広いのですが、▲2二歩と攻めを継続すると上図までの進展が考えられます。上図から▲6六角△5四銀のような感じで、ほぼ互角の将棋といえます。

指し手④
△3四銀    ▲3八飛    △4三金    ▲3五銀    △同 銀    ▲同 飛
△3四歩    ▲3六飛    △8二玉    ▲8八玉    △7二銀    ▲7八銀


▲3五歩~▲4六銀に△3四銀と直接受ける手も見えます。しかし▲3八飛から銀交換し、自陣整備に移行します。後手は△4三金型が不満で、先手は玉が堅く歩も手持ちにし軽い形。先手十分。

結論として、▲3五歩~▲4六銀には△3六歩としどちらも指せる将棋です。▲5五歩と突く将棋は実戦でやってみる価値があると私は思いますが、先手が良い感じでも無いので、プロで▲3五歩~▲4六銀とする実戦は出てきていません。(もしかしたら前例0では無いかもしれませんが。)

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KKK 2023/2/11

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


- KTF 四間飛車vs右銀急戦 No.3 -



上図は▲3五歩に対し△7二銀と締まったところ。前回は△3二飛を検討しましたが、美濃囲いができていないので先手が指せる変化でした。

上図からの指し手①
▲3八飛    △4五歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲3四歩    △同 銀
▲5七銀    △4三金    ▲2八飛    △4四角



△3二飛の変化と同じく▲3八飛には、やはり△4五歩から捌きにいきます。後手の3筋が薄そうに見えますが、4筋に飛車がいる方が△4五歩が強力なため、一度先手は銀を引くことになります。すると△4三金で受け止めることができてしまいました。
上図から▲6六角には△7一角、▲6六銀には△2五桂が一例で、受け止めた後手が十分の展開です。

指し手②
▲3四歩    △同 銀    ▲3五歩    △4三銀    ▲3八飛    △4五歩
▲3三角成  △同 桂    ▲5七銀    △2五桂    ▲3四歩    △3二歩



一度3筋を押さえてしまって、▲3八飛と回る手も考えられます。本譜は藤井五冠vs永瀬王座の実戦例がある順。
実戦では上図から▲6六銀△4四角▲3一角△6五歩▲7七銀△5五歩と進みました。▲6六銀には△4四銀もありますし、そもそも上図から先手の手も広そうです。今のところはいい勝負としか言えません。

指し手③
▲5五歩    △4五歩    ▲同 銀    △5五角    ▲同 角    △同 歩
▲2四歩    △4四歩    ▲3四銀    △5六歩



▲5五歩と戦線拡大する手も有力です。後手は角を捌きますが、先手は2筋突破を確定させます。ただし△5六歩も歩を伸ばしながら、△5五角狙いの大きな手。
形勢不明。

つづくよ。

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KTF 四間飛車vs右銀急戦 No.2

今週末のKKKはお休みさせていただきます。

次回は新年になってから開催予定です。
良いお年を。




前回は上図から(1)△7四歩とする手を解説しました。
代えて(2)△6四歩も同じような意味の手ですが、こちらはどうなるでしょうか。

上図からの指し手①
△6四歩    ▲5五角    △6五歩    ▲8八玉



(2)△6四歩には一度▲5五角と出るのが洒落た手となります。△6三金と受けるのは脇腹が空いて危険で、▲3五歩から攻めて先手良し。
△6五歩には▲8八玉が面白い指し方。△5四銀には▲7七角と引き、△6五銀や△6五桂が無くなっているのが先手の主張。角道を止めずに穴熊に潜ることができます。

よって(3)△5四歩が最有力と思われる手段。居飛車の穴熊と急戦を両天秤で警戒しようとしている手といえると思います。ただし△5四歩としてしまうと、△5四銀と上がることができない弊害があります。

指し手②
△5四歩    ▲7七角    △6四歩



▲3六歩型で▲7七角は方針が合わないようですが、△5四歩~△6三歩型は基本的に急戦に強い形なのです。△5四歩型のメリットは前回触れました。△6三歩型は△6四角で飛車のコビンを狙う含みがあります。

