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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2020/8/1

土曜日です。


将棋小話 -王位の勝負手-

さて、以前にも取り上げたこの局面を覚えておいでだろうか。



この局面が王位戦第1局、藤井聡太七段(当時)vs木村一基王位の対局で指された。△4四歩と突き、同形を維持する指し方はそれほど多くない。
以下、▲4五歩△同歩▲同銀に△5二玉がまた珍しい手である。



この手がプロで指されたのは割と最近のはずだが、角換わりを得意とするプロならきっと一度は考えたことがあるに違いない。一見有力そうに見えるこの手が、しばらく指されずにいたのは何故か。それはきっと、この手を指した瞬間にソフトの評価値がガクンと落ちるからに他ならないと思われる。
私もまさかこの手がタイトル戦で指されるとは、思いもしなかった。(こんなことなら以前の記事で取り上げておくべきだったw)

以下、王位戦は次のように進む。
(1)▲2四歩△同歩▲5四銀△同歩▲4五桂



これは少し先手が捻った印象。木村王位も本線では無かったのではないかと推察する。ここから△4四銀▲7五歩△4五銀▲7四歩と進んだが、先手の藤井新棋聖が優勢になった。

そこで△4一飛▲4六歩△4四銀はどうだろうか。先に△4一飛とすれば歩を打たせて、▲7五歩の攻めを緩和することができる。


①▲2三銀△同金▲3二角△1三金▲4一角成△同玉▲8一飛△6一銀▲9一飛成△5二玉



▲2三銀が見えた方は鋭い。しかしあっさり飛車を取らせてしまうのが好手。この手順は私の昔の研究だが、意外と後手陣に耐久力がありそうだ。後手も指せると思う。

②▲8三角△4五銀▲同歩△6三銀▲7五歩△4五飛


棋譜コメントでは▲8三角で先手よしと書かれていた。おそらくここらに王位の誤算があったのではないか。しかし、先に△4五銀と食いちぎっておく手がある。一応上図まで進行すれば、△4五飛が7五の歩取りにもなっている。
ただ、この変化を(ウチの)ソフトは先手やや良しと評価している。
△5二玉に対し、最も自然な攻めはやはり▲7五歩だ。

(2)▲7五歩△同歩



▲7五歩にどう指すのかは非常に難しい。個人的には△同歩と取るのが良いのではないかと思っている。むしろ誰か教えてくださいw

①▲7四歩△4一飛▲8二角△4五銀



苛烈な攻め合い。後手を持って自信はない。

②▲5四銀△同歩▲7四歩△4一飛▲4五銀△9二角


この変化は一見上手く切り返したようだが、評価値はやっぱり先手がよい。

結局どの変化も、後手目線ではあまり良くないという結論になる。もちろん違う変化が眠っていたり、形勢判断が間違っている可能性もある。

しかし穿った見方をするなら、敢えて王位がこの将棋をチョイスしたのは、挑戦者を容易ならざる相手と見ている証左ではないか、と私は感じました。
こういうことを考えてみると観戦もまた面白くなりますよね。

さて、次回のテーマは久しぶりに「横歩取り」の予定です。

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KKK 2020/7/26

日曜日に行います。

この日は野々市将棋大会が元々あって、今年は参加したいと思っていたのですが、残念ながら中止になったようです。
福井でもコロナ感染がポチポチ出ています。気を付けましょう。


将棋小話 -角換わり2枚銀-

最初に誤解のないように言っておくと、「2枚銀」という形はおそらく矢倉が発祥で(違ったらスマヌ)、角換わりでそう呼ばれる形はありません。今では▲4六銀+▲6六銀と繰り出す形を一般的にそう呼び、ゴキ中で現れることが多いでしょうか。



今回は角換わりの後手早繰り銀の変化です。
図は△6四銀に▲5六銀と出たところ。後手としては△7五歩と突きたいのですが、▲6五歩と突き返されて先手がまずまずと見られています。名人戦で指された将棋が有名です。よってこの局面では、△6四銀自体がイマイチだと考えられてきました。(というかそういう現状認識があると思われる。)

