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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2022/3/12

土曜日に行います。
リモート研究会です。24の感想戦機能が使い切れない罠。


今回は昨今の雁木対策について纏めてみます。
前回のKKKで「雁木に苦戦している」という話を聞きましたが、相居飛車の将棋はどれも難易度が高い。少しずつトライアル&エラーで取り入れていけば良いでしょう。
以前も語ったことですが、雁木は基本的に後手の戦法として(または囲いの発展形として)、広く使われています。戦法成立のためのハードルの低さ(4手目に△4四歩と突けば大体できる)もありますが、当たり前のことながら、その優秀性が認められているからです。
そんなわけで、雁木対策も様々なものが考えられ、現在進行形で進歩しています。

先手(雁木を相手にする方)の作戦は大きく分けると、以下の3つに分類できます。
(1)矢倉系
(2)早繰り銀系
(3)腰掛銀系

また、後手(雁木をする方)にとっても2つのパターンがあります。
①初手から△3四歩~△4四歩として能動的に雁木を目指す
②相手の形を見て雁木にシフトする

(1)矢倉系



矢倉で対抗する将棋は、後手のパターン①で先手が矢倉を選択する場合、②で相矢倉を選ばず後手が雁木を選択する場合、どちらもあります。これは以前にも記事にしました。

▲4六角とする手が変わらず主流です。以前と異なるのは、角を出るタイミングがかなり早くなりました。
上図の局面で、後手が駒組みを進めるためには△6四歩としたいのですが、それには△5四歩~△4二角とする必要があります。後手に形を決めさせることができますね。

「それなら▲4六角とされる前に△6四歩を突いておけばいいのでは」というのが、一番素直な着想です。早繰り銀が強敵という認識ですが、対抗できそうな節もあります。今後、もしかすると後手にとって有力な手段となり得るかもしれません。

(2)早繰り銀系



これは後手のパターン①に対する作戦です。②に対しては現時点では後手が指せると思います。

早繰り銀系と書きましたが、実際は▲2六銀と出る形もよくあります。また左銀は▲7八銀と▲8八銀の両方有力で、これからの展開が変わります。
一番の注目所は、上図の形でしょうか。
上図から(2)-1△7四歩なら、▲3五歩と仕掛けていきます。変化が多いですが、一例として△同歩▲2六銀△3四銀▲3八飛という感じです。これは先手が指せそう。
しかし(2)-2△5二金の場合は、前述の▲3五歩△同歩▲2六銀△3四銀▲3八飛の変化だと、△4三金右でイマイチ。よって▲7八玉△7四歩としてから▲3五歩を決行し、△同歩▲2六銀△3四銀には▲5六歩と突きます。今度は▲6八角と角で銀交換しにいくのが狙いです。駒の捌きがスムーズですね。

(3)腰掛銀系



後手のパターン①では、先手の基本の囲いは左美濃。ただ②で角換わり拒否でもよく出現するので、その場合は▲6八銀+▲7八金型となります(上図)。

左美濃では△8五歩に対して▲7七角と受けない将棋も多く、どちらも有力という印象です。
後手は△6四歩型と△5四歩型がありますが、今はもっぱら△5四歩型。△6四歩型は右四間が強力と思われます。ただ後手がちゃんと指したとき、本当にまずいのかはよくわかりません。

上図から先手は(3)-1右四間にするか、(3)-2居飛車のまま右桂を活用し、後に▲4五歩の仕掛けを狙うのが普通です。
ただ、角換わり拒否型の雁木はソフトも得意にしているようですが(余談ながら、最近は将棋ソフトのことをAIと呼ぶことが多いですが、私はかなり違和感があります。たぶんテキトーなマスコミがそういう記事でAIと呼んだのが発端なのでしょうけど… AIって人工知能のことだからなー。)、(3)-3すぐに▲4五歩から角交換を目指す形を、ソフトは好んで指しています。(どの局面で▲4五歩と突くかは難しい。)
上図から▲4五歩なら△5三銀か△4五同歩ですが、人間的には取る方が普通だと思います。その場合は角交換して、4筋と2筋の歩を切っておくのが先手の狙いとなります。

主要な形だけ取り上げました。これだけで雁木に対して自信を持って対応するのは無理だと思いますが、参考にしていただければ幸いです。
特に(3)-3の展開は人間にはまだ見慣れない将棋だと思われるので、逆に新たに取っ付きやすいかもしれませんね。