上図からの指し手②-1
▲8八玉    △7四歩    ▲6六歩    △7三桂    ▲6七金    △6二金上
▲9八香    △4五歩



まずは穴熊に組む順から。本連載では穴熊を選択する順はあまり取り上げないつもりですが、△5四銀型にできないことでポイントを上げたという主張です。
後手は2枚金の形に。大橋六段が出した本から、耀竜四間飛車と呼ばれるようになりました。

上図からの指し手
▲9九玉    △5五歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲5五歩    △9五歩
▲同 歩    △9七歩    ▲同 香    △5五角    ▲2四飛    △2二歩



本譜は先手にとって危険な順ですが、後手の成功パターンとして見てみます。例えば私なら、▲9九玉のところで▲8六角としてみたいと考えています。それは1局。
△5五歩は▲3六歩と△5四歩の交換をむしろ後手が活かした手となっています。▲8八銀と穴熊を閉められる前に、歩を持って端攻めが狙い。上図まで進み、香取りと△8五桂が残って後手有利です。
ちなみに△5五角や△2二歩のところで△8五桂もいい手ですが、角取りを逃げず粘る手があるため微妙な比較となるようです。

指し手②-2
▲4六銀    △8二玉    ▲3五歩



▲7七角と一旦パスして△6四歩とさせたことで、▲4六銀と急戦に出る手を考えます。▲3五歩には②-2-1△3二飛か②-2-2△7二銀どちらが勝るでしょうか。

上図からの指し手②-2-1
△3二飛    ▲3八飛    △4五歩    ▲3三角成  △同 飛    ▲3四歩
△同 飛    ▲3五銀    △3二飛    ▲2四歩    △同 歩    ▲2三角



部分的には見慣れた順かと思います。ただ未だ美濃囲いが完成していないため、▲3四歩の取り込みに一般的な△同銀は▲5七銀と逃げておいて先手良し。
よって△同飛に▲3五銀と進出することが可能となり、上図まで進んで先手が指せそうに思います。

中途半端ですが、つづく。

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KTF 四間飛車vs右銀急戦 No.1

今週末のKKKはお休みとさせてください。
代わりといってはなんですが研究記事書きます。

というわけで連載第二弾。

右銀急戦は居飛車穴熊との抱き合わせが基本。四間飛車側も穴熊対策を視野に入れながら駒組みすることが求められます。

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二飛    ▲5六歩    △6二玉    ▲6八玉

ここまでは特に難しいところはありません。
居飛車が端歩を受けなければ別の将棋ですが、それはテーマの右銀急戦と逸脱するので省略します。

続きの指し手
△7二玉    ▲7八玉    △3二銀    ▲5八金右  △4三銀    ▲5七銀
△5二金左    ▲2五歩    △3三角



△7二玉で△7二銀で美濃囲いをベースに戦う将棋は、いずれ解説します。
淡々とした駒組みに見えますが、後手は△7二玉型のまま待機しているのがポイント。耀竜やミレニアム囲いを考えています。
後手にメリットが多い組み方のようですが、先手が自然に組んだ上図までの局面。△8二玉と寄る手を保留する場合、手数の関係で△4三銀~△5二金左まで形を決める必要があるため、急戦に対して手が狭くなっているのです。

上図からの指し手①
▲3六歩    △7四歩    ▲4六銀



▲3六歩は右銀急戦に必須の一着ですが、一旦▲7七角として後手の手を見るのも有力です。それは今度解説します。
▲3六歩に対して、(1)△8二玉は▲7七角から穴熊に。耀竜やミレニアムを封じつつ、問題なく穴熊に組むことができます。というか、他の候補手でも穴熊に組むことは可能です。しかし△7二玉型は急戦に弱いと見ているわけです。
その候補手は(2)△7四歩、(3)△5四歩、(4)△6四歩に分かれます。
(2)△7四歩は耀竜・ミレニアムともに諦めない一手。居飛車の穴熊を意識していれば一番自然と言えるかもしれません。

上図からの指し手①-1
△4五歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲3七銀    △4四角    ▲8八銀
△2二飛    ▲7七銀



