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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/8/29

日曜日に行います。


-角換わり選択に至る手順前後の考察-

「角換わり」は、その戦型が確定するまでに、細かな手順前後が許容されることがほとんどです。例えば、先手の指す初手と3手目は▲7六歩と▲2六歩、どちらが先でも問題ありません。出だしの9手はいろいろな組み合わせがあり、
・▲7六歩△8四歩▲7八金△3二金▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀
・▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲8八銀
のような手順を経て、10手目に△7七角成とすることで成立します。また、△3二金を省略して8手目に交換する場合もあります。

今回は「その手順前後は本当に許されるのか」を調べるマニア道(?)です。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲2六歩    △8五歩    ▲7七角    △3四歩
▲7八銀    △3二金    ▲4八銀



角換わりで先手が▲2五歩を決めるかどうかは、序盤の1つのポイントです。▲2五歩を突かない場合に、△4四歩から雁木の変化の余地があることはご存じではないかと思います。
ただ、これは▲6八銀~▲7八金型がほとんどです。例えば▲7八銀~▲4八銀とすることで、雁木に対し▲6八玉からの左美濃を残すことはできないでしょうか。
後手が▲2六歩型には角換わりを避けるプランでいると、ちょっと頭をひねる必要がありそうです。

上図からの指し手
△6二銀    ▲4六歩    △7四歩    ▲4七銀



後手は自分から角交換せず、▲7八銀を咎めることを考えてみたくなります。▲7八金と上がれない形なので、第1感は急戦に弱そうな陣形に見えます。△7四歩の後、(1)△7三銀と(2)△7三桂を検証します。
ちなみに△6二銀に対して▲2五歩は、△7七角成▲同銀△2二銀で普通の角換わりに戻ります。これに▲2四歩は(このお互いの形の場合は)成立しません。(ただし▲1六歩△1四歩▲2四歩が成立する可能性はある。)

上図からの指し手(1)
△7三銀    ▲5六銀    △6四銀    ▲2五歩    △7五歩
▲同 歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



後手が早繰り銀で攻める変化。基本的に先手がその攻めを完全に受け止めることはできません。よって居玉のまま軽く指して力戦となります。類型が無いのでこの後どうなるかは分かりませんが、ほぼ互角の形勢と思われます。

指し手(2)
△7三桂    ▲5六銀    △6四歩    ▲2五歩    △6五桂    ▲同 銀
△同 歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



△7三桂~△6五桂もやってみたい指し手。先手は△6五桂を▲同銀と取るぐらいしかなく、あっさり駒損が確定します。しかし後手陣も不安定であり、やはり軽く指して桂の使いどころは多そうです。これもほぼ互角でしょう。
結論としては後手が棋勢を得るまではいかないものの、力戦にして主張は通るという感じでしょうか。

ただ、そもそも論として初手から▲7六歩△8四歩▲2六歩に△3二金とすれば、▲2六歩型に雁木を選ぶというミッションはクリアすることができます。(△3二金に▲7八銀だと△3四歩と突いて矢倉に誘導されるため。これは最初に先手が角換わりを目指した方針と合わない。)
じゃあ「ここまでの話って意味あるの?」と言われてしまうかもしれません。
だから "マニア道" なんです。

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KKK 2020/10/31

土曜日です。
早くオレより強くなれ(キノ除く


-早繰り銀とムリヤリ右玉-

世の中には「右玉大好き!」という人が一定数います(偏見)が、プロで右玉ばかりという人は全くいません。それは最初から右玉決め打ちだと危険性が高いからなのですが、その一部をご紹介します。

初手からの指し手
▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二金▲2五歩△8八角成▲同銀△2二銀▲4八銀△3三銀▲3六歩△7二銀▲3七銀△6四歩▲6八玉△6三銀▲7八玉△7四歩▲4六銀△7三桂▲3五歩



1手損角換わりに対し、最速で早繰り銀に出るのは以前にも取り上げました。▲3五歩で早くも戦端が開かれます。

△同歩▲同銀△5二金▲5八金右△8一飛▲3四歩



▲3四歩で▲2四歩は、△同銀▲同銀△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△6二玉。一応右玉が完成します。先手が悪くはないですが、私の経験上では先手陣の方が角銀を打ち込まれて手を作られやすい。オススメはできません。
ということで▲3四歩と抑えますが、上の変化はチェックしておいてください。

