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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/7/10

土曜日に行います。
皆様、あわらオープンもぜひお越しください。


以下、青野流の続き。

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩
▲7八金    △3二金    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △8六歩
▲同 歩    △同 飛    ▲3四飛    △3三角    ▲5八玉    △8二飛
▲3六歩



(3)△8二飛という手は、狙われそうな飛車を引き上げて守備力を高める手です。
次の手は▲3六歩ですが、代えて▲8七歩~▲3六飛と青野流にしない変化も考えられます。この場合、再度△8四飛と形を整えるかもしれません。従来の変化で手損になることを覚悟しても、青野流は難敵であるということが窺われます。(△8六歩と合わせる変化になれば手の損得はないが…)

上図からの指し手①
△8六歩    ▲8三歩    △同 飛    ▲8四歩    △8二飛
▲3七桂    △8八角成  ▲同 銀    △3三歩    ▲2四飛    △2三歩
▲2五飛    △8四飛    ▲7五角    △5四飛    ▲8六角



まずは△8二飛を活かし△8六歩の垂れ歩はどうでしょうか(プロの実戦例があるかは不明)。後手が技を掛けに来た瞬間に▲8三歩~▲8四歩と連打するのが、この形の頻出手筋。しかし△3三歩~△2三歩とベタベタ打てば、△8四飛と抑えを払うことは可能です。対して▲7五角はこの一手では無いものの、大局を見据えた一着。歩の損得なしで、じっくりした戦いになります。先手だけ角を手放したのはつまらないようですが、上図以下△7二金▲3八銀△5二玉▲7七角△4二銀…のように駒組みが進むと、先手の方が伸び伸びしてきます。先手十分。

指し手②
△8八角成  ▲同 銀    △3三金    ▲8三歩    △同 飛    ▲8四歩
△8二飛    ▲3五飛    △8四飛    ▲6六角



△8八角成~△3三金は勇気流でかなり実戦例があるものの、青野流ではやはり指されていないかもしれません。勇気流の場合は▲3五飛△4四角▲8三歩△同飛▲6六角…という変化ですが、今回も▲8三歩~▲8四歩と連打してみます。最後の▲6六角が厳しく、先手有利。
勇気流の▲6八玉型のときは、▲8三歩に対して△2二飛▲2三歩△同飛▲2四歩△2二飛に▲8四飛が成立せず、(△9五角の王手飛車がある)大きな違いとなって現れます。

指し手③
△2二銀    ▲3七桂    △8八角成  ▲同 銀    △3三銀    ▲8三歩
△同 飛    ▲8四歩    △8二飛    ▲3五飛    △8四飛    ▲6六角
△8二飛    ▲4五桂



最初の△8二飛~△2二銀では、△2二銀~△8二飛の順の方が自然であることを付記しておきます。(前回の記事が長すぎて削った都合w)
△2二銀~△8八角成は実は青野流第1号局、谷川九段vs青野九段戦で出現しました。この対局では△8八角成の瞬間▲8三歩と叩き、△5二飛▲8八銀と進行。しかし△8八角成▲8三歩に、△7八馬▲8二歩成△3三銀▲7一と△同金▲7八銀△3四銀…は後手が指せる変化だと言われています(実戦例あり)。
▲4五桂まで進むとやや先手よし。以下△4四銀ならまた▲8三歩と叩き、△5二飛▲4四角△同歩▲5三桂成となれば先手優勢。また▲6六角に対して△2四飛なら、▲4五桂△3四銀▲2五歩△1四飛▲1一角成△3五銀▲同歩で先手よし。

指し手④
△4二玉    ▲3七桂    △2二銀    ▲8四歩    △5二金    ▲3八銀
△2三銀    ▲3三飛成  △同 桂    ▲6六角



△4二玉~△2二銀は一見するとじっくり指そうとしているように見えます。しかし▲8四歩で▲3八銀などとすると、△8八角成▲同銀△3三銀とされて③の変化の類似形。これは△4二玉型が3筋や5筋を守っていて、後手が得をしています。▲3五飛と引いても△4四角で後手が指せます。
よって先に▲8四歩と抑えますが、これにもし△7二銀なら▲4五桂△8八角成▲5三桂成と踏み込む手が成立。以下△同玉▲3二飛成△4四馬▲8三金と進んで先手よし。また▲8四歩に△2三銀なら、▲3五飛△8四飛▲2二歩と切り込んで先手が指せそう。以下△3四歩▲6五飛△6四歩▲8五歩△9四飛▲7五飛△2二金▲9六歩が一例となります。
△5二金としてから△2三銀とすれば、先手は▲3三飛成~▲6六角で歩損を防ぐことになりそうです。飛車角交換で1局の将棋ですが、後手の方がまとめ方が難しそうな印象はあります。

ちなみに△4二玉~△4四歩というトリッキーな作戦も候補としてはあるようです。これは力戦(Fin)w。

指し手⑤
△2六歩    ▲8三歩    △同 飛    ▲3七桂    △2七歩成  ▲8四歩
△8二飛    ▲4五桂    △8八角成



△2六歩は最近もよく指されている変化で、特に飯島八段が得意にしています。受けるのは利かされであり、この場合はたぶんマズいのでしょう。
ということで軸は攻め合いですが、▲8三歩~▲3七桂~▲8四歩の順番は難しいところ。▲3七桂~▲8三歩~▲8四歩や▲8三歩~▲8四歩~▲3七桂の実戦例もあり、ほぼ本譜と同じ順に進んでいます。ただ▲8三歩△同飛▲3七桂には△4四歩や、▲3七桂△2七歩成▲8三歩には△5二飛のような変化が潜んでいそうです。もしかしたらこれから実戦に現れるかもしれませんね。

上図からの指し手(a)
▲同 金    △5二金    ▲5六角
△3三歩    ▲同桂成    △同 金    ▲8三歩成  △6二飛    ▲8四飛
△8二歩    ▲9二と    △4四桂



