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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2020/7/4

土曜日です。来られる方はご一報ください。


将棋小話 -1年で4つシード権を獲得しても四段だった男の弁-

指した瞬間、詰み逃したことに気付く。連日のリアルだから笑えない。いつまで経っても、悔しいものは悔しいのだ。

みんなは悔しさを噛み締める経験が少なすぎるように見える。もっと悔しい思いをさせてやりたいw

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KKK 2020/6/27

土曜日に行います。

将棋もトライアルアンドエラーです。
自分の対局をしっかり分析してみてください。


将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ”番外編”-

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲6八銀△3三角▲同角成△同金


これまでは主流からはじき出されてしまった将棋でしたが、今回はまだ俎上に上がっていない将棋です。
△3三金型の角換わり。相手から角交換させることで1手得を実現します。先手もこのタイミングで角交換しないと、△4四歩で雁木にされたりと変化を与えます。
意外とソフトの評価値も悪くなく、もし角換わりの情勢が後手苦戦となれば今後現れるかもしれません。

上図からの指し手
▲7七銀△6二銀▲4八銀△2二銀▲7八金△4二玉▲3六歩△7四歩▲4六歩△7三銀▲3七桂△6四銀


普通に腰掛銀にするのもありますが、ここは手得を生かし早繰り銀から仕掛けを狙ってみます。ただし▲3六歩を見て早繰り銀にするのが1つのポイント。▲3六歩~▲3七桂はなんとなく△3三金を咎めれそうで、先手もやってみたくなるでしょう。▲3六歩~▲3七桂が▲4七銀~▲5六銀と代わると、上図で▲6六歩と突かれて後手作戦失敗という感じです。

上図からの指し手
▲4七銀△7五歩▲同歩△同銀▲2四歩△同歩▲2五歩△8六歩▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲8七歩△8二飛



後手は悠々と仕掛けます。先手の継歩での反撃は常套手段ですが、意に介さず銀をさばいておきます。後手の陣形に違和感がある貴方は普通。

上図からの指し手
▲2四歩△4四角▲6六角△2七歩▲同飛△2六銀


ここまで来ると通常の△3三銀+△3二金型と違い、▲2四歩と取りこんだときに先手になっていません。ここで知った将棋とばかり△2七歩▲同飛△2六歩と叩くと、▲2九飛と手順に引かれて失敗します。先に△4四角と据えて置き、△2七歩▲同飛△2六銀と進めるのが良さそうです。上図まで進展すれば後手が指せる。

形の違いを見極める大局観と、それを生かす構想力を問う。
まぁ、この将棋自体は他人の構想そのままなのだが ^^;

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KKK 2020/6/21

日曜日に行います。


将棋小話 -眠る角換わり研究シリーズ②-


さて、この図は前回の小話のテーマ図△4四歩に代え、△4一飛と回ったところです。ここで▲4五桂と仕掛けていくのが有力とされていますが、これはかなり激しい将棋になります。そこでまず▲7九玉と玉を深くし、次に行くぞというのが今回のお話。

上図以下の指し手
▲7九玉△4四歩▲4五歩△3一玉▲4四歩



△4四歩~△3一玉まで回ると仕掛けづらくなるので、▲4五歩はできるなら行ってみたい。△3一玉では△5二玉も定跡ですが、これは割愛します。「眠る」なんて言っていますが上の図は例えば△4四歩~△3一玉▲4五歩△4一飛などで合流する可能性もあり、汎用性があると思います。

以前、この手順は後手が十分だと認知されていました。しかし後手を持ってどうも勝ちにくい。「おかしいな」と思いながら、手を精査することになるのです。

ここで後手の指し手は①△同銀と②△同飛のどちらも考えられます。

①△同銀▲4五歩△同銀直▲同桂△同銀▲同銀△同飛▲4七銀△4一飛▲6三銀△6一金▲5五角



△同銀▲4五歩に△同銀直と食いちぎるのは、部分的にはよくある手順。定跡通の方だと、この形なら△2二玉型より△3一玉型が勝るというのもご存じかもしれません。しかし先手も好条件を得ており、この攻めは無理筋となります。上図まで進むと先手が有利。