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KKK 2022/3/6

日曜日に行います。
引き続きリモート研究会といたします。


矢倉流中飛車の続き。


上図から(1)▲6六銀と(2)▲6六歩がありますが、今回は引き続き(1)▲6六銀の変化を取り上げます。

上図からの指し手(1)-1
▲6六銀    △7二銀    ▲9八香    △4二飛    ▲9九玉    △4五歩



ここまでは前回と同じです。ここから指し手が分岐し、前回は①▲6八角、②▲2六飛を見てきました。
今回はまず、③▲5七金を考えます。

指し手③
▲5七金    △2二飛    ▲8八銀    △2四歩    ▲同 歩    △同 飛



▲5七金は一見変な形ですが、その実かなり有力。後手は△2二飛~△2四歩と向かい飛車から動いていきます。
基本的には後手は積極的に動きを見せないと、先手に穴熊を固められて作戦負けになります。

上図からの指し手(a)
▲2五歩    △2二飛    ▲7九金    △4四角    ▲3六歩    △3三桂
▲3七桂    △2六歩    ▲4六歩    △同 歩    ▲同 金    △4五歩
▲4七金    △5二金左



先手が飛車交換を拒否してきた場合、△4四角~△3三桂~△2六歩で逆襲を企てます。ただそう簡単には破ることはできません。
お互い隙を見せないように気を遣う神経戦となり、いい勝負といえます。

指し手(b)
▲同 飛    △同 角    ▲2三飛    △2八飛    ▲2一飛成  △5二金左
▲7九金    △2九飛成  ▲3六桂    △8四桂



飛車交換になった場合は、先手が▲2三飛と先着できます。後手もいきなり角を切るわけにもいきません。
よって本譜の進行となり、▲3六桂で角が逃げれない。大失敗したようですが、ガン無視して△8四桂と打つのが好手です。
大きな駒損ながら穴熊がそれほど堅くなく、結構いい勝負です。むしろ後手が勝ちやすいかもしれません。

指し手④
▲4八飛    △5二金左  ▲8八銀    △2四歩    ▲同 歩    △2二飛
▲2八飛    △2四飛    ▲2五歩    △2二飛    ▲6八角    △4四角
▲2四歩    △2六歩



④▲4八飛は凄い利かされたようですが、以前の定跡書に有力と書かれた一手。実際プロの将棋でも、こう指されている前例は多くあります。ただし、あくまでこの形特有の手と考えた方がよいでしょう。
これにも向かい飛車から動き、やはり△4四角~△2六歩の展開になります。飛車交換に応じるのも先ほど同様、将来的に△8四桂と打つことになりそうです。
どちらも1局。

指し手⑤
▲8八銀    △4六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲4七歩    △4三飛
▲7九金    △5二金左  ▲6八角    △8四歩    ▲3六歩    △5五歩



⑤▲8八銀は△4六歩への受けを放棄した手。少し前に服部四段が指していました(新手?)。
△4三飛は変な位置ですが、事前に先手の2筋の攻めに対応しています。▲3六歩に△5五歩と動いて上図ですが、この辺りは研究課題です。
(以下▲2四歩△同歩▲3五歩△同歩▲5五歩△同銀▲3四歩△4四角▲2四飛…正直言えば後手を持ってあまり自信は無い。)

指し手(1)-2
▲6六銀    △7二銀    ▲6八金寄  △4二飛    ▲7八金上  △5二金左
▲3六歩    △4五歩



▲6六銀型の最後に穴熊を保留し、離れ駒をなくす順を見ていきます。
後手も△4五歩の前に△5二金左とします。△4五歩を突くとすぐに戦いが起こる可能性があるので、細心の注意を払わなければいけません。
▲3六歩は▲3五歩からすぐにでも仕掛ける手が見えるので、そこで△4五歩が振り飛車の常套手段です。

上図からの指し手
▲5七銀    △5五歩    ▲同 歩    △同 角    ▲同 角    △同 銀
▲7七角    △5六歩    ▲5五角    △5七歩成  ▲同 金    △3九角
▲5八飛    △6九銀    ▲1一角成



▲5七銀はこれまでに出てこなかった一手ですが、先手陣がまとまっているので成立します。
△5五歩として決戦に突入し、▲同歩には△同角と取ります。△5五同角で△同銀ですと、▲2四歩△同歩▲3五歩と反撃されて先手不利。
角交換後の▲7七角には、適当な銀の助け方も無いので△5六歩と攻め合います。▲4八銀は△4六歩で後手良しなので、本譜は妥当な手順。
後手は飛車を取ることができますが、3九の角が少しボケている感じで形勢は難解です。

つづくよ!