ここで△4四銀と2枚銀を発動するのが今回の主眼です。



たぶん新手。私は以前ネットで指されて存在を知りました。

角換わりでは角という強力な攻め駒を持っているので、普通は銀をもう一枚繰り出す必要はありません。違和感は拭えませんが、やはりガンガン攻めたい方にはオススメです。先手が3六歩と突いている形で採用するのが良いでしょう。

ここで先手は主に(1)▲4五歩、(2)▲6五歩、(3)▲4八金、(4)▲5八金が考えられます。
(1)▲4五歩△5五銀左▲4七銀△1五角▲6八玉△3三角



出てきた銀を歩でアタックする(1)▲4五歩、(2)▲6五歩は指してみたくなる手。当然
5五にぶつけていくのですが、▲4五歩には△4六角と打つ手も有力。▲4七銀は銀交換を避けて弱気なようでも、位を取ったのに盤上から駒が減るとスキだらけになります。しかし△1五角と打つのが意表で、時間差で△3三角が面白い。上図まで進めば後手ペースと断じていいでしょう。

(2)▲6五歩△5五銀右▲4七銀△8四角▲6七金△7三桂▲5六歩△6五桂▲5五歩△7七桂成▲同桂△6六銀



(2)▲6五歩には以下△8四角と今度は反対側から攻め続ける。△5七角成と△6六銀を同時に防ぐ▲6七金ですが、桂を活用します。上図まで進んで、いい勝負。一応先手は桂得ですが、ここまで攻められては自信はない。人によってどちらを持ちたいかは分かれるかもしれません。

(3)▲4八金△7五歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2七飛


(3)▲4八金はコビンをカバーし、とりあえず2筋を替えておくことを目指しています。基本的には何をされても2筋交換して▲2七飛と引く感じ。▲2五飛は△3三桂が当たるので、▲2七飛が自然。今では中途半端な▲2七飛も違和感が無くなりました。
上図以下は△7六歩▲同銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七銀△8二飛▲8六歩…ぐらいが普通の進行か。本当は▲8七銀で▲8七金とやりたいのですが、▲8七金△8二飛▲8六歩に△8八歩から千日手を狙う筋があります。
先手からすると左辺が下がったのがやや不満で、後手からすると折角の△4四銀がボケた感があります。これも好みがわかれそう。

(4)▲5八金


(4)▲5八金が本命か。 

①△7五歩▲同歩△同銀▲4五歩△3三銀▲3七角△6四歩▲6七金右



△7五歩には堂々▲同歩と取り、▲4五歩で銀を追い返します。▲3七角~▲6七金右となれば手に乗って厚みを築き、先手がやや指せそう。

②△3一玉▲6八玉△7五歩▲6七銀


△3一玉は堅くなってないので、かなり指したくない手。(むしろ△4二玉としたいぐらいだ。)先手も▲6八玉と手を入れ、ここで△7五歩と突っかけます。玉が近くなったので、今度は▲6七銀として銀を出させないのが自然な流れ。
この局面、最初は「先手有利」まであるかと思ったのですが、難しい形勢だそうです。N西さんなら後手を持って余裕で指し回しそうですが、私には実戦投入する度胸はありませんw

というわけで、やっぱり眠る研究になっている…

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もう中2病がコンセプトのブログとか書いてられないくらい年齢が上のほうである事実

というわけで県名人戦挑戦者決定戦がありました。
今年はちょっといつもと違うメンツになりました。

予選は4組に分かれてリーグ戦。
1局目、相手はY田四段。実力派のベテラン。
戦型は駆け引きがあって、角換わりながら此方だけ飛車先を交換する力戦に。作った馬がそれほど働かず、指しにくさを感じていました。一手一手が難しい将棋だったものの、相手の角をいじめることで形勢を引き戻したか。寄せ切って、○。