②△同飛▲4五歩



△同銀▲4五歩に△3三銀と引けば、上図で△4一飛としたのと同じです。ただ△同銀の場合▲4五歩の一手ではないし、上図で(1)△4二飛と(2)△4一飛を選ぶことができません。
部分的には▲4五歩で▲4七歩のような手もありますが、これは駒を繰り替える将棋になります。この形ではややつまらないでしょう。

(1)△4二飛▲5一角△5二飛▲3三角成△同金▲1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4四歩


△4二飛には▲4六角が普通で、これで先手が十分という説もあります。ただ△6三金のときに△4一飛型に比べて姿見が良いので、以前はネットとかで私も指していました。
しかし踏み込む▲5一角が強手。以下私の実戦で一例ですが、後手が危険という見解です。(形勢は難解かもしれない。)

(2)△4一飛▲4六角



というわけで△4一飛が勝りそう。先手は好位置に角を据えます。当初は打開が難しいと見られていましたが…

(a)△6三金▲8八玉△2二玉▲2四歩△同歩▲同角



驚愕の仕掛け。後手からすれば「こんなので悪かったらたまったものではない」という感じでしょうが、ソフト曰く先手十分。というわけで後手の"ゆっくり志向"は既に破綻している。

(b)△6五歩▲同歩△8一飛▲6四歩△7五歩


結局、後手としては自分から動いていくのが最善と(私は)見ています。△6五歩とした後に△8一飛と回るのではパスしているようでツラそうですが、4筋で持った1歩が活きる展開になるかどうか。いい勝負だと思います。

力とは、知識の集積である。居飛車党の島九段が書いた「島ノート」(振り飛車の本)の結びの言葉である。

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若武者の声

今日は県アマ選手権が開催されました。久々の将棋大会です。
私はあまり集まらないかな、と予想していたのですが、行ってみると盛況でした。

A級は5組。A級のみ後日に本戦リーグがあり、各組の1位が出場します。
今日はともかく小中学生が多く、A級の参加人数は過去最高かもしれません。比較すると力自慢のおじさま方は少なかったですね。
私(30)の組は5人組で、…あれ、年2番目なの?

一回戦、相手はH本くん。中学生かな、おそらく初対局。
彼の作戦は迷いなく、四間飛車穴熊に。たぶん得意戦法なのでしょう。私は銀冠を採用しました。定跡からこちらが変化し、その辺りが早くも勝負所。本譜は飛車の成り込みが実現し、優勢に。押し切って○。
コツコツ勉強していると感じる子でした。読みの力を鍛えれば、もう一段レベルアップしそうです。

二回戦、高校生のK林くんと。
戦型は角換わり。流行形になり、後手のK林くんが9筋を受けない作戦に。対抗策はいくつかありますが、研究していた順の1つを選びました。快調に攻め立て、優勢に事を進めます。最後はきっちり詰まさないと怒られるかな…と謎の義務感により、竜を切る。切ってから考える。10分動かない。おいw というわけで恥をかくところでしたが、なんとか詰みを見つけて○。
高校生らしく、しっかり最新戦法を使いこなしていますね。

三回戦はS水五段と。何故かよく当たります。
師匠の得意戦法である四間飛車に対し、講座中のelmoを採用。強く5筋の位を取って指しましたが、反発され難しい将棋に。相手に飛角を切られ喰いつかれたものの、逃げおおせながら少し良くなったと思っていました。しかしスッキリ寄せようと考えるのですが、これがなかなか難しい。結局お互い時間が少なくなり、熱戦が展開します。最後、師匠がコビンを開いた手が疑問となったでしょうか。遠見の角に合駒がなく、○。
棋風が似ていると、いつも熱戦になる説。

四回戦(ラスト)、M好くんと。お父さんも将棋をされていますが、彼もA級に出てくるとは。いくつになったのかと思ったら、まだ小5だそうです。
さて、私が先手になり、矢倉をチョイス。さっき角換わりだったので、私がよくやる戦法ローテですね。そして藤井矢倉を目指します。余談ですが、近年矢倉戦術の変化で藤井矢倉を目にする機会は減ったものの、かつて私も得意にしていました。
序盤は私に一日の長があり、好調な駒運び。それでも中盤に入ると、彼も力を発揮し始めます。と金で反撃され、飛車を切る鋭い手を放ってきます。しかし私も読んでいました。詰めろ逃れの攻防の角で速度をひっくり返し、○。
さすがに小学生A級だけあって、センスがいい。

