忍者ブログ
男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2021/9/4

土曜日に行います。

カテゴリーを一新しました。
KKKの予告は複数のカテゴリーに亘って存在するので、お気を付けください。


今回は青野流の最難関、(7)△5二玉型を検討します。プロ間で最も実戦例が多く、変化が広い将棋となります。
私はここ数年この将棋から逃げていたので、調べなおして心が折れそうになりましたw

△5二玉は、どこかで▲3六飛と引く以前の横歩取りに対して自然な手なので、先手は▲3六歩と青野流を表明するのがワンセット。これを下の基本図とします。



基本図から考えられる指し手は、下の6通り。
①△7六飛
②△8二歩
③△2六歩
④△8八角成
⑤△4二銀
⑥△7四歩

最初に現状認識について述べておくと、主流は①△7六飛と③△2六歩。
⑤△4二銀は実戦例はそれほど多くないものの、有力と思われます。
④△8八角成は簡単ではないですが、現状は先手十分の認識。
②△8二歩⑥△7四歩はほとんど実戦例がなく、課題の局面と言えるでしょうか。(特に⑥△7四歩は今年の6月に初めて出現した将棋)

指し手①
△7六飛



①△7六飛はおそらく実戦例が最も多い変化です。先手は次の△8八角成を防ぐ手を指さなければいけませんが、①-1▲7七桂と①-2▲7七角が指されています。しかし他に①-3▲8四飛と①-4▲3三角成も考えられるので、先にこの2つを抑えておきましょう。

①-3▲8四飛は△8八角成に▲同飛と取ることができますが、△8六歩と上から止められるのが不満。△3六飛や△5五角という筋が残っていますし、▲3八金ぐらいなら△3三桂と活用して後手の駒が伸びてきます。

また①-4▲3三角成は、△同桂▲8四飛△8二歩のときに指す手が難しい。例えば▲3八金なら、△5五角▲7七歩△7四飛▲同飛△同歩▲2八歩に△3七歩で手になっているようです。▲2八歩と打てば難しいですが、これも先手が不満な流れです。

指し手①-1-1
▲7七桂    △7二金    ▲3七桂    △6二銀



①-1▲7七桂には①-1-1△7二金、①-1-2△5五角、①-1-3△8七歩が考えられます。(早くもむっちゃ複雑になってきたなw)
①-1-1△7二金は、▲8四飛に△8三歩と受けれるようにした手。青野流の比較的初期の手で、定跡書にも多く書かれた変化だと思いますが、以前に勉強したことは正直もう忘れました…。

指し手①-1-1-1
▲4五桂    △4四角    ▲2四歩    △3三桂    ▲2三歩成  △同 金
▲4四飛    △同 歩    ▲2四歩    △3四金    ▲3五歩



▲4五桂は青野流を指す上でやってみたい手。△4四角には▲2二歩も有力です。
本譜も先手が激しく攻め立てますが、決定打にはなっていません。最後の▲3五歩には△4五金、△4五桂のどちらも考えられ、形勢不明です。

指し手①-1-1-2
▲8四飛    △8三歩    ▲3四飛    △4四角    ▲4五桂    △7五飛
▲2二歩    △同 角    ▲3五飛



▲8四飛は1歩打たせて手を渡す指し方。△4四角は▲4五桂の先受けですが、それでも▲4五桂自体は有り得る手です。
上図以下は飛車の素抜き(▲5三桂成)を防ぐため、△4四角、△7四歩、△7四飛などが考えられます。これも難解。

指し手①-1-1-3
▲3八銀    △4四角    ▲4六歩    △3三桂    ▲4五歩    △5五角
▲4八金



▲3八銀は自陣を引き締める指し方。これを活かして△4四角に▲同飛とした将棋もありますが、さすがに後手が指せそうか。
▲4六歩に△同飛と取ってしまうのも考えられ、▲6五桂で激しくなります。
本譜は少し落ち着いて、いい勝負。

指し手①-1-1-4
▲8七金    △7五飛    ▲8四飛    △8三歩    ▲8六飛    △4四角



▲8七金はかなり主張の強い手。対して△7四飛とすれば、▲同飛△同歩▲4五桂△8六歩▲同金△4四角▲8四飛△8二歩▲7四飛△7三金▲4四飛△同歩▲6五桂…が一例で難解。
△7五飛なら▲8四飛~▲8六飛と引くことができますが、これはこれで難しい。やはりいい勝負です。