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春よ~ 遠い春よ~

花粉症が終わってからが春(常人の半分)

今日は支部名人戦の福井県予選がありました。
昨今の状況で、参加人数はかなり少なめでした。全国大会もどうなるかはわかりませんが、S級の優勝者とA級の上位3名(団体戦、福井支部のみのため内輪もめ(?)で決定する)が出場権を得ます。B級、C級も合わせて行われました。

予選1局目はY本五段との対局。
戦型はY本さんの三間飛車→私の持久戦模様→急戦向かい飛車の流れ。ただしY本さんの指し方はまさに自由奔放、面白い将棋になりました。途中で歩の手筋を使って桂得が確定したものの、我慢されていたら大変だったと思います。本譜は暴れてきたのでさらに大きな駒得になり、勝勢に。厚く指し切って、○。

2局目はS水五段と。
S水師匠の早石田に対し、1筋で端歩を打診する対策。本局は端の位を取る将棋に。自陣角で打開してこられましたが、正直言えばそれほど働いていない感じを受けていました。ただ具体的な対応が見えず、こちらも△7六角と角の力業で受けようとしたのが悪手。(精査したところ、正解はかなり難易度が高い手順でした。)的確に捌かれてかなりマズくしましたが、師匠がバシッと打った瞬間に「あっ!」と叫ぶ。○。

3局目はS司くんと対局。
戦型は横歩取り。私は青野流を採用しました。▲4五桂の飛び蹴りが効果的なタイミングで入り、早々に優勢に。この戦型の怖さでもあるが、常に多くの危険をはらんでいます。(気を付けよう!)快勝で、○。

4局目、M越Jr.五段と。直近ではレーティング選手権で代表を獲得、実績を重ねる若手強豪。
戦型は私の1手損角換わり。イメージしていた将棋になりましたが、ちょっと序盤は危険な組み方をしていました。ただ本譜は桂得になり、”やや”有利なわかれ。しかし私は形勢を過大評価しまくっていましたw 緩んだ隙に自玉の薄みを上手く突かれ、逆に明快な1手負けに。どうにもならず、×。

5局目はM口五段と対局。
戦型は角換わりで、後手のM口さんが早繰り銀を採用。工夫してこられましたが一応準備のあった形だったので、じっくりした流れにして「指しやすいはず」という気持ちがありました。ただ本譜は失敗してしまい、桂得なものの攻めこまれて自信なし。守り駒を全て剥がされ、氷の上に立つような気持ちでしたが、○

準決勝、相手はS戸川五段。
先手ゴキ中に対して、後速。最近は私もこればっかです。少し前に同じ展開を2人で指しており、そのときはたしか私が快勝したので、S戸川が新研究(?)を披露。均衡の取れた指し手が続きます。ただ△2四角と上がって角を捌きにいった手では、△1五歩の端攻めが勝ったか。ミスしたと思っていましたが、その後の▲4五金と打った手がどうだったでしょうか。▲5五金(6六の金をぶつける手)での決戦を恐れていました。(ただソフトは▲4七金と打つ手を推すようだ。超難解な局面でした。)熱戦を抜け出し、○。

決勝戦、S井五段と対局。
戦型はS井五段の変則ひねり飛車。私は普通に対応し、相手の攻めを受け止めて反撃する方針です。持ち歩を使って開戦されましたが、ガッチリやってこちらが厚いと思っていました。さらに角を切って攻めてこられたものの、冷静に応じて優勢に。慎重に押し切って、○。

勝手さん(理事長)が、息子さんに「将棋はいいから結婚相手を探せ!」と言っていたのが面白かったです。…私?そんなん知らんなw

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見てると指したくなる、そんな感じ

そんなに物欲が無い私ですが、ネットとかで何となく眺めていると、全然興味無かったものでも欲しくなってきますよね。
全然興味が無い戦型もたまに見かけると、指したくなるものです。このブログを読んで「指したくなりました!」とは言われたことがないw