2局目はK下五段と。そろそろブランクも解消される頃か。
対振り飛車が得意(推定)なキノ、とりあえず相居飛車は決めていました。今回は矢倉をチョイスし、相土居矢倉に。私の方から定跡ではない工夫の仕掛け(悪く言うとテキトウな仕掛けw)。自玉方面も攻められて怖い形ですが、呼び込んで強く勝負します。最後は竜で追い立て、○。

3局目、O滝六段と。去年唯一2438くん(現名人)の優勝を阻んだ、県棋界の超重鎮。
戦型は角交換四間飛車。振りなおして逆棒銀に出ますが、受け止められた後に構想が難しい。結局作戦負けになり、戦いになってもやはり苦しい将棋になりました。しかしO滝さんにも緩手が出て、難解な玉頭戦に突入。お互い攻め立てるものの、玉だけは決して捕えさせない。熱戦は時間が幕を落として、○

4局目、小学生のM好くんと。アマ選に続いての対戦となりました。
前回は矢倉戦でしたが、今回は私の角交換振り飛車に。M好くんの陣形整備はややチグハグで、まだ慣れていない戦型であることが伺えました。角を打ち込んで切り、2枚替えを実現して私がやや有利。以下勝負手をいなして優勢になりますが、飛車を成らしたのは軽率でした。それでもなんとか押し切り、○。

勝負のトーナメントが始まる。
8人中、20代が5人。新鮮w

準々決勝。相手はいきなりN西六段。最近は相性がいいものの…
アマ選手権では序盤の駆け引きで相掛りになりましたが、今回は角換わり。ただしN西六段十八番の1手損ではなく、私の後手で純正角換わりでした。そこから相早繰り銀に(余談ながら早繰り銀はプロ棋戦での流行の兆しを感じており、個人的には注目している戦型です。)。相手が銀を見捨てる強襲に出て、一気に自玉に必至が掛かります。もちろん、自分の読みは信じていた。瞬間詰みに切って落とし、○。

準決勝、T田五段。またもや強敵。
相手の四間飛車に対し、今回は流行のトーチカに。T田さんの対策は▲4六金と繰り出す、これも最近よく現れている手です。私は早めに右銀をくっつける工夫の手順。桂捨てから上手く戦機を捉え、居飛車ペースの中盤と見ていました。振り飛車陣がバラバラでまとめるのは容易でなく、攻めが繋がります。堅い陣形を生かして殺到し、○。

決勝戦。相手はまさかの、いやどこかで当たると思っていたと言うべきか。W塚五段。朝日アマ北陸大会2連覇中の男、福井県に転勤で来たるw
戦型はW塚くんの四間飛車。今度はエルモ囲いに。お気づきかもしれないが、最近の私は四間に対してトーチカ、エルモ、穴熊と流行3種を使い分けている。さて、角交換形になり、お互い引き飛車で手の出しづらい序盤戦。一応、玉と反対側の端の位を取るのがプランでした。ただ正直、このプランが県大会で実現するとは思ってもみなかった。仕掛けに至るところが難しく、神経戦の様相でお互い玉がお引越し。そして自陣角を打ったものの、あまり良くなかった気がします(この辺り、細かい変化を気にしすぎたかも)。相手の△4四銀~△5三玉が上手い手の入れ方でした。強引に仕掛けましたが、傷に付け込まれて手を作られてしまいます。網が破れると一気にどうしようもない形で、相手の寄せを見るばかり。×。

本当は外から来た人にいきなり勝ってもらっちゃ困る、というのは多少あるでしょう。しかし個人的なことを言えば、好敵手が増えたということは楽しみでもあります。またやりましょう。
でも2438くんとも指したかった…

名人戦は9月です。

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KKK 2020/7/11

土曜日に行います。


将棋小話 -条件分岐-

将棋の思考に関して、「何手読めるの?」というのはありがちな問いだけれども、実際はただ単に掘り下げるだけでなく、横に広げていくことも重要になる。つまり、「相手が①という手できたらAを指す、②ときたらB、③ならC…」という場合分けだ。もちろん、「相手が①なら、Aの他にもDもあるな」という比較も必要となる。