△2二銀▲2四歩△同歩▲同銀△2三歩▲3三歩成



△2二銀で△4四銀は▲2四歩が成立します。よって壁銀を強いることができ、一旦早繰り銀が成功したと言っていいでしょう。
▲3三歩成では▲3五銀と壁を相手にしないのが本筋ですが、大事な変化になるのでさらに攻めかかってみます。

(1)△同銀▲同銀成△同桂▲3四歩△4五桂▲6六角


△同銀は疑問手ですが、▲2三銀成は成立しない。▲3三同銀成に△5五角は、▲4六角△3三角▲3四銀△2四角に▲2三銀成とかっこよく攻め崩し先手有利。
先手陣にも火の手が迫っていますが、▲6六角(上図)が上手くバランスを取った手。以下△4四角なら、▲同角△同歩▲3三銀…と進みます。実戦的には難しいものの、先手有利です。
疑問手から始まった変化ですが、この変化も要チェック!

(2)△同桂▲3五銀△3四歩▲同銀△6二玉▲6八金上△8四歩▲7七銀△8五歩▲4六歩

この変化は駒組みに戻ります。形勢は難しいですが、先手の方が指せる手が多い。こた(仮的には先手持ち。

よってアマチュアレベルなら、ムリヤリ右玉を目指しても大変でしょう。
しかし、実は後手の指し方によっては、先手がいきなりリードを取れる場合があります。例えば序盤に△8四歩が入っていたとしよう。


この局面で△8四歩と突く人はいないと思いますが、最序盤でなんとなく入っている可能性は高い手です。これに対しては▲3四歩ではなく、▲2四歩が面白い。

▲2四歩△同歩▲同銀 △同銀▲同飛△2三歩▲2八飛△8一飛▲3三歩△同桂▲3四歩△4五桂▲6六角
 


途中▲3三歩と叩くのが好手。以下進んでみると、似た局面を先ほど見たような気がしてきませんか。この局面は後手が手得し△8四歩が入っているものの、やはり先手が指せる。

角換わりで△4二玉型から右玉に組み替えたりすることがありますが、ただ眺めていると何をフラフラしているんだろうと感じませんか?w
でも水面下では、やはり駆け引きが存在するのです。

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KKK 2020/10/17

土曜日に行います。


将棋小話 -角換わりの立ち上がり-

最近の角換わりで、▲4五桂ポンの攻めが復活しています。▲5八金型や▲3八銀型などバリエーションはありますが、叡王戦の豊島vs永瀬戦では最速の▲4五桂ポンも指されました。これを念頭に入れながら、角換わりの出だしについてちょっと検証してみたいと思います。

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲4八銀



①△3三銀▲3六歩△6二銀▲1六歩△1四歩▲4六歩△6四歩▲3七桂△4二玉▲3五歩△同歩▲4五桂△2二銀▲1五歩



これが上記の叡王戦の進行です。形勢は難しいと思われますが、先手が勝ちやすそうなイメージ。実戦も先手の豊島竜王が快勝しました。
▲1六歩に対して△1四歩では△6四歩のように受けない手もあり、これなら先手は速攻しづらく、個人的には有力だと思っています。ただし現在のプロの将棋では全く指されていません。端歩を受ける受けないは早繰り銀の変化にも関係しており、とても難しい。ただし角換わりには▲2六歩型もあり得ますが、このとき▲1六歩には△1四歩と受けたい(▲1五歩~▲2五桂が嫌な攻め筋になる。)面もあり、結局受ける将棋が先に俎上に上がっているところがあります。(しかしながら、▲2六歩型には雁木を選ぶこともできる。この辺り、オールラウンダーなら選択肢は広がる。)
△6四歩▲3七桂△4二玉では△4二玉▲3七桂△5二金とすれば、▲3五歩~▲4五桂はやや無理筋。しかしこれは△8一飛~△6二金型を指すときに、弊害が起こる可能性がある。詳しくは取り上げませんが、一例がこれも叡王戦の最終局で示されました。

え、難しすぎる?ブラウザバックしないでw
②△6二銀



というわけで△3三銀を一旦保留し、△6二銀とする。これもよく指されているので、ご存知の方も多いでしょう。
対して▲7八金なら△3三銀で、普通に戻る。
また▲2四歩△同歩▲同飛は△3三角と切り返して、▲3四飛なら△2八歩、▲2八飛なら△8六歩▲同歩△8八歩で後手優勢になります。