△8八角成には(a)▲同金、(b)▲同銀のどちらも有力。
(a)▲同金に△3七と、と攻め合おうとするのは、▲2二歩△3三歩▲2一歩成△3四歩▲3一と、で先手有利。
△5二金には▲5六角と打って攻めの継続を図ります。△3三歩は飛車を4段目から追って△8四飛と走る意ですが、▲同桂成が強手。ここで▲8三歩成も有力ですが、△3四歩▲8二と△同銀▲8四歩△6一角となって、わずかに後手良しか。
上図まで進んで形勢は難解です。

指し手(b)
▲同 銀    △3七と    ▲5六角    △3三歩    ▲2四飛    △2三歩
▲8三歩成  △同 飛    ▲同角成    △2四歩    ▲5三桂成



(b)▲同銀には△3七と、と踏み込んでみたくなるところ。つまりは▲2二歩の変化のとき、△3三歩▲2一歩成△3四歩▲3一と△4二金となり、△4七と▲同玉△6九角の両取りの筋が残っています。
よって攻防に▲5六角と打ちますが、▲8三歩成に△同飛が好判断。単に△2四歩と取るのは、▲8二と△同銀▲5三桂不成で潰れます。
本譜で最後に▲5三桂不成とするのは、△7二金が馬当たりの妙防でなんとかなりそう。上図までの進展はやはり形勢不明です。
ただし、飯島八段は(b)▲同銀に対しても後の対局で△5二金を選んでおり、やはり▲5六角以下の将棋となりました。この辺りどういう研究があるのかは私には判りませんが、△5二金には▲2二歩や▲7七桂のような手もあるとソフトは示しており、ともかく難しい将棋です。

まだもうちょっとだけつづくんじゃ。(むちゃくちゃ長く続くフラグ

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KKK 2021/6/27

日曜に行います。


-青野流の変遷-

最初に、青野流の流行の理由について考察します。
前回申し上げた通り、近年の横歩取りにおいて△8四飛+△7二銀型は後手の有力戦法として、先手にとっては悩みの種となりました。横歩取りを先手が避けると相掛かりになりますが、これは先手がやや不満な形と見られていました。(昨今の相掛かりの流行で現状では新しい形が生まれており、この辺りは見直しが必要なところだろう。)また、△8四飛+△7二銀型は後手が主導権を握る展開になりがちなことも、先手としては面白くない要素でしょう。
よって、幾人も横歩取りのスペシャリストが生まれ、後手番になると毎回横歩取りを選んできます。先手はより有力かつ、アグレッシブな対策が求められたのです。

そこでフォーカスが当たったのが青野流でした。元々青野九段が最初に指していた陣形であったとはいえ、採用が増えたのは「ソフトが推していた」というのが大きい要素となっています。一早く桂の活用を図り、攻めに重点を置いた指し方です。青野九段が指した当初はあまりにも前のめりな指し方のため、真似するのはかなりの躊躇いがあったことでしょう。しかしソフトの評価値の高さを知ると、人間の青野流に対する見方も大きく変わりました。

ソフトの後押しを得た青野流は、一時期後手の横歩取りを激減に追い込みました。それはソフト研究で先手に有力手段が多いということだけでなく、評価値が後手にとって悪いというイメージもあったことでしょう。
しかし最近は後手の有力な手段がいくつも現れ、また復活傾向にあります。

さて、青野流のスタートは下の図の局面です。▲3六飛と引かず、▲5八玉とするのが合図。この図を基本図とします。



ちなみに▲6八玉なら「勇気流」ですが、こちらは割愛いたします。
この後、先手は基本姿勢として▲3六歩~▲3七桂を目指しています。対して後手の指し手は非常に幅広いところです。たしか以前、「注目は△4二銀」という記事を取り上げたかと思いますが、これは一変化に過ぎません。

私もまだ整理が出来ていないのですが、まず▲5八玉に対し考えられる手を全て列挙してみます。
(1)△7六飛
(2)△2二銀
(3)△8二飛
(4)△8五飛
(5)△4二玉
(6)△4一玉
(7)△5二玉
(8)△6二玉
(9)△4二銀

多くね?w

次の手がほぼ▲3六歩になるので、この中から違う駒の2つの手を組み合わせる場合も多いです。例えば▲5八玉に対し、△4一玉▲3六歩△4二銀と、△4二銀▲3六歩△4一玉は同じ局面で、どちらもあり得ます。しかし先手には▲3六飛という選択肢もある(まだ青野流が確定しているわけではない)ので、▲5八玉に選ぶ手によって、△4一玉▲3六飛△2二銀や△4二銀▲3六飛△5二玉という風に、全然違う局面に進むことも考えられます。

基本図からの指し手(1)
△7六飛    ▲3三角成  △同 桂    ▲8四飛    △8二歩    ▲8三歩
△7二金    ▲8二歩成  △同 銀    ▲8五角    △8六飛    ▲8七歩
△8五飛    ▲同 飛



いきなり(1)△7六飛と指した実戦例は、たぶん無いはずです。
▲3三角成に△同金は、▲8四飛△8二歩▲3八金△2六飛▲2七歩。先手がかなり手得していることがお分かりと思いますが、これは大局的に指し得ない。
先手は▲8三歩からどんどん攻めていく手が成立します。▲8五角は強手ですが、△2六飛とすると▲6三角成△8三歩▲7二馬△8四歩▲2七歩で先手優勢。また△8三歩は▲7六角△8四歩▲2一飛でやはり先手有利。
よって飛車角を刺し違えることになりますが、上図は▲2一飛が残り先手が指せそうです。よっていきなりの(1)△7六飛は成立しません。

