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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/7/25

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


今回は青野流の(4)△8五飛について検証します。



(4)△8五飛には▲7七桂と跳ねる手がまずは見えるところ。対して△8二飛と引くか、△2五飛と転回するかは二者択一です。

上図からの指し手①
▲7七桂    △8二飛



△8二飛は△8七歩の先手となっています。▲7七桂が攻めに働くか、悪形となるかが優劣の分かれ目となるでしょう。
さて、実はこの将棋、私も指したことがあります。おととしの県アマ選手権、2438県名人vsこた(仮の一戦です。

上図からの指し手(a)
▲8五歩    △7二銀    ▲7五歩    △4二銀
▲3六飛    △4四歩    ▲2六飛    △2三歩    ▲9六歩    △9四歩
▲3八銀    △5四歩    ▲9七角    △5三銀    ▲7六飛    △4二角
▲4八玉    △4一玉    ▲3九玉    △6四銀    ▲6六歩



2438くんは▲8五歩と打ちました。この時点で早くも「やべぇ…研究外れた…」と頭を抱えていましたw
早々に▲8五歩と打つと一見負担になりそうに見えるので、少し指しづらい手です。よって私はこれを咎める構想が無いかと考えました。先手は▲7五歩からひねり飛車を目指しますが、左銀と△4二角でこれを圧迫する構想です。
しかし▲2六飛△2三歩の交換で歩を打たされているのが痛く、△6四銀に堂々と▲6六歩で問題ありません。(2歩持ちなら、△8六歩▲同角△7四歩という攻め筋がある。)
実戦は△9五歩から無理やり動いたものの、的確に差を付けられ完敗を喫す。

結局早い▲8五歩を後手の利にするのは難しい。指し手(b)でプロの実戦を基に再考します。

指し手(b)
▲9六歩    △4二銀    ▲7五歩    △7二銀    ▲3六飛    △4一玉
▲8五歩    △6四歩    ▲1六歩    △6三銀    ▲3八銀    △4四角
▲8六飛    △5四歩    ▲8四歩    △7二金



最初に▲9六歩の方が手が広い意味はあります。(梶浦vs大橋戦)といっても、本譜の先手の狙いはほぼ2438くんと同じです。
対して後手は△6四歩~△6三銀と組んで、普通のひねり飛車対策の陣形。実戦では△5四歩で△2八歩と強く打ち込みましたが、本譜も自然な感じです。後手としては歩損しているのをどう見るかですが、1局の将棋でしょうか。

指し手(c)
▲9六歩    △4二銀    ▲3六歩    △4四歩    ▲3七桂    △4三銀
▲3五飛    △8六歩    ▲8五歩    △5四歩    ▲2五飛    △2三歩
▲9七角    △4二角    ▲7五歩    △6二銀    ▲6五飛    △9四歩
▲8六角    △7四歩



▲3六飛でなく▲3六歩と突っ張る変化はどうでしょうか。(谷川vs大橋戦)
△4四歩~△4三銀と組めば▲3七桂の活躍は抑えられそうです。
△8六歩は一見▲8五歩で効果がなさそうですが、△4二角と引いて▲7五歩から▲8六角の瞬間、△7四歩で手を作ることに成功しました。後手もそれなりに指せると思います。

指し手②
▲7七桂    △2五飛    ▲2八歩    △7二金    ▲8四飛    △8三歩
▲8六飛    △5二玉



▲7七桂には△2五飛も有力です。上図まで妥当な進行ですが、少し▲7七桂型が角を閉じ込めて重いような感じを受けます。(先手が1歩得であり、悪いわけではない。)

結論として、△8五飛にいきなり▲7七桂は先手がつまらないと思います。
本命は▲3六歩。

指し手③
▲3六歩    △4二銀    ▲7七桂



▲3六歩に△4二銀とすると、今度こそ▲7七桂が強力になります。やはり(a)△8二飛と(b)△2五飛が考えられます。

上図からの指し手(a)
△8二飛    ▲8三歩    △同 飛
▲8四歩    △8二飛    ▲6五桂    △5二金    ▲3七桂    △3一歩



△8二飛に▲8三歩~▲8四歩と行くのがミソ。(船江vs大橋戦)▲6五桂~▲3七桂と両桂の跳躍を狙います。
最後の△3一歩が強靭な一着で先手有利とまでは言い切れないものの、好調な駒運びです。

指し手(b)
△2五飛    ▲2八歩    △2二飛    ▲8四飛



今度▲7七桂に△2五飛と飛びのくのは、上図まで進んで先手が指せます。
指し手②の変化と比べて、▲3六歩と△4二銀の交換で▲3七桂~▲4五桂の筋が厳しくなっています。△2二飛と備えますが、▲8四飛にも△8二歩と凹むぐらいしかなく、あとは桂を跳ねていくだけでも相当でしょう。
ちなみに△2五飛に▲3七桂は、△2九飛成▲4五桂△2七歩と攻め合って後手よし。

指し手④
▲3六歩    △2五飛    ▲2八歩    △8五飛    ▲3八銀    △8二飛    ▲3七桂
△4四歩    ▲3五飛    △5四歩    ▲9六歩    △6二銀    ▲7七桂
△8六歩    ▲8五飛    △同 飛    ▲同 桂    △8二飛    ▲9三桂成
△同 桂    ▲6六角



よって▲7七桂と催促されなくても△2五飛と回ることになりそうです。この将棋は藤井二冠vs高橋九段戦で出現しています。
▲2八歩で▲3七桂と強気に攻め合いを目指すのは、△2九飛成▲4五桂△8八角成▲同銀△5二金▲7七桂…後手にとっても怖い変化なものの、先手の攻めが決まるかは微妙です。
▲2八歩に△8五飛と戻らないで△4二銀などと指すと、▲8四飛△8二歩▲3八金と進んで▲7七桂型の重い形を回避することができ、1歩得で先手十分です。
藤井二冠は陣形を整備したのち、▲7七桂~▲8五飛と飛車をぶつけていきました。高橋九段は△8二飛の自陣飛車で受け止めにかかりましたが、▲9三桂成~▲6六角が素晴らしい着想で手にしてしまいました。先手がやや有利と思われます。

結論として、私は(4)△8五飛では少し後手が面白くないと思います。

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