右銀急戦に対し、▲4六銀にいきなり△4五歩はときたま出てくる一手。ただし今回は条件が悪く、△7四歩型のため▲5五角の筋が残ります。
▲3七銀は変な手ですが、代えて▲5七銀は△8二角▲3七角△2二飛で一応受かります(これも普通に先手が指せますが)。
△4四角と角を手放してから△2二飛で2筋を間に合わせたものの、落ち着いて指して先手指せる。角が負担になっているのは明らかでしょう。

指し手①-2
△3二飛    ▲3五歩    △5四歩    ▲3四歩    △同 銀    ▲2四歩



よって後手は形通り△3二飛。
▲3五歩に△4五歩と切り返すのは、▲3三角成△同桂▲5五銀がよくある手で先手良し。△5四歩型なら▲5五銀が出れず、▲5七銀△4四角▲6六歩△3五角という手順があるのですが。
先手は2筋も突き捨てて攻勢を取ります。

上図からの指し手
△同 歩    ▲3五歩    △4三銀    ▲5五歩    △4五歩    ▲同 銀
△5五角    ▲同 角    △同 歩    ▲2四飛    △3五飛    ▲2一飛成



2筋の突き捨てに△同角と取るのは、▲4四角△4三銀に▲6六角がピッタリで先手有利。
本手順は△同歩ですが、▲3五歩と打ってしまうのが良いと思います。重いようでも▲5五歩のときに適切な対応が見当たりません。△4五歩と捌かれるのは先手にとっても怖いのですが、上図まで攻めあって先手有利。見るからに後手陣が弱く、5筋に歩も利きます。

よって私は、(2)△7四歩は四間飛車側が苦しいと思います。

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矢倉流中飛車 vs▲6六歩型

今週末のKKKはお休みとさせていただきます。

矢倉流中飛車の続き。
前回までで、(1)▲6六銀型には充分対抗できることが判りました。今回は(2)▲6六歩型がどうなるかを見ていきます。

指し手(2)
▲6六歩



上図からの指し手①
△5五歩    ▲6七金    △5六歩    ▲同 銀    △5五歩    ▲6五銀
△4二金    ▲7八金    △7二銀    ▲9八香    △4五歩



▲6六歩は「歩越し銀には歩で対抗」の格言通りの一着ですが、後手はチャンスと見て△5五歩と攻めていきます。先手としては△6四銀の前に▲6六歩~▲6七金を間に合わせればこの筋は消えるのですが、そうすると△6四銀と出てくれません。△5三銀型に角道を止めるのはちょっと消極的です。(ただし先手が悪いわけではなく、手堅く行くつもりなら有力。実戦例もありますが。)というわけで銀がぶつかる変化に突入します。
△4二金は▲4三銀を防いだ手。
▲9八香には▲2四歩も考えられますが(後で出てきます)、このタイミングだと△同角と取られ、▲2二歩には△3三桂~△4五桂と使われてお手伝いです。

上図からの指し手(a)
▲9九玉    △6五銀    ▲同 歩    △5六歩    ▲3三角成  △同 桂
▲5八歩    △3九銀    ▲3八飛    △4九角    ▲3九飛    △5八角成
▲6六銀    △6七馬    ▲同 金    △4八金



▲9九玉は自然な一着ですが、△6五銀~△5六歩と果敢に攻めます。▲5八歩に△3九銀が鋭い一手。銀損ながら攻めが続きます。上図まで進んで後手やや良し。

指し手(b)
▲2四歩    △同 歩    ▲2二歩    △6五銀    ▲同 歩    △5六歩
▲6六銀    △4六歩    ▲同 歩    △5七歩成  ▲同 金    △同飛成
▲同 銀    △7七角成  ▲同 桂    △3九角    ▲7五角    △2八角成
▲4二角成  △2九馬



今度の▲2四歩に△同角と取るのは、歩が邪魔して△4五桂と跳ぶことができないので、▲9九玉からじっくり囲う手が間に合って先手作戦勝ち。
▲2二歩と打たれて忙しくなりますが、飛車を切り飛ばしてガンガン行きます。先手も△3九角に▲7五角が切り返しの一着ですが、上図まで進んだ局面は後手が指せそうです。