基本図からの指し手(2)
△2二銀    ▲3六歩



(2)△2二銀は一番初期によく指された変化です。
▲3六歩に対し、戦いを目指すなら△7六飛なのですが、これは▲7七角ぐらいで後手のバランスが悪い形です。こうするなら△5二玉+△7六飛の方がいいでしょう。
駒組みを進めるなら、後手は次の▲3七桂に▲2五桂や▲4五桂を防ぐため、3二の金にひもを付けるのが必須。よって△8二飛は有力ですが、これは▲5八玉△8二飛▲3六歩△2二銀と同一局面なので、また改めて取り上げます。
①△4一玉、②△4二玉、③△2三銀を考えます。

上図からの指し手①
△4一玉    ▲3七桂    △6二銀    ▲2三歩
△8八角成  ▲3二飛成  △同 玉    ▲8八金



①△4一玉は危険という一般的な認識がある手だと思います。
△6二銀は▲4五桂に5三を守るためには、自然な手といえるでしょう。しかし▲2三歩が鋭く、△同銀は▲3三飛成△同桂▲同角成△同金▲7七角で先手よし。△同金も▲3三飛成△同銀(他の取り方も手が続く)▲2四歩△2二金▲4五桂△4四銀▲3四角で先手よし。
よって先に△8八角成とするしかありませんが、▲3二飛成と切り込んでから▲8八金と金で戻すのが深謀遠慮。意味は後でわかります。

上図からの指し手
△2三銀    ▲2二歩    △3三桂    ▲2一歩成
△5五角    ▲3一角    △5一金    ▲7七桂    △4一玉



△2三銀と歩を取る手では△3一銀も有力ですが、▲2二金でどうか。玉が2二に来ると▲7七角が王手飛車になります。
▲2二歩に△4四角を利かそうとするのは、▲2一歩成△8八角成▲2二角△7九馬に▲3一角成以下詰みで先手勝ち。
また▲2一歩成に△同玉は、▲7七角△7六飛▲3三角成が詰めろで先手勝勢。このとき先ほど▲8八同銀としていると、△7八飛成と飛び込まれて負けになります。
△4一玉は必要な手で、△3七角成などと攻めの手を指すと、▲2二と△4一玉▲2三と、の攻めが利いて後手が失敗します。
上図まで進むと、普通に難解な将棋。①△4一玉で不利とは言い切れないような気がします。

指し手②
△4二玉    ▲3七桂    △6二銀    ▲3八銀    △5一金    ▲9六歩
△9四歩



②△4二玉は以前有力とされていた変化ですが、最近はさっぱり見ない気がします。
これには単純な攻めは上手くいかなそうなので、一旦▲3八銀と引き締めて▲9六歩と様子見をします。▲9六歩は▲7七桂と跳ねる手を可能にしています。
▲9六歩に△2七歩を利かすのも手筋で、▲2九歩と交換になって損得不明。また△2六歩も考えられます。
上図までの△9四歩には、▲7七桂には△4四角が先受けの手筋。よって▲3五飛となりそうな気がしますが、ここからは手が広くわかりません。
結論:誰か教えてくださいw

指し手③
△2三銀    ▲3五飛    △4二玉    ▲3七桂    △5二金    ▲3八銀    △8二飛



③△2三銀は部分的にこの前のB1順位戦、三浦九段vs屋敷九段戦で出現しています。ただし先手が勇気流(▲5八玉→▲6八玉)でした。
△2三銀に▲3三飛成と一気呵成に攻めようとするのは、△同桂の後(a)▲同角成△同金▲7七角△8九飛成▲3三角成△6二玉▲8八馬…形勢不明。(b)▲7七角打△8八飛成▲同銀△6二玉▲2四歩△1二銀…形勢不明。
本手は▲3五飛。実戦では△8四飛でしたが、これは勇気流に対応した手と思われます。以下▲3七桂△3四銀と圧迫しますが、▲6五飛に受け方が難しく△5二玉▲2二歩△同金▲3五歩△2三銀▲4五桂となれば先手ペース。
本譜は駒組みになり、後手はじっくり指して手将棋に持ち込むつもり。ソフトが研究に用いられだした頃、新たな感覚の横歩取り(1歩取らせてじっとしているという意味で)としてたまに指されたような将棋です。力戦調で1局ですが、先手としては不満はないでしょう。

次回は(3)△8二飛を考える予定です。検証に際して、間違いや変化の抜けもれがあれば、ご指摘いただけると幸いです。

長いな…(苦笑)

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KKK 2021/6/5

土曜日に行います。

日曜はアマ選手権。
本気で臨みたいと思いますが、課題は多いです。


-久々に小話っぽい語り口-

横歩取り△8五飛戦法(中座流)の登場は、まさに衝撃と言えるものだったと思います。△8五飛型と中原囲いを合わせた陣形の奇抜さもさることながら、当初は後手番が圧倒的勝率を誇りました。当然の如く、瞬く間に(横歩取り史上初の)相居飛車戦のメインストリートに成り上ります。さらにその隆盛は脂の乗った羽生世代の激闘と共にあり、まさに一世を風靡したと言っていいでしょう。
ほんの十年くらい前までは横歩取りの中心に位置し、研究が深められながら長く指され続けてきました。


作戦の変遷だけ申し上げておくと、先手側の対策は中住まい中心から、▲6八玉型や新山崎流、▲7七角型など有力な陣形や手順が多く開拓されました。後手も松尾流など細かい工夫を重ねて対抗していましたが、横歩取り△8四飛型で△2四飛とぶつける筋が発見されて以降、主流をそちらに譲ることになります。

↑いち早く大激戦となる新山崎流の陣形。余談ながら、以前中座流を得意とされていたN西六段とこた(仮の間でも熱戦が繰り広げられた。(10年前)

