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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/11/28

日曜日に行います。

寒くなってきましたね。
私は季節の変わり目になると必ずと言っていいほど風邪を引きますが、皆様は暖かくして気を付けてお過ごしくださいませ。
ストーブの前で黙々と棋譜並べに勤しみましょう。。。


長期連載になっている青野流、今回は(8)△6二玉型。
横歩取りでは△7二銀型がベーシックになってから、△6二玉と上がる(或いは直す)形が時折見られるようになりました。後手の右側に美濃囲いがあるような感覚です。



青野流にこだわるなら自然なのは▲3六歩ですが、実は実戦例が一番多いのは▲9六歩です。順に解説しますが、この辺りは前例に引っ張られている感じもします。
今回はまず①▲3六飛を検討します。

上図からの指し手①
▲3六飛    △8四飛    ▲2六飛    △8八角成  ▲同 銀    △4四角
▲2一飛成  △8八角成  ▲9五角    △8九馬    ▲8四角    △7八馬
▲8二歩    △8三歩    ▲8一歩成



これを最初に持ってきたのは、通常と異なる変化が現れることと、かつて大きな舞台で指された順であるからです。名人戦の羽生vs佐藤天彦戦で出現した手順し、▲2六飛に対して後手は△8八角成~△4四角と強襲に出ました。
▲2一飛成では▲2四飛も有力で、甲乙つけがたい。
▲9五角はこの形の頻出手筋で、勢い駒の取り合いになります。さらに▲8二歩△8三歩▲8一歩成と、この上なく激しい展開となりました。
名人戦で指されているだけあって、これだけやり合っても形勢不明の難しい将棋です。

指し手②
▲9六歩



▲9六歩は▲7七桂と跳ねる準備。青野流にとって、9筋の歩突きはかなり価値が高い手です。また、最初に△6二玉型に相対した人間にとっては、「通常形と異なるから一度様子を見よう」という思考もあったでしょう。加えて、私も調べてみて判ったのですが、△6二玉型というのはパスされると意外に次の手が難しいところがあります。

上図からの指し手(a)
△9四歩    ▲3六歩    △8二歩    ▲7七桂    △7六飛    ▲3七桂
△5五角



△9四歩と挨拶を返すのは、先手の方が9筋の突き合いの価値が高そうなので指しにくい手ですが、実戦例があります(藤井vs西尾戦)。
▲3六歩に対し△8二歩は時折見られる先受けで、△5二玉型でも検討しました。基本的には△7六飛と回る準備。先手も▲7七桂~▲3七桂と両桂をジャンプする準備ができました。先に当たりをかわす△5五角でどうかですが、ウチのソフトは先手十分と評価しています。

そこで(a)△9四歩以外の手を考えてみましょう。
まず「なら先に△8二歩打っちゃおうよ」は、△8二歩▲3六飛△8四飛▲3八金となります。これは▲3六飛と引かれると△8二歩がひどい形で先手十分。
また△7六飛は、▲8四飛△8二歩▲3八金△2六飛▲2八銀…これも後手がかなり手損するような感じになり、先手十分。

よって(b)△2二銀、(c)△4二銀、(d)△7二銀を考察します。

指し手(b)
△2二銀    ▲7七桂    △5二玉    ▲3六歩    △2三銀    ▲3五飛
△8四飛    ▲3七桂    △3四銀    ▲8五飛



本譜も実戦例がある手順。
▲7七桂を見て相対的に△5二玉と戻すのは、自然なように見えます。先手はやはり▲3七桂とこちらの桂を活用しましたが、ウチのソフトは代えて▲6五桂を指摘しており、先手が指せると見ているようです。
本譜は△3四銀に▲8五飛とぶつけますが、ほぼ互角といえそうです。

(b)△2二銀は実戦例が何局か指されていますが、▲3六歩とつかず後で▲3六飛と戻るような進展も多くあります。例えば△2二銀▲9五歩△2三銀▲3六飛△8四飛▲3八金△5二玉…という将棋がありました。9筋の位を取られたり△2三銀を決めたのが後手にとってどれほど損なのかハッキリしませんが、少し面白くないような気がします。

指し手(c)
△4二銀    ▲3六飛    △7二銀    ▲8七歩    △8四飛    ▲2六飛
△2三歩



(c)△4二銀は中央を厚くした手。
普通の横歩取りの形と随分離れたので、ここまでされると▲3六飛と戻したくなります。以下上図まで進んで、果たしてどうか。さっぱりわからないというのが正直な感想w

指し手(d)
△7二銀    ▲7七桂    △4二金    ▲3六歩    △3二銀



△6二玉と関連するなら(d)△7二銀が一番自然でしょうか。
実戦例は▲7七桂に△9四歩ですが、▲3六歩△5五角▲6五桂は先手やや有利です。
そこで△4二金!が秘手。▲3六歩に△3二銀と上がれば、△4二銀型と違って角が自由です。
1局の将棋ですが、先手から2枚桂の仕掛けを与えなければ、▲7七桂型が重い形とは言えます。
ただし(d)△7二銀には▲7七桂の一手ではなく、▲3六歩にどう指すかはまた難しそうです。

結論として、▲9六歩型は不透明な部分が多いものの、有力という認識です。

指し手③
▲3六歩    △8二歩    ▲3八銀    △7六飛    ▲7七角    △2七歩
▲3七銀    △7五飛    ▲8四飛



自然に▲3六歩と突いたのは、豊島vs永瀬戦、前期の伝説の叡王戦の1局。
後手はやはり△8二歩と打っていますが、これなら▲9六歩を突いていなくても▲7七桂は可能です。これも有力だったと思います。
本譜は▲3八銀△7六飛▲7七角と進展。先手が無難に収めたという印象を受けます。
△2七歩は青野流でよく出てくる手筋。まだ▲3七桂と跳ねていない場合は、▲3七銀と受けるのが形です。