今週末と来週末のKKKはお休みです。



KKK前回の振り返り。
そのときちょうど王将戦をやっていたので、私も同じ戦型を採用しました。後手の作戦は流行の構えで、急戦形でありながら柔軟な展開を視野に入れています。

上図からの指し手
▲6九玉    △4二銀    ▲5六歩    △4一玉    ▲6六歩



プロは(このタイミングで)▲6六歩とはほとんどしないですが、これで悪いわけではありません。ただ、プロがリアルタイムで指している将棋も、本当はしっかり勉強した方が良いとは思います。
この形が出ないのは、以下の理由があると思われます。
・後手に主導権(攻勢)を取られやすい
・後手の有力な作戦の幅が広い

上図からの指し手
△5四歩    ▲6七金右  △5二飛    ▲5七銀    △5五歩    ▲同 歩
△同 飛    ▲6八銀左



たくさん後手の作戦があることはお話しましたが、あまり解説しなかったこととして「矢倉中飛車」があります。その名の通り、矢倉戦法の中飛車です。ちょうど「矢倉流中飛車」の記事を書いていますが、名前は酷似しているのに全然違う戦法です。
この作戦は昔からあり、元々▲7七銀型に有力と言われていました。つまり中央に備えるため▲6八銀左とするのが定跡なのですが、手損になってしまいます。それでも8八の角の利きを活かすためにも、▲6八銀左の価値が高いのです。

上図からの指し手
△5一飛    ▲7九玉    △6二金    ▲4六銀    △5四銀    ▲3六歩



上図までの進行は一例です。後手は下段飛車にして銀を繰り出し、△6五歩や△5五銀の仕掛けを狙いたいところ。▲3六歩はそれが怖くないという手で、主張の強い手です。
▲3六歩では他にも①▲7五歩△6三銀、②▲2四歩△同歩▲同飛、③▲5六歩△6五歩▲5七銀上などの変化が考えられ、どれも互角の将棋です。

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KKK 2022/2/11

金曜日(祝日)に行います。
リモート研究会です。

結構身近にコロナの影がチラついてきました…
頼むからウチの職場内では出てくれるなよー


前回の振り返りは角換わり相早繰り銀から。
プロでも現在進行形で指されているテーマ図が出現しました。



図の局面に至る前に、端歩の駆け引きやどちらから仕掛けるかなど、試行錯誤されています。最近はお互い端歩を突きあうことが多く、相手に仕掛けさせようとしている節があります。
▲6六歩に対しては、後で出てきますが△6六銀と取ることができるので、△7五歩を誘っている意味があるといえるかもしれません。

私は後手を持っていたのですが、これを(本番で)指すつもりは無かったので記憶が曖昧だった…w

上図からの指し手
△7五歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲2五歩
△7六歩    



上図までは既成手順といえます。特に解説は必要ないでしょう。
△7六歩に対し、先手は▲6八銀と▲8八銀、どちらも考えられます。

上図からの指し手(1)
▲6八銀    △6六銀    ▲2四歩    △2二歩    ▲2五飛    △4四銀
▲6五飛    △7七歩成 ▲同 桂    △同銀成    ▲同 金    △7四角



これは結構有名で、角換わり党の強豪の方はチェックしている変化だと思います。
銀桂交換ながら後手は馬を作ることができ、それなりの勝負。

指し手(2)
▲8八銀    △4四銀    ▲2四歩    △2二歩    ▲7四歩    △6六銀
▲6八飛    △7五角    ▲4八玉    △3三桂



本譜は▲8八銀でした。
私はこの変化自体は曖昧にしか覚えていなかったのですが、誰が指したかは覚えていた(意味ないw)(稲葉vs藤井戦)。ので後で調べたところ、上図のような手順でした。
この将棋は▲6八飛があまり良くなかったのか、最後の△3三桂の活用が絶好で後手が指せそうです。

指し手(3)
▲8八銀    △6六銀    ▲2四歩    △2二歩    ▲6八飛    △7五角
▲5八金    △8六歩    ▲6七歩

私は単に△6六銀と出てしまったため、▲6八飛がいい手になりました。△8六歩と暴れにいったものの、▲6七歩で銀が死んでいます。先手が少し良さそうです。
ただ△7五角では△8四角と打って我慢する手は有力だったようで、それなら△7五銀と引くことができます。対局中は角を手放したのに弱気な気がしましたが、先手もいびつな形なので1局でした。

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KKK 2022/2/5

土曜日です。
前回に引き続き、Zoomを利用したリモート研究会で行います。


今回のお話は、矢倉流中飛車。プロ棋士の矢倉七段が多用したことから名前が付きました。最近は滅多に指されることはありませんが、こた(仮の研究も交えてご紹介します。
ちなみに「矢倉流中飛車」と「矢倉中飛車」は全く別の戦法なので注意!