上図からの指し手(1)
▲3六歩△6四歩▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲3四飛



▲3六歩△6四歩とすると、▲2四歩△同歩▲同飛が成立する可能性があります。以下△3三角▲3四飛に△2八歩が甘くなっており、難解。

(2)▲3六歩△7四歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△7五歩



▲3六歩△7四歩と突くと、今度▲2四歩は図まで進めて後手有利。実はこの形の有効性は、以前2438くんに指されて知りました(実戦は読んで▲2四歩と仕掛けなかったが)。王将戦では先後逆で図の局面を経由し、やはり先手が▲7八金と指しています。以下先手が早繰り銀を選びましたが、後手が腰掛銀を選んだ時△7四歩と突いていると手が狭くなっている意味があります。
細かな違いに一長一短がある。

(3)▲1六歩△1四歩▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲3四飛△8六歩▲同歩△8八歩



これは先日の順位戦、永瀬vs郷田戦。逆に永瀬王座が先手を持って速攻を選びました。新機軸の仕掛けですが、本譜の進行は形勢不明。これも端の交換があって生じている変化。
ウチのソフトちゃんは△3三角▲3四飛に△4二玉を推奨し、後手が指せると言っていますが真偽は不明。

アマチュアにとっては序盤の激しい変化は、もしかすると敬遠されるところかもしれません。でも一度研究してみると指したくなるのが人情というものですよ?

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KKK 2020/8/1

土曜日です。


将棋小話 -王位の勝負手-

さて、以前にも取り上げたこの局面を覚えておいでだろうか。



この局面が王位戦第1局、藤井聡太七段(当時)vs木村一基王位の対局で指された。△4四歩と突き、同形を維持する指し方はそれほど多くない。
以下、▲4五歩△同歩▲同銀に△5二玉がまた珍しい手である。



この手がプロで指されたのは割と最近のはずだが、角換わりを得意とするプロならきっと一度は考えたことがあるに違いない。一見有力そうに見えるこの手が、しばらく指されずにいたのは何故か。それはきっと、この手を指した瞬間にソフトの評価値がガクンと落ちるからに他ならないと思われる。
私もまさかこの手がタイトル戦で指されるとは、思いもしなかった。(こんなことなら以前の記事で取り上げておくべきだったw)

以下、王位戦は次のように進む。
(1)▲2四歩△同歩▲5四銀△同歩▲4五桂



これは少し先手が捻った印象。木村王位も本線では無かったのではないかと推察する。ここから△4四銀▲7五歩△4五銀▲7四歩と進んだが、先手の藤井新棋聖が優勢になった。

そこで△4一飛▲4六歩△4四銀はどうだろうか。先に△4一飛とすれば歩を打たせて、▲7五歩の攻めを緩和することができる。


①▲2三銀△同金▲3二角△1三金▲4一角成△同玉▲8一飛△6一銀▲9一飛成△5二玉



▲2三銀が見えた方は鋭い。しかしあっさり飛車を取らせてしまうのが好手。この手順は私の昔の研究だが、意外と後手陣に耐久力がありそうだ。後手も指せると思う。

②▲8三角△4五銀▲同歩△6三銀▲7五歩△4五飛


棋譜コメントでは▲8三角で先手よしと書かれていた。おそらくここらに王位の誤算があったのではないか。しかし、先に△4五銀と食いちぎっておく手がある。一応上図まで進行すれば、△4五飛が7五の歩取りにもなっている。
ただ、この変化を(ウチの)ソフトは先手やや良しと評価している。
△5二玉に対し、最も自然な攻めはやはり▲7五歩だ。

(2)▲7五歩△同歩



▲7五歩にどう指すのかは非常に難しい。個人的には△同歩と取るのが良いのではないかと思っている。むしろ誰か教えてくださいw

①▲7四歩△4一飛▲8二角△4五銀



苛烈な攻め合い。後手を持って自信はない。

②▲5四銀△同歩▲7四歩△4一飛▲4五銀△9二角


この変化は一見上手く切り返したようだが、評価値はやっぱり先手がよい。

結局どの変化も、後手目線ではあまり良くないという結論になる。もちろん違う変化が眠っていたり、形勢判断が間違っている可能性もある。

しかし穿った見方をするなら、敢えて王位がこの将棋をチョイスしたのは、挑戦者を容易ならざる相手と見ている証左ではないか、と私は感じました。
こういうことを考えてみると観戦もまた面白くなりますよね。