上図からの指し手
△2八歩成  ▲同 銀    △7七角成
▲同 桂    △5五角    ▲6六角    △2八角成  ▲7五角    △1九馬



実戦では後手が△4二銀と陣形を整えましたが、▲6八銀とされて先手が十分になりました。垂らした△2七歩があまり利いていない感じです。
ここでは△2八歩成▲同銀△7七角成▲同桂△5五角と踏み込めば難しかったでしょうか。以下飛車取りで▲6六角と返されますが、△2八角成から2枚替え。形勢は難解です。

指し手④
▲3六歩    △2六歩    ▲3八銀    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成
▲同 銀    △5五角    ▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成
▲2三歩    △3三桂



▲3六歩に対して、これまで見てきた△2二銀や△4二銀、△7二銀という手は、▲3七桂から攻められそうで指しづらいところ。しかし△2六歩や△7六飛、△8八角成といった手は考えられます。△5二玉型とどう違うのか、綿密な精査が必要です。
上図までは△5二玉型で出てきた進行と同一。▲2三歩までは定跡の進行でしたが、△6二玉型の場合は△3三桂で後手やや良し(▲2一飛が甘いため)。このように、△6二玉型が活きる変化もあります。
▲3六歩は一旦未解決とさせてください。

(8)△6二玉型は現れていない変化が多く、新たな可能性が潜んでいると思われます。これからまた実戦に出現するかもしれません。

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怯えたふりをしていた、それが嘘だと知っていながら

最近リアルでも「ブログにコメントして!」と言い回っている私。特に将棋の指し手に関して、「そんな手がありましたか!」とこた(仮が言ってしまうようなコメントを求めています。
ついS戸川にリアルで猛反撃してしまいましたが、めげずにまたコメしてくださいw

今日は歳末チャリティー将棋大会でした。

予選1局目はK川くんと対局。
戦型は角換わりで、お互い4筋と6筋の位を取り合う形。K川くんが自陣角を据えますが、私は後手番らしくカウンターを狙います。玉頭を継歩で突破し、こちらの攻めが厳しく続きました。自玉への反撃は手抜いて殺到し、○。

2局目はD肥くんと。
戦型は矢倉ながら、こちらだけ飛車先を切って作戦勝ち気味。すぐ具体的な優位に繋げたかったのですが、落ち着いて陣形を整備しました。しっかり固めて攻めを開始し、攻め切るか受けきられるかの将棋に。飛車取りを無視してガンガン行く手が成立し、こちらが優勢になります。粘りに対して手堅く押し切り、○。

3局目はM本さんと。
戦型は角交換型の相振り飛車に。こちらが序盤で手得したのを活かすため、棒銀と筋違い角で速攻を狙います。一気に食い破るとまではいきませんが、角で歩を回収しながら態勢を整えます。最終的に飛車先を破り、と金を寄せて攻めを繋いで○。

4局目はY田四段と対局。
私の四間飛車に左美濃で対抗されました。序盤はまずまずの体制かと思っていたのですが、調子に乗って駒を捌いたところあまり芳しくない。その後の▲5五歩(銀取り)を軽視していて、ビックリして△同銀と取ったのが悪手でした。最後は際どい攻め合いにまで持っていったものの、歩以外余らない長手数の詰みにピッタリ討ち取られて、×。

トナメは1回戦はシードを引き、2回戦。相手はN西六段。
戦型はN西さん十八番の1手損で、相早繰り銀になりました。一手一手が難しい将棋ながら、研究で類似形と比較したり有効な筋がわかっていたので、ある程度自信を持って指していました。盤上の駒を捌いて優勢になり、最後は一気の寄せ。かっこいい詰み筋が決まって、○。

準決勝はS戸川五段と。
S戸川のゴキ中に対して超速は、2人の間でよく指している将棋。仕掛けて角銀交換で駒得になり、一応成功したかと思いますが、継続手段には迷いました。本譜は飛車を取らせて、と金を使って攻めを繋ぎます。自玉も怖い形になるものの、相手の美濃囲いに殺到し○。

決勝戦、相手はH川さん。今度(プロの)新人王戦に出場する、新潟棋界の雄。
戦型は三間飛車に対し穴熊に。研究形で序盤はしっかり囲います。攻めの形の方をどうするかは迷いましたが、駒を全部使ってオーソドックスに本筋を目指します。戦いになってからはH川さんに誤算があったのか、竜を作りあったところは穴熊が堅く私が指せそう。押し切って○。

今日は研究を活かして、序盤を上手く指すことができていたかと思います。強い人が相手でも、しっかりした知識があれば自信を持って指すことができます。
このブログでいろいろと研究を書いていますが、ぜひコメントして一緒に序盤知識をさらに養っていきましょう!(露骨なコメ稼ぎ回)

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KKK 2021/11/14

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。

また、来週末はお休みとさせていただきます。


-帰ってきたエルモ-

いつぶりかの対三間飛車エルモ囲い講座、第3話…

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二飛
▲2五歩    △3三角    ▲6八玉    △4二銀    ▲7八玉    △9四歩
▲9六歩    △6二玉    ▲5六歩    △7二玉    ▲6八銀    △8二玉
▲3六歩    △7二銀    ▲5七銀右  △5二金左  ▲7九金    △5四歩
▲1六歩



上図が基本図で、ここから三間飛車側には4つの指し手が考えられると(1年以上前に)述べました。
(1)△5三銀  第1話・エルモ①
(2)△4三銀  第2話・エルモセブン
(3)△6四歩
(4)△1四歩

今回は(3)△6四歩に入る前に、(1)△5三銀で「後で取り上げる」とした変化を見ていきます。当初の構想では最後に持ってくる予定だったのですが、私の記憶整理の都合上こうなりましたw

上図からの指し手
△5三銀    ▲4六歩    △4二飛    ▲3七桂    △6四銀    ▲6六歩



▲4六歩~▲3七桂と攻めの形を作りますが、△6四銀は「好きにはさせん!」という姿勢。(第1話では△6四歩でした。)
対しては▲6六歩とし、歩越し銀には歩で対抗します。(ただし銀対抗する▲6六銀も有力です。今回は割愛。)