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二銀    ▲6八玉    △5二飛    ▲5八金右  △6二玉
▲7八玉    △7二玉    ▲2五歩    △3三角    ▲5六歩    △8二玉



角道を止める中飛車の作戦ですが、序盤のポイントがいくつか有ります。
まずは早めの端歩の打診です。以前の矢倉流中飛車は穴熊に組むことが多かったので端は突かなかったのですが、私は相穴熊は先手ペースだと思っています。現在の環境なら9割方受けてくれると思います。(受けられなかったら位を取って、別の戦法にしましょうw)
次に、△4二銀型と△5三歩型です。玉を8二まで寄せるのを優先します。△4二銀型は相手の作戦によって、△5三銀(居飛車側が持久戦)と△4三銀(急戦)を使い分けるためです。
△5三歩型は「英(ひで)ちゃん流中飛車」と呼ばれ、これも対急戦形への工夫です。(英ちゃん流のメリットの説明は難しいので、割愛します。まぁそんなもんかと思ってください。)

上図からの指し手
▲5七銀    △5四歩    ▲7七角    △5三銀    ▲8八玉    △6四銀



▲5七銀→持久戦模様を確認して△5四歩、▲7七角→持久戦確定したので△5三銀、の流れです。
△6四銀と構えたのが矢倉流中飛車で、穴熊に代表される持久戦対策の作戦。余談ながら、ここに銀を据える作戦は、最近では振りミレで見られます。
次に△5五歩が見えているので、先手は(1)▲6六銀と受けるか、(2)▲6六歩(次回以降解説)と迎え撃つ手が考えられます。   

上図からの指し手(1)-1
▲6六銀    △7二銀    ▲9八香    △4二飛    ▲9九玉    △4五歩



(1)▲6六銀には△7二銀と美濃囲いを作り(以前は穴熊を目指して△5一金左とするのも定跡だった)、△4二飛~△4五歩と矛先を変えます。
ここで先手の指し手は複数に亘るので、1つずつ順番に見ていきましょう。

上図からの指し手①
▲6八角    △6五銀    ▲8八銀    △7六銀    ▲5七角    △5二金左
▲6八金寄  △6四歩



①▲6八角には玉のハッチが締まっていないのを咎め、△6五銀があります。この変化が必要なので、後手は先手が▲8八銀とする前に、△4二飛~△4五歩を間に合わさなければなりません。(例えば▲5八金右を省略していたら、後手も△7二銀の前に△4二飛~△4五歩とする。)
以下後手は歩得に成功し、不満なしの展開です。こうなると後に△9五歩▲同歩△9六歩▲同香△8五銀のような手も考えられ、9筋の突き合いも活きています。

指し手②
▲2六飛    △4四角    ▲3六飛    △3二飛    ▲6八金寄  △3五歩
▲2六飛



②▲2六飛には△4四角と飛車に当てます。△6五銀という激しい定跡もありますが、▲同銀△7七角成▲同桂△4四角▲2八飛△7七角成▲8八銀△4四馬▲7七角の進行は、厳密には先手良しでしょうか。
△4四角に▲2八飛は、△3三角と引いて千日手。よって▲3六飛に、△3二飛と今度は三間飛車に振り直します。

上図からの指し手(a)
△3四飛    ▲8八銀    △5二金左  ▲7九金    △3三桂    ▲7五銀



△3四飛から石田流にしてじっくり指そうとすると、先手も穴熊に手を入れる余裕ができます。
▲7五銀とぶつけて戦いを起こされてしまい、これは先手がやや有利です。

指し手(b)
△3六歩    ▲同 飛    △同 飛    ▲同 歩    △5一金左  ▲4三飛
△3三角    ▲3七桂    △4二金    ▲4五飛成  △3九飛



△3六歩から足早に動きます。△5一金左は▲4三飛の先受けで仕方のないところ。ここで▲3一飛は、△3九飛▲2一飛成△2九飛成で後手だけ香が取りやすく、後手指せます。
よって上図まで進展し、ほぼ互角の将棋です。