さて、次回のテーマは久しぶりに「横歩取り」の予定です。

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KKK 2020/7/26

日曜日に行います。

この日は野々市将棋大会が元々あって、今年は参加したいと思っていたのですが、残念ながら中止になったようです。
福井でもコロナ感染がポチポチ出ています。気を付けましょう。


将棋小話 -角換わり2枚銀-

最初に誤解のないように言っておくと、「2枚銀」という形はおそらく矢倉が発祥で(違ったらスマヌ)、角換わりでそう呼ばれる形はありません。今では▲4六銀+▲6六銀と繰り出す形を一般的にそう呼び、ゴキ中で現れることが多いでしょうか。



今回は角換わりの後手早繰り銀の変化です。
図は△6四銀に▲5六銀と出たところ。後手としては△7五歩と突きたいのですが、▲6五歩と突き返されて先手がまずまずと見られています。名人戦で指された将棋が有名です。よってこの局面では、△6四銀自体がイマイチだと考えられてきました。(というかそういう現状認識があると思われる。)

ここで△4四銀と2枚銀を発動するのが今回の主眼です。



たぶん新手。私は以前ネットで指されて存在を知りました。

角換わりでは角という強力な攻め駒を持っているので、普通は銀をもう一枚繰り出す必要はありません。違和感は拭えませんが、やはりガンガン攻めたい方にはオススメです。先手が3六歩と突いている形で採用するのが良いでしょう。

ここで先手は主に(1)▲4五歩、(2)▲6五歩、(3)▲4八金、(4)▲5八金が考えられます。
(1)▲4五歩△5五銀左▲4七銀△1五角▲6八玉△3三角



出てきた銀を歩でアタックする(1)▲4五歩、(2)▲6五歩は指してみたくなる手。当然
5五にぶつけていくのですが、▲4五歩には△4六角と打つ手も有力。▲4七銀は銀交換を避けて弱気なようでも、位を取ったのに盤上から駒が減るとスキだらけになります。しかし△1五角と打つのが意表で、時間差で△3三角が面白い。上図まで進めば後手ペースと断じていいでしょう。

(2)▲6五歩△5五銀右▲4七銀△8四角▲6七金△7三桂▲5六歩△6五桂▲5五歩△7七桂成▲同桂△6六銀



(2)▲6五歩には以下△8四角と今度は反対側から攻め続ける。△5七角成と△6六銀を同時に防ぐ▲6七金ですが、桂を活用します。上図まで進んで、いい勝負。一応先手は桂得ですが、ここまで攻められては自信はない。人によってどちらを持ちたいかは分かれるかもしれません。

(3)▲4八金△7五歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2七飛


(3)▲4八金はコビンをカバーし、とりあえず2筋を替えておくことを目指しています。基本的には何をされても2筋交換して▲2七飛と引く感じ。▲2五飛は△3三桂が当たるので、▲2七飛が自然。今では中途半端な▲2七飛も違和感が無くなりました。
上図以下は△7六歩▲同銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七銀△8二飛▲8六歩…ぐらいが普通の進行か。本当は▲8七銀で▲8七金とやりたいのですが、▲8七金△8二飛▲8六歩に△8八歩から千日手を狙う筋があります。
先手からすると左辺が下がったのがやや不満で、後手からすると折角の△4四銀がボケた感があります。これも好みがわかれそう。

(4)▲5八金


(4)▲5八金が本命か。 

①△7五歩▲同歩△同銀▲4五歩△3三銀▲3七角△6四歩▲6七金右



△7五歩には堂々▲同歩と取り、▲4五歩で銀を追い返します。▲3七角~▲6七金右となれば手に乗って厚みを築き、先手がやや指せそう。

②△3一玉▲6八玉△7五歩▲6七銀


△3一玉は堅くなってないので、かなり指したくない手。(むしろ△4二玉としたいぐらいだ。)先手も▲6八玉と手を入れ、ここで△7五歩と突っかけます。玉が近くなったので、今度は▲6七銀として銀を出させないのが自然な流れ。
この局面、最初は「先手有利」まであるかと思ったのですが、難しい形勢だそうです。N西さんなら後手を持って余裕で指し回しそうですが、私には実戦投入する度胸はありませんw