指し手(c)
▲5七歩    △5三銀    ▲7五歩    △6四歩    ▲7六銀    △5四銀
▲9九玉    △5三金    ▲8八銀    △4二飛    ▲2六飛



以上の理由で△4五歩には▲5七歩と受けるのが最善です。先手にとっては気が利かないようですが、こうされると後手も一気呵成に攻めるのは難しく、持久戦になると銀交換は先手に分があるので、△5三銀と引くのが良いでしょう。
以下は組み替えて第2次駒組みです。先手の穴熊を防ぐことはできなかったものの、後手も中央に勢力圏を作りました。
この変化は、どちらかというと先手目線で研究していたものでしたが、後手にも主張があると思います。

指し手②
△9二香    ▲6七金    △9一玉    ▲9八香    △8二銀    ▲9九玉
△7四歩    ▲8八銀    △7一金    ▲7八金    △7三銀引  ▲3六歩
△6四歩    ▲1六歩    △5一金    ▲3五歩    △同 歩    ▲3八飛



最後に従来の相穴熊も見ておきます。
△5五歩と仕掛けず、お互いが穴熊に。後手は△7三銀引とせず△7二飛から手を作りたいのですが、▲8六角とされると頓挫します(△7五歩には▲6五歩)。
機を見て飛車を活用すれば先手ペース。まだまだの局面に見えるかもしれませんが、飛車の働きが違いすぎてかなり苦しい将棋です。

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KKK 2022/3/6

日曜日に行います。
引き続きリモート研究会といたします。


矢倉流中飛車の続き。


上図から(1)▲6六銀と(2)▲6六歩がありますが、今回は引き続き(1)▲6六銀の変化を取り上げます。

上図からの指し手(1)-1
▲6六銀    △7二銀    ▲9八香    △4二飛    ▲9九玉    △4五歩



ここまでは前回と同じです。ここから指し手が分岐し、前回は①▲6八角、②▲2六飛を見てきました。
今回はまず、③▲5七金を考えます。

指し手③
▲5七金    △2二飛    ▲8八銀    △2四歩    ▲同 歩    △同 飛



▲5七金は一見変な形ですが、その実かなり有力。後手は△2二飛~△2四歩と向かい飛車から動いていきます。
基本的には後手は積極的に動きを見せないと、先手に穴熊を固められて作戦負けになります。

上図からの指し手(a)
▲2五歩    △2二飛    ▲7九金    △4四角    ▲3六歩    △3三桂
▲3七桂    △2六歩    ▲4六歩    △同 歩    ▲同 金    △4五歩
▲4七金    △5二金左



先手が飛車交換を拒否してきた場合、△4四角~△3三桂~△2六歩で逆襲を企てます。ただそう簡単には破ることはできません。
お互い隙を見せないように気を遣う神経戦となり、いい勝負といえます。

指し手(b)
▲同 飛    △同 角    ▲2三飛    △2八飛    ▲2一飛成  △5二金左
▲7九金    △2九飛成  ▲3六桂    △8四桂



飛車交換になった場合は、先手が▲2三飛と先着できます。後手もいきなり角を切るわけにもいきません。
よって本譜の進行となり、▲3六桂で角が逃げれない。大失敗したようですが、ガン無視して△8四桂と打つのが好手です。
大きな駒損ながら穴熊がそれほど堅くなく、結構いい勝負です。むしろ後手が勝ちやすいかもしれません。

指し手④
▲4八飛    △5二金左  ▲8八銀    △2四歩    ▲同 歩    △2二飛
▲2八飛    △2四飛    ▲2五歩    △2二飛    ▲6八角    △4四角
▲2四歩    △2六歩



④▲4八飛は凄い利かされたようですが、以前の定跡書に有力と書かれた一手。実際プロの将棋でも、こう指されている前例は多くあります。ただし、あくまでこの形特有の手と考えた方がよいでしょう。
これにも向かい飛車から動き、やはり△4四角~△2六歩の展開になります。飛車交換に応じるのも先ほど同様、将来的に△8四桂と打つことになりそうです。
どちらも1局。