つづく。

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IT系なのにテレワークとか無いんだけど

リモートでの研究会をしてみましたが、いかがだったでしょうか。
私の所感としては、対面と比較すると色々ラグ(無駄)がある気がしますが、けっこう悪くないとも思いました。ただ、自分で局面を戻したりするのも、(私自身にとってはともかく、)なんだかんだ大事なような気もします。

今週末はお休みとさせていただきます。

今回は、KKKで現れた局面の復習を取り上げます。小話(というより、研究垂れ流しみたいになってるけど)は余裕があるときに、また。



上図は矢倉の局面で、お互いガッチリ囲い合いを望んだところ。
この1手前で、△4三金右では△6四角の方が普通かもしれません。

上図からの指し手(1)
△7三銀    ▲3五歩    △同 歩    ▲同 角



△7三銀とするのはマイナーな手段です。▲3五歩は角で歩の交換をしながら、入城のための開門となる一石二鳥の手。

上図からの指し手①
△3四歩    ▲4六角    △6四角    ▲6七金右  △3一玉
▲7九玉    △8五歩    ▲8八玉    △2二玉



単純に△3四歩と打ってしまうと(あるいは△6四角のような手だと)▲4六角と引かれ、後手が作戦負け気味になります。お互い玉を矢倉城に収めた上図は、先手だけ3筋の歩を交換できている形。▲3六銀と形良く銀を使うことができます。

指し手②
△7五歩    ▲同 歩    △同 角    ▲6七金右  △6四角    ▲4六角



後手も△7五歩から同じように指すのが有力です。これは互角の戦いです。

指し手(2)
△6四角    ▲4六角    △7三銀    ▲6七金右  △3一玉    ▲7九玉
△8五歩    ▲8八玉    △2二玉



(1)△7三銀に代えて(2)△6四角とするのが一般的な指し手です。▲3五歩△同歩▲同角なら、△3六歩として後手優勢。
よって▲4六角とぶつけ、△7三銀とすると「脇システム」という戦法になります。ちなみに▲6八角などなら△7三銀は”無筋”な格好です。
上図は深くまで定跡化されている将棋。

指し手(3)
△4二角    ▲3五歩    △同 歩    ▲同 角    △4五歩



3筋交換に△4五歩とするのも覚えておきたい形。△5三銀~△4四銀右と盛り上がる構想です。上図は細かいことを言うと後手が微妙な手順ですが、昔は類型が沢山ある将棋でした。

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KKK 2022/1/22

土曜日に行います。

KKKもリモートとか取り入れようかな…


-相手を揺さぶれ!陽動振り飛車-

もしかしたら最近の若い子は、「陽動振り飛車とはなんぞ?」となるのかもしれない。それぐらい最近は話題に上がらない作戦なのですが、個人的にはかなり有力だと思っています。
陽動振り飛車とは、相居飛車の序盤で相手がそれに適した囲い(矢倉とか)にしてきたら、振り飛車にシフトするというものです。一般的には矢倉戦での後手番の作戦となります。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲7七銀    △6二銀
▲2六歩    △4二銀    ▲2五歩    △3三角    ▲4八銀    △4四歩
▲7八金    △4三銀    ▲6九玉    △6四歩    ▲3六歩    △6三銀
▲7九角    △4二飛    ▲5六歩    △6二玉



△6二銀と上がれば普通は居飛車としたものです。最初は雁木模様で進め、△6三銀としてから△4二飛と飛車を振ります。飛車を振る位置は、この場合はどこでもOK。
▲5六歩は引き角の筋を通して緊張が走る局面ですが、堂々△6二玉と上がります。

上図からの指し手(1)
▲2四歩    △同 歩    ▲同 角    △2二飛    ▲3三角成  △2八飛成
▲4三馬    △2九龍    ▲3九金    △同 龍    ▲同 銀    △4九飛



部分的には△4三銀と浮いている局面で、▲2四歩~▲同角~▲3三角成は危ないと言われる筋。しかしイレギュラーな先手陣をとがめ、△4九飛と打った局面は後手よし。この仕掛けがどうしても怖い場合は、最初から向かい飛車にしておけば1局です。

指し手(2)
▲6八角    △7二玉    ▲7九玉    △5二金左  ▲5八金    △7四歩
▲6六歩    △9四歩    ▲9六歩    △8二玉    ▲8八玉    △7三桂
▲6七金右  △7二金