上図からの指し手①
△7四歩    ▲6五歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲6七銀
△6四歩    ▲7七桂    △7三桂    ▲5八金



△7四歩には▲6五歩とさらに歩を突きます。もし△7三銀引なら▲6六銀で位を支えられて、後手作戦負け気味。よって銀挟みにされるのは承知の上で、強く△同銀と取ります。
先手は2筋の突き捨てが大事な手で、単に▲6七銀だと△4五歩から暴れられてしまいます。
▲7七桂で銀を取る権利が生まれましたが、すぐに取らずに一度▲5八金と自陣に手を入れるのが呼吸です。

上図からの指し手(a)
△6三金    ▲8九玉    △8四歩    ▲6八金寄



△6三金は一見当然の手のようですが、実は疑問手。さらに悠々と自陣整備を進めて、先手が作戦勝ち。ひたすら固めて最後に銀を取ればOKです。
遮二無二攻めるだけでなく、こういった融通性の高さもエルモ囲いの魅力です。

指し手(b)
△4三飛    ▲8九玉    △8五桂    ▲6五桂    △同 歩    ▲8六歩
△3五歩    ▲2六飛    △8七桂    ▲8五歩    △7九桂成  ▲同 玉
△8七金    ▲3五歩



ということで△4三飛が有力手。飛車を横に使うつもりです。
△4三飛に▲6五桂も考えられ、以下△同歩▲6八金寄△4二角▲4五歩△3三桂▲4四歩△6三飛が一例で、いい勝負です。
▲8九玉には△8五桂!が鬼手。▲同桂なら△8四歩で桂を取り返して後手よし。
上図まで盤面全体で戦いが始まり、形勢は難解。お互い力が出せる展開です。

指し手②
△5三銀    ▲6五歩    △6四歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲5八金
△6五銀    ▲3五歩    △3二飛



振り飛車の秘手として、△6四銀▲6六歩に△5三銀と引っ込む手があります。何をしているかわからないようですが、▲6六歩を見て後手番らしくおとなしくしようという構え。
次に△6四歩とされると先手は打開に苦労するので、やはり▲6五歩と伸ばします。そして△6四歩と反発することになり、小競り合いが始まりました。
△6五銀には▲6七金とする手も自然で、以下△4三飛で互角の将棋。ただのちに△6六歩と叩かれそうなのは気にくわないところです。
そこで▲3五歩でさわやかに攻める手を本譜としました。

上図からの指し手
▲2四歩    △同 歩    ▲2五桂    △同 歩    ▲3四歩    △4二角
▲2五飛    △3四飛    ▲6五飛    △3八飛成  ▲4八金



▲2四歩△同歩と突き捨てを入れて、▲4五歩と行くのが普通の指し手。この方(▲4五歩)が本筋なのですが、▲2五桂という奇手も存在します。
以下先手は銀を取り、後手は飛車を成ることに成功しました。形勢は難解です。

今回は三間飛車側にとっても有力な指し方であり、居飛車目線では反撃も受けますが、きっぱりとした攻めが続くのが本エルモ囲い講座の魅力です。(1年以上前のことだからお忘れだと思いますが、それがテーマとなっていました。)
最近の対抗形の将棋は、難解なねじり合いになることも多いですからね。

拍手が3つ以上ついたら続きます!

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KKK 2021/11/7

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。




青野流(7)△5二玉型最終章。

指し手④
△8八角成  ▲同 銀    △5五角    ▲7七角    △7六飛



単に④△8八角成~△5五角と打つ変化を調べていきましょう。
△2六歩▲3八銀の交換が入った変化と違い、これには▲7七角と合わせるのが有力と言われています。△7六飛と寄れば▲7八金が浮いているので、先手は角を動かすことができません。

指し手④-1
▲2二歩    △同 角    ▲3七桂    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩



▲2二歩は散々出てきた一発ですが、今回はあっさり△同角と払ってしまいます。△7四飛とぶつけてサッパリさせてしまえば目標物がなく、先手が不満。
これが今まで△5五角に▲7七角の合わせが出てこなかった理由なのですが…。

指し手④-2
▲2八歩    △3三角    ▲3七桂    △7五飛    ▲8四飛    △8二歩
▲3八銀



今度は▲3九銀の形なので、▲2八歩と普通に受ける手が利きました。この方が先手陣がしっかりしています。
以下はゆっくりした流れになりますが、駒の伸びがよい先手が十分です。

指し手⑤
△4二銀    ▲3七桂



⑤△4二銀は玉を引き締めて、味が良さそうな手です。ただし△3二金が浮くので、△5二玉型では注意が必要です。

指し手⑤-1
△8八角成  ▲同 銀    △3三銀    ▲3五飛    △4四角    ▲7七角
△7六飛    ▲2五飛    △2四歩    ▲8五飛    △8二歩    ▲3八銀



▲3七桂には、▲4五桂が来る前に⑤-1△8八角成と角交換するのが第一の手段。
△8八角成で△7二銀などとすると、▲4五桂△8八角成▲3二飛成と踏み込み、ウチのソフトは先手有利と判定しています。△8八角成に対しても▲3二飛成は、△7八馬▲同銀△3一金で後手指せそう。
後手は△3三銀~△4四角と打つのが狙い。▲2五飛では単に▲8五飛とした実戦もあります。また本譜の最後、▲3八銀では▲6六歩と強く指した将棋もありますが、これは△7七飛成▲同銀△9四角と王手飛車をかけて後手がやや良いでしょう。
上図まで進むとハッキリしない将棋で、ほぼ互角と思います。

指し手⑤-2
△2三金    ▲3五飛    △5一金    ▲3八銀    △8四飛    ▲2五飛
△2四金    ▲2九飛    △8八角成  ▲同 銀    △3三桂    ▲4六角
△3五歩    ▲2五歩



