KKK 2020/8/1
土曜日です。
将棋小話 -王位の勝負手-
さて、以前にも取り上げたこの局面を覚えておいでだろうか。
この局面が王位戦第1局、藤井聡太七段(当時)vs木村一基王位の対局で指された。△4四歩と突き、同形を維持する指し方はそれほど多くない。
以下、▲4五歩△同歩▲同銀に△5二玉がまた珍しい手である。
この手がプロで指されたのは割と最近のはずだが、角換わりを得意とするプロならきっと一度は考えたことがあるに違いない。一見有力そうに見えるこの手が、しばらく指されずにいたのは何故か。それはきっと、この手を指した瞬間にソフトの評価値がガクンと落ちるからに他ならないと思われる。
私もまさかこの手がタイトル戦で指されるとは、思いもしなかった。(こんなことなら以前の記事で取り上げておくべきだったw)
以下、王位戦は次のように進む。
将棋小話 -王位の勝負手-
さて、以前にも取り上げたこの局面を覚えておいでだろうか。
この局面が王位戦第1局、藤井聡太七段(当時)vs木村一基王位の対局で指された。△4四歩と突き、同形を維持する指し方はそれほど多くない。
以下、▲4五歩△同歩▲同銀に△5二玉がまた珍しい手である。
この手がプロで指されたのは割と最近のはずだが、角換わりを得意とするプロならきっと一度は考えたことがあるに違いない。一見有力そうに見えるこの手が、しばらく指されずにいたのは何故か。それはきっと、この手を指した瞬間にソフトの評価値がガクンと落ちるからに他ならないと思われる。
私もまさかこの手がタイトル戦で指されるとは、思いもしなかった。(こんなことなら以前の記事で取り上げておくべきだったw)
以下、王位戦は次のように進む。
(1)▲2四歩△同歩▲5四銀△同歩▲4五桂
これは少し先手が捻った印象。木村王位も本線では無かったのではないかと推察する。ここから△4四銀▲7五歩△4五銀▲7四歩と進んだが、先手の藤井新棋聖が優勢になった。
そこで△4一飛▲4六歩△4四銀はどうだろうか。先に△4一飛とすれば歩を打たせて、▲7五歩の攻めを緩和することができる。

これは少し先手が捻った印象。木村王位も本線では無かったのではないかと推察する。ここから△4四銀▲7五歩△4五銀▲7四歩と進んだが、先手の藤井新棋聖が優勢になった。
そこで△4一飛▲4六歩△4四銀はどうだろうか。先に△4一飛とすれば歩を打たせて、▲7五歩の攻めを緩和することができる。
①▲2三銀△同金▲3二角△1三金▲4一角成△同玉▲8一飛△6一銀▲9一飛成△5二玉
▲2三銀が見えた方は鋭い。しかしあっさり飛車を取らせてしまうのが好手。この手順は私の昔の研究だが、意外と後手陣に耐久力がありそうだ。後手も指せると思う。
②▲8三角△4五銀▲同歩△6三銀▲7五歩△4五飛
棋譜コメントでは▲8三角で先手よしと書かれていた。おそらくここらに王位の誤算があったのではないか。しかし、先に△4五銀と食いちぎっておく手がある。一応上図まで進行すれば、△4五飛が7五の歩取りにもなっている。
ただ、この変化を(ウチの)ソフトは先手やや良しと評価している。
△5二玉に対し、最も自然な攻めはやはり▲7五歩だ。
(2)▲7五歩△同歩
▲7五歩にどう指すのかは非常に難しい。個人的には△同歩と取るのが良いのではないかと思っている。むしろ誰か教えてくださいw
①▲7四歩△4一飛▲8二角△4五銀

苛烈な攻め合い。後手を持って自信はない。
(2)▲7五歩△同歩
▲7五歩にどう指すのかは非常に難しい。個人的には△同歩と取るのが良いのではないかと思っている。むしろ誰か教えてくださいw
①▲7四歩△4一飛▲8二角△4五銀
苛烈な攻め合い。後手を持って自信はない。
②▲5四銀△同歩▲7四歩△4一飛▲4五銀△9二角
この変化は一見上手く切り返したようだが、評価値はやっぱり先手がよい。
結局どの変化も、後手目線ではあまり良くないという結論になる。もちろん違う変化が眠っていたり、形勢判断が間違っている可能性もある。
しかし穿った見方をするなら、敢えて王位がこの将棋をチョイスしたのは、挑戦者を容易ならざる相手と見ている証左ではないか、と私は感じました。
こういうことを考えてみると観戦もまた面白くなりますよね。
さて、次回のテーマは久しぶりに「横歩取り」の予定です。