KKK 2020/6/21
将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ②-
さて、この図は前回の小話のテーマ図△4四歩に代え、△4一飛と回ったところです。ここで▲4五桂と仕掛けていくのが有力とされていますが、これはかなり激しい将棋になります。そこでまず▲7九玉と玉を深くし、次に行くぞというのが今回のお話。
上図以下の指し手
▲7九玉△4四歩▲4五歩△3一玉▲4四歩
△4四歩~△3一玉まで回ると仕掛けづらくなるので、▲4五歩はできるなら行ってみたい。△3一玉では△5二玉も定跡ですが、これは割愛します。「眠る」なんて言っていますが上の図は例えば△4四歩~△3一玉▲4五歩△4一飛などで合流する可能性もあり、汎用性があると思います。
以前、この手順は後手が十分だと認知されていました。しかし後手を持ってどうも勝ちにくい。「おかしいな」と思いながら、手を精査することになるのです。
ここで後手の指し手は①△同銀と②△同飛のどちらも考えられます。
①△同銀▲4五歩△同銀直▲同桂△同銀▲同銀△同飛▲4七銀△4一飛▲6三銀△6一金▲5五角
△同銀▲4五歩に△同銀直と食いちぎるのは、部分的にはよくある手順。定跡通の方だと、この形なら△2二玉型より△3一玉型が勝るというのもご存じかもしれません。しかし先手も好条件を得ており、この攻めは無理筋となります。上図まで進むと先手が有利。
②△同飛▲4五歩
△同銀▲4五歩に△3三銀と引けば、上図で△4一飛としたのと同じです。ただ△同銀の場合▲4五歩の一手ではないし、上図で(1)△4二飛と(2)△4一飛を選ぶことができません。
部分的には▲4五歩で▲4七歩のような手もありますが、これは駒を繰り替える将棋になります。この形ではややつまらないでしょう。
(1)△4二飛▲5一角△5二飛▲3三角成△同金▲1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4四歩
△4二飛には▲4六角が普通で、これで先手が十分という説もあります。ただ△6三金のときに△4一飛型に比べて姿見が良いので、以前はネットとかで私も指していました。
しかし踏み込む▲5一角が強手。以下私の実戦で一例ですが、後手が危険という見解です。(形勢は難解かもしれない。)
(2)△4一飛▲4六角
というわけで△4一飛が勝りそう。先手は好位置に角を据えます。当初は打開が難しいと見られていましたが…
(a)△6三金▲8八玉△2二玉▲2四歩△同歩▲同角
驚愕の仕掛け。後手からすれば「こんなので悪かったらたまったものではない」という感じでしょうが、ソフト曰く先手十分。というわけで後手の"ゆっくり志向"は既に破綻している。
(b)△6五歩▲同歩△8一飛▲6四歩△7五歩
結局、後手としては自分から動いていくのが最善と(私は)見ています。△6五歩とした後に△8一飛と回るのではパスしているようでツラそうですが、4筋で持った1歩が活きる展開になるかどうか。いい勝負だと思います。
力とは、知識の集積である。居飛車党の島九段が書いた「島ノート」(振り飛車の本)の結びの言葉である。
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