というわけで無事に突破しました。本戦リーグの相手は、
2438六段(前回優勝でシード、24のRが高杉内)
N西六段(前回準優勝でシード、今日はお世話役でした)
T田五段(リーグ常連、Y本五段に制勝し全勝通過)
S戸川五段(勝利の女神が後ろで微笑んでいた。比喩ではなく、リアルで)
M越Jr.五段(帰郷して県棋界復帰。同率再選でキノを屠り、堂々通過。ぶっちゃけ強敵)
G方四段(波乱というほどではないが、今回のダークホース。初のリーグ入りを決める)

実は私の対局は昼の2時ぐらいに終わっていました。ブログを書いているのはもうすぐ日が変わる時間。久々ではしゃぎ過ぎました。だいぶ失言舌禍症候群を発症していたかもしれません。

本戦まで1ヶ月。謙虚に精進するとしましょう。
でも最近、勉強したことが頭に残らないんですよね。こた(仮30歳、若くないw

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KKK 2020/6/6

土曜日、満を持して(?)復活します。
コロナ禍に対する感覚はそれぞれだと思いますので、自己責任でお願いいたします。


将棋小話 -elmoセブン

続きです。拍手を3連打したのは誰なんでしょう(笑)

今回は②△4三銀という分岐を見ていきます。この局面ではやや違和感がある手ですが、最近は早く△4三銀と上がることが多いため、合流して現れることは多いと思います。



これには△5三銀型同様、▲4六歩と突きます。一度▲5九金とするのも有力と個人的には見ていますが、▲4六歩を本線とします。
ここで(1)△6四歩と(2)△2二飛が考えられます。

(1)△6四歩▲4八金△7四歩▲4五歩△4二飛▲3七桂


▲4六歩の急戦策に対して、△6四歩から高美濃を目指すのは一番オーソドックスで、昔からある対策です。以下上図まで進むと、見たことのある形ではないでしょうか。つまりは従来の▲5七銀左型舟囲いvs四間飛車の急戦定跡なのです(もちろんこれはelmo囲いではないですが)。もう少し進めてみます。

△6三金▲2四歩△同歩▲4四歩△同銀▲4五歩△同銀▲3三角成△同桂▲8八角△4三飛▲2四飛


これも従来の手順を踏襲していますが、elmo囲いが生きる展開になりました。△4七歩などの反撃が甘くなってますし、囲いがしっかりしています。先手がやや有利。△4三飛では△2五桂の方がよいと思いますが、普通に▲同桂で先手が指せそうです。
よって(2)△2二飛と備えます。



さて、前回のテーマ「さっくり攻める」というのを覚えているでしょうか。備えようが何だろうが、やっぱり行ってみたくなるのが人情です(?)。

上図以下、▲4八金△6四歩▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲3一角△2一飛▲6四角成



これも以前からある裏定跡。△6四歩を見て▲4五歩と仕掛けます。しかし堂々と△同歩と取り、以下馬を作らせて上図。初めて見た方には、先手良しに思える進行でしょう。

△4四角▲6六銀△2四歩▲同歩△2六歩▲3七馬△2四飛▲5七金


△4四角が習いある振り飛車の自陣角。以下2筋から後手が逆襲し、後手陣は伸び伸びとした形になりました。
これも昔からの定跡では舟囲いでしたが、本譜はelmo。難解な形勢ですが、居飛車も指せるのではないかと見ています。

コメントが3つ以上ついたら続きます。
(「無理だろ!」というコメは受け付けておりませんw)

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再会

さて、県棋界では6/7のアマ選手権を皮切りに、将棋大会が再開されます。アマ選手権は例年福井新聞社開催ですが、今回は西別院の開催です。マスク着用の上お越しください。
(大会予定は「福井県将棋連盟」Webサイトをご覧ください。リンクよりどうぞ。)