指し手⑤
▲8八銀    △4六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲4七歩    △4三飛
▲7九金    △5二金左  ▲6八角    △8四歩    ▲3六歩    △5五歩



⑤▲8八銀は△4六歩への受けを放棄した手。少し前に服部四段が指していました(新手?)。
△4三飛は変な位置ですが、事前に先手の2筋の攻めに対応しています。▲3六歩に△5五歩と動いて上図ですが、この辺りは研究課題です。
(以下▲2四歩△同歩▲3五歩△同歩▲5五歩△同銀▲3四歩△4四角▲2四飛…正直言えば後手を持ってあまり自信は無い。)

指し手(1)-2
▲6六銀    △7二銀    ▲6八金寄  △4二飛    ▲7八金上  △5二金左
▲3六歩    △4五歩



▲6六銀型の最後に穴熊を保留し、離れ駒をなくす順を見ていきます。
後手も△4五歩の前に△5二金左とします。△4五歩を突くとすぐに戦いが起こる可能性があるので、細心の注意を払わなければいけません。
▲3六歩は▲3五歩からすぐにでも仕掛ける手が見えるので、そこで△4五歩が振り飛車の常套手段です。

上図からの指し手
▲5七銀    △5五歩    ▲同 歩    △同 角    ▲同 角    △同 銀
▲7七角    △5六歩    ▲5五角    △5七歩成  ▲同 金    △3九角
▲5八飛    △6九銀    ▲1一角成



▲5七銀はこれまでに出てこなかった一手ですが、先手陣がまとまっているので成立します。
△5五歩として決戦に突入し、▲同歩には△同角と取ります。△5五同角で△同銀ですと、▲2四歩△同歩▲3五歩と反撃されて先手不利。
角交換後の▲7七角には、適当な銀の助け方も無いので△5六歩と攻め合います。▲4八銀は△4六歩で後手良しなので、本譜は妥当な手順。
後手は飛車を取ることができますが、3九の角が少しボケている感じで形勢は難解です。

つづくよ!

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KKK 2022/2/5

土曜日です。
前回に引き続き、Zoomを利用したリモート研究会で行います。


今回のお話は、矢倉流中飛車。プロ棋士の矢倉七段が多用したことから名前が付きました。最近は滅多に指されることはありませんが、こた(仮の研究も交えてご紹介します。
ちなみに「矢倉流中飛車」と「矢倉中飛車」は全く別の戦法なので注意!

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二銀    ▲6八玉    △5二飛    ▲5八金右  △6二玉
▲7八玉    △7二玉    ▲2五歩    △3三角    ▲5六歩    △8二玉



角道を止める中飛車の作戦ですが、序盤のポイントがいくつか有ります。
まずは早めの端歩の打診です。以前の矢倉流中飛車は穴熊に組むことが多かったので端は突かなかったのですが、私は相穴熊は先手ペースだと思っています。現在の環境なら9割方受けてくれると思います。(受けられなかったら位を取って、別の戦法にしましょうw)
次に、△4二銀型と△5三歩型です。玉を8二まで寄せるのを優先します。△4二銀型は相手の作戦によって、△5三銀(居飛車側が持久戦)と△4三銀(急戦)を使い分けるためです。
△5三歩型は「英(ひで)ちゃん流中飛車」と呼ばれ、これも対急戦形への工夫です。(英ちゃん流のメリットの説明は難しいので、割愛します。まぁそんなもんかと思ってください。)

上図からの指し手
▲5七銀    △5四歩    ▲7七角    △5三銀    ▲8八玉    △6四銀



▲5七銀→持久戦模様を確認して△5四歩、▲7七角→持久戦確定したので△5三銀、の流れです。
△6四銀と構えたのが矢倉流中飛車で、穴熊に代表される持久戦対策の作戦。余談ながら、ここに銀を据える作戦は、最近では振りミレで見られます。
次に△5五歩が見えているので、先手は(1)▲6六銀と受けるか、(2)▲6六歩(次回以降解説)と迎え撃つ手が考えられます。   