⑤-2△2三金と浮いている金をかわしつつ、飛車を圧迫するのが第二の手段。昨年度の名局賞、藤井vs松尾戦がこの将棋でした。あの▲4一銀とタダ捨てした将棋です。
△5一金~△8四飛は不思議な感触ですが、ソフトの最善とも一致(当然プロは研究済み)。他にも有力な手はありそうに感じるところです。後手は基本的に▲3七桂を攻めようとしているらしく、△3三桂~△3五歩で難解な戦いに突入しました。
実戦は上図以下、△3六歩▲2四歩△3七歩成▲同銀△4五桂…と切り合いに。上図からのは△1五金も考えられ、▲3五角△2五桂▲4六角△2七歩のような展開が予想されます。形勢不明。

指し手⑥
△7四歩    ▲3七桂    △2三金    ▲3五飛    △3四歩    ▲2五飛
△2四歩    ▲4五飛



⑥△7四歩は新しい手。パッと見ただけでは意味がわからないので、まずは実戦譜を追っていきましょう。
▲4五飛では▲2九飛も考えられそうですが、まだ未知数の将棋で分析不能。

上図からの指し手
△8八角成  ▲同 銀    △3三桂    ▲4六飛    △5五角    ▲8七銀
△同飛成    ▲同 金    △4六角    ▲同 歩    △7九飛    ▲8八金
△4七銀    ▲同 玉    △4九飛成  ▲4八銀打   △2二金



△8八角成~△3三桂でようやく意図が見えてきました。△7三桂と跳ねることができるので飛車が狭く、飛車取りに△5五角や△4四角と打つ狙いです。
取り返した飛車を△7九飛と打ち、△4七銀~△4九飛成は一見後手好調を思わせる手順。しかし最後の△2二金で、例えば△5八金と攻めを継続すると、▲2一飛と打たれて逆に先手よしのようです。
上図は形勢不明で、今後指されるかは判りかねます。

いろいろな変化を見てきましたが、△5二玉型はどちらも一歩も退かず激しくなることが多いです。実力者かバトルジャンキー向けと言えるでしょうw

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若々しさ、解き放つ

※私のことじゃないです。

今日は福井市長杯が行われました。県外からの参加が沢山あって、盛況な大会でした。(理由はわからないが)学生が活躍することが多く、若手の登竜門的な大会でもあります。

予選1局目はY田四段と対局。
戦型は角換わり。相早繰り銀となりましたが、継歩から手筋の反撃で形勢はややこちら良し。歩頭に銀打ちで露骨に攻略を図ります。「玉は包むように寄せよ」を忠実に実践し、○。

予選2局目は石川県のT村くんと。あわらの大会にもよく来てくれています。
戦型は矢倉vs雁木。T村くんが4筋から盛り上がってきたので、そこから反発。角交換になって敵陣に角を打ち込んで優勢になりました。手堅く押し切って、○。

予選3局目はS川三段と。
これも矢倉vs雁木に。やはり4筋で戦いとなりましたが、銀桂交換の駒得が大きく私が指せる将棋だったでしょうか。飛車は取られるものの角2枚で敵陣を攻略し、○。

予選4局目はH本くんと。
H本くんのゴキ中に対し、超速を選択。ただ銀が出ていくタイミングが遅かったので、△4四歩型で対抗されました。2枚銀を前線に繰り出し、上手く相手の銀を捕えて優勢に。最後は自陣を安全にして、○。

予選5局目はS水さん。おそらく県外の方。
戦型は私の角頭歩戦法。角交換振り飛車の1種です。お互い仕掛けのタイミングを図り、お互いが主張を通すような展開に。飛車を成ることに成功して優勢になります。自玉の堅さを活かしてガンガン攻め、○。

トーナメントは、全勝特典でシードをGET。
まずはO滝六段と対局。朝日に続いての対局です。
戦型は中飛車。O滝さんの位取りに対し積極的に反発しますが、手厚い指し回しに好形を得るまでは至らず、穴熊に組み替えてチャンスを待ちます。銀のタダ取りを目論むものの切り返され、やはり自信が無い展開。なんとか攻め合いに持ち込み、相手陣を必死に切り崩します。最後は上手く穴熊の遠さが活きて、○。

準決勝はM越Jr.五段と。当たるときはよく当たります。
戦型は私のダイレクト向かい飛車。筋違い角を打たれる変化になり、△9六角と歩を取って角をタダ捨て!(部分的にはある手ではある)端を破りましたが、駒損なので慎重に攻めを組み立てます。何が最善かはよくわからなかったものの、リードしてからはそれをなんとか維持した感じ。自陣への攻めを余しつつ寄せに転じて、○。

決勝戦、相手はH爪くん。石川県の中学生で、以前指したことがあった気がします。しかしまさか決勝まで来るとは…
戦型はH爪くんの△3三角戦法スタートから力戦相居飛車に。私は角換わりの引き飛車の形で、相手は銀冠。攻めを催促して、と金を作れる形なので良くなったかと思っていたのですが、その攻めが思いの外うるさく、逆に自信がありません(と金を作るところで大長考したものの、良い展開がわからなかった)。その後飛車を横に捌いてきましたが、どこかで王手して私の玉を下に追っておくべきだったと思います。飛車の横利きを止めて玉が安全になり、こちらからも攻めに出られる形に。最後は銀冠を崩すことに成功し、○。

若さはパワーですね。
でも一番若いのは夕食でカツ丼にコロッケを追加していたM越くんかもしれない。(私にはもうW揚物は無理です…w)

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忙殺ステルス

心を亡くすって書いて、忙しい。

珍しく土曜に遅くまで仕事に従事していたため、ぷぇ~ という感じで迎える今日は、あわら市将棋大会でした。
会場が選挙の投票所にもなっていましたが、特に不便もなく大会は進行できたかと思います。