芦原将棋クラブも休止中でしたが、6/3(水)から行うとのこと。今週は夜勤Weekですが、水曜はたぶん行けると思います。
県名人戦坂井地区予選は6/28です。9:30開始です。あわら市湯の町公民館にて。

コロナ禍については皆様それぞれお考えがあると思いますので、ご自身の判断でご参加くださいませ。

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将棋小話 -同形角換わり-

現代角換わりの戦術講座とかすると、火傷しそうな気がする。というのは、非常に細かくて難しい変化が多いからです。プロ棋戦で主流でなくても、指せそうな将棋が実はたくさんあります。

今は眠っている、流行が過ぎて使えなくなった持ち球の数々。



さて、従来同形角換わりといえば▲5八金、△5二金型の、昔から指され続けてきた歴史ある戦型でした。今はパッタリと指されなくなってしまいましたが、最新形の角換わりでも同形になることはあります。

それが上の図で、△4四歩と突いたところ。今ではほとんど指されていませんが、とても難解な変化です。

ここは戦機を捉え、▲4五歩と仕掛けていくのが定跡です。以下△同歩▲同銀△5五銀は必然でしょう。(必然と言いましたが、気になる手は多くある。)
そこで▲2四歩 △同歩▲2五歩が有名な手順で、プロの将棋でもほとんどこう進んでいます。
しかしこの将棋が現れたとき、私の第1感は違いました。
上図から▲4五歩△同歩▲同銀△5五銀に、▲3五歩。



いかにも筋。私の感覚ではどう見たって継歩より本筋w

対して並の手は①△同歩でしょう。▲3四歩△2二銀と壁銀を強きます。ここで(1)▲2四歩△同歩▲同飛としたいのですが、これは△2三歩と受けてくれず、△4四歩で先手が不利。

そこで単に(2)▲2六飛と浮きます。



これにも△4四歩と打ち、▲5六銀 △同銀▲同飛 と進みます。この変化は飛車回りの味が良いかと思ったのですが、△2七角と打たれて見ると…



これが▲6三銀を消す強力な利きで、これは先手が失敗。

代案を考えます。(3)▲2四歩△同歩▲5六歩。



銀に先に働きかけておくことで、△4四歩を打たせない。以下△4六銀▲2六飛△3六歩▲同飛と進行しますが、もし▲2四歩△同歩が入っていないと、ここで△1三角があります。で△4七歩▲4六飛で図。


以下、(a)△3五角▲5七金△4六角▲同金か、(b)△4八歩成▲同飛△4七歩▲同飛△4六歩という進行が考えられ、形勢不明。
この変化を後手が嫌がるなら、実は避けることが可能です。▲3五歩に対し、②△4七歩と一度叩いておきます。これには▲3八金ぐらい。既に「なるほど!」と思えた方は強い(確信)。
以下、△3五歩▲3四歩△2二銀という先ほどの順を踏襲し、(1)▲2四歩△同歩▲5六歩△4六銀▲2六飛△5七角。


△4七歩▲3八金を最初に入れておけば、△5七角が刺さるので後手よし。

しかし、今度は(2)▲2六飛と単に浮く手が復活します。すぐ△4四歩は二歩なので、△4八歩成  ▲同金△4四歩と成り捨ててでも打つ。▲5六銀△同銀▲同飛△2七角には、1歩取ったので▲4五歩があります。


これは先手よし、と言いたいところですが、どうやら難しいようです。こういう変化を調べてみると、ややこしくて頭がこんがらがってきます。「細かくて難しい」というのがお分かりでしょう。

いろいろ見てきましたが、実は別の有力な手段がありました。一番最初の同形の形から、▲4五歩△同歩▲同銀△5五銀▲3五歩△同歩▲3四歩△2二銀▲2六飛△4四歩に、▲5六歩と大胆に自玉のコビンから攻めます。