というわけで、やっぱり眠る研究になっている…

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KKK 2020/6/27

土曜日に行います。

将棋もトライアルアンドエラーです。
自分の対局をしっかり分析してみてください。


将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ”番外編”-

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲6八銀△3三角▲同角成△同金


これまでは主流からはじき出されてしまった将棋でしたが、今回はまだ俎上に上がっていない将棋です。
△3三金型の角換わり。相手から角交換させることで1手得を実現します。先手もこのタイミングで角交換しないと、△4四歩で雁木にされたりと変化を与えます。
意外とソフトの評価値も悪くなく、もし角換わりの情勢が後手苦戦となれば今後現れるかもしれません。

上図からの指し手
▲7七銀△6二銀▲4八銀△2二銀▲7八金△4二玉▲3六歩△7四歩▲4六歩△7三銀▲3七桂△6四銀


普通に腰掛銀にするのもありますが、ここは手得を生かし早繰り銀から仕掛けを狙ってみます。ただし▲3六歩を見て早繰り銀にするのが1つのポイント。▲3六歩~▲3七桂はなんとなく△3三金を咎めれそうで、先手もやってみたくなるでしょう。▲3六歩~▲3七桂が▲4七銀~▲5六銀と代わると、上図で▲6六歩と突かれて後手作戦失敗という感じです。

上図からの指し手
▲4七銀△7五歩▲同歩△同銀▲2四歩△同歩▲2五歩△8六歩▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲8七歩△8二飛



後手は悠々と仕掛けます。先手の継歩での反撃は常套手段ですが、意に介さず銀をさばいておきます。後手の陣形に違和感がある貴方は普通。

上図からの指し手
▲2四歩△4四角▲6六角△2七歩▲同飛△2六銀


ここまで来ると通常の△3三銀+△3二金型と違い、▲2四歩と取りこんだときに先手になっていません。ここで知った将棋とばかり△2七歩▲同飛△2六歩と叩くと、▲2九飛と手順に引かれて失敗します。先に△4四角と据えて置き、△2七歩▲同飛△2六銀と進めるのが良さそうです。上図まで進展すれば後手が指せる。

形の違いを見極める大局観と、それを生かす構想力を問う。
まぁ、この将棋自体は他人の構想そのままなのだが ^^;

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KKK 2020/6/21

日曜日に行います。


将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ②-


さて、この図は前回の小話のテーマ図△4四歩に代え、△4一飛と回ったところです。ここで▲4五桂と仕掛けていくのが有力とされていますが、これはかなり激しい将棋になります。そこでまず▲7九玉と玉を深くし、次に行くぞというのが今回のお話。

上図以下の指し手
▲7九玉△4四歩▲4五歩△3一玉▲4四歩



△4四歩~△3一玉まで回ると仕掛けづらくなるので、▲4五歩はできるなら行ってみたい。△3一玉では△5二玉も定跡ですが、これは割愛します。「眠る」なんて言っていますが上の図は例えば△4四歩~△3一玉▲4五歩△4一飛などで合流する可能性もあり、汎用性があると思います。

以前、この手順は後手が十分だと認知されていました。しかし後手を持ってどうも勝ちにくい。「おかしいな」と思いながら、手を精査することになるのです。

ここで後手の指し手は①△同銀と②△同飛のどちらも考えられます。

①△同銀▲4五歩△同銀直▲同桂△同銀▲同銀△同飛▲4七銀△4一飛▲6三銀△6一金▲5五角



△同銀▲4五歩に△同銀直と食いちぎるのは、部分的にはよくある手順。定跡通の方だと、この形なら△2二玉型より△3一玉型が勝るというのもご存じかもしれません。しかし先手も好条件を得ており、この攻めは無理筋となります。上図まで進むと先手が有利。

②△同飛▲4五歩



△同銀▲4五歩に△3三銀と引けば、上図で△4一飛としたのと同じです。ただ△同銀の場合▲4五歩の一手ではないし、上図で(1)△4二飛と(2)△4一飛を選ぶことができません。
部分的には▲4五歩で▲4七歩のような手もありますが、これは駒を繰り替える将棋になります。この形ではややつまらないでしょう。

(1)△4二飛▲5一角△5二飛▲3三角成△同金▲1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4四歩


