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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2022/1/15

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-将棋における「環境」の重要性について-

藤井四冠がデビューしてほどなく、彼がまだ中学生の頃だったと思いますが、あるインタビューで「貴方は努力の人ですか、それとも才能の人ですか?」などと聞いた人がいました。さすがに「ハハハ、僕は才能の塊ですよ」なんて嫌味なく答えれるわけはなく、中学生に対する質問としての是非はありますが、当時の藤井くんの回答は予想を軽く超えてきました。

「僕は環境に恵まれたと思います」

普通彼ぐらいの年なら、自分が今までしてきた努力をクローズアップしたくなるはずです。約10歳違う永瀬王座なんて「将棋は努力が全てです」と言ったのですから。
身を置いている環境の大切さは、私も年を経ることに強く意識するようになりました。しかし、学生の頃は反骨精神か否か、自分がどれだけ努力するかが本質だと思っていました。「自分はこんなに頑張ったから強いんだ」と言いたくなるのもむべなるかな、ということです。
だからあのコメントに私は内心、神か此奴…ぐらいのインパクトを受けました。

将棋において、身近にいつでも指せるライバルがいるとか、将棋の本をいつでも買ってもらえるとか、良い指導者に巡り合えるなんてのは、当たり前のものではありません。ネットで情報格差が無くなったと言われて久しいですが、実際は環境要因で知識を吸収するチャンスは大きく違います。
イチローが、「僕は子どもの頃毎日バッティングセンターに通って、誰よりも努力していた」と言っていましたが、そもそも子どもが誰でも毎日バッティングセンターに通える環境にあるでしょうか。

また、身を置く環境によって、その人の目指すレベルは確実に変わります。
私が「最近はたまに30何手詰の詰将棋を解くよ」と言うと、「それってもう趣味のレベルじゃん」とよく言われます。そんな詰将棋は実戦に必要ないという意味です。たしかに、今の私がそれをやってもあまり意味はないかもしれません。
しかし、プロは(それを日常的にやっているかは別として)30手ぐらいの詰将棋は難なく解くのです。そしてそれが当然のことだと認識しています。
つまりは、「僕は将来名人になる!」と夢を語る子どもが何人かいたとしても、そのために必要だと考える技術レベルは各自違うのです。それがどう決まるかと言ったら、やはり周囲の強い人が「これぐらいできるから」という基準になるでしょう。
そして、ハードルが最初から低く設定されていると、最終的な成果は…言わずもがな。

このブログの定跡講座で、「あの将棋の変化は難しい」という声に忖度してつい同意してしまうのですが、本当はあまり良くないのかもしれません。(ハッキリ言えば、これが難しいのでは私程度も超えれません。)
KKKに参加している子は、最低でも丸暗記してきてください。

閑話休題、そうは言っても、藤井四冠がこれまで将棋に懸けてきた時間は、相当とんでもないものでしょう。最近は「○○ガチャ」なんて乱暴な言い方があるそうですが、将棋の実力は才能や環境だけで決まらないのは確かです。どんなに才能や環境に恵まれていたとしても、本人の努力が無ければ、(こと将棋においては)決して地力に繋がりません。

要するに、「自らの環境を”能動的に”活かす」ことが大切だと思っています。
30何手詰の詰将棋も、それなら手元にあるから、役に立つかもしれない可能性に賭けて、やっているんですよ。

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KKK 2022/1/8

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。

寒波とか大丈夫かな…


この前詰めチャレのことを書きましたが、将棋クエストの対局もたまにやってます。5分切れ負けで指していたら、ある日「これ以上は2分切れ負けでレート上げないと指せないよー」とか出てきました。
…2分とか絶対時間切れるの私だけですか。

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あけおめ2022

いつも拙文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
今年もごひいきに。

最初の記事は、毎年お馴染みの1年の将棋総括から。

○こた(仮の昨年の大会勝率:63-17(78.8%)
近年は勝率が8割超えだったと思いますが、今年は惜しくも届かず。体感だけならそれ以上に負けまくった印象で、あわら-市長杯-チャリティーで巻き返して意外と高かったです。
また残念ながら、一昨年に引き続きノンタイトルでした。急所の1局をモノにできない病。こんちくしょう(素

○戦型別勝率(5局以上)
矢倉・雁木:8-2
相掛かり:8-1
角換わり:8-0
vsノーマル振り飛車:12-4
ノーマル振り飛車:3-2
先手ゴキ中:4-4
角交換振り飛車:5-1
相振り飛車:5-1

○戦型分析(居飛車)
矢倉・雁木はひとまとめにしました。ただ相矢倉は全然無く、矢倉vs雁木か、雁木に対する急戦系です。私自身は雁木をほとんど指していないので、全体的に雁木という戦型がかなり定着していることがわかります。対策としては一段落してるかな。
相掛かりは去年かなり増えました。プロでの流行がアマに降りてきていることもありますが、私から目指すことが多くなったため。ぶっちゃけ言えば、自分だけの研究ストックもまだかなりある。引き続き今年も指す可能性が高いと思います。
角換わりはどちらかというと後手で受ける側。普段は先手でも指しますが、角換わり好きが多いので、「先手で自分から指すほどでも…」という気持ちでした。
横歩取りが消えたため、居飛車はこれらが主戦場になりました。先手番のときは、2手目△8四歩なら矢倉・相掛かり・角換わりに加え、中飛車をローテーションしている感じ。最近は優先順位はあまりありません。

