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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/11/28

日曜日に行います。

寒くなってきましたね。
私は季節の変わり目になると必ずと言っていいほど風邪を引きますが、皆様は暖かくして気を付けてお過ごしくださいませ。
ストーブの前で黙々と棋譜並べに勤しみましょう。。。


長期連載になっている青野流、今回は(8)△6二玉型。
横歩取りでは△7二銀型がベーシックになってから、△6二玉と上がる(或いは直す)形が時折見られるようになりました。後手の右側に美濃囲いがあるような感覚です。



青野流にこだわるなら自然なのは▲3六歩ですが、実は実戦例が一番多いのは▲9六歩です。順に解説しますが、この辺りは前例に引っ張られている感じもします。
今回はまず①▲3六飛を検討します。

上図からの指し手①
▲3六飛    △8四飛    ▲2六飛    △8八角成  ▲同 銀    △4四角
▲2一飛成  △8八角成  ▲9五角    △8九馬    ▲8四角    △7八馬
▲8二歩    △8三歩    ▲8一歩成



これを最初に持ってきたのは、通常と異なる変化が現れることと、かつて大きな舞台で指された順であるからです。名人戦の羽生vs佐藤天彦戦で出現した手順し、▲2六飛に対して後手は△8八角成~△4四角と強襲に出ました。
▲2一飛成では▲2四飛も有力で、甲乙つけがたい。
▲9五角はこの形の頻出手筋で、勢い駒の取り合いになります。さらに▲8二歩△8三歩▲8一歩成と、この上なく激しい展開となりました。
名人戦で指されているだけあって、これだけやり合っても形勢不明の難しい将棋です。

指し手②
▲9六歩



▲9六歩は▲7七桂と跳ねる準備。青野流にとって、9筋の歩突きはかなり価値が高い手です。また、最初に△6二玉型に相対した人間にとっては、「通常形と異なるから一度様子を見よう」という思考もあったでしょう。加えて、私も調べてみて判ったのですが、△6二玉型というのはパスされると意外に次の手が難しいところがあります。

上図からの指し手(a)
△9四歩    ▲3六歩    △8二歩    ▲7七桂    △7六飛    ▲3七桂
△5五角



△9四歩と挨拶を返すのは、先手の方が9筋の突き合いの価値が高そうなので指しにくい手ですが、実戦例があります(藤井vs西尾戦)。
▲3六歩に対し△8二歩は時折見られる先受けで、△5二玉型でも検討しました。基本的には△7六飛と回る準備。先手も▲7七桂~▲3七桂と両桂をジャンプする準備ができました。先に当たりをかわす△5五角でどうかですが、ウチのソフトは先手十分と評価しています。

そこで(a)△9四歩以外の手を考えてみましょう。
まず「なら先に△8二歩打っちゃおうよ」は、△8二歩▲3六飛△8四飛▲3八金となります。これは▲3六飛と引かれると△8二歩がひどい形で先手十分。
また△7六飛は、▲8四飛△8二歩▲3八金△2六飛▲2八銀…これも後手がかなり手損するような感じになり、先手十分。

よって(b)△2二銀、(c)△4二銀、(d)△7二銀を考察します。

指し手(b)
△2二銀    ▲7七桂    △5二玉    ▲3六歩    △2三銀    ▲3五飛
△8四飛    ▲3七桂    △3四銀    ▲8五飛



本譜も実戦例がある手順。
▲7七桂を見て相対的に△5二玉と戻すのは、自然なように見えます。先手はやはり▲3七桂とこちらの桂を活用しましたが、ウチのソフトは代えて▲6五桂を指摘しており、先手が指せると見ているようです。
本譜は△3四銀に▲8五飛とぶつけますが、ほぼ互角といえそうです。

(b)△2二銀は実戦例が何局か指されていますが、▲3六歩とつかず後で▲3六飛と戻るような進展も多くあります。例えば△2二銀▲9五歩△2三銀▲3六飛△8四飛▲3八金△5二玉…という将棋がありました。9筋の位を取られたり△2三銀を決めたのが後手にとってどれほど損なのかハッキリしませんが、少し面白くないような気がします。

指し手(c)
△4二銀    ▲3六飛    △7二銀    ▲8七歩    △8四飛    ▲2六飛
△2三歩



(c)△4二銀は中央を厚くした手。
普通の横歩取りの形と随分離れたので、ここまでされると▲3六飛と戻したくなります。以下上図まで進んで、果たしてどうか。さっぱりわからないというのが正直な感想w

指し手(d)
△7二銀    ▲7七桂    △4二金    ▲3六歩    △3二銀



△6二玉と関連するなら(d)△7二銀が一番自然でしょうか。
実戦例は▲7七桂に△9四歩ですが、▲3六歩△5五角▲6五桂は先手やや有利です。
そこで△4二金!が秘手。▲3六歩に△3二銀と上がれば、△4二銀型と違って角が自由です。
1局の将棋ですが、先手から2枚桂の仕掛けを与えなければ、▲7七桂型が重い形とは言えます。
ただし(d)△7二銀には▲7七桂の一手ではなく、▲3六歩にどう指すかはまた難しそうです。

結論として、▲9六歩型は不透明な部分が多いものの、有力という認識です。

指し手③
▲3六歩    △8二歩    ▲3八銀    △7六飛    ▲7七角    △2七歩
▲3七銀    △7五飛    ▲8四飛



自然に▲3六歩と突いたのは、豊島vs永瀬戦、前期の伝説の叡王戦の1局。
後手はやはり△8二歩と打っていますが、これなら▲9六歩を突いていなくても▲7七桂は可能です。これも有力だったと思います。
本譜は▲3八銀△7六飛▲7七角と進展。先手が無難に収めたという印象を受けます。
△2七歩は青野流でよく出てくる手筋。まだ▲3七桂と跳ねていない場合は、▲3七銀と受けるのが形です。

上図からの指し手
△2八歩成  ▲同 銀    △7七角成
▲同 桂    △5五角    ▲6六角    △2八角成  ▲7五角    △1九馬



実戦では後手が△4二銀と陣形を整えましたが、▲6八銀とされて先手が十分になりました。垂らした△2七歩があまり利いていない感じです。
ここでは△2八歩成▲同銀△7七角成▲同桂△5五角と踏み込めば難しかったでしょうか。以下飛車取りで▲6六角と返されますが、△2八角成から2枚替え。形勢は難解です。

指し手④
▲3六歩    △2六歩    ▲3八銀    △8八角成  ▲同 銀    △2七歩成
▲同 銀    △5五角    ▲8七銀    △同飛成    ▲同 金    △9九角成
▲2三歩    △3三桂



▲3六歩に対して、これまで見てきた△2二銀や△4二銀、△7二銀という手は、▲3七桂から攻められそうで指しづらいところ。しかし△2六歩や△7六飛、△8八角成といった手は考えられます。△5二玉型とどう違うのか、綿密な精査が必要です。
上図までは△5二玉型で出てきた進行と同一。▲2三歩までは定跡の進行でしたが、△6二玉型の場合は△3三桂で後手やや良し(▲2一飛が甘いため)。このように、△6二玉型が活きる変化もあります。
▲3六歩は一旦未解決とさせてください。

(8)△6二玉型は現れていない変化が多く、新たな可能性が潜んでいると思われます。これからまた実戦に出現するかもしれません。

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