△4二飛には▲4六角が普通で、これで先手が十分という説もあります。ただ△6三金のときに△4一飛型に比べて姿見が良いので、以前はネットとかで私も指していました。
しかし踏み込む▲5一角が強手。以下私の実戦で一例ですが、後手が危険という見解です。(形勢は難解かもしれない。)

(2)△4一飛▲4六角



というわけで△4一飛が勝りそう。先手は好位置に角を据えます。当初は打開が難しいと見られていましたが…

(a)△6三金▲8八玉△2二玉▲2四歩△同歩▲同角



驚愕の仕掛け。後手からすれば「こんなので悪かったらたまったものではない」という感じでしょうが、ソフト曰く先手十分。というわけで後手の"ゆっくり志向"は既に破綻している。

(b)△6五歩▲同歩△8一飛▲6四歩△7五歩


結局、後手としては自分から動いていくのが最善と(私は)見ています。△6五歩とした後に△8一飛と回るのではパスしているようでツラそうですが、4筋で持った1歩が活きる展開になるかどうか。いい勝負だと思います。

力とは、知識の集積である。居飛車党の島九段が書いた「島ノート」(振り飛車の本)の結びの言葉である。

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将棋小話 -同形角換わり-

現代角換わりの戦術講座とかすると、火傷しそうな気がする。というのは、非常に細かくて難しい変化が多いからです。プロ棋戦で主流でなくても、指せそうな将棋が実はたくさんあります。

今は眠っている、流行が過ぎて使えなくなった持ち球の数々。



さて、従来同形角換わりといえば▲5八金、△5二金型の、昔から指され続けてきた歴史ある戦型でした。今はパッタリと指されなくなってしまいましたが、最新形の角換わりでも同形になることはあります。

それが上の図で、△4四歩と突いたところ。今ではほとんど指されていませんが、とても難解な変化です。

ここは戦機を捉え、▲4五歩と仕掛けていくのが定跡です。以下△同歩▲同銀△5五銀は必然でしょう。(必然と言いましたが、気になる手は多くある。)
そこで▲2四歩 △同歩▲2五歩が有名な手順で、プロの将棋でもほとんどこう進んでいます。
しかしこの将棋が現れたとき、私の第1感は違いました。
上図から▲4五歩△同歩▲同銀△5五銀に、▲3五歩。



いかにも筋。私の感覚ではどう見たって継歩より本筋w

対して並の手は①△同歩でしょう。▲3四歩△2二銀と壁銀を強きます。ここで(1)▲2四歩△同歩▲同飛としたいのですが、これは△2三歩と受けてくれず、△4四歩で先手が不利。

そこで単に(2)▲2六飛と浮きます。



これにも△4四歩と打ち、▲5六銀 △同銀▲同飛 と進みます。この変化は飛車回りの味が良いかと思ったのですが、△2七角と打たれて見ると…



これが▲6三銀を消す強力な利きで、これは先手が失敗。

代案を考えます。(3)▲2四歩△同歩▲5六歩。



銀に先に働きかけておくことで、△4四歩を打たせない。以下△4六銀▲2六飛△3六歩▲同飛と進行しますが、もし▲2四歩△同歩が入っていないと、ここで△1三角があります。で△4七歩▲4六飛で図。


以下、(a)△3五角▲5七金△4六角▲同金か、(b)△4八歩成▲同飛△4七歩▲同飛△4六歩という進行が考えられ、形勢不明。
この変化を後手が嫌がるなら、実は避けることが可能です。▲3五歩に対し、②△4七歩と一度叩いておきます。これには▲3八金ぐらい。既に「なるほど!」と思えた方は強い(確信)。
以下、△3五歩▲3四歩△2二銀という先ほどの順を踏襲し、(1)▲2四歩△同歩▲5六歩△4六銀▲2六飛△5七角。


△4七歩▲3八金を最初に入れておけば、△5七角が刺さるので後手よし。

しかし、今度は(2)▲2六飛と単に浮く手が復活します。すぐ△4四歩は二歩なので、△4八歩成  ▲同金△4四歩と成り捨ててでも打つ。▲5六銀△同銀▲同飛△2七角には、1歩取ったので▲4五歩があります。


これは先手よし、と言いたいところですが、どうやら難しいようです。こういう変化を調べてみると、ややこしくて頭がこんがらがってきます。「細かくて難しい」というのがお分かりでしょう。