○戦型分析(振り飛車)
vsノーマル振り飛車(ほとんどが三間か四間)がまず多数あります。たぶんこの人気は衰えないでしょうね。今年はさらに対策を強化しなければと思っています。
自分が角道を止める振り飛車も5局ありましたが、去年は主力にはなりえませんでした。今年はどうなるかわかりませんが、特に後手番の作戦として、他の戦法で普通に戦えている現実。そうなると…。
先手ゴキゲン中飛車は8局。先手番かつ、2手目△8四歩のときのみですが、これだけの局数を指しているのは、他の先手の作戦に比べると偏っていましたね。これは偶々な気がします。ただ勝率は5割で、あまり勝てていません。内容を見れば形勢が悪くなっているわけではないのですが、ちょっと気になる数字です。
角交換振り飛車、相振り飛車はちょいちょい指す裏芸的な立ち位置。たぶん今年も一緒。

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詰めチャレのコツはツメを(読み)切ること

今週末、来週末のKKKはお休みとさせていただきます。

爪が長いと時間ギリギリで動かそうとしたとき、上手くタップできないんだよなぁ。


-エルモT-

エルモ講座第5話(最終回)。



図から(4)△1四歩を見ていきましょう。

上図からの指し手
△1四歩    ▲4六歩    △6四歩    ▲4八金    △7四歩    ▲2四歩
△同 歩    ▲3五歩



△1四歩には▲5九金や▲4八金とし、もう一手相手の手を見るのも有力。私が先手を持っていたら、そう指すかもしれません。次の手によって、これまでの話で出てきた攻め筋を切り替えます。
ただ端歩の交換を活かした面白い仕掛け方があるので、それを取り上げたいと思います。△7四歩で次に△6三金と上がると高美濃が完成するので、このタイミングで仕掛けます。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲1五歩    △同 歩    ▲同 香    △同 香    ▲3四歩
△1二飛    ▲3三歩成  △同 銀    ▲2三角    △1三飛    ▲3二角成



かつて加藤一二三九段が考案した、3歩突き捨ての仕掛け。端で香を捨てて手にした歩を、▲3四歩と打ちます。角を逃げれば▲2四飛と走って先手良しですが、△1二飛が思わぬ切り返し。
実は楽観できるほど差は無いものの、さすがに駒得が大きく先手がやや有利です。

指し手②
△4三銀    ▲4五歩    △3五歩    ▲4四歩    △3四銀    ▲4七金
△4二飛    ▲4六金    △4五歩    ▲4七金



よって▲3五歩は取れず、△4三銀と受けることになります。さらに先手は▲4五歩と歩を突っかけ、攻めを継続します。
▲4四歩に△同銀は▲3四歩で先手が勝勢。ただ△3四銀とされると一筋縄では攻略できません。ここからは色々な展開が考えられるところですが、本譜は△4五歩と打たせて飛車先を重くさせました。
形勢はいい勝負です。

さて、これまでの作戦は居飛車が先手番として考えてきましたが、後手番のときはどうでしょうか。実は全く急戦が出来なくなるということは無く、ある程度そのまま応用することが可能です。
ただ折角なので、後手番のときに光る指し方をピックアップしてみましょう。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲7八飛    △8五歩    ▲7七角    △3四歩
▲6六歩    △6二銀    ▲6八銀    △4二玉    ▲4八玉    △3二玉
▲1六歩    △1四歩    ▲3八銀    △5四歩    ▲3九玉    △7四歩
▲2八玉    △4二銀    ▲5八金左  △3一金    ▲5六歩    △5一金



後手番のときは△6二銀型のまま、△5一金とくっつけるのが堅い陣形です。連結が良くて堅いので、実戦的にも有効だと言えるでしょう。

上図からの指し手(a)
▲4六歩    △6四歩    ▲3六歩    △9四歩    ▲4七金    △7二飛



まずは先手が高美濃囲いを目指してきた場合です。▲4七金で高美濃が完成しますが、陣形が上ずった意味もあります。その瞬間△7二飛が軽い指し方。
ちなみに▲3六歩の前に▲4七金だと、やはりその瞬間△7二飛として後手が得です。

上図からの指し手
▲6七銀    △7五歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲8八角    △7三飛
▲7四歩    △8三飛    ▲7七角    △6五歩    ▲同 歩    △7七角成
▲同 飛    △8六歩    ▲同 歩    △6六歩    ▲7六銀    △8八角



▲6七銀で▲8八角は、△8二飛▲7七角△7二飛▲8八角…千日手。後手だからこその変化です。
△7五歩から飛車がぶつかりますが、△7三飛とするのが手筋。
△7三飛に▲同飛成は、△同桂にア)▲7四歩なら△6八飛で後手有利。イ)▲7八銀なら△8六歩▲8二飛(▲同歩は△8七歩▲同銀△6八飛▲7七角△6九飛成)△8五飛▲同飛成△同桂▲8六歩△7七歩▲同桂△6六角▲8五歩△6八飛▲5八飛△同飛成▲同金△7六歩で後手有利となります。
ということで一度飛車をぶつけた先手が▲7四歩と飛車交換を拒否し、後手はさらに△6五歩から攻めを継続します。
上図まで進んで、難しいながら後手も指せる将棋と見ます。以下は▲8七飛△9九角成▲8五歩△9八馬▲8六飛△6七歩成▲同銀△6五馬…が進行の一例です。

指し手(b)
▲5七銀    △6四歩    ▲4六銀    △5三銀右  ▲6七金    △9四歩
▲5八飛    △4四銀    ▲3六歩    △7三桂    ▲2六歩    △6五歩



先手三間飛車の場合、もう少し積極的に指したいところ。▲5七銀~▲4六銀で動きを見せるのが自然でしょう。△5三銀右は合わせて銀を繰り出す手で、▲4五銀なら△3三銀と受けておけば大丈夫。
▲6七金は次の▲5八飛が狙いですが、先手編と同じく△4四歩とすると、▲7五歩△同歩▲9五角!という意表の攻め筋があります。以下△9四歩▲5一角成△同銀▲7五飛△7三歩▲7七桂は先手やや良し。
よって△9四歩と一度税金を払っておき、▲5八飛には△4四銀と合わせておきます。これで先手の動きを封じることができました。
△7三桂~△6五歩は一例ですが、これは1局の将棋で以下ねじり合いになります。

三間飛車はプロアマ問わず人気の戦法です。対策が行き詰っている居飛車党の方、エルモ囲いをレパートリーに加えてみるのはいかがでしょうか?

