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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2020/3/22

日曜日に行います。
冷えると花粉症が楽です。


将棋小話 -ビジョンを描く-

今日は1手損角換わりのお話です。石田流の最後のテーマ?キガムイタラネ。

さて、アマチュア将棋では「角換わりが指したい」という思いだけで指されがちな戦法、それが1手損角換わりです。
しかし1手損角換わりを指す意味、というのを明確に表現することができれば、さらに面白く指すことができるかもしれません。
後出しじゃんけんのように、手損することで相手の手を見て、相性の良い形を作ることができれば理想です。しかし実際は、得した手番で早く体制を整えることができるメリットは、かなり大きいでしょう。ですから、1手損角換わりを主力とするためには、本来「構想力」が大事だと思います。

1手損角換わりには主に、①8手目角交換、②6手目角交換、③4手目角交換というパターンがあります。



まず①。これは初期の形で、現在のプロ棋戦ではほとんど指されていないと思います。これは当初、同形腰掛銀で△8四歩型を作るための工夫でした。



②の形。1手損角換わりは△8一飛+△6二金型の角換わりが出現してから、ほとんど指されていませんでした。しかしここ一年ほど、少しずつ復活の気配を見せています。②を指す代表格は糸谷八段。



③。こちらを良く指されるのは丸山九段です。というかこの御仁はこれしか指していないw

そして、どれを選ぶかは気分とかではなく、作戦によって決まります。
先手の作戦はというと、現時点ではほぼ早繰り銀がチョイスされています。手得を生かして攻撃体制を作り、一気に攻略する青写真があります。

例えば③の場合、後手はどう指すか。上図以下、
▲同銀△2二銀▲4八銀△3三銀▲6八玉△7二銀▲2五歩△6四歩▲7八玉△6三銀▲3六歩△5四銀▲3七銀△4四歩が一例。



先手は早繰り銀にすると、最速がこの図か▲6八玉+▲7七銀です。これは次に▲4六銀なら、△4五歩で(一応)追い払うことができます。(△5二金右▲3五歩△4三銀という受け方もある。この方が本流かも。)△3二金に1手費やしていると、先手最速に対して間に合わないのです。

折角なので、②のパターンで構想を練ってみましょう。初手から、
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8八角成▲同銀△2二銀▲4八銀△3三銀▲3六歩△4二飛



先手はやはり早繰り銀を狙いますが、△4二飛と意表の振り飛車に。△3二金型で振り飛車は違和感がありますが、もし▲3七銀としてくれるなら、「後出しじゃんけんが成功しただろう」というのが後手の主張です。以下、
▲3七桂△7二金▲7七銀△4四歩▲4六歩△6二銀▲6八玉△6四歩▲7八玉△6三銀と進めるのがまた虚をつく。



先手は角交換振り飛車に対しての陣を敷きますが、後手は一見意味不明。ちなみに△4四歩は必要で、省くと▲3五歩~▲4五桂のような仕掛けを与える可能性があります。果たして目指す形は何か?
▲4七銀△7四歩▲5八金右△5二玉▲9六歩△9四歩▲1六歩△1四歩▲5六銀△5四銀▲6六歩△4一飛▲8八玉△7三桂▲7八金△8四歩▲4八金△6二金▲2九飛△8一飛



さて、どこかで見たような陣形に仕上がっていないだろうか。序盤からの大立ち回りは、流行形の角換わりで、△8四歩型を作るため(だけ)に練られたビジョンだった!(ちなみに、作ったからといって得がどれぐらいあるのかはわかりませんw)

この手順を少し変えて△6三金~△6二玉とすれば、△8四歩型で右玉風味にすることもできます。工夫を加えれば、きっと色々な形に変化できるでしょう。

貴方の指したい局面は何ですか?

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