いろいろ見てきましたが、実は別の有力な手段がありました。一番最初の同形の形から、▲4五歩△同歩▲同銀△5五銀▲3五歩△同歩▲3四歩△2二銀▲2六飛△4四歩に、▲5六歩と大胆に自玉のコビンから攻めます。



ちょっと気づきづらい手(コビンを開く上に後手を引く)ですが、後手の壁銀もひどいので成立するかどうか。これがあるなら、今までの研究は全て無駄になりますw

何気なく指されている将棋の裏には、淘汰された誰かの血のにじむような研究が隠されているのです。

拍手が3つ以上ついたら(ry

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KKK 2020/3/22

日曜日に行います。
冷えると花粉症が楽です。


将棋小話 -ビジョンを描く-

今日は1手損角換わりのお話です。石田流の最後のテーマ?キガムイタラネ。

さて、アマチュア将棋では「角換わりが指したい」という思いだけで指されがちな戦法、それが1手損角換わりです。
しかし1手損角換わりを指す意味、というのを明確に表現することができれば、さらに面白く指すことができるかもしれません。
後出しじゃんけんのように、手損することで相手の手を見て、相性の良い形を作ることができれば理想です。しかし実際は、得した手番で早く体制を整えることができるメリットは、かなり大きいでしょう。ですから、1手損角換わりを主力とするためには、本来「構想力」が大事だと思います。

1手損角換わりには主に、①8手目角交換、②6手目角交換、③4手目角交換というパターンがあります。



まず①。これは初期の形で、現在のプロ棋戦ではほとんど指されていないと思います。これは当初、同形腰掛銀で△8四歩型を作るための工夫でした。



②の形。1手損角換わりは△8一飛+△6二金型の角換わりが出現してから、ほとんど指されていませんでした。しかしここ一年ほど、少しずつ復活の気配を見せています。②を指す代表格は糸谷八段。



③。こちらを良く指されるのは丸山九段です。というかこの御仁はこれしか指していないw

そして、どれを選ぶかは気分とかではなく、作戦によって決まります。
先手の作戦はというと、現時点ではほぼ早繰り銀がチョイスされています。手得を生かして攻撃体制を作り、一気に攻略する青写真があります。

例えば③の場合、後手はどう指すか。上図以下、
▲同銀△2二銀▲4八銀△3三銀▲6八玉△7二銀▲2五歩△6四歩▲7八玉△6三銀▲3六歩△5四銀▲3七銀△4四歩が一例。



先手は早繰り銀にすると、最速がこの図か▲6八玉+▲7七銀です。これは次に▲4六銀なら、△4五歩で(一応)追い払うことができます。(△5二金右▲3五歩△4三銀という受け方もある。この方が本流かも。)△3二金に1手費やしていると、先手最速に対して間に合わないのです。

折角なので、②のパターンで構想を練ってみましょう。初手から、
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8八角成▲同銀△2二銀▲4八銀△3三銀▲3六歩△4二飛



先手はやはり早繰り銀を狙いますが、△4二飛と意表の振り飛車に。△3二金型で振り飛車は違和感がありますが、もし▲3七銀としてくれるなら、「後出しじゃんけんが成功しただろう」というのが後手の主張です。以下、
▲3七桂△7二金▲7七銀△4四歩▲4六歩△6二銀▲6八玉△6四歩▲7八玉△6三銀と進めるのがまた虚をつく。



先手は角交換振り飛車に対しての陣を敷きますが、後手は一見意味不明。ちなみに△4四歩は必要で、省くと▲3五歩~▲4五桂のような仕掛けを与える可能性があります。果たして目指す形は何か?
▲4七銀△7四歩▲5八金右△5二玉▲9六歩△9四歩▲1六歩△1四歩▲5六銀△5四銀▲6六歩△4一飛▲8八玉△7三桂▲7八金△8四歩▲4八金△6二金▲2九飛△8一飛



さて、どこかで見たような陣形に仕上がっていないだろうか。序盤からの大立ち回りは、流行形の角換わりで、△8四歩型を作るため(だけ)に練られたビジョンだった!(ちなみに、作ったからといって得がどれぐらいあるのかはわかりませんw)

この手順を少し変えて△6三金~△6二玉とすれば、△8四歩型で右玉風味にすることもできます。工夫を加えれば、きっと色々な形に変化できるでしょう。

貴方の指したい局面は何ですか?