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KKK 2021/12/18

土曜日に行います。

次の連載をどうするか思案中。(実は結構書き溜めてるんですが…)


全18回に及んだ横歩取り基本講座(きほんこうざ…?)、まさかの完結…!
ラストは青野流(9)△4二銀型を解説します。



△4二銀型は対青野流という観点で、かなり優秀だと思います。
△4二銀には▲3六飛と引き、青野流を諦める将棋もよく指されています。以下△5二玉▲8七歩△8四飛▲2六飛△2三歩が一例で、これからの将棋となります。
この将棋については割愛させていただき、青野流がどうなるかを見ていきましょう。

上図からの指し手①
△4一玉    ▲3七桂    △2二歩    ▲3八銀



後手はまず△4一玉で金にひもを付け、続いて△2二歩と打ちます。部分的には無筋の手ですが、角のラインや先手からの▲2二歩を先受けしています。

上図からの指し手①-1
△6二銀    ▲3五飛    △5一金    ▲8七歩    △8四飛    ▲2五飛
△7四歩    ▲2九飛    △7三桂    ▲4八金    △9四歩    ▲9六歩



△6二銀~△5一金は中原囲いの構え。初見ならばこう指したくなるところでしょう。
後手陣は堅く、▲8七歩は「速攻は諦めました」という手です。ここで▲2五飛と突っ張っても、△8二飛▲4六歩△8六歩▲8五歩△7四歩▲4五桂△4四角▲同角△同歩▲5五角△1四角(単に△8五飛とすると▲4四角で、桂を捨てて飛車を抜く筋があって大変。よって先に角を利かしておく。)で後手十分。
上図までで後手の陣形は完成し、そろそろ攻めたいところですが…。

上図からの指し手
△8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲4六歩    △7六飛    ▲3三角成
△同 桂    ▲4七銀    △8六飛    ▲8七歩    △8四飛    ▲8八銀
△4四歩    ▲3五歩    △4三銀    ▲2六飛    △1四歩    ▲1六角
△6一角    ▲3六飛    △2三金    ▲2六飛



少々長くなりますが、形勢が目に見えるところまで進めます。
一見後手が歩をかすめて好調のようですが、先手は淡々と駒組みを進めます。現代調のバランス型の好形を作り、いよいよ桂頭を狙って動き出します。
上図は先手よし。結局、中原囲いを作っても後手からの厚い攻めが難しいために、逆に先手に駒組みでリードを許してしまうようです。色々変化はありますが、主流は①-2△7二銀に移っています。

指し手①-2
△7二銀



上図からの指し手①-2-1
▲3五飛    △7四歩    ▲1六歩    △7六飛    ▲3三角成  △同 桂
▲7七金    △7五飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲8三歩    △7六歩
▲7八金    △5五角    ▲4六角



▲3五飛には△8二飛も考えられますが、△7四歩~△7六飛の激しく順を考えてみたいところ。△7六飛と取った時、▲8五飛に強いのが△7二銀型の利点です。
本譜は豊島vs永瀬の叡王戦の進行で、お互い一歩も引かないプロらしい将棋。形勢は超難解です。

指し手①-2-2
▲9六歩    △8二飛    ▲8四歩



▲9六歩と一旦様子見する方がプロの実戦では多いでしょうか。これには△8二飛と引き、先手は▲8四歩と飛車の横利きで上から押さえます。

指し手①-2-2-1
△8八角成  ▲同 銀    △2八角    ▲3二飛成  △同 玉    ▲2九金
△3七角成  ▲同 銀



△8八角成~△2八角は複数の実戦例があります。飛車を切って金を打てば、角を捕まえることが可能です。
上図以下は手が広く、ほぼ互角の形勢といえそうです。

指し手①-2-2-2
△8八角成  ▲同 銀    △2八角    ▲2三歩    △同 歩    ▲2四歩
△3三歩    ▲2三歩成  △3四歩    ▲3二と    △同 玉    ▲2三歩
△2六歩



△8八角成~△2八角には▲2三歩と打つ手も有力。お互い歩の手筋を駆使した応酬です。
これもいい勝負。

指し手①-2-2-3
△2三金    ▲3三飛成  △同 桂    ▲6六角    △6四歩    ▲7七桂
△3二玉    ▲5六角    △4四歩    ▲9五歩    △5四歩    ▲9四歩



△2三金で飛車を追う手も考えられます。△8四飛とされてはいけないので、飛車を切って▲6六角。以下先手は2枚の両睨みの自陣角で手を作っていきます。
本譜は昨年の王将リーグ、藤井vs羽生戦の進行で羽生九段が公式戦で初めて藤井三冠に勝利した将棋ですが、上図の端に手を付けたところではやや先手良しと思われます。

指し手①-2-3
▲1六歩    △8二飛    ▲1五歩    △8八角成  ▲同 銀    △3三銀
▲3五飛    △4四角    ▲7七桂    △3五角    ▲同 歩    △4四銀
▲3四歩    △5二玉



先ほどは△8二飛に▲8四歩としていましたが、この手を打たないとどうなるのでしょうか。実戦例として▲9六歩~▲8四歩に代え▲1六歩~▲1五歩とした将棋があります。
後手は△4四角と打って飛車角交換に成功しますが、形勢自体は難しそうです。
ちなみに実戦(梶浦vs羽生)では▲7七桂のところで▲8三歩△同飛▲7七桂としたため、以下△3五角▲同歩△4四銀▲3四歩に△8七歩と打たれ、▲同銀△同飛成▲同金△7九飛は後手有利のようです。本譜の△5二玉で△8七歩▲同銀△同飛成▲同金△7九飛は、▲8八金で逆に先手有利と(評価値上では)出ます。1歩で形勢が変わるので、かなり際どいバランスで成り立っている変化です。