先手がじっくりと駒組みを進めると、後手も駒組みに入ります。△7四歩は早めに突くことで、先手の位取りを拒否する意味がありますが、危険なところでもあります。例えば△7三桂で△7二銀とすると、▲6五歩△同歩▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲2三歩(▲4六角の狙い)という手筋があります。
また、部分的には△6三銀を△7二銀と引いて美濃に組み直すというのは実戦例が多い指し方なのですが、△7二金で△7二銀は▲7五歩△同歩▲8六銀のように攻められる可能性があります。個人的にはわざわざ手損して美濃に組むより、普通に木村美濃にしてしまう方が良いと思います。
上図は△8五桂のタイミングを計っていれば後手が十分指せます。

指し手(3)
▲5七角    △7四歩    ▲8四角    △7三桂    ▲5七角    △3二金
▲6六歩    △4一飛    ▲5八金    △4五歩    ▲7九玉    △7二金



▲5七角は歩を取る手を見せていますが、△8五歩と逃げると将来の△8五桂が消えるのが不満です。よって歩は取らせてしまう指し方を解説します。
本譜は振り飛車というより右玉風味ですが、先手の手持ちの歩を簡単には活かさせない指し方です。他にも後手の指し方はありそうですが、先手が歩を回収している間に手を作るのは難しそうなので、本譜が無難と言えます。1局の将棋。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲7七銀    △6二銀
▲2六歩    △7四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲5六歩    △7三銀
▲7九角    △2二飛



陽動振り飛車の序盤は多岐にわたるので、全く別の手順を見てみます。
△7四歩はこのタイミングだと速攻策を見せた手で、▲2五歩には△3二金とするのが普通です(居角のまま攻めの形を作る構想)。△3三角とされると、先手は▲5六歩~▲7九角としたくなります。
しかしそこで△2二飛と転換するのが狙いの一手でした。

上図からの指し手
▲4八銀    △6四銀    ▲7八金    △5四歩    ▲4六角    △5五歩
▲5七銀    △5二飛    ▲5八飛    △7三桂    ▲6六歩    △8五桂



△2二飛のあと駒組みに移れば普通の(?)陽動振り飛車となりますが、後手はある狙いを秘めていました。△6四銀~△5四歩~△5五歩と5筋からガンガン攻める構想です。
上図まで進めば後手よし。先手はちゃんと対応すれば互角になりますが、面白い構想なので紹介しました。

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲7六歩    △4二銀
▲4八銀    △9四歩    ▲9六歩    △8四歩    ▲3三角成  △同 銀
▲8八銀    △7二銀    ▲3六歩    △8三銀    ▲7七銀    △2二飛



初手から▲2六歩~▲2五歩と飛車先を決めてくる手が内心嫌だと思っている方は、それなりにいらっしゃるのではないかと思います。そんな方が明日から使える、角換わりからの陽動振り飛車を紹介します。
相手に角交換させるために△8四歩と突くのですが、その前に△9四歩▲9六歩を入れておくのがポイント。△7二銀までは完全に角換わりの序盤ですが、△8三銀~△2二飛で飛車を振ります。
初めて見た人はビックリしてくれるかもしれませんw
△2二飛には▲6五角が気になりますが、△7四銀▲4三角成△5二金右で角が死ぬので大丈夫。この変化のとき9筋の突き合いが入っていないと、▲5二同馬△同金▲8二金が意外と厄介な手になります。(本譜は△9三桂と活用して後手よし。)

上図からの指し手
▲3七桂    △7二金    ▲4六歩    △6二玉    ▲6八玉    △7四歩
▲7八玉    △7三桂    ▲4七銀    △7一玉    ▲4八金    △8二玉
▲2九飛    △5二金



▲3七桂は細心の注意を払った手で、▲6八玉とすると△7四歩▲4六歩△6二玉▲7八玉△7二玉のような変化を与えます。(この△7二玉+△7四歩型を活かせるかは判らないが。)▲3七桂に△7四歩なら、▲4五桂△4四銀▲5三桂不成△同銀▲5五角の強襲があります。△6二玉は考えられるものの、▲8二角に対策が必要です(最善を尽くせば互角以上になりそうな気はする)。
▲6八玉では▲7五歩と位を取る手もあり、△7一玉▲6八玉△8二玉▲3八金△5二金▲4七銀…いい勝負。
本譜もとりあえず囲いに玉を納めます。先手がどのような陣形を作るかはわかりませんが、後手は陣形作りがセンスの見せどころ。△5二金は次に△6四歩とすれば玉周りががっしりしますが、△6三金左とは上がりにくい(のちに角を打ち込まれそう)のが悩みの種。△5二金~△4四歩や、△4二銀~△5四歩などいろいろと考えられます。