A級の予選リーグは3組にわかれて。
1局目はS水娘さんと対局。師匠の娘さんです。
戦型は相振り飛車。積極的に飛車をぶつけて飛車交換になりましたが、成立しているかは微妙なところ。ただS水さんに緩手があり、こちらへの攻めが続かなくなりました。手厚く指し切りに持ち込み、○。

2局目はY本五段と。The常連。
戦型は対三間に桂を使った急戦形。4筋の歩がぶつかった後、お互いに自陣を整備するのは呼吸です。私はエルモ囲いにしてから打開しましたが、ちょっとこの辺りはセンスが無かったような気がします。飛車を成ることができたものの、△9九角成と香を取られては混戦模様。ただ▲8八銀とりつけた手に対し、△9八馬が悠長だったのではないかと思います。玉のラインを狙った自陣角の方が働きがよく、やや先手よし。最後は少しもたつきますが、寄せ切って○。

3局目はT山三段と。この前の王将リーグで、中1にしてシードを獲得した子です。
戦型はダイレクト向かい飛車。角交換振り飛車系は、たぶん苦手にしている子が多いのではないかと思う(別に若手が知らなそうな戦型を選んでいるわけではないが)。3筋から動いて一本取ったような感じで、一気の攻略を狙います。しかしT山くんの▲3三歩に△同桂とさせてから、反対に▲5三桂成と捨てたのが上手く、私は全く読んでいませんでした。そこからは盤面全体でねじり合いになりますが、と金を作ってなんとか寄せれる形を築きます。踏み込んで一手勝ちになり、○。

4局目はK川くんと。M川副会長の秘蔵っ子。
戦型は横歩取り。私の作戦は青野流です。知らない変化になり緊張が走りますが、隙ありと見て▲4五桂と跳ねだします。実際かなり厳しい攻めになっていたと思います。相手陣に竜を作ってガンガン攻め、○。

トーナメントは一回戦シードで、準決勝から。
相手はM越Jr.五段。今回は全駒されないように気を付けます…という弱腰でスタート。
とりあえず序盤で大差にされないために、振り飛車を選択。5筋位取り中飛車に一直線穴熊で、相穴熊になりました。M越くんに飛車を成られるものの、こちらも上部から手を作り、難しい形勢だと思っていました。ただ彼はどうも形勢を悲観していたようで、竜を切って食いつく勝負手を決行。しっかり読みを入れて、攻め合いで速度勝ちを狙います。と金の食いつきを手抜いて寄せに出て、○。

決勝戦。相手はM渕さん。なんと滋賀県にご在住ですが、よく福井に来られて大会に参加されています。
戦型は相掛かりですが、相手の作戦は耀竜ひねり飛車?(大橋さんの著書を読んでないので、正確なところがわかりません)というわけで正直フィーリングで指していましたが、分かれは一本取ったように感じていました。ただ具体的な戦果を得るために打った△8六飛が疑問手だったか、進んでみると自信がない展開に。開き直って攻めますが、▲6五桂打が先に詰めろ。しかしこれは一手バッタリで、王手しながらこの桂を抜くことに成功します。そのまま形作りをされて終局となり、○。
▲6五桂打で▲2一馬の詰めろだと、負けだったかもしれません。

優勝を決め、こた(仮の心の安寧は保たれた!w

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-矢倉vs雁木の攻防-

今週末はKKKをお休みさせていただきます。
ぜひ日曜のあわら市将棋大会にご参加ください。(仕事でフラフラのこた(仮を狩るチャンスですw)

雁木が△6三銀型にアレンジされて復活した当初、矢倉と雁木のマッチアップはプロでも課題となる将棋でした。しばらくして、先手(矢倉)側がより積極的に攻めることのできる将棋が模索されたこと、角換わり~相掛かりの将棋が主流になったことにより、矢倉vs雁木の将棋は姿を消すことになります。

しかし、最近ボチボチとこの将棋が復活傾向にあります。
しかも、雁木に対して敢えて矢倉を選ぶ、矢倉に対して敢えて雁木を選ぶという反する状況が混在しており、お互いの主張がぶつかるような面白い状態になっています。このまま「どちらを持っても指せる将棋」としてさらに局数が増えるのか、それとも「こちらの方が指せそうだ」となって消えるのかは、興味深いところです。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲7七銀    △6二銀
▲2六歩    △4二銀    ▲2五歩    △3三角    ▲4八銀    △3二金
▲7八金    △4四歩    ▲7九角    △4三銀    ▲6九玉    △7四歩
▲3六歩    △5二金    ▲5六歩    △7三桂    ▲5八金    △6四歩



序盤で矢倉vs雁木の将棋に落ち着くまでには、様々な手順を経由する可能性があります。△5二金ぐらいまでで大体合流し、骨格が出来上がります。(次の△7三桂を先に指すかどうかぐらい。)
先手の▲5六歩~▲5八金は省略して早繰り銀や棒銀に出る作戦もありますが、序盤早々のわかれで▲5八金と上がる手順もあるので、一応上がるもののとして話を進めます。
また、先手には▲2四歩から角を交換する権利がありますが、これは基本的にはバランスが良い雁木側が得だと見られています。
△6四歩は分岐点。他には△5四歩や△8五歩、△4二角などが考えられます。

上図からの指し手(1)
▲3七銀    △5四歩



まずは▲3七銀から先手が足早に仕掛ける将棋を見ていきます。
雁木側は矢倉側の動きに乗じて、反撃を狙います。このときに△5四歩や△8五歩、△4二角、△6四歩の組み合わせによって、どういう反撃をするかが変わります。△6四歩~△5四歩はその準備ですが、これはむしろ珍しい組み合わせ。

上図からの指し手①
▲3五歩    △同 歩    ▲4六銀    △3六歩
▲2六飛    △5五歩    ▲同 銀    △5七歩



早繰り銀に対して、もし△5四歩型なら△5五歩▲同歩△4五歩から△5五角と捌いたり、△8五歩型なら△8六歩▲同歩△8五歩の継歩、△4二角型なら△6四角などが反撃の手段となります。
本譜は△6五桂を狙っており、△5七歩に金を逃げることができません(△1五角がある)。形勢自体はいい勝負です。