これはできる人にとっては当たり前だけれでも、実はそんなに簡単な話でもない。



これは今日私が指した対局の一部分だ。手前が私で▲2三竜と王手をしたところ(本来は2枚落ちの上手)。下手を持って逃げ切って(読み切って)みてください。
↓ドラッグすると答え

①△2二合は▲3二銀で負け。
②△3一玉には▲3三竜と再び王手。
(1)△2一玉は銀を打たれて簡単に詰み。
(2)△4一玉は▲4二銀△5二玉▲5三竜△6一玉▲5一竜まで。
(3)△3二歩は▲2三桂以下、玉の頭に銀が打てるのでやはり詰み。金以外の合駒は全て同じ。

よって答えは△3一玉▲3三竜△3二金である。

答えにすると「3手の読み」なのだが、トータルでは意外に読む手は多くなる。これは正解以外が詰むので判りやすいが、読んだ手順の形勢判断が入るとさらに難しい。

局面を「広く読む」ということも強くなりたい子はぜひチャレンジしてください。「読み切る」というのは快感ですよw

さて、ポツンとある▲2七歩。正解の3手からも、まだ手は続くはずです。

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相対性理論とは楽しいときは短く、辛いときは長く感じる感覚のことである。

嘘である。

さて、昨日は県アマ選手権A級の本戦リーグが行われました。いつもならアマ名人戦の代表も懸かる本大会ですが、今年は例のごとく中止。それでも当然強敵揃いの上に、事前に相手が分かっているので対策を立てやすく、モチベーションがMAXになる大会です。

今期は私は予選を通過しての参加。シードを含め7人のリーグとなりました。

①vsM越Jr.五段
振り駒で後手番に。彼は先手になればまず間違いなく相掛り志向なので、それを受けて立つか振り飛車にするかを選ぶ予定でした。本日1局目だったので真っ向勝負。
先手は1筋の位を早々に取り、後手の私から足早に仕掛けました。私の指し手がノータイムだったので「研究にはまったかと思った」そうですが、以前過ぎてあんまり覚えていなかったw 結局分かれは失敗していたようですが、スキをつき猛攻を仕掛けます。受けに回っていたことで相手の時間が少なくなっていたのが幸いしたか、たまたま上手くいって○。

②vsN西六段
今度は先手番に。N西さん相手はいつも通り1手損角換わりを受けて立つつもりでしたが、序盤の駆け引きに乗じ相掛りに変化。「だってたまには違う戦型を指したいじゃん」
序盤に飛車角が交換になり、力戦調の展開に。角を殺させて香車を得、田楽刺しを食らわすという派手な振り替わりとなりました。私は自分が指せると見ていましたが、N西さんも指せると思っていたようです(たぶん難しかったのだろう)。私は歩の突き捨てでジャブを放ちますが、対して△同角と取ったのが錯覚。激しく駒を交換し先手優勢に。着地もうまく決まって○。

③vs2438六段
先手になり、予定は相掛りか角換わりでした。前2局が相掛りだったので、角換わりをチョイス。
2438くんの作戦は早繰り銀。彼の得意の1つだったので予想の範囲内ではあったのですが、なかなかビジョンが再現することはない。△7六歩に▲8八銀と押し込められて、たぶんソフトの評価だと不利なんだろうな、と思っていました。それでも具体的に何をされるかが全くわからなかったのですが、△4四角が好手。(この形だと△4四角があると知っていたのだろうか。聞いてみたかった。)巧みに指されて少しずつ指しにくくなっていきました。私も▲4五角という勝負手を放ちますが、軽く受け止められて差が広がるばかり。完敗で×。