陽動振り飛車は、まだまだビックリするような指し方がたくさん眠っていると思います。サプライズ大好き症候群に罹っている人(私含む)は、ぜひ考えてみてください。
いい反応をしてくれる人が私は大好きですw「Niceリアクション賞を贈呈します!」

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KKK 2022/1/15

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-将棋における「環境」の重要性について-

藤井四冠がデビューしてほどなく、彼がまだ中学生の頃だったと思いますが、あるインタビューで「貴方は努力の人ですか、それとも才能の人ですか?」などと聞いた人がいました。さすがに「ハハハ、僕は才能の塊ですよ」なんて嫌味なく答えれるわけはなく、中学生に対する質問としての是非はありますが、当時の藤井くんの回答は予想を軽く超えてきました。

「僕は環境に恵まれたと思います」

普通彼ぐらいの年なら、自分が今までしてきた努力をクローズアップしたくなるはずです。約10歳違う永瀬王座なんて「将棋は努力が全てです」と言ったのですから。
身を置いている環境の大切さは、私も年を経ることに強く意識するようになりました。しかし、学生の頃は反骨精神か否か、自分がどれだけ努力するかが本質だと思っていました。「自分はこんなに頑張ったから強いんだ」と言いたくなるのもむべなるかな、ということです。
だからあのコメントに私は内心、神か此奴…ぐらいのインパクトを受けました。

将棋において、身近にいつでも指せるライバルがいるとか、将棋の本をいつでも買ってもらえるとか、良い指導者に巡り合えるなんてのは、当たり前のものではありません。ネットで情報格差が無くなったと言われて久しいですが、実際は環境要因で知識を吸収するチャンスは大きく違います。
イチローが、「僕は子どもの頃毎日バッティングセンターに通って、誰よりも努力していた」と言っていましたが、そもそも子どもが誰でも毎日バッティングセンターに通える環境にあるでしょうか。

また、身を置く環境によって、その人の目指すレベルは確実に変わります。
私が「最近はたまに30何手詰の詰将棋を解くよ」と言うと、「それってもう趣味のレベルじゃん」とよく言われます。そんな詰将棋は実戦に必要ないという意味です。たしかに、今の私がそれをやってもあまり意味はないかもしれません。
しかし、プロは(それを日常的にやっているかは別として)30手ぐらいの詰将棋は難なく解くのです。そしてそれが当然のことだと認識しています。
つまりは、「僕は将来名人になる!」と夢を語る子どもが何人かいたとしても、そのために必要だと考える技術レベルは各自違うのです。それがどう決まるかと言ったら、やはり周囲の強い人が「これぐらいできるから」という基準になるでしょう。
そして、ハードルが最初から低く設定されていると、最終的な成果は…言わずもがな。

このブログの定跡講座で、「あの将棋の変化は難しい」という声に忖度してつい同意してしまうのですが、本当はあまり良くないのかもしれません。(ハッキリ言えば、これが難しいのでは私程度も超えれません。)
KKKに参加している子は、最低でも丸暗記してきてください。

閑話休題、そうは言っても、藤井四冠がこれまで将棋に懸けてきた時間は、相当とんでもないものでしょう。最近は「○○ガチャ」なんて乱暴な言い方があるそうですが、将棋の実力は才能や環境だけで決まらないのは確かです。どんなに才能や環境に恵まれていたとしても、本人の努力が無ければ、(こと将棋においては)決して地力に繋がりません。

要するに、「自らの環境を”能動的に”活かす」ことが大切だと思っています。
30何手詰の詰将棋も、それなら手元にあるから、役に立つかもしれない可能性に賭けて、やっているんですよ。

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KKK 2022/1/8

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。

寒波とか大丈夫かな…


この前詰めチャレのことを書きましたが、将棋クエストの対局もたまにやってます。5分切れ負けで指していたら、ある日「これ以上は2分切れ負けでレート上げないと指せないよー」とか出てきました。
…2分とか絶対時間切れるの私だけですか。

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