指し手②
△7六飛    ▲7七角    △7五飛    ▲3七桂



△4一玉で△7六飛も有力。▲7七角に△7五飛とは不思議な手ですが、初出はおそらく渡辺vs糸谷の棋王戦。

上図からの指し手②-1
△5二玉    ▲8四飛    △8二歩    ▲3八銀    △7四歩    ▲8六飛



△5二玉に上記の実戦では▲3八金でしたが、本譜の進行も普通です。先手が指せるように見えますが、(研究手をタイトル戦でぶつけたであろう)糸谷八段はこれぐらいなら後手を持ってもよいという判断でしょうか。

指し手②-2
△4四歩    ▲7六歩    △6五飛    ▲4四角    △8五飛    ▲8八歩
△2三金    ▲3三角成  △同 桂    ▲3五飛    △同 飛    ▲同 歩
△3六歩    ▲2一飛    △6二玉



△4四歩と突く手も考えられ、いかにも激しいことになりそうです。
▲7六歩は5段目から飛車をどかして桂を活用したいという意思で、△6五飛で△8五飛なら▲8六歩が利きそうです。
飛車の直射を消してから▲4四角を実行しますが、△8五飛であらかじめ▲8四飛を消しておく、虚々実々の展開。対して▲8六歩△同飛▲8七歩と先手を取ると、△7六飛▲4五桂△4六歩となって実は後手が有利。
以下は飛車交換から攻め合いで、実戦例のある進行ですが、正確には後手良しか(実戦的には超難解)。うちのソフトは▲4四角で▲8二歩△同銀▲4四角を示しています。

最初はもっとササっと書くつもりだった横歩取り講座ですが、自身の研究も兼ねて納得のいくように書いたら、ちょっとした本ぐらいの分量になった気がします。
以前書いた変化で研究が更新された部分もあり、連載が終わっても研究は続きます。
貴方の研究で面白い変化が見つかったら、ぜひ教えてくださいね。

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KKK 2021/12/11

土曜日に行います。

着る毛布、買いました。


-Special thanks : こた(仮を朝日アマでボコったM越Jr.くん-

大会の結果を綴る中で、M越Jr.くんとの対局において"5段目ひねり飛車"なる作戦のことを書きました。どういう作戦かというと、相掛かりにおいて▲2五飛と上段に構え、▲7七桂から▲8五飛とぶつけていく、というものです。
▲2五飛型において、△8五歩を狙って▲7七桂とするのは稀に出てくる手筋ですが、最初から飛車のぶつけを狙いにしたのは斬新なように思います。オリジナリティがあり、かつ優秀な作戦で、ブログのネタにはピッタリ。本人にブログに載せる許可を求めると、「ぜひ、どうぞ」「どうせ誰も見てないでしょ」と快くご承諾いただいたので、張り切ってご紹介します!

本人曰く、彼が大学生時代(といっても数年前だが)に学生将棋で一時期流行っていた作戦だということです。私には飛車が縦横に大きく動く様が、まるでジッパーがスライドするかのように見えるので、「zipperひねり飛車」と(勝手に)命名しよう。スティッキィ・フィンガーズ!

初手からの指し手
▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩    ▲7八金    △3二金
▲3八銀    △7二銀    ▲9六歩    △1四歩    ▲2四歩    △同 歩
▲同 飛    △2三歩    ▲2五飛



指し始めは、相掛かりの最新形の手順と全く同じ。
▲9六歩はやはりプロでも多用される手で、藤井竜王も得意としています。対して後手の手はいろいろとあるものの、△1四歩は有力手の1つ。序盤の変化を全て書くとキリが無いので、今回はこの手に絞ることにします。
先手は飛車先を交換し、▲2五飛と構えるのがこの作戦の第一歩。

上図からの指し手
△6四歩    ▲7六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲7七桂



この辺りの相掛かりの序盤知識については、10月に書いた相掛かりの序盤考察の記事もご参考いただければと思います。
▲7六歩は次に▲7七角があるので、そこで後手も飛車先を切るのが自然。そこで▲7七桂と跳ねて先手の作戦が見えてきました。

上図からの指し手(1)
△8二飛    ▲4八玉    △6三銀    ▲8五飛    △8四歩



△8二飛~△6三銀は穏便に収めようという手です。しかし▲8五飛と大きく転回して、「zipperひねり飛車」の最初の狙いが実現しました。取ることはできないので△8四歩と謝るぐらいですが、先手は①▲8六飛と②▲3五飛のどちらも有力です。

上図からの指し手①-1
▲8六飛    △7四歩    ▲8五歩    △同 歩    ▲同 桂    △8四歩
▲9三桂成  △同 桂    ▲6六角



▲8六飛はひねり飛車の形です。▲7五歩と突かれるとそれが完成するので、癪とばかりに△7四歩は指したい手です。ただ飛車のコビンを開けるのは危険な意味もあり、▲8五歩といきなり動くのが継続手。
上図まで進めば9筋への攻めが残っており、先手良しになります。

指し手①-2
▲8六飛    △4一玉    ▲7五歩    △4二銀    ▲6八銀



▲7五歩とすることができれば、ひねり飛車の従来の形と似ています。同じく△8四歩と謝らせる丸田流と比較すると、▲2五飛~▲8五飛~▲8六飛とした分、▲2六飛~▲8六飛の形より一手損になっています。
しかし丸田流は後手の対策ができており、そもそも組み上がれば先手十分と言われる形。総合すると、先手が不満の無い展開だと私は判断しています。