上図からの指し手(1)-1
▲6六銀    △7二銀    ▲9八香    △4二飛    ▲9九玉    △4五歩



(1)▲6六銀には△7二銀と美濃囲いを作り(以前は穴熊を目指して△5一金左とするのも定跡だった)、△4二飛~△4五歩と矛先を変えます。
ここで先手の指し手は複数に亘るので、1つずつ順番に見ていきましょう。

上図からの指し手①
▲6八角    △6五銀    ▲8八銀    △7六銀    ▲5七角    △5二金左
▲6八金寄  △6四歩



①▲6八角には玉のハッチが締まっていないのを咎め、△6五銀があります。この変化が必要なので、後手は先手が▲8八銀とする前に、△4二飛~△4五歩を間に合わさなければなりません。(例えば▲5八金右を省略していたら、後手も△7二銀の前に△4二飛~△4五歩とする。)
以下後手は歩得に成功し、不満なしの展開です。こうなると後に△9五歩▲同歩△9六歩▲同香△8五銀のような手も考えられ、9筋の突き合いも活きています。

指し手②
▲2六飛    △4四角    ▲3六飛    △3二飛    ▲6八金寄  △3五歩
▲2六飛



②▲2六飛には△4四角と飛車に当てます。△6五銀という激しい定跡もありますが、▲同銀△7七角成▲同桂△4四角▲2八飛△7七角成▲8八銀△4四馬▲7七角の進行は、厳密には先手良しでしょうか。
△4四角に▲2八飛は、△3三角と引いて千日手。よって▲3六飛に、△3二飛と今度は三間飛車に振り直します。

上図からの指し手(a)
△3四飛    ▲8八銀    △5二金左  ▲7九金    △3三桂    ▲7五銀



△3四飛から石田流にしてじっくり指そうとすると、先手も穴熊に手を入れる余裕ができます。
▲7五銀とぶつけて戦いを起こされてしまい、これは先手がやや有利です。

指し手(b)
△3六歩    ▲同 飛    △同 飛    ▲同 歩    △5一金左  ▲4三飛
△3三角    ▲3七桂    △4二金    ▲4五飛成  △3九飛



△3六歩から足早に動きます。△5一金左は▲4三飛の先受けで仕方のないところ。ここで▲3一飛は、△3九飛▲2一飛成△2九飛成で後手だけ香が取りやすく、後手指せます。
よって上図まで進展し、ほぼ互角の将棋です。

つづく。

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詰めチャレのコツはツメを(読み)切ること

今週末、来週末のKKKはお休みとさせていただきます。

爪が長いと時間ギリギリで動かそうとしたとき、上手くタップできないんだよなぁ。


-エルモT-

エルモ講座第5話(最終回)。



図から(4)△1四歩を見ていきましょう。

上図からの指し手
△1四歩    ▲4六歩    △6四歩    ▲4八金    △7四歩    ▲2四歩
△同 歩    ▲3五歩



△1四歩には▲5九金や▲4八金とし、もう一手相手の手を見るのも有力。私が先手を持っていたら、そう指すかもしれません。次の手によって、これまでの話で出てきた攻め筋を切り替えます。
ただ端歩の交換を活かした面白い仕掛け方があるので、それを取り上げたいと思います。△7四歩で次に△6三金と上がると高美濃が完成するので、このタイミングで仕掛けます。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲1五歩    △同 歩    ▲同 香    △同 香    ▲3四歩
△1二飛    ▲3三歩成  △同 銀    ▲2三角    △1三飛    ▲3二角成



かつて加藤一二三九段が考案した、3歩突き捨ての仕掛け。端で香を捨てて手にした歩を、▲3四歩と打ちます。角を逃げれば▲2四飛と走って先手良しですが、△1二飛が思わぬ切り返し。
実は楽観できるほど差は無いものの、さすがに駒得が大きく先手がやや有利です。