現在、△8五飛型と中原囲いの形はソフトの評価が良くないこともあってか、ほとんど指されることはありません。変化球としては△8五飛型と中住まいをMIXし、守備的(バランス型)に指すような将棋はありましたが、それも先手が青野流を基本戦術としてからは出現することがなくなりました。(そもそも▲8七歩と打って、△8五飛と引かせる流れにならないため。)

話が前後しますが、そもそも横歩取り△3三角型にあっては、内藤流空中戦と呼ばれるもの
(△8四飛型と中住まい)がその発端でした。半世紀前からの形ですが、羽生世代も若手の頃に指しています。現代でも通用する手筋が多く見られ、内藤九段の感覚が時代を先取りしていたことが窺えます。

↑今では珍しい感もある「金開き」。△7四飛は今でもよく出現する筋の一手。内藤流と言えば細かい工夫が多く、他には△1四歩~△1五歩としてから軽く仕掛けていく指し方が印象深い。

△8四飛型は中原囲い系と合わせて指されていた期間もあったものの、エポックメイキングとなったのは△7二銀型の陣形です。特に△2四飛とぶつける筋の発見から、一躍流行の戦型に躍り出ました。

↑寵児はやはり佐藤天彦九段だろう。後手番横歩取りが名人奪取の原動力になった。

やがて△2四飛とぶつける筋は廃れることとなりましたが、後手番横歩取りは変わらず猛威を振るいました。
そこに待ったをかけたのが、現代の横歩取り先手番の主戦法である青野流です。△3三角型自体の根幹を揺らがせる戦法で、一時期は横歩取りそのものを激減に追い込みました。

さて、今度から青野流を一緒に勉強していきましょう。(これから勉強しますw)

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KKK 2021/5/22

土曜日に行います。

キノに言われました、「こた(仮さんは難しいこと言い過ぎ」だと。
仕事をしていると、技術的に素晴らしいものがある人が育成も上手いとは限らないことに気付きます。「に、日本語でお願いします」状態ですw
…なるほど。

-△3三角戦法基礎-



さて、これが横歩取りのメインストリート。
△3三角は直接は、▲2二角成を受けた手です。3四の横歩を取られたときの形で、「角道を通したまま受ける」「▲2四飛と戻られる手を防ぐ」などの効果がありますね。
ちょっと横道に逸れると、最近は矢倉でも横歩を取る形があります。矢倉なので▲7七銀となっており、先手の角道が止まった状態です。この場合は、▲3四飛のときに△4四角と出る手も有力になります。以下▲2四飛なら△2二銀と受けることができます。角でちょっと飛車を圧迫するイメージですね。(ちょうど今日の行方vs藤井戦で出現しました。)また矢倉の変化では、△3三角▲3六飛△4四角という面白い動きもあったりします。飛車は返さんぞ、という主張の強い手ですね。
本題に戻ると、ここから先手が▲5八玉とするのが「青野流」、▲6八玉とするのが「勇気流」という戦法です。いずれも飛車を3四に置いたまま、▲3六歩~▲3七桂と桂を使った攻めを狙います。最新形でもあり、かなり難しい戦法。(余談ですが、佐々木勇気七段著の「勇気流」本を買いました。難易度スーパーベリーハードの本です。)
以前の主流は▲3六飛でした。後手の横歩取りを防ぎつつ、飛車を安定させます。

上図からの指し手
▲3六飛    △2二銀    ▲8七歩    △8五飛    ▲2六飛



この手順は後手が△8五飛戦法(中座飛車)の作戦です。このあたりは実は必然性がある訳ではなく、作戦によって色々な手順の組み合わせが考えられます。
▲3六飛に対して△8四飛とするのがメジャーな変化で、古くは「内藤流空中戦」と呼ばれた指し方です。△8五飛戦法の場合はいきなり△8五飛とすると、▲8七歩と打たない手が有力になりやすくなります。詳しい手順は省略しますが、▲7七桂が当たるから△8六歩の垂らしが利きにくいのが理由です。
というわけで一旦△2二銀と上がり、▲8七歩と打たれてから△8五飛と据えます。そして△2五飛を防いで▲2六飛とするのが手順です。(さきほども言ったが、必然ではない。)
次の手は囲いによって変わります。△5二玉とすれば中住まい。今回は初期の中原囲いを考えます。

上図からの指し手
△4一玉    ▲3三角成  △同 桂    ▲9六角



△4一玉~△6二銀~△5一金としたのが「中原囲い」です。元々は相掛りの分野で様々な作戦を開拓した中原永世十段が、その新領域の相掛りで用いた囲いの1つでした。
最初の手は△4一玉ですが、△6二銀を先に指すことはできません。△6二銀▲3三角成△同桂▲2一角と強襲されて不利に陥ります。後手の右側が壁になっているのが痛く、これは受かりません。
しかし今度は▲9六角と打たれる手が気になります。実はこれがプロの1号局。今は出ない変化ですが、しっかり抑えておきましょう。

上図からの指し手
△6五飛    ▲6六歩    △6四飛    ▲6五歩    △8四飛
▲6三角成  △5二金    ▲1八馬    △4四角    ▲2四飛    △2三銀
▲4四飛



一旦△6五飛と角成を受ける位置に逃げ、▲6六歩~▲6五歩とされてから△8四飛とします。歩を伸ばさせてスキを作る意図ですが、▲6五歩に△同飛と取ってしまうと▲7七桂△6四飛▲6五歩とされて損をします。その意味は後でわかります。
▲6三角成に△5二金と当て、△4四角が後手の反撃。▲7七桂と跳ねさせているとこの手が利きません。しかし先手にも▲2四飛の返し技があり、△9九角成なら▲8四飛と飛車を素抜かれてしまいます。結局、飛車と角を刺し違える形になります。
この局面は実はいい勝負です。しかし▲9六角と打った実戦例はほとんどない。(もしや最初の1局のみ?)「せっかくの先手番でこれを選ぶのか」と認識されている局面ということですね。