指し手②
▲3五飛    △5二金    ▲6六歩



②▲3五飛とする手も有力です。この方がいろいろな意味で面白い指し方かもしれません。

上図からの指し手②-1
△5四銀    ▲9七角    △6三金    ▲6五歩    △同 歩    ▲6四歩
△6二金    ▲3六飛    △4一玉    ▲5六飛



△5四銀と進軍しようとすると、▲9七角が一見軽そうに見える動き方です。しかし△6三金に▲6四歩と拠点を作られてから▲3六飛とされると、後手に有効手が見当たりません。
▲5六飛は次に▲5四飛~▲7一銀の強襲を狙っていますが適当な受けもなく、先手有利。

指し手②-2
△4一玉    ▲6五歩    △同 歩    ▲同 飛    △6四歩    ▲6九飛



△5四銀に代えて△4一玉とすると、▲6五歩△同歩▲同飛として、▲6九飛まで転回します。先手がとても軽い形(いい意味で)となっているのがお分かりいただけるかと思います。飛車が▲2五飛~▲8五飛~▲3五飛~▲6五飛~▲6九飛と縦横無尽に動く様は、見ているだけでも気分上々です。既に「アリーヴェデルチ」と決め台詞を言われている状態
実際の形勢も互角の範疇ながら、先手が十二分に指せる局面でしょう。

指し手(2)
△3四歩    ▲4八玉    △4二玉    ▲8五飛    △同 飛    ▲同 桂



後手ももう少し強く指さないと、先手の術中にハマります。
△3四歩~△4二玉は「そんなん怖くないよ」と暗に言っている手ですが、先手は全く気にせず▲8五飛とぶつけていく。

上図からの指し手①
△8三飛    ▲8六歩    △8四歩    ▲2二角成  △同 銀    ▲9三桂成
△同 飛    ▲9五歩    △8三飛    ▲9四歩    △8五歩    ▲6六角



△8三飛~△8四歩は桂を取りに行く手で、第一感こう指したいところ。しかし桂の成捨てから、やはり9筋の端攻めで手を作ります。
最後の▲6六角が好地点の角打ちで、先手が指せます。

指し手②
△8八角成  ▲同 銀    △2五飛



ということで、△2五飛と打つぐらいでしょうか。
この後の展開は色々考えられるので難しいのですが、お互い攻め合うことになりそうです。

様々な変化を見てきましたが、先手良しの変化がとても多く、実戦的にも有力な作戦です。現代的で超難解な相掛かりを避けやすく、また後手番でも応用できる可能性があり、使い勝手は◎。
プロの将棋でも実は採用されており、将来的に注目度が跳ね上がるかもしれません。

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KKK 2021/12/4

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-エルモA-

さっくり攻めるエルモ講座第4話。
副題がウルトラマンシリーズであることに、お気付きの人はいるのだろうか。

(1)△5三銀  第1話・エルモ① 第3話・帰ってきたエルモ
(2)△4三銀  第2話・エルモセブン
(3)△6四歩
(4)△1四歩



今回は上図から(3)△6四歩を見ていきます。

上図からの指し手
△6四歩    ▲4六銀    △4三銀    ▲3五歩



△6四歩には▲5九金も有力ながら、「さっくり攻める」方針に従って▲4六銀。△6四歩は△6四角の筋がなくなったところなので、斜め棒銀に出るのは「形」でもあります。
上図からはいろいろな応手が考えられるので、順に考えていきましょう。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲同 銀    △4五歩    ▲3三角成  △同 飛    ▲3六歩



▲3五歩に△同歩と取るのは「やっちゃダメ」と言われますが、意外と簡単ではありません。ちゃんと押さえておきましょう。
▲3六歩で▲3四歩と打つのは、△同銀▲4四銀△3一飛▲2四歩△6二角▲2二角△4一飛▲2三歩成△4四飛で先手不満。

上図からの指し手(a)
△3四歩    ▲2四歩    △3五歩    ▲2三歩成  △3四飛    ▲2四と
△3二飛    ▲7七角    △4四銀打  ▲1四と



△3四歩には銀を犠牲にし、と金を作ります。ただし活用の仕方が難しく、▲2四と~▲7七角~▲1四と、は知らないとかなり指しにくいでしょう。
上図まで進めば、油断は禁物ながら先手やや有利の形勢です。

指し手(b)
△4六歩    ▲2四歩    △4七歩成  ▲2三歩成  △3五飛    ▲同 歩
△4四角    ▲8八角    △同角成    ▲同 玉    △4四角    ▲7七銀



△4六歩に対して普通は取る一手ですが、▲同銀は△3六飛▲3七歩△3四飛、▲同歩は△4七角で容易ではありません。よって、と金作りは甘受して▲2四歩から攻め合います。
△4四角で△4六角は、▲2七飛△5八銀▲2五角△2六歩▲1七飛で切れ模様になり、先手やや良し。
△4四角には▲8八角で玉が遠ざかるのが好手で、上図まで進んで先手が指せそうです。

指し手②
△4五歩    ▲3三角成  △同 桂    ▲3七銀    △4四角    ▲7七角
△3五角    ▲3六銀



次に▲3五歩に対して△4五歩を考えます。これには角交換後、敢えて▲3七銀と引くのがミソ。
△4四角~△3五角が振り飛車の受けの秘手ですが、▲3六銀とプレスして先手よし。

指し手③
△1二香    ▲5五歩    △3五歩    ▲5四歩    △3六歩    ▲3五銀



今度は▲3五歩に△1二香。以前から振り飛車を指し慣れた人にとっては、一番自然に見えるかもしれません。
以下の手順はエルモ囲いの攻め筋として、定跡化されました。どこかで▲2四歩を入れておくのも考えられるのですが、入っても意外と突き捨てが活きない感じ。
△3六歩に▲3五銀は△3七歩成を受けておらず、以前は考えにくい手でしたが、最近はソフトの評価値の影響もあって精査が進みました。