ちょっと気づきづらい手(コビンを開く上に後手を引く)ですが、後手の壁銀もひどいので成立するかどうか。これがあるなら、今までの研究は全て無駄になりますw

何気なく指されている将棋の裏には、淘汰された誰かの血のにじむような研究が隠されているのです。

拍手が3つ以上ついたら(ry

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将棋小話 -elmo①-

昨今、一番の人気を誇る振り飛車は三間飛車です。角を右側に引いて石田流を作る指し方は「下町流」などと呼ばれ、以前から指されていた形でしたが、序盤にちょっとした工夫を盛り込むことで優秀だと認識されました。
対する居飛車の対抗策としては、穴熊と左美濃が人気のイメージですが、急戦系の将棋もかなり様変わりしています。居飛車側にも振り飛車側にも新たな形が生まれました。

今回は急戦系の新しい将棋で一番の有名どころと言える、elmo囲いのお話です。テーマは、「さっくりと攻める」。



後手三間飛車を想定し、図は△5四歩と突いた局面。この局面を基本図とします。居飛車の▲6八銀の後▲7九金と寄った囲いが、今回の主役「elmo囲い」ですね。

始めに申し上げておくと、私は世で言われているほど「elmo囲い」が堅いとは思っていません。金が寄ったぐらいでそんなに堅くなるはずがないでしょうwぐらいに思っています。ソフト流は力将棋のような展開も多いと感じますが、それでは美濃囲いの1路の遠さが生きてきます。よって大切なのは迷わず攻めることのできる展開、速度計算をしやすい展開に持ち込むことではないでしょうか。この戦型では私はそういう考えの下、研究しています。

さて、将棋に戻ると図の△5四歩では、△6四歩や△4三銀といった手も自然に映ります。ただ△5四歩は後に突くことになる可能性が高い手。これを突かない展開は△4三銀~△5四銀ぐらいでこれも有力ですが、ここでは割愛します。
上図以下、▲1六歩で一度様子を見る。



ここで後手には①△5三銀、②△4三銀、③△6四歩、④△1四歩のどれかが普通の手でしょう。
今回は①△5三銀に対して、どうやって「さっくり攻める」かを考えます。以下▲4六歩△4二飛▲3七桂△6四歩▲4八金△7四歩。


△6四歩では△6四銀も有力。これは次回以降考えてみたい。
▲4八金が連結の良い形です。elmo囲いには▲5九金とする形もありますが、攻めが軽くなる嫌いがあります。ただ最初は▲4八金の形には違和感しか無かったですねw

さて、図で(a)▲5五歩とするのがウチのソフトでは有力だと挙がります。しかし、いかにもこれは「もっさり」した手ですw 有力ですが力将棋の風で、切り合いではありません。力自慢の方にはオススメですが、やはり4筋から攻めたいものです。ただ(b)▲4五歩は△同歩▲3三角成△同桂の後、△4六歩が残ります。
そこで(c)▲2六飛△6三金としてから、▲3五歩△同歩▲4五歩と仕掛けます。そのまま△同歩▲3三角成△同桂に▲3四角が好打。



一応、一区切りを見て形勢判断をすると、まぁいい勝負でしょう。ここで一番気になるのは(a)△4四角ですが、▲6六歩△6五歩▲2三角成△6六歩▲3四歩△6七歩成▲同銀△9九角成▲3三歩成(▲3三馬は△4四飛!が好手)△4四飛▲3四と△2二飛▲3三馬、で先手が指せそう。(b)△3六角が有力か。以下▲2四歩とやはりわかりやすく攻め、(1)△4六歩▲2三歩成△4七歩成▲3三と、の切り合いか、(2)△4四飛のワンクッションに▲6一角成の強襲でしょうか。
△3六角の利きから6九→7九と金が事前に避けているのはなんとなく効いたような気もしますね。

↓の拍手が3つ以上ついたら続きますw

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将棋小話 -è più la spesa che l'impresa-

緊急事態宣言延長に伴い、KKKも休止中です。解除という話も聞こえますが、5月中はお休みとしたいと思います。さすがに自粛疲れという感じもあるものの、致し方ないのでみんなで頑張りましょう。

