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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

棋譜取りを千切るような指し手のスピードには決して負けないが、そのまま終わったら脳内詰将棋ができない

今週末のKKKはお休みさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

王将戦の坂井地区予選では、棋譜取りなどの役員の仕事をしてきました。代表には若い人が多いですが、30代~40代の参加が少ないですね。
将棋が一番強い年代のはずなので、ぜひ積極的に参加いただきたいと思います。(コロナの問題は未だにありますが…)


-横歩取り基本講座②-

お互い飛車先を切った最初の図。序盤早々いかにも気を使う展開だが、ちゃんとした基礎知識があれば大丈夫だ。恐れずにやってみよう。


ここではまず(1)▲5八玉という手が指されている。

上図からの指し手(1)
▲5八玉    △7六飛    ▲7七角    △7四飛



一例ではあるが、後手が横歩を取った形になる。先後が逆になったような将棋だが、先手は一手を生かせるかどうか。
△7六飛で△5二玉とし、▲2二角成△同銀▲7七角△8九飛成▲2二角成…のような激しい定跡もある。

また、(2)▲2六飛とすれば△8二飛▲8七歩△2三歩のように、相掛りの定跡形と合流することが多い。これは以前の感覚では先手が不満と思われていたが、最近は見直されている。先手としては相掛りが得意なら、有力だろう。
先手が最初の図でパスしたとしても、後手となるだけ…、そういう発想でいけば、(3)▲1六歩や、(4)▲9八香!のような半分ハメ手もある。興味がある方がいれば解説しよう。

指し手(5)
▲3四飛

プロではほとんどこの手が選ばれている。そもそも最初の図の局面自体が、この▲3四飛を指すための順だと言ってしまってもいいだろう。
ここで後手の指し手は分岐し、以下の手が考えられる。
①△8八角成
②△4一玉
③△4二玉
④△3三桂
⑤△3三角
本命というかほとんどは⑤△3三角だが、まずは①△8八角成を考えてみよう。

上図からの指し手①
△8八角成  ▲同 銀    △2八歩    ▲同 銀    △4五角



後手は▲3四飛と横歩を取られた局面で、次の▲2二角成を防がなくてはならない。よって逆に△8八角成と角交換し、続けて△2八歩と襲い掛かる手がある。(ちなみに、ここでは△3八歩と隣から打つ裏定跡もある。)
以下△4五角と打った形が、有名な横歩取り△4五角戦法だ。基本的には先手有利と言われているが、先手は一手間違うと逆転する難しい局面が続く。(後手の方が指し手がわかりやすい。)
横歩取りを指すからにはこの変化も深い研究が必要だが、変化が複雑なため割愛させていただく。

指し手②
△8八角成  ▲同 銀    △7六飛



これは相横歩取りと言われる定跡になる。後手は自分から角交換しないと横歩を取れないため手損になるが、先手良しとも言い切れない。
△7六飛は金取りなので(a)▲7七桂、(b)▲7七銀、(c)▲7七歩が考えられる。
(a)▲7七桂は比較的穏やかな変化(相横歩の中では)で、力将棋になりやすい。

指し手(b)
▲7七銀    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲4六角
△8二角    ▲同角成    △同 銀    ▲5五角    △2八歩    ▲8二角成
△2九歩成  ▲4八銀    △2七角



▲7七銀は昔かなり定跡化され、難解な変化も多い。
△7四飛には▲同飛とせず、▲3六飛とかわす手もある。ただ先手からすると、△8四飛を一度決められてしまうのが味が悪い。
飛車を交換した後、▲4六角と打つのは定跡手。この後は一例となり、全ては解説しきれない。
最後の△2七角では△3八歩と垂らす手が有名だが、△2七角はアマ間で伝わる(?)有力手。
どの変化になっても先手が勝てると巷では言われているが、どちらを持っても怖い将棋である。(形によっては最後▲8五玉とかいう符号が出てくるくらい難しい定跡)
指し手(c)
▲7七歩    △7四飛    ▲3六飛    △3三桂    ▲2六飛    △2五歩
▲5六飛    △4二銀    ▲8六飛    △8二歩    ▲8三歩    △7二金
▲8二歩成  △同 銀    ▲8三歩



この変化はPONANZAvs村山七段戦で有名になった。
△7四飛に以前の定跡は▲同飛だったが、▲3六飛がPONANZAの意表の着手だった。▲2二歩があるので△3三桂と受けるが、▲2六飛~▲5六飛がまた意表をつく。△4二銀と上がらせた方が得というのは、初見ではなかなかわからない。
▲8六飛に実戦は△8四歩だったが、▲8三角と打てれば先手が十分。△4二銀を上がらせた効果で、飛車を取った時の▲2一飛が厳しくなっている。
よって△8二歩はどうかだが、攻め立ててやはり先手が指せる形勢だ。最後▲8三歩に△同銀は▲6五角、△7一銀は▲8二角という要領である。

余談ですが、私は今このブログを朝日杯の決勝を見ながら書いています。この将棋で、②△4一玉という手が出現しました。この手は古い手ですが、後手の三浦九段が少し前にも採用しており、有力な変化球として「ちょっと研究してみようか」と思っていたところでした。この手は次回取り上げてみるとして、この決勝戦は将棋の内容にも注視したいですね。

それにしても、青野流とか最新の定跡は全然頭に残らないのに、子供のころ勉強したものは使わないのに覚えているものです。

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