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KKK 2019/10/12

土曜日に行います。
今回のテーマは「角換わり△4二金(△4三金)型持久戦」です。冷やし中華始めました、みたいなノリでテーマ研究始めましたw


将棋小話 -最新角換わりで△3一玉は悪手なの?-

最新形に踏み込むということは、実はプレッシャーがかかることである。自らの研究のスコープとしては広い(深い)としても、結論がわからない、手順が難しい、もっと詳しい人に突っ込まれるリスク(笑)ということがあるからである。

さて、以前大会で下の図の局面を迎えました。



この図は角換わりで後手の待機戦術ですが、ポイントは△6三銀型と、△4二玉~△3一玉~△4二玉の繰り返しで待ったこと。先手はその間にガチガチに固めています。そして△3一玉で先手番となり、遂に仕掛けます。その手順は、
▲1五歩    △同 歩
▲3五歩    △同 歩    ▲4五桂    △4二銀    ▲2四歩    △同 歩
▲同 飛    △2三歩    ▲3四飛    △4四歩    ▲1五香    △同 香
▲2二歩    △同 玉    ▲1一角    △3一玉    ▲3三歩
で下図



まで先手こた(仮の勝ち。

攻めが決まりました。
一般的に△3一玉と引くと、▲4五桂の攻めがしやすくなると言われています。▲4五桂に銀をどう逃げるかですが、
①△4四銀は飛車先交換後▲2九飛と引いておくぐらいで充分そう。
②△3四銀は2筋交換もあるし、この形なら▲5六角もある。
③△2二銀はやはり2筋交換。②と共通ですが、△4四歩に▲5三桂成△同金▲6二角の筋があって、やはりうるさい。
ということで、先手は堅陣も生きて、かなり攻めが上手くいきそうです。

では、どの形なら上手くいくのか。



この図はまだ銀矢倉に組む前です。ここで△4二玉型の図は、プロ間でもよく指されています。
△3一玉型なら、私はさっきと同じ仕掛けが通用すると見ます。



この図は先手が▲7九玉型。この形は飛車を渡すと王手がかかります。先ほどの仕掛けが成立する可能性は下がっているでしょう。正直よくわからない。



今度は▲6八玉型。玉が近いようですが、飛車を渡しても王手にはならない。やはり、よくわからない。

プロで指されている△3一玉型のサンプルとして、下図を考えてみます。



プロで指される将棋の場合は、△5四銀型の方が多数派です。この図、△9四歩までの図なのですが、実はその1手前は▲9六歩ではない。△3一玉▲7九玉△9四歩です。角換わりと端歩の事情については今回のテーマから外れるので割愛しますが、この手順で△3一玉型が現れることに妙味がある。
以下の進展例はこんな感じ。
▲4五桂    △4二銀    ▲3五歩    △同 歩
▲1五歩    △同 歩    ▲6六角    △4四角    ▲2四歩    △同 歩
▲1五香    △同 香    ▲2四飛    △2三歩    ▲1四飛    △1三香


この場合は3筋と1筋の突き捨ての前に▲4五桂から仕掛けます。私の実戦と異なり先手玉が堅くないので、△4四銀を警戒しています。そして飛車を走る前に香を捨てるのが大きな違い。今度は先に▲2四同飛だと、△2三歩▲3四飛△6六角▲同歩△4四歩▲1五香に、△4三銀引が成立します。
図より、▲3四飛△6六角▲同歩△4四歩▲2二歩となれば、今度は△3三桂と逃げて難解です。(私の実戦なら▲1四飛と回ることができた。)

ただし、このプロの実戦の場合、最初の▲4五桂に対し△2二銀とした手が今春の名人戦で現れています。結果は千日手でした。

端歩を受けて自然な進行を取った場合、後手が最速(?)で△3一玉と引くと下図が考えられます。



私はこの局面で、先手が攻めていけるのか分かっていません。しかし実戦には現れない。▲7九玉なら△4四歩とし、▲4五歩に△4一飛と受ける将棋に持ち込むことができます。これは先手が悔しい気がしますが、後手も△5二玉型で受けたい局面かもしれません。

結論としては、やはり△3一玉型には仕掛ける手を考えてみたいということになるでしょう。△5四銀型の場合は▲7五歩を絡めることも考えなければいけません。現代将棋の細かさ、難しさが良く表れていると思います。
そして、私たちがどれほど表面だけをなぞって将棋を指しているのかということを、考えさせられるような気がするのです。

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