④vsT田五段
先手になり対四間飛車に居飛穴を採用。T田さんは振り飛車党ですが作戦の幅が広いので、自然に対応する心づもりでした。
端攻めを食らって穴熊を削られ、もういっそ、とばかりに顔面受け。玉が4段目で踏ん張ります。相手の飛車角を封じることができれば難しいと踏んでいましたが、いざその局面になってみるといい手が浮かびません。実際の考慮時間はわかりませんが、体感では苦しい長考になりました。結局、もういっそ(2度目)行ってしまえと攻め合いに出たものの、これは明らかに自爆。普通に寄せられて×。ちょっとこの将棋は粘りを欠きました--;

⑤vsS戸川五段
後手で2手目△8四歩。とりあえず石田流は避けて、本命中飛車、対抗三間飛車で見ていました。本局は三間飛車に。
elmo囲いを採用しましたが、▲6五歩が意外で割と早く未知の将棋に。(こんなことなら△6四歩突いときゃ良かった、とか思いつつw)機敏に動かれて捌き合いに応じたものの、どうやら我慢するべきだったようです。作った竜がそれほど威力を発揮しておらず、形勢は私が劣勢に。苦しい時間が長く続くも、お互い時間が無くなってきて最後は寄せ合い勝負。威張れたものではないですが、粘り倒して○。

⑥vsG方四段
先手を引いたので、予定通り矢倉に。
組み合いになり藤井矢倉の作戦を取ります。後手のG方くんの作戦は正直嫌な対抗策でしたが、と金が出来て分かれは上々に。上部開拓して入玉の含みを残した後、攻めに転じます。相手玉も堅陣であったため仕損じる不安はありましたが、着実に寄せの網を絞ります。押し切り○。

リーグは4-2となり、T田五段と同率に。準優勝と来期シードを懸けて、再戦となりました。

同率再選vsT田五段
今度は後手となりましたが、T田さんの取った戦法はやはり四間飛車。今日はほとんどこれを指していたようです。私は本日2度目のelmo囲い。のっけからガンガン攻める方針が良かったかはともかく、将棋はかなり優勢に。ただ相手の美濃囲いを攻略するのは骨が折れそうなので、自陣に火が付かないように心がけていました。正直なところお互い疲れもあったのか、内容的にはグダっていたと思うw なんとか勝ち切り○。

優勝は2438六段で、見事全勝を達成し連覇となりました。ぐぬぬ。

結果として2位は確保できたものの、内容的には苦しい将棋が多くありました。県名人戦も近いので、修正しなければなりません。
それでも終わってみれば、あっという間の一日でした。

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KKK 2020/7/4

土曜日です。来られる方はご一報ください。


将棋小話 -1年で4つシード権を獲得しても四段だった男の弁-

指した瞬間、詰み逃したことに気付く。連日のリアルだから笑えない。いつまで経っても、悔しいものは悔しいのだ。

みんなは悔しさを噛み締める経験が少なすぎるように見える。もっと悔しい思いをさせてやりたいw

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KKK 2020/6/27

土曜日に行います。

将棋もトライアルアンドエラーです。
自分の対局をしっかり分析してみてください。


将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ”番外編”-

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲6八銀△3三角▲同角成△同金


これまでは主流からはじき出されてしまった将棋でしたが、今回はまだ俎上に上がっていない将棋です。
△3三金型の角換わり。相手から角交換させることで1手得を実現します。先手もこのタイミングで角交換しないと、△4四歩で雁木にされたりと変化を与えます。
意外とソフトの評価値も悪くなく、もし角換わりの情勢が後手苦戦となれば今後現れるかもしれません。

上図からの指し手
▲7七銀△6二銀▲4八銀△2二銀▲7八金△4二玉▲3六歩△7四歩▲4六歩△7三銀▲3七桂△6四銀


普通に腰掛銀にするのもありますが、ここは手得を生かし早繰り銀から仕掛けを狙ってみます。ただし▲3六歩を見て早繰り銀にするのが1つのポイント。▲3六歩~▲3七桂はなんとなく△3三金を咎めれそうで、先手もやってみたくなるでしょう。▲3六歩~▲3七桂が▲4七銀~▲5六銀と代わると、上図で▲6六歩と突かれて後手作戦失敗という感じです。