上図からの指し手(a)
△4二角    ▲3四歩    △3七歩成  ▲同 桂    △3六歩    ▲4五桂
△同 歩    ▲2四歩    △3七歩成  ▲2六飛    △2四歩    ▲1一角成



△4二角で単に△3七歩成は、▲同桂△3六歩▲5八飛△3七歩成▲5三歩成△4七と▲5六飛で、わずかに先手よしか。途中の▲5八飛と回ることができるのがエルモ囲いの特徴です。
△4二角を利かすことで5筋の駒の利きを一枚増やしますが、▲4五桂と捨て、手順に▲1一角成を実現します。
空成りではあるものの、馬で駒を取りながら飛車をいじめることができるので、いい勝負のようです。

指し手(b)
△4二角    ▲3四歩    △5四銀    ▲2六飛    △5五歩    ▲3六飛
△4三金    ▲3七桂



歩成を諦めて△5四銀も考えられます。▲4四角には△5三角があるので、先手も▲2六飛と受けるぐらい。しかし以下▲3六飛~▲3七桂となれば、いつの間にか先手は好形を築くことができました。
形勢は互角ながら、先手にそれほど不満は無いでしょう。

指し手④
△6五歩    ▲5五歩    △3五歩    ▲5四歩    △3六歩    ▲2六飛
△4二角    ▲3五歩    △5四銀    ▲2四歩    △同 角    ▲4四角



最後に▲3五歩に△6五歩を考えます。これが後手にとっては最有力か。
△3六歩までは同様に進みますが、同じく▲3五銀とするのは△4二角▲3四歩△5四銀▲2六飛の局面で、△6六歩が嫌味な一着。
よって今度は▲2六飛と受け、以下上図まで。一応仕掛けは成立していると言えそうです(これからの将棋)。

今回の展開は、vs四間飛車のエルモ囲いの定跡より手損している計算なのですが、それが振り飛車側にとってメリットになっているとは言い難く、居飛車側も指せると考えられます。
油断したところをやっつけましょう!w

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KKK 2021/11/28

日曜日に行います。

寒くなってきましたね。
私は季節の変わり目になると必ずと言っていいほど風邪を引きますが、皆様は暖かくして気を付けてお過ごしくださいませ。
ストーブの前で黙々と棋譜並べに勤しみましょう。。。


長期連載になっている青野流、今回は(8)△6二玉型。
横歩取りでは△7二銀型がベーシックになってから、△6二玉と上がる(或いは直す)形が時折見られるようになりました。後手の右側に美濃囲いがあるような感覚です。



青野流にこだわるなら自然なのは▲3六歩ですが、実は実戦例が一番多いのは▲9六歩です。順に解説しますが、この辺りは前例に引っ張られている感じもします。
今回はまず①▲3六飛を検討します。

上図からの指し手①
▲3六飛    △8四飛    ▲2六飛    △8八角成  ▲同 銀    △4四角
▲2一飛成  △8八角成  ▲9五角    △8九馬    ▲8四角    △7八馬
▲8二歩    △8三歩    ▲8一歩成



これを最初に持ってきたのは、通常と異なる変化が現れることと、かつて大きな舞台で指された順であるからです。名人戦の羽生vs佐藤天彦戦で出現した手順し、▲2六飛に対して後手は△8八角成~△4四角と強襲に出ました。
▲2一飛成では▲2四飛も有力で、甲乙つけがたい。
▲9五角はこの形の頻出手筋で、勢い駒の取り合いになります。さらに▲8二歩△8三歩▲8一歩成と、この上なく激しい展開となりました。
名人戦で指されているだけあって、これだけやり合っても形勢不明の難しい将棋です。

指し手②
▲9六歩



▲9六歩は▲7七桂と跳ねる準備。青野流にとって、9筋の歩突きはかなり価値が高い手です。また、最初に△6二玉型に相対した人間にとっては、「通常形と異なるから一度様子を見よう」という思考もあったでしょう。加えて、私も調べてみて判ったのですが、△6二玉型というのはパスされると意外に次の手が難しいところがあります。

上図からの指し手(a)
△9四歩    ▲3六歩    △8二歩    ▲7七桂    △7六飛    ▲3七桂
△5五角



△9四歩と挨拶を返すのは、先手の方が9筋の突き合いの価値が高そうなので指しにくい手ですが、実戦例があります(藤井vs西尾戦)。
▲3六歩に対し△8二歩は時折見られる先受けで、△5二玉型でも検討しました。基本的には△7六飛と回る準備。先手も▲7七桂~▲3七桂と両桂をジャンプする準備ができました。先に当たりをかわす△5五角でどうかですが、ウチのソフトは先手十分と評価しています。

そこで(a)△9四歩以外の手を考えてみましょう。
まず「なら先に△8二歩打っちゃおうよ」は、△8二歩▲3六飛△8四飛▲3八金となります。これは▲3六飛と引かれると△8二歩がひどい形で先手十分。
また△7六飛は、▲8四飛△8二歩▲3八金△2六飛▲2八銀…これも後手がかなり手損するような感じになり、先手十分。

よって(b)△2二銀、(c)△4二銀、(d)△7二銀を考察します。

指し手(b)
△2二銀    ▲7七桂    △5二玉    ▲3六歩    △2三銀    ▲3五飛
△8四飛    ▲3七桂    △3四銀    ▲8五飛



本譜も実戦例がある手順。
▲7七桂を見て相対的に△5二玉と戻すのは、自然なように見えます。先手はやはり▲3七桂とこちらの桂を活用しましたが、ウチのソフトは代えて▲6五桂を指摘しており、先手が指せると見ているようです。
本譜は△3四銀に▲8五飛とぶつけますが、ほぼ互角といえそうです。