凄い丁寧に書いてみました。…一変化だけですが、疲れました。もう無理ですw
O先輩、教育者って凄いですね(こなみかん

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KKK 2021/5/1

土曜日に行う予定です。
※緊急事態宣言下です。来られる方はお気を付けてお越しください。

今回は横歩取り△3三桂戦法を取り上げます。現在はほとんど指されることはありませんが、先手が簡単に有利になることはありません。



ここで▲2四飛とするのは、△4五桂とされて激しくなる可能性が高い。先手が悪いとも言い切れないが、リスクが高いと思われる。
よって先手はじっくり指して、1歩得を主張するような方針で指す場合が多い。

上図からの指し手①
▲5八玉    △1四歩    ▲3六飛    △4二銀    ▲3八金    △6二玉
▲4八銀    △7二玉    ▲9六歩    △8二銀    ▲7五歩    △8四飛
▲7七桂



▲5八玉に△7六飛と欲張ると、▲8四飛△8二歩▲2三歩△同金▲2四歩で先手よし。△1四歩はその防ぎにもなっているが、▲3六飛と引いて後手が横歩を取ることはできない。
後手は△6二玉~△7二玉と右側に玉を持っていく。このままでは角が使えないので、△1三角や△3一角と将来動かすことになる。△3三桂と跳ねてしまうと、ひねり飛車以外はいびつな駒組みになってしまうところがある。
対する先手も、ひねり飛車以外の作戦が難しい。▲7七桂では▲2六飛△2五歩と歩を打たせるのも有力。上図以下は、△2四飛▲2七歩△9四歩▲8六飛△8四歩…などが一例となる。要領を得ない手将棋となりやすい。

指されない理由は、このような展開で収まったときに、後手側にそれほど主張が無いと認識されているからだと思われる。
ただし現環境では似たような将棋になりやすいので、自分だけ研究しておけるという実戦的なアドバンテージが後手にはある。

指し手②
▲3六飛   △8四飛    ▲2七歩    △1四歩    ▲4八玉    △4二銀
▲3八玉   △6二玉    ▲9六歩    △7二玉    ▲7五歩



後手の土俵を避けるために、先手も変化球を考えてみよう。私が以前よく指していた作戦である。
単に▲3六飛と引くが、これに△1四歩は▲2三歩△1三角(△同金は▲2四歩)▲8七歩△3五歩▲6六飛△8四飛▲6三飛成△2四飛▲2二歩成△同銀▲2八歩で先手有利になる。よって△8四飛とするが、▲2七歩とベタっと打ってしまうのが如何にも実戦的だ。そして先手も玉を右側に配置して上図となる。
こうなると相振り感覚で自然に指せるという強みはある。後手の方が駒組みが進んでいるが、むしろ相手の手を見ながら有効な陣形を選んでいきたいところ。

アマチュア向きの作戦な気がします。

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KKK 2021/3/27

土曜日に行います。




今回は△4二玉とする変化を見ていこう。
現在進行形でプロの将棋では流行の兆しがあり、まさしく最新形といえるだろう。
未解決の分野がほとんどという将棋だが、ぜひ皆様も考えてみてほしい。

上図からの指し手(1)
▲5八玉    △7二銀    ▲2四飛


△4二玉の次の手は様々考えられるが、一番多く指されているのは▲5八玉だ。
後手は△7二銀(△7四歩と指した例もある)とするが、▲2四飛と戻る手が一番指したい手となる。これは△3三角型ではできない手である。

上図からの指し手①
△5二玉    ▲2八飛    △7六飛    ▲7七角    △7四歩    ▲8三歩


後手は△5二玉と形を整える。手損だが、▲2二角成~▲7七角の筋に備える意味がある。
後手から△8八角成▲同銀△3三角と攻め込むのは、▲2一飛成△8八角成▲9五角と反撃し先手よし。これまでにも出てきた変化だ。
本譜は▲2八飛に△7六飛と横歩を取り、後手が青野流のような構えになっている。▲8三歩が手筋の反撃で互角の勝負である。

指し手②
△5二玉    ▲1六歩    △1四歩    ▲2二角成  △同 銀    ▲7七角    △8九飛成
▲2二角成  △3五角    ▲2五飛    △3三桂    ▲同 馬    △同 金
▲2二飛成  △3二歩    ▲2五桂


▲1六歩と一度突いた実戦がある。△1四歩と受けると、なんと▲2二角成~▲7七角が成立する(△1五角がない)。
この変化は難しいところもあるが、先手優勢である。このようにわずかな違いで攻め筋の成否が変わるところに、横歩取りの一手の価値の高さが分かる。

指し手③
△7四歩    ▲2二角成  △同 銀    ▲7七角    △2三歩    ▲8六角    △2四歩


最近強く△7四歩とした実戦も出現した。対して▲同飛と取ると、△7七歩と打たれて痺れることになる。
怖い▲2二角成~▲7七角は、先手のみ角を手放す形となる。形勢は難しく、お互いバランスを取るのが大変な将棋だ。

指し手④
△7四歩    ▲2八飛    △7六飛    ▲2二角成  △同 銀    ▲7七金    △2七歩



千田vs飯島戦では▲2八飛と引いたが、△7六飛とやはり横歩を取りに行く。▲2二角成~▲7七金に△7五飛は▲6六角があるが、△2七歩と先に飛車先を抑えるのが好手。これは後手が指せそうだ。

指し手(2)
▲2四飛    △8八角成  ▲同 銀    △3三角



単に▲2四飛と寄るのもあるが、△4一玉型と同様にやはりこの変化は(一応)成立する。先手からすると1歩得して治めたい気持ちはあるが、▲2四飛はどのタイミングでもリスクがありそうだ。
当然▲3六飛も有力なのだが、この場合はそもそも△3三角が必要だったのか、という議論が必要だ。

Let's try!