上図からの指し手
▲4七銀△7五歩▲同歩△同銀▲2四歩△同歩▲2五歩△8六歩▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲8七歩△8二飛



後手は悠々と仕掛けます。先手の継歩での反撃は常套手段ですが、意に介さず銀をさばいておきます。後手の陣形に違和感がある貴方は普通。

上図からの指し手
▲2四歩△4四角▲6六角△2七歩▲同飛△2六銀


ここまで来ると通常の△3三銀+△3二金型と違い、▲2四歩と取りこんだときに先手になっていません。ここで知った将棋とばかり△2七歩▲同飛△2六歩と叩くと、▲2九飛と手順に引かれて失敗します。先に△4四角と据えて置き、△2七歩▲同飛△2六銀と進めるのが良さそうです。上図まで進展すれば後手が指せる。

形の違いを見極める大局観と、それを生かす構想力を問う。
まぁ、この将棋自体は他人の構想そのままなのだが ^^;

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KKK 2020/6/21

日曜日に行います。


将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ②-


さて、この図は前回の小話のテーマ図△4四歩に代え、△4一飛と回ったところです。ここで▲4五桂と仕掛けていくのが有力とされていますが、これはかなり激しい将棋になります。そこでまず▲7九玉と玉を深くし、次に行くぞというのが今回のお話。

上図以下の指し手
▲7九玉△4四歩▲4五歩△3一玉▲4四歩



△4四歩~△3一玉まで回ると仕掛けづらくなるので、▲4五歩はできるなら行ってみたい。△3一玉では△5二玉も定跡ですが、これは割愛します。「眠る」なんて言っていますが上の図は例えば△4四歩~△3一玉▲4五歩△4一飛などで合流する可能性もあり、汎用性があると思います。

以前、この手順は後手が十分だと認知されていました。しかし後手を持ってどうも勝ちにくい。「おかしいな」と思いながら、手を精査することになるのです。

ここで後手の指し手は①△同銀と②△同飛のどちらも考えられます。

①△同銀▲4五歩△同銀直▲同桂△同銀▲同銀△同飛▲4七銀△4一飛▲6三銀△6一金▲5五角



△同銀▲4五歩に△同銀直と食いちぎるのは、部分的にはよくある手順。定跡通の方だと、この形なら△2二玉型より△3一玉型が勝るというのもご存じかもしれません。しかし先手も好条件を得ており、この攻めは無理筋となります。上図まで進むと先手が有利。

②△同飛▲4五歩



△同銀▲4五歩に△3三銀と引けば、上図で△4一飛としたのと同じです。ただ△同銀の場合▲4五歩の一手ではないし、上図で(1)△4二飛と(2)△4一飛を選ぶことができません。
部分的には▲4五歩で▲4七歩のような手もありますが、これは駒を繰り替える将棋になります。この形ではややつまらないでしょう。

(1)△4二飛▲5一角△5二飛▲3三角成△同金▲1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4四歩


△4二飛には▲4六角が普通で、これで先手が十分という説もあります。ただ△6三金のときに△4一飛型に比べて姿見が良いので、以前はネットとかで私も指していました。
しかし踏み込む▲5一角が強手。以下私の実戦で一例ですが、後手が危険という見解です。(形勢は難解かもしれない。)

(2)△4一飛▲4六角



というわけで△4一飛が勝りそう。先手は好位置に角を据えます。当初は打開が難しいと見られていましたが…

(a)△6三金▲8八玉△2二玉▲2四歩△同歩▲同角



驚愕の仕掛け。後手からすれば「こんなので悪かったらたまったものではない」という感じでしょうが、ソフト曰く先手十分。というわけで後手の"ゆっくり志向"は既に破綻している。

(b)△6五歩▲同歩△8一飛▲6四歩△7五歩


結局、後手としては自分から動いていくのが最善と(私は)見ています。△6五歩とした後に△8一飛と回るのではパスしているようでツラそうですが、4筋で持った1歩が活きる展開になるかどうか。いい勝負だと思います。