指し手②
▲6六歩    △8五歩    ▲6七金右  △4一玉    ▲3五歩    △同 歩
▲同 角    △8六歩    ▲同 銀    △4五歩    ▲7七銀    △6五歩



次に▲3五歩△同歩▲同角と歩交換する手を検討します(一旦▲6六歩~▲6七金右と自陣整備)。自然と矢倉城への開門もできるので、やってみたい手です。
しかしやはり仕掛けのその瞬間、後手は動く。ちなみに△4一玉で△6三銀としていると、▲3五同角に△4五歩が突けなくなって失敗します。
△6五歩とした上図までの進行は、後手がペースを握っているといえるでしょう。

指し手(2)
▲6六歩    △8五歩    ▲6七金右  △6三銀    ▲9六歩    △9四歩



というわけで、先手が血気盛んに攻めようとしても、かえって後手に攻められてしまうことがわかりました。では、じっくり指す順はどうでしょうか。
▲9六歩△9四歩の交換は、矢倉側が得になっているとみて先手が突くことが多いです。
上図から先手には①▲6八角、②▲3五歩、③▲4六角が考えられます。

上図からの指し手①
▲6八角    △4一玉    ▲7九玉    △5四歩    ▲3七銀    △4二角
▲3五歩    △同 歩    ▲同 角    △8一飛    ▲3六銀    △6五歩
▲同 歩    △同 桂



▲6八角は矢倉に組む手順としては自然な一手。しかし結局▲3七銀とするぐらいしか、指す手が無くなってきます。(代えて▲8八玉とか▲3七桂は指せるものの、△4二角~△8一飛~△3一玉~△2二玉~△1四歩とする間に結局▲2四歩と行くことになって、矢倉側が失敗するのが初期のパターンだった。)
後手は▲3六銀とコビンが開いた瞬間、△6五歩▲同歩△同桂と戦端を開きます。

上図からの指し手
▲6八銀    △6四角    ▲1八飛    △3四歩    ▲2六角    △8六歩
▲同 歩    △同 角    ▲8七歩    △6六歩    ▲同 金    △6八角成
▲同 玉    △8六歩    ▲同 歩    △5七銀



まずは銀をどこに逃げるかですが、▲6六銀は△8六歩▲同歩△同角が角成の先手になっているので後手指せる。
▲6八銀には桂損を恐れない△7五歩なども有力ですが、本譜のように強攻しても後手がいけそうです。上図は後手優勢。

指し手②
▲3五歩    △同 歩    ▲同 角



単に▲3五歩の歩交換を考えます。今までと何が違うのでしょうか。

上図からの指し手(a)
△8六歩    ▲同 銀    △6五歩    ▲5七銀    △6六歩    ▲同 銀
△6五歩    ▲7七銀右



後手はやはり仕掛けられたところで反発するのが常道です。△8六歩▲同銀△6五歩と反撃しますが、今度は▲5七銀と応援を送ることができます。△6五歩と位を抑えられるものの、▲7七銀右と引いた形が堅い陣形となりました。△8五歩に▲9七銀を用意して9筋の端も活きています。部分的にタイトル戦にも現れた変化で、以前はこれで先手が十分という認識だったのですが…

指し手(b)
△4二玉    ▲7九玉    △8一飛    ▲3七銀    △8六歩    ▲同 歩
△8五歩    ▲同 歩    △9五歩    ▲同 歩    △8五桂



△4二玉は私の実戦で指された手(局面全体では多少異なる)。相手は当時プロを連破するようなアマ強豪でしたので、研究があったのだと思われます。
普通雁木は△4一玉が基本で、△4二玉型ですと角を引けない、相手の角に当たりやすい、3筋からの攻めに当たりがきつい(しかも仕掛けられた直後のタイミング)など、デメリットが多く目につきます。しかし続いて△8一飛とすることで、下段飛車の利きを通すのが急所の形のようです。
私の実戦では△4五歩~△6五歩とされて攻め合いになり、対局中は互角かと思っていましたが、結局こちらが良い局面は最後まで現れませんでした。
本譜は継歩からの攻めで、のちに角道を通して後手十分。交換した歩を逆用されることが多く、3筋交換は現状先手がつまらないと考えています。

指し手③
▲4六角



▲4六角と出るのが最近よく指されている手です。一見相手の攻めを牽制しただけの手に見えますが、実は積極的な構想を秘めています。

上図からの指し手(a)
△8一飛    ▲7九玉    △4一玉    ▲5七銀    △5四歩    ▲5五歩



▲5七銀と上がった形は、いわゆる総矢倉。▲3七銀型と違って、必ず銀が遊ばないのは長所です。
△5四歩で△3一玉などの手は、▲5五歩△4五歩▲3七角△6五歩▲5六金が一例で、位を活かしながら指しまわすことになります。
本譜の▲5五歩はただの歩交換に見えて何気無いようですが、実は緊張が走る局面です。

上図からの指し手
△4五歩    ▲3七角    △5五歩    ▲4六歩    △5四銀右  ▲4五歩
△同 銀    ▲7五歩    △8四飛    ▲2六角    △4四歩    ▲3七桂
△3六銀    ▲4六銀



後手にとっては手に乗って指し良くできそうに見える局面、△4五歩は指してみたい手の1つです。他に△5五同歩▲同角△5四銀左と指すのは、▲3七角△4五銀▲3五歩△同歩▲4六銀で先手が指せそう。
本譜は力のこもった戦いが続きます。いい勝負。

指し手(b)
△4一玉    ▲7九玉    △5四歩    ▲5七銀    △4二角    ▲5五歩
△同 歩    ▲同 角    △5四銀右  ▲3七角    △3五歩    ▲同 歩
△3六歩    ▲2六角    △6五歩    ▲3四歩