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KKK 2021/2/28

日曜日に行います。

三寒四温を経て、春(読み:かふんしょう)がやってくる。
いや、もうキテるんですけど。


今回は先手が横歩取りの瞬間、(2)△4一玉とする形を考えてみます。
少し前にプロ棋戦ではほとんどが△3三角型だと述べましたが、最近の横歩取りは後手が定跡を外そうとする傾向が強いです。(3)△4二玉型と合わせて評価値もそれほど悪くなく、新たなトレンドとなるかもしれません。



指し手①
▲5八玉    △5一金



基本的には、後手は中原囲いを目指していると思っていいだろう。△7二銀型にするなら、△4二玉型の方がバランスが良く見える。
まずは先手がとりあえず中住まいにする順から。後手も△5一金と囲いを構築する。


上図からの指し手(a)
▲8七歩    △8八角成  ▲同 銀    △7六飛    ▲7七銀    △2六飛
▲2八歩    △6二金    ▲8四飛    △8二歩


この形のパイオニアは三浦九段である。この将棋は、藤井聡太現二冠との1局(JT杯)。
藤井二冠は▲8七歩と受けた。飛車を引いても1局ではあるが、この瞬間△8八角成が鋭い。(というか、とっておきの作戦だったのだろう。)
以下図まで進めば五分の将棋と言えるが、後手が主張を通したとみて間違いない。▲8四飛では▲8三角として馬を作り、先手も主張を作っておく方がよいかもしれない。
実戦は後手の三浦九段が勝利しています。さすみう。

指し手(b)
▲2四飛    △2三歩 
▲2六飛    △8四飛    ▲8七歩    △6二銀    ▲3八銀    △7四歩
▲3六歩    △7三桂



今度は豊島竜王vs三浦九段の1局。豊島竜王は▲8七歩に代えて▲2四飛と寄った。これに△6二銀は▲2二角成△同銀▲7七角が怖すぎるので、△2三歩と打つ。本譜は▲2六飛だったが、ここでは▲2八飛も有力。以下△7六飛は▲8五角のスキがあるし、△8八角成▲同銀△7六飛と先手を取るのも▲7七桂ぐらいで後手のバランスが悪い。よって横歩を取ることはできず、引き飛車を生かして戦うことができそうだ。
本譜は完全に1局の将棋としか言えない。以前なら△2三歩と打って1歩しか手持ちにない形は反射的にダメだと言われたものだが、普通にいい勝負であるw
実戦は積極的に後手が攻めていったが、先手の豊島竜王が(力で)勝っている。

指し手②
▲2四飛    △8八角成  ▲同 銀    △3三角



そしてこの前の朝日杯決勝、藤井二冠vs三浦九段である。三浦九段が再びこの戦法をぶつけていった訳だが、今度は藤井二冠が▲5八玉より先に▲2四飛と寄った。この辺り、どういう違いや思惑があるかは正直わからない。▲2四飛に△5一金として同じ様な展開も考えられたが、△8八角成▲同銀△3三角!とまたもや意表の作戦を投入してきた。

上図からの指し手(a)
▲2八飛    △2七歩
▲5八飛    △7四歩    ▲5六歩    △6二銀    ▲8七歩    △8五飛
▲3八金    △5一金    ▲2七金



さすがの藤井二冠といえども、意表を突かれたことだろう。▲2八飛と引いて一応の小康を得た。先手は歩を取り切り、2歩得になる。既に読み合いの将棋となっているが、形勢は何とも言えないところだ。私は後手から手を作るのが難しそうな気がするので、どちらかというと先手を持ってみたい気がする。
実戦は熱戦の末に先手が勝ち、藤井二冠が3度目(!)の朝日杯を手中にしました。

指し手(b)
▲2一飛成  △8八角成



では、▲2一飛成と乱戦に飛び込むと果たしてどうなるのか。後手としてはこの変化が解決できれば、有力な選択肢が増えることになる。
まず(ア)▲2四桂と攻め合いを目指すのは、△2二金▲3二角△4二玉▲3一龍△同玉▲4三角成と怖い変化に踏み込むことになる。しかしそこで△3三馬が好手で、以下▲5三馬なら△4二馬と綱渡りをしてギリギリ受かっている。これは後手よし。
(イ)▲9五角はこの形の手筋だが、△7六飛▲7七歩△8九馬▲7六歩△7八馬と進む。この進行も▲2四桂には△2二金で受かるため、先手を持って指しづらい変化だ。
また(ウ)▲7五角は、△7六飛▲7七歩△7五飛▲8八金△1二角ぐらいで後手が指せそう。
よって(エ)▲8七歩△同馬▲9五角と捻ることになる。以下△7六飛とするか、△2八歩とここで利かす手もあるようだ。いずれにしても先手にとっては指し手のハードルが高く、選びにくい将棋という感じを受ける。

この△4一玉型はかなり有力という印象です。ただしほとんどが未知の将棋であり、且つ変化が多岐に渡るため、今のところ指しやすさとか勝ちやすさが全くわからないというところです。
有志の検証を求む!w

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棋譜取りを千切るような指し手のスピードには決して負けないが、そのまま終わったら脳内詰将棋ができない

今週末のKKKはお休みさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

王将戦の坂井地区予選では、棋譜取りなどの役員の仕事をしてきました。代表には若い人が多いですが、30代~40代の参加が少ないですね。
将棋が一番強い年代のはずなので、ぜひ積極的に参加いただきたいと思います。(コロナの問題は未だにありますが…)


-横歩取り基本講座②-

お互い飛車先を切った最初の図。序盤早々いかにも気を使う展開だが、ちゃんとした基礎知識があれば大丈夫だ。恐れずにやってみよう。


ここではまず(1)▲5八玉という手が指されている。

上図からの指し手(1)
▲5八玉    △7六飛    ▲7七角    △7四飛



一例ではあるが、後手が横歩を取った形になる。先後が逆になったような将棋だが、先手は一手を生かせるかどうか。
△7六飛で△5二玉とし、▲2二角成△同銀▲7七角△8九飛成▲2二角成…のような激しい定跡もある。