力とは、知識の集積である。居飛車党の島九段が書いた「島ノート」(振り飛車の本)の結びの言葉である。

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若武者の声

今日は県アマ選手権が開催されました。久々の将棋大会です。
私はあまり集まらないかな、と予想していたのですが、行ってみると盛況でした。

A級は5組。A級のみ後日に本戦リーグがあり、各組の1位が出場します。
今日はともかく小中学生が多く、A級の参加人数は過去最高かもしれません。比較すると力自慢のおじさま方は少なかったですね。
私(30)の組は5人組で、…あれ、年2番目なの?

一回戦、相手はH本くん。中学生かな、おそらく初対局。
彼の作戦は迷いなく、四間飛車穴熊に。たぶん得意戦法なのでしょう。私は銀冠を採用しました。定跡からこちらが変化し、その辺りが早くも勝負所。本譜は飛車の成り込みが実現し、優勢に。押し切って○。
コツコツ勉強していると感じる子でした。読みの力を鍛えれば、もう一段レベルアップしそうです。

二回戦、高校生のK林くんと。
戦型は角換わり。流行形になり、後手のK林くんが9筋を受けない作戦に。対抗策はいくつかありますが、研究していた順の1つを選びました。快調に攻め立て、優勢に事を進めます。最後はきっちり詰まさないと怒られるかな…と謎の義務感により、竜を切る。切ってから考える。10分動かない。おいw というわけで恥をかくところでしたが、なんとか詰みを見つけて○。
高校生らしく、しっかり最新戦法を使いこなしていますね。

三回戦はS水五段と。何故かよく当たります。
師匠の得意戦法である四間飛車に対し、講座中のelmoを採用。強く5筋の位を取って指しましたが、反発され難しい将棋に。相手に飛角を切られ喰いつかれたものの、逃げおおせながら少し良くなったと思っていました。しかしスッキリ寄せようと考えるのですが、これがなかなか難しい。結局お互い時間が少なくなり、熱戦が展開します。最後、師匠がコビンを開いた手が疑問となったでしょうか。遠見の角に合駒がなく、○。
棋風が似ていると、いつも熱戦になる説。

四回戦(ラスト)、M好くんと。お父さんも将棋をされていますが、彼もA級に出てくるとは。いくつになったのかと思ったら、まだ小5だそうです。
さて、私が先手になり、矢倉をチョイス。さっき角換わりだったので、私がよくやる戦法ローテですね。そして藤井矢倉を目指します。余談ですが、近年矢倉戦術の変化で藤井矢倉を目にする機会は減ったものの、かつて私も得意にしていました。
序盤は私に一日の長があり、好調な駒運び。それでも中盤に入ると、彼も力を発揮し始めます。と金で反撃され、飛車を切る鋭い手を放ってきます。しかし私も読んでいました。詰めろ逃れの攻防の角で速度をひっくり返し、○。
さすがに小学生A級だけあって、センスがいい。

というわけで無事に突破しました。本戦リーグの相手は、
2438六段(前回優勝でシード、24のRが高杉内)
N西六段(前回準優勝でシード、今日はお世話役でした)
T田五段(リーグ常連、Y本五段に制勝し全勝通過)
S戸川五段(勝利の女神が後ろで微笑んでいた。比喩ではなく、リアルで)
M越Jr.五段(帰郷して県棋界復帰。同率再選でキノを屠り、堂々通過。ぶっちゃけ強敵)
G方四段(波乱というほどではないが、今回のダークホース。初のリーグ入りを決める)

実は私の対局は昼の2時ぐらいに終わっていました。ブログを書いているのはもうすぐ日が変わる時間。久々ではしゃぎ過ぎました。だいぶ失言舌禍症候群を発症していたかもしれません。

本戦まで1ヶ月。謙虚に精進するとしましょう。
でも最近、勉強したことが頭に残らないんですよね。こた(仮30歳、若くないw

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