(b)△2二銀は実戦例が何局か指されていますが、▲3六歩とつかず後で▲3六飛と戻るような進展も多くあります。例えば△2二銀▲9五歩△2三銀▲3六飛△8四飛▲3八金△5二玉…という将棋がありました。9筋の位を取られたり△2三銀を決めたのが後手にとってどれほど損なのかハッキリしませんが、少し面白くないような気がします。

指し手(c)
△4二銀    ▲3六飛    △7二銀    ▲8七歩    △8四飛    ▲2六飛
△2三歩



(c)△4二銀は中央を厚くした手。
普通の横歩取りの形と随分離れたので、ここまでされると▲3六飛と戻したくなります。以下上図まで進んで、果たしてどうか。さっぱりわからないというのが正直な感想w

指し手(d)
△7二銀    ▲7七桂    △4二金    ▲3六歩    △3二銀



△6二玉と関連するなら(d)△7二銀が一番自然でしょうか。
実戦例は▲7七桂に△9四歩ですが、▲3六歩△5五角▲6五桂は先手やや有利です。
そこで△4二金!が秘手。▲3六歩に△3二銀と上がれば、△4二銀型と違って角が自由です。
1局の将棋ですが、先手から2枚桂の仕掛けを与えなければ、▲7七桂型が重い形とは言えます。
ただし(d)△7二銀には▲7七桂の一手ではなく、▲3六歩にどう指すかはまた難しそうです。

結論として、▲9六歩型は不透明な部分が多いものの、有力という認識です。

指し手③
▲3六歩    △8二歩    ▲3八銀    △7六飛    ▲7七角    △2七歩
▲3七銀    △7五飛    ▲8四飛



自然に▲3六歩と突いたのは、豊島vs永瀬戦、前期の伝説の叡王戦の1局。
後手はやはり△8二歩と打っていますが、これなら▲9六歩を突いていなくても▲7七桂は可能です。これも有力だったと思います。
本譜は▲3八銀△7六飛▲7七角と進展。先手が無難に収めたという印象を受けます。
△2七歩は青野流でよく出てくる手筋。まだ▲3七桂と跳ねていない場合は、▲3七銀と受けるのが形です。

上図からの指し手
△2八歩成  ▲同 銀    △7七角成
▲同 桂    △5五角    ▲6六角    △2八角成  ▲7五角    △1九馬



実戦では後手が△4二銀と陣形を整えましたが、▲6八銀とされて先手が十分になりました。垂らした△2七歩があまり利いていない感じです。
ここでは△2八歩成▲同銀△7七角成▲同桂△5五角と踏み込めば難しかったでしょうか。以下飛車取りで▲6六角と返されますが、△2八角成から2枚替え。形勢は難解です。

指し手④
▲3六歩    △2六歩    ▲3八銀    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成
▲同 銀    △5五角    ▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成
▲2三歩    △3三桂



▲3六歩に対して、これまで見てきた△2二銀や△4二銀、△7二銀という手は、▲3七桂から攻められそうで指しづらいところ。しかし△2六歩や△7六飛、△8八角成といった手は考えられます。△5二玉型とどう違うのか、綿密な精査が必要です。
上図までは△5二玉型で出てきた進行と同一。▲2三歩までは定跡の進行でしたが、△6二玉型の場合は△3三桂で後手やや良し(▲2一飛が甘いため)。このように、△6二玉型が活きる変化もあります。
▲3六歩は一旦未解決とさせてください。

(8)△6二玉型は現れていない変化が多く、新たな可能性が潜んでいると思われます。これからまた実戦に出現するかもしれません。

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怯えたふりをしていた、それが嘘だと知っていながら

最近リアルでも「ブログにコメントして!」と言い回っている私。特に将棋の指し手に関して、「そんな手がありましたか!」とこた(仮が言ってしまうようなコメントを求めています。
ついS戸川にリアルで猛反撃してしまいましたが、めげずにまたコメしてくださいw

今日は歳末チャリティー将棋大会でした。

予選1局目はK川くんと対局。
戦型は角換わりで、お互い4筋と6筋の位を取り合う形。K川くんが自陣角を据えますが、私は後手番らしくカウンターを狙います。玉頭を継歩で突破し、こちらの攻めが厳しく続きました。自玉への反撃は手抜いて殺到し、○。

2局目はD肥くんと。
戦型は矢倉ながら、こちらだけ飛車先を切って作戦勝ち気味。すぐ具体的な優位に繋げたかったのですが、落ち着いて陣形を整備しました。しっかり固めて攻めを開始し、攻め切るか受けきられるかの将棋に。飛車取りを無視してガンガン行く手が成立し、こちらが優勢になります。粘りに対して手堅く押し切り、○。

3局目はM本さんと。
戦型は角交換型の相振り飛車に。こちらが序盤で手得したのを活かすため、棒銀と筋違い角で速攻を狙います。一気に食い破るとまではいきませんが、角で歩を回収しながら態勢を整えます。最終的に飛車先を破り、と金を寄せて攻めを繋いで○。

4局目はY田四段と対局。
私の四間飛車に左美濃で対抗されました。序盤はまずまずの体制かと思っていたのですが、調子に乗って駒を捌いたところあまり芳しくない。その後の▲5五歩(銀取り)を軽視していて、ビックリして△同銀と取ったのが悪手でした。最後は際どい攻め合いにまで持っていったものの、歩以外余らない長手数の詰みにピッタリ討ち取られて、×。

トナメは1回戦はシードを引き、2回戦。相手はN西六段。
戦型はN西さん十八番の1手損で、相早繰り銀になりました。一手一手が難しい将棋ながら、研究で類似形と比較したり有効な筋がわかっていたので、ある程度自信を持って指していました。盤上の駒を捌いて優勢になり、最後は一気の寄せ。かっこいい詰み筋が決まって、○。