また、(2)▲2六飛とすれば△8二飛▲8七歩△2三歩のように、相掛りの定跡形と合流することが多い。これは以前の感覚では先手が不満と思われていたが、最近は見直されている。先手としては相掛りが得意なら、有力だろう。
先手が最初の図でパスしたとしても、後手となるだけ…、そういう発想でいけば、(3)▲1六歩や、(4)▲9八香!のような半分ハメ手もある。興味がある方がいれば解説しよう。

指し手(5)
▲3四飛

プロではほとんどこの手が選ばれている。そもそも最初の図の局面自体が、この▲3四飛を指すための順だと言ってしまってもいいだろう。
ここで後手の指し手は分岐し、以下の手が考えられる。
①△8八角成
②△4一玉
③△4二玉
④△3三桂
⑤△3三角
本命というかほとんどは⑤△3三角だが、まずは①△8八角成を考えてみよう。

上図からの指し手①
△8八角成  ▲同 銀    △2八歩    ▲同 銀    △4五角



後手は▲3四飛と横歩を取られた局面で、次の▲2二角成を防がなくてはならない。よって逆に△8八角成と角交換し、続けて△2八歩と襲い掛かる手がある。(ちなみに、ここでは△3八歩と隣から打つ裏定跡もある。)
以下△4五角と打った形が、有名な横歩取り△4五角戦法だ。基本的には先手有利と言われているが、先手は一手間違うと逆転する難しい局面が続く。(後手の方が指し手がわかりやすい。)
横歩取りを指すからにはこの変化も深い研究が必要だが、変化が複雑なため割愛させていただく。

指し手②
△8八角成  ▲同 銀    △7六飛



これは相横歩取りと言われる定跡になる。後手は自分から角交換しないと横歩を取れないため手損になるが、先手良しとも言い切れない。
△7六飛は金取りなので(a)▲7七桂、(b)▲7七銀、(c)▲7七歩が考えられる。
(a)▲7七桂は比較的穏やかな変化(相横歩の中では)で、力将棋になりやすい。

指し手(b)
▲7七銀    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲4六角
△8二角    ▲同角成    △同 銀    ▲5五角    △2八歩    ▲8二角成
△2九歩成  ▲4八銀    △2七角



▲7七銀は昔かなり定跡化され、難解な変化も多い。
△7四飛には▲同飛とせず、▲3六飛とかわす手もある。ただ先手からすると、△8四飛を一度決められてしまうのが味が悪い。
飛車を交換した後、▲4六角と打つのは定跡手。この後は一例となり、全ては解説しきれない。
最後の△2七角では△3八歩と垂らす手が有名だが、△2七角はアマ間で伝わる(?)有力手。
どの変化になっても先手が勝てると巷では言われているが、どちらを持っても怖い将棋である。(形によっては最後▲8五玉とかいう符号が出てくるくらい難しい定跡)
指し手(c)
▲7七歩    △7四飛    ▲3六飛    △3三桂    ▲2六飛    △2五歩
▲5六飛    △4二銀    ▲8六飛    △8二歩    ▲8三歩    △7二金
▲8二歩成  △同 銀    ▲8三歩



この変化はPONANZAvs村山七段戦で有名になった。
△7四飛に以前の定跡は▲同飛だったが、▲3六飛がPONANZAの意表の着手だった。▲2二歩があるので△3三桂と受けるが、▲2六飛~▲5六飛がまた意表をつく。△4二銀と上がらせた方が得というのは、初見ではなかなかわからない。
▲8六飛に実戦は△8四歩だったが、▲8三角と打てれば先手が十分。△4二銀を上がらせた効果で、飛車を取った時の▲2一飛が厳しくなっている。
よって△8二歩はどうかだが、攻め立ててやはり先手が指せる形勢だ。最後▲8三歩に△同銀は▲6五角、△7一銀は▲8二角という要領である。

余談ですが、私は今このブログを朝日杯の決勝を見ながら書いています。この将棋で、②△4一玉という手が出現しました。この手は古い手ですが、後手の三浦九段が少し前にも採用しており、有力な変化球として「ちょっと研究してみようか」と思っていたところでした。この手は次回取り上げてみるとして、この決勝戦は将棋の内容にも注視したいですね。

それにしても、青野流とか最新の定跡は全然頭に残らないのに、子供のころ勉強したものは使わないのに覚えているものです。

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KKK 2021/2/6

土曜日に行います。

DIYで将棋盤の補修を考える今日この頃。


-横歩取り基本講座-

近頃、KKKで横歩取りが頻発している(?)ので、横歩取りの基本についてお話してみたいと思います。
横歩取りは激しい戦いになることが多く、一手で形勢に差のつきやすいスリリングな戦型です。盤面全体で、飛び道具を使ったスピード感のある将棋にもなりやすいですね。
ややアマチュアには敷居の高い戦型と捉えられがちですが、いろいろな感覚を取り入れるのは上達への近道です。ぜひイメージで敬遠せずに指してみてください。

ちなみに私が(現時点で)唯一研究をおろそかにしている戦型でもありますw その理由は省略しますが、ぶっちゃけ最新形の細かい変化までは解って(追えて)いない。書きながら自身も合わせて勉強していきたいですね。

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩
▲7八金    △3二金    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



横歩取り研究はここからスタートでまずは良いだろう。ここで(1)△8六歩が本命だが、最近は(2)△4二玉もたまに指されている。この変化は以前取り上げたが、それほど定跡が進んでいないので割愛する。(基本講座という体だし)
今回は(3)△2三歩を解説する。もうこの手が指されていたのは30年近く前な気がするが、実は先手を持っていたら避けれない変化だ。ある程度知識は持っておきたい。

