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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/12/11

土曜日に行います。

着る毛布、買いました。


-Special thanks : こた(仮を朝日アマでボコったM越Jr.くん-

大会の結果を綴る中で、M越Jr.くんとの対局において"5段目ひねり飛車"なる作戦のことを書きました。どういう作戦かというと、相掛かりにおいて▲2五飛と上段に構え、▲7七桂から▲8五飛とぶつけていく、というものです。
▲2五飛型において、△8五歩を狙って▲7七桂とするのは稀に出てくる手筋ですが、最初から飛車のぶつけを狙いにしたのは斬新なように思います。オリジナリティがあり、かつ優秀な作戦で、ブログのネタにはピッタリ。本人にブログに載せる許可を求めると、「ぜひ、どうぞ」「どうせ誰も見てないでしょ」と快くご承諾いただいたので、張り切ってご紹介します!

本人曰く、彼が大学生時代(といっても数年前だが)に学生将棋で一時期流行っていた作戦だということです。私には飛車が縦横に大きく動く様が、まるでジッパーがスライドするかのように見えるので、「zipperひねり飛車」と(勝手に)命名しよう。スティッキィ・フィンガーズ!

初手からの指し手
▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩    ▲7八金    △3二金
▲3八銀    △7二銀    ▲9六歩    △1四歩    ▲2四歩    △同 歩
▲同 飛    △2三歩    ▲2五飛



指し始めは、相掛かりの最新形の手順と全く同じ。
▲9六歩はやはりプロでも多用される手で、藤井竜王も得意としています。対して後手の手はいろいろとあるものの、△1四歩は有力手の1つ。序盤の変化を全て書くとキリが無いので、今回はこの手に絞ることにします。
先手は飛車先を交換し、▲2五飛と構えるのがこの作戦の第一歩。

上図からの指し手
△6四歩    ▲7六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲7七桂



この辺りの相掛かりの序盤知識については、10月に書いた相掛かりの序盤考察の記事もご参考いただければと思います。
▲7六歩は次に▲7七角があるので、そこで後手も飛車先を切るのが自然。そこで▲7七桂と跳ねて先手の作戦が見えてきました。

上図からの指し手(1)
△8二飛    ▲4八玉    △6三銀    ▲8五飛    △8四歩



△8二飛~△6三銀は穏便に収めようという手です。しかし▲8五飛と大きく転回して、「zipperひねり飛車」の最初の狙いが実現しました。取ることはできないので△8四歩と謝るぐらいですが、先手は①▲8六飛と②▲3五飛のどちらも有力です。

上図からの指し手①-1
▲8六飛    △7四歩    ▲8五歩    △同 歩    ▲同 桂    △8四歩
▲9三桂成  △同 桂    ▲6六角



▲8六飛はひねり飛車の形です。▲7五歩と突かれるとそれが完成するので、癪とばかりに△7四歩は指したい手です。ただ飛車のコビンを開けるのは危険な意味もあり、▲8五歩といきなり動くのが継続手。
上図まで進めば9筋への攻めが残っており、先手良しになります。

指し手①-2
▲8六飛    △4一玉    ▲7五歩    △4二銀    ▲6八銀



▲7五歩とすることができれば、ひねり飛車の従来の形と似ています。同じく△8四歩と謝らせる丸田流と比較すると、▲2五飛~▲8五飛~▲8六飛とした分、▲2六飛~▲8六飛の形より一手損になっています。
しかし丸田流は後手の対策ができており、そもそも組み上がれば先手十分と言われる形。総合すると、先手が不満の無い展開だと私は判断しています。

指し手②
▲3五飛    △5二金    ▲6六歩



②▲3五飛とする手も有力です。この方がいろいろな意味で面白い指し方かもしれません。

上図からの指し手②-1
△5四銀    ▲9七角    △6三金    ▲6五歩    △同 歩    ▲6四歩
△6二金    ▲3六飛    △4一玉    ▲5六飛



△5四銀と進軍しようとすると、▲9七角が一見軽そうに見える動き方です。しかし△6三金に▲6四歩と拠点を作られてから▲3六飛とされると、後手に有効手が見当たりません。
▲5六飛は次に▲5四飛~▲7一銀の強襲を狙っていますが適当な受けもなく、先手有利。

指し手②-2
△4一玉    ▲6五歩    △同 歩    ▲同 飛    △6四歩    ▲6九飛



△5四銀に代えて△4一玉とすると、▲6五歩△同歩▲同飛として、▲6九飛まで転回します。先手がとても軽い形(いい意味で)となっているのがお分かりいただけるかと思います。飛車が▲2五飛~▲8五飛~▲3五飛~▲6五飛~▲6九飛と縦横無尽に動く様は、見ているだけでも気分上々です。既に「アリーヴェデルチ」と決め台詞を言われている状態
実際の形勢も互角の範疇ながら、先手が十二分に指せる局面でしょう。

指し手(2)
△3四歩    ▲4八玉    △4二玉    ▲8五飛    △同 飛    ▲同 桂



後手ももう少し強く指さないと、先手の術中にハマります。
△3四歩~△4二玉は「そんなん怖くないよ」と暗に言っている手ですが、先手は全く気にせず▲8五飛とぶつけていく。

上図からの指し手①
△8三飛    ▲8六歩    △8四歩    ▲2二角成  △同 銀    ▲9三桂成
△同 飛    ▲9五歩    △8三飛    ▲9四歩    △8五歩    ▲6六角



△8三飛~△8四歩は桂を取りに行く手で、第一感こう指したいところ。しかし桂の成捨てから、やはり9筋の端攻めで手を作ります。
最後の▲6六角が好地点の角打ちで、先手が指せます。

指し手②
△8八角成  ▲同 銀    △2五飛



ということで、△2五飛と打つぐらいでしょうか。
この後の展開は色々考えられるので難しいのですが、お互い攻め合うことになりそうです。

様々な変化を見てきましたが、先手良しの変化がとても多く、実戦的にも有力な作戦です。現代的で超難解な相掛かりを避けやすく、また後手番でも応用できる可能性があり、使い勝手は◎。
プロの将棋でも実は採用されており、将来的に注目度が跳ね上がるかもしれません。

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