準決勝はS戸川五段と。
S戸川のゴキ中に対して超速は、2人の間でよく指している将棋。仕掛けて角銀交換で駒得になり、一応成功したかと思いますが、継続手段には迷いました。本譜は飛車を取らせて、と金を使って攻めを繋ぎます。自玉も怖い形になるものの、相手の美濃囲いに殺到し○。

決勝戦、相手はH川さん。今度(プロの)新人王戦に出場する、新潟棋界の雄。
戦型は三間飛車に対し穴熊に。研究形で序盤はしっかり囲います。攻めの形の方をどうするかは迷いましたが、駒を全部使ってオーソドックスに本筋を目指します。戦いになってからはH川さんに誤算があったのか、竜を作りあったところは穴熊が堅く私が指せそう。押し切って○。

今日は研究を活かして、序盤を上手く指すことができていたかと思います。強い人が相手でも、しっかりした知識があれば自信を持って指すことができます。
このブログでいろいろと研究を書いていますが、ぜひコメントして一緒に序盤知識をさらに養っていきましょう!(露骨なコメ稼ぎ回)

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KKK 2021/11/14

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。

また、来週末はお休みとさせていただきます。


-帰ってきたエルモ-

いつぶりかの対三間飛車エルモ囲い講座、第3話…

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二飛
▲2五歩    △3三角    ▲6八玉    △4二銀    ▲7八玉    △9四歩
▲9六歩    △6二玉    ▲5六歩    △7二玉    ▲6八銀    △8二玉
▲3六歩    △7二銀    ▲5七銀右  △5二金左  ▲7九金    △5四歩
▲1六歩



上図が基本図で、ここから三間飛車側には4つの指し手が考えられると(1年以上前に)述べました。
(1)△5三銀  第1話・エルモ①
(2)△4三銀  第2話・エルモセブン
(3)△6四歩
(4)△1四歩

今回は(3)△6四歩に入る前に、(1)△5三銀で「後で取り上げる」とした変化を見ていきます。当初の構想では最後に持ってくる予定だったのですが、私の記憶整理の都合上こうなりましたw

上図からの指し手
△5三銀    ▲4六歩    △4二飛    ▲3七桂    △6四銀    ▲6六歩



▲4六歩~▲3七桂と攻めの形を作りますが、△6四銀は「好きにはさせん!」という姿勢。(第1話では△6四歩でした。)
対しては▲6六歩とし、歩越し銀には歩で対抗します。(ただし銀対抗する▲6六銀も有力です。今回は割愛。)

上図からの指し手①
△7四歩    ▲6五歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲6七銀
△6四歩    ▲7七桂    △7三桂    ▲5八金



△7四歩には▲6五歩とさらに歩を突きます。もし△7三銀引なら▲6六銀で位を支えられて、後手作戦負け気味。よって銀挟みにされるのは承知の上で、強く△同銀と取ります。
先手は2筋の突き捨てが大事な手で、単に▲6七銀だと△4五歩から暴れられてしまいます。
▲7七桂で銀を取る権利が生まれましたが、すぐに取らずに一度▲5八金と自陣に手を入れるのが呼吸です。

上図からの指し手(a)
△6三金    ▲8九玉    △8四歩    ▲6八金寄



△6三金は一見当然の手のようですが、実は疑問手。さらに悠々と自陣整備を進めて、先手が作戦勝ち。ひたすら固めて最後に銀を取ればOKです。
遮二無二攻めるだけでなく、こういった融通性の高さもエルモ囲いの魅力です。

指し手(b)
△4三飛    ▲8九玉    △8五桂    ▲6五桂    △同 歩    ▲8六歩
△3五歩    ▲2六飛    △8七桂    ▲8五歩    △7九桂成  ▲同 玉
△8七金    ▲3五歩



ということで△4三飛が有力手。飛車を横に使うつもりです。
△4三飛に▲6五桂も考えられ、以下△同歩▲6八金寄△4二角▲4五歩△3三桂▲4四歩△6三飛が一例で、いい勝負です。
▲8九玉には△8五桂!が鬼手。▲同桂なら△8四歩で桂を取り返して後手よし。
上図まで盤面全体で戦いが始まり、形勢は難解。お互い力が出せる展開です。

指し手②
△5三銀    ▲6五歩    △6四歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲5八金
△6五銀    ▲3五歩    △3二飛



振り飛車の秘手として、△6四銀▲6六歩に△5三銀と引っ込む手があります。何をしているかわからないようですが、▲6六歩を見て後手番らしくおとなしくしようという構え。
次に△6四歩とされると先手は打開に苦労するので、やはり▲6五歩と伸ばします。そして△6四歩と反発することになり、小競り合いが始まりました。
△6五銀には▲6七金とする手も自然で、以下△4三飛で互角の将棋。ただのちに△6六歩と叩かれそうなのは気にくわないところです。
そこで▲3五歩でさわやかに攻める手を本譜としました。

上図からの指し手
▲2四歩    △同 歩    ▲2五桂    △同 歩    ▲3四歩    △4二角
▲2五飛    △3四飛    ▲6五飛    △3八飛成  ▲4八金



▲2四歩△同歩と突き捨てを入れて、▲4五歩と行くのが普通の指し手。この方(▲4五歩)が本筋なのですが、▲2五桂という奇手も存在します。
以下先手は銀を取り、後手は飛車を成ることに成功しました。形勢は難解です。

今回は三間飛車側にとっても有力な指し方であり、居飛車目線では反撃も受けますが、きっぱりとした攻めが続くのが本エルモ囲い講座の魅力です。(1年以上前のことだからお忘れだと思いますが、それがテーマとなっていました。)
最近の対抗形の将棋は、難解なねじり合いになることも多いですからね。

拍手が3つ以上ついたら続きます!

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