△2三歩からの指し手①
▲2六飛    △7二銀    ▲3八銀    △4二玉    ▲5八玉    △7四歩
▲3六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛


知らない変化に誘導されたからと、横歩取りを断念するとどうなるか。上図までは一例だが、後手に良いタイミングで飛車先を切られ、逆に横歩を狙われる展開になる。実は相掛りの先後が入れ替わったような形で、当然だが先手が不満だ。

というわけで、ここでは先手のプライドを持って横歩を取りたいところ。

△2三歩からの指し手②
▲3四飛    △8八角成  ▲同 銀



後手は不安定な飛車を狙って角を打つのが、△2三歩と打った時からの目論見である。△2三歩と打っておきながら場を収めるのは、後手としてもあり得ない。

上図からの指し手(a)
△4五角    ▲3五飛    △2七角成
▲1五角    △4一玉    ▲3六歩    △1四歩    ▲4八角



まず△4五角は、以下図まで進むのが定跡。▲1五角の王手がポイントで、この順は折角作った馬がピッタリ捕まってしまう。先手が有利。

上図からの指し手(b)
△2五角    ▲3二飛成  △同 銀    ▲3八銀    △3三銀    ▲1六歩



△2五角には▲3六飛も考えられるが、▲3二飛成とズバッと切ってしまって、結論から言うと先手が有利になる。 これに△同飛と取るのは、ア)▲3八銀△7二金(▲4五角と▲8三角を受ける金上がり。代えて△7二銀は、▲8二角△9二飛▲9一角成△同飛▲8二金が成立して先手良し。)▲7七角 △2二銀▲2六歩△1四角▲1六歩△2四歩▲3四金!とやれば後手陣を食い破れるし、イ)▲8三角△3四角▲4六歩とゆっくり馬作りを目指しても問題ない。
△3三銀は▲2二角を防いでこれぐらい。そこで▲1六歩と突くのが、後手の角を圧迫する手。△4二玉は▲3五金で角を召し捕られるので△4四歩と突きたいが、▲6五角が妙手。△2二飛には▲3一金と重く打って良い。結局△3一飛と打つくらいしかなく、これならもう後手が駒得という感じではない。▲7七銀からゆっくり指して、金と歩2枚を手持ちにしている先手が指せる局面と言える。

指し手(1)
△8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲3四飛


よって△8六歩が本命の手順として指され続けている。▲3四飛と取って、今日はここまで。

期せずに横歩取りが始まってしまいましたが、角交換四間飛車のお話もまだまだ途中。各記事でコメントや拍手の多い方が、早くアップされる気がしますよw(露骨なコメ稼ぎ

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KKK 2020/8/8

土曜日に行います。


将棋小話 -最新横歩取り △4二玉と△4二銀-

以前横歩取りが少なくなっていることをブログでも書きましたが、最近復活しています。ずっと指し続けていたプロ(横山七段、飯島七段、上村五段など)の後手番の勝率は現在かなり高いと思います。これは先手の対策がおざなりになっていることもあるかと思われますが、もっと指す人が増えれば情勢は変わるでしょう。タイトル戦でも永瀬二冠が採用しています。



上の図が横歩取りの出だしです。(初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛まで)

ここで△4二玉と上がるのが一番ホットな形です。新手とは言えませんが、この手が注目されるは初めてでしょう。    

(1)△4二玉▲3四飛△3三角



そもそも△4二玉という符号は普通横歩取りで出てこなかったものです。△8六歩を保留しているのも新しい感覚で、相掛りのようですね。実際問題、(特に青野流で)8筋を切ると浮いた飛車を狙われたり、8筋に歩を叩かれたりします。
ここから現代将棋らしく桂の活用を急ぎます。

上図からの指し手①
▲3六飛△2二銀▲2六飛△7二銀▲5八玉△7四歩▲3八銀△7三桂



陣容整備を見れば、明らかに後手の攻撃陣が先に整っている。もちろん形勢は互角で、ここからは研究課題でしょう。

飛車先を交換してこないならということで、8筋を受ける指し方も試みられています。

②▲5八玉△2二銀▲7七角


▲7七角と上がった将棋も複数ありますが、どこで上がるのがいいかはまだ謎。いずれにせよ、この△4二玉はまた指されること間違いなしでしょう。要注目です。
横歩取り系ですが後手が一発で倒されるような形ではないので、現在の環境では腕力で勝負したいアマにもオススメできます。

本流の横歩取りでは、青野流が全盛。先手はこれしかしてこないとまで言える。その青野流対策は必須ですが、これは後手が対策を散らしている印象を受けます。私がオススメなのはこれ。

(2)△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△3三角▲5八玉△4二銀



▲5八玉が青野流の意思表示と言えますが、△4二銀と上がるのが骨子。これも以前から青野流対策としてあったものの、△4二銀自体は横歩取りではほとんど見かけない形です。

上図からの指し手①
▲3六歩△2二歩▲3七桂△4一玉▲3八銀△7二銀


青野流完遂には△2二歩~△4一玉がガッチリした陣形です。以前はそれから△6二銀~△5一金と指していましたが、△7二銀と一手で引き締めるのが現代的。後手は飛車を引き上げ、△2八角を伺いながら指すような感じになりそう。

②▲3六飛△5二玉▲2六飛△2三歩▲8七歩△8四飛▲3八銀△7二銀


△4二銀ではもう普通の横歩取りに戻せない。よって▲3六飛~▲2六飛と構えるのも普通の考え方です。しかし後手はあっさり△2三歩と打ってしまいます。昔なら「横歩でこれじゃダメ」と言われそうですが、△4二銀型は玉周りがしっかりしていて実戦的。

最新動向に興味を持って自分で試してみるのは大事です。読者の方もぜひ指してみてください。

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