△8一飛を△4二角に変更すると、5筋交換のときに△5四銀右と上がる変化が生じます。本当は▲5五歩の前に▲1六歩△1四歩の交換を入れたい(△4五銀などに▲2六飛と受けることができる)のですが、手抜かれる可能性もあります。▲1六歩△3三桂▲8八玉△8一飛▲2四歩△同歩▲同飛…が一例。
本譜で△5四銀右▲3七角に△4五銀と出られた場合は、▲5六銀と強く戦うことになりそうです。後手は角筋を逸らすことで△6五歩を実現しますが、総矢倉も堅くほぼ互角の戦い。

指し手(c)
△8一飛    ▲7九玉    △6二玉    ▲1六歩    △4五歩    ▲3七角
△5四銀左  ▲5七銀    △1四歩    ▲8八銀    △7二玉    ▲7七桂
△6二玉    ▲8九玉    △7二玉    ▲4六歩



最後に後手が右玉に構える指し方を紹介します。△6三銀型の雁木は右玉と互いにシフトできるので、相手の陣形に合わせて使い分けることができればベストです。
右玉に対しては▲1六歩が、△5四銀左~△4五銀を防いで必要になります。
▲5七銀に対し△6五歩と仕掛けるのは、▲同歩△同桂▲6四歩△7二銀▲6六銀右△7七桂成▲同桂と盛り上がって先手よし。よって既に右玉側に有効な指し手がなく、▲8八銀~▲7七桂~▲8九玉と組み替えることが可能です。これは菊水矢倉と呼ばれる囲いで、右玉に対して有力な形といわれています。(ちなみに以前は雁木にも菊水矢倉に構えることがあったが、現状では雁木側が十分に指せると思われている。)
右玉側は後手番ということで玉を動かして待機。例えば△8六歩と歩交換すると銀冠に組み替えられてしまいますし、△4一飛は▲8五桂△同桂▲8六歩と技を使われて先手やや有利。
しかし満を持して▲4六歩とされた局面は、既に先手の駒組み勝ちといえるでしょう。対右玉は最善を尽くすと矢倉側が指せると思いますが、危険も多く右玉側がやけに上手くいくパターンも多いです。

私見で現時点での結論を述べると、形勢互角ながら、後手の作戦としては雁木が成功していると見ます。
プロの将棋でも、雁木は後手番の作戦として確固たる地位を築いています。(対矢倉に関わらず。)今回は雁木全体の動向までは語りませんが、これからも要注目の戦型でしょう。

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負けたときのブログのタイトルを最初から考える奴があるかよ

朝日アマ名人戦福井県大会が、23日に行われました。今回は会場の都合で土曜日の開催となりました。
A級のベスト4は、北陸大会への出場権を得ます。また今年最後の県タイトル戦でもあり、しばらく無冠が続いている私としては優勝を目指したいところです。

私は予選をシードで、その辺で誰か捕まえて将棋をしたり、フラっと観戦をしたり、大会の運営をしたり。「あれ、こた(仮くん大会出てないの?」こた(仮「出ようとしたらダメって言われましたw」

トーナメント一回戦、O滝六段と対局。
戦型はO滝さんの1手損角換わり。私の早繰り銀は最も一般的な選択です。労せず歩を切って先手ペースの序盤となりますが、これがいつものO滝さんペース。銀冠に組んで、どっしりと構えます。自玉方面で嫌な手の付けられ方をされますが、反撃の▲2四歩(銀冠の銀取り)もいいタイミングで入ります。王手飛車の筋を見せつつ自陣周りをさっぱりさせて、優勢になりました。最後は迫られて危なくなりますが、一手の余裕を活かして寄せ切ります。○。

二回戦、M越Jr.五段と。勝つとベスト4の1局。
戦型は相掛かり。M越くん独自の5段目ひねり飛車?は予想された作戦でした。ただその後ゆっくり目の展開になったのは意外な感じ。激しい変化が回避されたと思っていたので、ちょっと気持ちが緩んでいたかもしれません。積極的に桂をさばいてこられましたが、桂交換になるぐらいだと高を括っていました。桂を取り返さず、▲7六飛がM越くんの好手。ようやく事の重大さに気付いたものの、既に突破されています。8手後の▲8三歩で投了も考えましたが、一応指す。100手差で×。

最近負けた将棋は序盤早々に悪くしていることが多いので、ちょっと改善が必要ですね。ここまで一撃が致命傷になることは(アマレベルでは)滅多にないですが…

A級の結果。
①2438六段:三冠王。今年も出場した大会は全て制覇。
②W塚五段:アマ選手権覇者。1位の人のせいで目立たないが、完全に2強。
③M越Jr.五段:全駒しない優しい子。
③K下五段:(本人に許可を得ていないので、何がとは言わないが)何かがおかしい。

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KKK 2021/10/24

日曜日に行います。
土曜の朝日アマの結果如何で、こた(仮のテンションが変わりますw


青野流の(7)△5二玉型続き。今回は③△2六歩と垂らす変化を見ていきましょう。

指し手③
△2六歩



△2六歩には③-1▲3七桂、③-2▲3八銀、③-3▲2八歩が考えられます。

指し手③-1
▲3七桂    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成  ▲4五桂    △7六飛
▲8七銀    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲8二歩    △同 銀
▲5五角    △6四角



まずは△2六歩を受けず、③-1▲3七桂と攻め合いを目指す指し方を考えます。昔気楽なネット将棋とかでよく指されていました。
△8八角成では△7六飛と取った前例もありますが、▲7七桂でどうか。本譜の方が自然というか、やはり歩を成りたいところでしょう。
以下飛車交換になり、実戦では▲8二歩と打ちましたが、これは上図まででやや後手有利と思われる進行。他に良い手順があるかどうか、難解な将棋です。
③-2▲3八銀の方が主流。