さて、今回のお題は△3三金型振り飛車。以前からそろそろ流行るのではないか…と密かに思い続けているのですが、守り駒であるはずの金を繰り出す抵抗感からか、全く流行の兆しはありませんw
初手から、
▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二金▲2五歩△3三角▲同角成△同金▲6八玉△2二飛
と進むと、これは伝説の棋士の名を冠した戦法になります。


つまりは「坂田流向かい飛車」です。いかにも一点狙い感がありますが、プロでも糸谷八段が用いることがある戦法です。
以下は一例ですが、
▲4八銀△6二玉▲7八玉△7二玉▲8八銀△4二銀▲3六歩△2四歩


糸谷八段はこのように、囲いもそこそこに2筋から仕掛けていくことが多いですね。先手もどのような形で備えるかは難しいところ。
先手から見ると簡単に仕掛けられるのに不満を感じるところもあるし、後手からすると研究しやすい形でもあるので、もっと増えてもいい戦法のように私は思います。

実は△3三金型は古くから認知されながら、なかなか研究が広がることはない戦法でした。しかしそこに一石を投じたのが、振り飛車の話題メーカーである菅井八段です。坂田流の△2二飛に代えて、 △3二飛と振ったのが意表の一着。



初めて見たらクリックミスの類にしか思えない。しかしこれが指されたのはなんとタイトル戦!以下3筋の位を取り、△3四金と押し上げ、△3三桂と桂馬を活用するのが狙い。当時の王位戦では下図の局面に進みました。


△3四金がどれほど安定しているかは一旦置いておいて、とりあえず飛車先を守っているように見える。おかげで左桂が使いやすくなるのはポイントが高い。△3二飛も3筋の位を張るために、支えの駒となっていることが判ります。
しかしちょっと不安の残る形でもあります。例えば△3三桂と跳ねた瞬間、▲2四歩△同金(▲2三角があるので△同歩とは取れません)▲3四角!のような手が効くかもしれません。(この局面では無理筋だと思います。)▲6七角のような筋違い角も気になりますね。
しかし実際は菅井八段の研究と読みはそれらをしっかりカバーしていて、この△3三金型三間飛車で高い勝率を上げています。菅井八段は多彩なので、これに頼ることはないですが…。

次の形もこの戦法の進展例です。



今度は▲4六歩型に反応したのか、△4四歩と突き△4二飛と振りなおしています。この時点での形勢はともかく、後手からも打開はできそうな形ですし、やっぱり後手が勝っています。
角交換を一旦保留するのも有力です。



この将棋は初手から、
▲2六歩△3四歩▲7六歩△3五歩▲6八玉△3二金▲4八銀△3三金▲7八玉△3二飛
となった局面です。他にもこの局面に至る道程はあるかと思いますが、いずれはやはり金を押し上げるのが狙いです。角交換しないのは、先手の駒組みを牽制する意味があります。これは角交換振り飛車系の肝の部分でもあるのですが、私もきっちり説明ができないほど難しいので、はぐらかすことにしますw まぁそんなもんかと思っていただければ、というところですが、デメリットもあるので、さらに指しこなすのは難しい印象です。

さて、序盤や結果を見ると、△3三金型は非常に有力のように感じます。私もいつか流行るのではないかなどと勝手に感じているように、かなり有力だと思っています。しかし、実際問題として金を繰り出してしまう弊害があるのがどれほどあるのか、わからないところがあります。これが取られたり遊んだりすると、大きな痛手となるのが金という駒ですから。

先に金を出すところに、ちょっとした博打感はありますね。

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将棋小話 -地球の歳差運動で北極星が変わるようなお話-

今回のテーマは角交換振り飛車です。”手損”と”保留”と”リスク管理”に注視してお付き合いください。

一口に角交換振り飛車といっても、非常にたくさんの形があります。名前が付いているものも多いですね。しかし、結局それは出だしが違うだけで、最後には同じ形に落ち着くと考えている方もいらっしゃると思います。その認識は果たして正しいのでしょうか。
さて、今回は一番ポピュラーと思われる「後手が向かい飛車を目指す」ものとして、話を進めていきたいと思います。