指し手②
△4三銀    ▲4五歩    △3五歩    ▲4四歩    △3四銀    ▲4七金
△4二飛    ▲4六金    △4五歩    ▲4七金



よって▲3五歩は取れず、△4三銀と受けることになります。さらに先手は▲4五歩と歩を突っかけ、攻めを継続します。
▲4四歩に△同銀は▲3四歩で先手が勝勢。ただ△3四銀とされると一筋縄では攻略できません。ここからは色々な展開が考えられるところですが、本譜は△4五歩と打たせて飛車先を重くさせました。
形勢はいい勝負です。

さて、これまでの作戦は居飛車が先手番として考えてきましたが、後手番のときはどうでしょうか。実は全く急戦が出来なくなるということは無く、ある程度そのまま応用することが可能です。
ただ折角なので、後手番のときに光る指し方をピックアップしてみましょう。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲7八飛    △8五歩    ▲7七角    △3四歩
▲6六歩    △6二銀    ▲6八銀    △4二玉    ▲4八玉    △3二玉
▲1六歩    △1四歩    ▲3八銀    △5四歩    ▲3九玉    △7四歩
▲2八玉    △4二銀    ▲5八金左  △3一金    ▲5六歩    △5一金



後手番のときは△6二銀型のまま、△5一金とくっつけるのが堅い陣形です。連結が良くて堅いので、実戦的にも有効だと言えるでしょう。

上図からの指し手(a)
▲4六歩    △6四歩    ▲3六歩    △9四歩    ▲4七金    △7二飛



まずは先手が高美濃囲いを目指してきた場合です。▲4七金で高美濃が完成しますが、陣形が上ずった意味もあります。その瞬間△7二飛が軽い指し方。
ちなみに▲3六歩の前に▲4七金だと、やはりその瞬間△7二飛として後手が得です。

上図からの指し手
▲6七銀    △7五歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲8八角    △7三飛
▲7四歩    △8三飛    ▲7七角    △6五歩    ▲同 歩    △7七角成
▲同 飛    △8六歩    ▲同 歩    △6六歩    ▲7六銀    △8八角



▲6七銀で▲8八角は、△8二飛▲7七角△7二飛▲8八角…千日手。後手だからこその変化です。
△7五歩から飛車がぶつかりますが、△7三飛とするのが手筋。
△7三飛に▲同飛成は、△同桂にア)▲7四歩なら△6八飛で後手有利。イ)▲7八銀なら△8六歩▲8二飛(▲同歩は△8七歩▲同銀△6八飛▲7七角△6九飛成)△8五飛▲同飛成△同桂▲8六歩△7七歩▲同桂△6六角▲8五歩△6八飛▲5八飛△同飛成▲同金△7六歩で後手有利となります。
ということで一度飛車をぶつけた先手が▲7四歩と飛車交換を拒否し、後手はさらに△6五歩から攻めを継続します。
上図まで進んで、難しいながら後手も指せる将棋と見ます。以下は▲8七飛△9九角成▲8五歩△9八馬▲8六飛△6七歩成▲同銀△6五馬…が進行の一例です。

指し手(b)
▲5七銀    △6四歩    ▲4六銀    △5三銀右  ▲6七金    △9四歩
▲5八飛    △4四銀    ▲3六歩    △7三桂    ▲2六歩    △6五歩



先手三間飛車の場合、もう少し積極的に指したいところ。▲5七銀~▲4六銀で動きを見せるのが自然でしょう。△5三銀右は合わせて銀を繰り出す手で、▲4五銀なら△3三銀と受けておけば大丈夫。
▲6七金は次の▲5八飛が狙いですが、先手編と同じく△4四歩とすると、▲7五歩△同歩▲9五角!という意表の攻め筋があります。以下△9四歩▲5一角成△同銀▲7五飛△7三歩▲7七桂は先手やや良し。
よって△9四歩と一度税金を払っておき、▲5八飛には△4四銀と合わせておきます。これで先手の動きを封じることができました。
△7三桂~△6五歩は一例ですが、これは1局の将棋で以下ねじり合いになります。

三間飛車はプロアマ問わず人気の戦法です。対策が行き詰っている居飛車党の方、エルモ囲いをレパートリーに加えてみるのはいかがでしょうか?

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