指し手③-2-1
▲3八銀    △7六飛



▲3八銀には③-2-1△7六飛と③-2-2△8八角成が有力です。
さらに△7六飛には③-2-1-1▲7七角と③-2-1-2▲3三角成が考えられます。

指し手③-2-1-1
▲7七角    △同角成    ▲同 桂    △5五角    ▲2二歩    △3三桂
▲2一歩成  △4二銀



▲7七角では▲7七桂も一応ありますが、今度は△2六歩を利かされているので、△5五角で面白くないでしょう。▲7七角には部分的に前回取り上げた手順で進みます。▲7七角型に△2二同角はやはり利かされです。

指し手③-2-1-1-1
▲2三歩    △同 金    ▲8四飛    △4五桂    ▲8一飛成  △7七角成
▲同 金    △同飛成    ▲6八角    △6六桂



分岐がエグいことになっていますが、頑張ってお付き合いくださいw
▲2三歩△同金を入れてから▲8四飛と回るか、単に▲8四飛と回るかの2択。▲2三歩△同金を入れたのはタイトル戦、渡辺明vs佐藤天彦の棋王戦で指された手順です。
▲8四飛に対して、ようやく△2六歩と▲3八銀の交換を入れた成果が出ます。つまり、△4五桂が△3七歩を狙っているので、▲6八銀と受けることができません。▲8一飛成と攻め合いますが、最後の△6六桂が素晴らしい一着。
超難解ですが、先手が指しきれないと言われています。

指し手③-2-1-1-2
▲8四飛    △4五桂    ▲8一飛成  △7七角成  ▲同 金    △同飛成
▲7八歩    △6六桂    ▲4八玉     △6七龍     ▲6四桂



よって単に▲8四飛が最善か。対して同様に△4五桂と跳ねると、上図まで進みます。
何が違うかというと、▲6四桂に△4一玉と逃げられないこと(▲5二角で即詰み)。▲2三歩△同金が入っていたら逆に後手玉が広くなっており、逃げられてしまうところでした。
▲6四桂に△同歩は王手飛車ですし、△6二玉や△5一玉は▲8三角で寄り筋となります。

指し手③-2-1-1-3
▲8四飛    △8二歩    ▲7二歩    △同 銀    ▲8二飛成  △7四歩
▲8七龍    △7五歩    ▲6五桂



以上の理由で、▲8四飛には△8二歩と受けることとなります。△1九角成を防ぐのが難しく困ったようですが、▲7二歩が意表の一着。対して△同銀も意外です。△7二同金は今度こそ▲2三歩が利き、△同金なら▲3二角が厳しい手(△2六歩のせいで△2二歩と受けることができない)。▲2三歩に△4五桂は▲2二歩成△3三金▲6八銀△3七歩▲同桂△同桂成▲3一と寄で、壁金が痛く先手一手勝ち。
よって虚々実々の応酬を経て、上図まで進みます。形勢不明の熱戦。

指し手③-2-1-2
▲3三角成  △同 桂    ▲8四飛    △8二歩    ▲7二歩    △同 金
▲2四飛    △2七歩成  ▲同 飛



△2六歩▲3八銀△7六飛には、③-2-1-2▲3三角成も有力そうです(ただし実戦例はなし?)。
▲7二歩△同金と壁金にさせてから▲2四飛と戻るのが上手く、△2二銀とすれば▲2一角でツブれ。
上図からは△2六歩~△2五歩から△5五角を狙うのが考えられ、いい勝負です。

指し手③-2-2
▲3八銀    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成  ▲同 銀    △5五角



今度は▲3八銀に③-2-2△8八角成を見ていきます。
△2七歩成で形を乱してから△5五角と打ちます。△5五角に▲8七歩と打つと、△7六飛▲7七銀△7四飛で後手やや有利。
実戦では③-2-2-2▲8七銀が指されていますが、まずは③-2-2-1▲7七角はどうでしょうか。

指し手③-2-2-1
▲7七角    △7六飛    ▲2二歩    △3三桂    ▲2一歩成  △4二銀



部分的には今まで出てきた順ですが、形勢不明。個人的には▲7七角があまり利いていなくて、理屈上は後手勝ちのような気がします。

指し手③-2-2-2
▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成  ▲2三歩    △3三馬
▲3五飛    △2三馬    ▲8二歩    △同 銀    ▲2四歩    △3三馬
▲5六角    △4二銀    ▲8五飛



ということで▲8七銀と受けるのが有力。この変化は、数日の間にポンポンと同じ手順が何度も出現し、▲2三歩と打ったのが名人戦の佐藤天彦vs羽生戦で出た改良手。名人戦では△4四馬と引きましたが、△3三馬の方が有力と言われています。これまた難解ですが、先手が指せると見られているのか現在は指されていません。
▲5六角~▲8五飛が上手い手作りで、△7二金なら▲8三歩△7一銀▲8四飛打で先手よし。
ただ△3三馬では△3三桂のような手もあり、また実戦で現れる可能性もあります。

最後に△2六歩に③-3▲2八歩を検討します。これは藤井二冠が指した手です。

指し手③-3-1
▲2八歩    △7六飛    ▲7七角    △同角成    ▲同 桂    △2七歩成
▲2四飛    △2二銀    ▲2七飛



本譜は藤井vs村山戦。
後手は角交換してから△2七歩成としましたが、▲2四飛から治める順がありました。形勢は互角。

指し手③-3-2
▲2八歩    △2七歩成  ▲同 歩    △8八角成  ▲同 銀    △5五角
▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成  ▲2四飛



先に△2七歩成なら▲同歩と取るぐらい。
そこで△7六飛とすると、▲7七角△同角成に今度は▲同金と取る手が有力。以下△7四飛▲同飛△同歩▲2八角打△7三角▲8三飛とし、竜を作ってゆっくり指す流れ。先手十分と思います。
△8八角成~△5五角は▲3八銀型でも出てきましたが、今度は▲2三歩とできません。しかし▲2四飛とすれば意外と受け方が難しく、先手が指せそうです。(△2二銀は▲8八角で馬を消して先手よし。△2二香は▲3八銀型と違って串刺しにならない。)

次で△5二玉型を一気に終わらせたい。(願望)

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