①角交換四間飛車
4手目に△4二飛とするのが一番多い形ですね。



先手は次に▲6八玉と玉を囲い始めるわけですが、そこで(1)△8八角成とするか(2)△6二玉とするかは分岐点です。
(1)の場合、以下▲同銀△6二玉▲7八玉△7二玉▲2五歩に対し、△2二銀とします。ここで△2二飛とすると▲7七角と打たれ、△3三角ぐらいなので再び角交換することになり、また手損が広がります。
△2二銀以下、▲4八銀△3三銀▲5八金右△8二玉▲4六歩△7二銀▲4七銀△2二飛が一番並の進行。



これで目指していた向かい飛車が成立しました。ポイントは、1.自分で角交換+4筋から2筋への飛車の振り直しで2手損している。2.△3三銀型に形を決めている。ということです。
これを心の片隅にとどめ、それでは(2)△6二玉を見てみましょう。
以下、▲4八銀△7二玉▲7八玉△3三角▲同角成△同桂▲2五歩△2二飛と進んで下図の局面。


この局面は、1.3三に上がった角を相手から角交換で手の損得なし+4筋から2筋への飛車の振り直しで計1手損。2.△3三桂型に形を決めている。ということになっています。1.に関しては先手の8八の壁銀がどうかという話にもなるので、そう単純な損得計算ではありません。しかしながら同じ角交換四間飛車でも、既に全く異なった局面になっていることがわかりますね。

ちなみに話の本筋から逸れますが、△3三角は美濃囲いを完成させる前(本譜か△8二玉のあと)が主流です。長くなるので理由は割愛。

②ダイレクト向かい飛車



ダイレクト向かい飛車とはこの形です。その名の通り、飛車を8二から2二へダイレクトに持ってきています。後手は4手目に自ら角交換をしているので、1.自分で角交換で1手損。2.△3三銀型に形を決めている。ことになりますね。この条件は、普通に考えれば角交換四間飛車のパターンより得をしたということになります。しかし好条件を求めるとリスクは付き物で、▲6五角とここで打つ手があります。△7四角と合わせたりすれば大変ですが、このリスクケアをどうするかは考えておかねばなりません。

もう1つ挙げると、△4四歩を突いておいてダイレクトしていく将棋もあります。



これは▲6五角リスクを解消した手になっています。しかし2.の部分で、△4四歩も決めてしまっている。ということになります。

③菅井流ゴキ三
この戦法は正式な名称がないので、とりあえずこう呼んでおきます。



この戦法は▲5三角と打ち込まれる可能性がありますね。仮に先手がそれを避けて無難に駒組みしたとすると、以下▲4八銀△4二銀▲6八玉△8八角成▲同銀△2二飛と進行します。


この局面は、1.自分で角交換+3筋から2筋への飛車の振り直しで2手損。2.△5四歩型に形を決めている。ということになっています。

④2手目△3二飛戦法
「2手目」とわざわざ書いてあるのは「4手目」もあるからですが、今回は省略します。



この手は先手の初手が▲2六歩の場合、リスク云々ではなく、そもそも成立しません。また、3手目によっては相振り飛車を選ばれる可能性もあります。素直に3手目▲2六歩のときは、△4二銀▲2五歩△3四歩▲6八玉△8八角成▲同銀△2二飛となります。



これは、1.2手損ですが、2.△5四歩も△3三銀も△3三桂も決めていない。という形ですね。途中△8八角成で△3三角とすれば、1.1手損で、2.△3三銀か△3三桂を決めた形。も作れるかもしれません。

一旦戦型比較はこれくらいとして、微妙に条件が異なってくるということが判りました。しかし結局同じ形、例えば△4四銀、△3三桂、△2一飛、△4二金、△5四歩に収まることも普通にあり得ます。それが作戦的に成功しているとなれば、問題はないといえるでしょう。リスクを取らないだけ、という結論に達して終わります。しかしこの違いを生かすことができないか、と考える人も必ず存在するのです。というか私ですw

もっと言えば、端歩の形をどうするかとか、△2四歩と突いてしまえないか、とか考え始めることになります。だったら「角頭歩」戦法だったらどうなるか、とかね。

どうでもいい人には一生どうでもいい話ですが、興味がある人には面白いと思ってもらえるかもしれないような、そんなお話でした。

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