指し手①-1-2
▲7七桂    △5五角    ▲2二歩



▲7七桂には①-1-2△5五角も有力です。ここで▲2二歩と打つのが頻出の手筋で、今後もよく出てきます。さすがに相手をする必要がありますが、△3三桂と△同角が考えられます。

指し手①-1-2-1
△3三桂    ▲2一歩成  △4二銀    ▲8四飛



△3三桂は退かないという意思表示。以下▲2一歩成△4二銀に▲8四飛と回ります。ここでは△8二歩と△1九角成のどちらも有力。難解です。

指し手①-1-2-2
△同 角    ▲3七桂    △7二金    ▲3八銀    △6二銀



△2二同角も有力で、この形の場合は甲乙付け難いところ。▲7七角型でも▲2二歩は出てきますが、その場合は先手の角がより自由なので、手を渡すような△同角は指しづらくなります。
上図はやはりいい勝負。

指し手①-1-3
▲7七桂    △8七歩    ▲同 金    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲3七桂



▲7七桂に①-1-3△8七歩は、形を乱して△7四飛とぶつける狙いです。これも変化が広く、とても難しい将棋です。現状では力戦風味で、解析不能。

よって、①-1▲7七桂は互角に近い変化が多そうというのが結論です。先手から見ても一応有力といえそうですが、現状では廃れている状態となっています。
今選ばれているのは①-2▲7七角の変化です。

まだまだ先は長いですな。。。

拍手[0回]

PR

KKK 2021/8/29

日曜日に行います。


-角換わり選択に至る手順前後の考察-

「角換わり」は、その戦型が確定するまでに、細かな手順前後が許容されることがほとんどです。例えば、先手の指す初手と3手目は▲7六歩と▲2六歩、どちらが先でも問題ありません。出だしの9手はいろいろな組み合わせがあり、
・▲7六歩△8四歩▲7八金△3二金▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲6八銀
・▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲8八銀
のような手順を経て、10手目に△7七角成とすることで成立します。また、△3二金を省略して8手目に交換する場合もあります。

今回は「その手順前後は本当に許されるのか」を調べるマニア道(?)です。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲2六歩    △8五歩    ▲7七角    △3四歩
▲7八銀    △3二金    ▲4八銀



角換わりで先手が▲2五歩を決めるかどうかは、序盤の1つのポイントです。▲2五歩を突かない場合に、△4四歩から雁木の変化の余地があることはご存じではないかと思います。
ただ、これは▲6八銀~▲7八金型がほとんどです。例えば▲7八銀~▲4八銀とすることで、雁木に対し▲6八玉からの左美濃を残すことはできないでしょうか。
後手が▲2六歩型には角換わりを避けるプランでいると、ちょっと頭をひねる必要がありそうです。

上図からの指し手
△6二銀    ▲4六歩    △7四歩    ▲4七銀



後手は自分から角交換せず、▲7八銀を咎めることを考えてみたくなります。▲7八金と上がれない形なので、第1感は急戦に弱そうな陣形に見えます。△7四歩の後、(1)△7三銀と(2)△7三桂を検証します。
ちなみに△6二銀に対して▲2五歩は、△7七角成▲同銀△2二銀で普通の角換わりに戻ります。これに▲2四歩は(このお互いの形の場合は)成立しません。(ただし▲1六歩△1四歩▲2四歩が成立する可能性はある。)

上図からの指し手(1)
△7三銀    ▲5六銀    △6四銀    ▲2五歩    △7五歩
▲同 歩    △同 銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



後手が早繰り銀で攻める変化。基本的に先手がその攻めを完全に受け止めることはできません。よって居玉のまま軽く指して力戦となります。類型が無いのでこの後どうなるかは分かりませんが、ほぼ互角の形勢と思われます。

指し手(2)
△7三桂    ▲5六銀    △6四歩    ▲2五歩    △6五桂    ▲同 銀
△同 歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



△7三桂~△6五桂もやってみたい指し手。先手は△6五桂を▲同銀と取るぐらいしかなく、あっさり駒損が確定します。しかし後手陣も不安定であり、やはり軽く指して桂の使いどころは多そうです。これもほぼ互角でしょう。
結論としては後手が棋勢を得るまではいかないものの、力戦にして主張は通るという感じでしょうか。

ただ、そもそも論として初手から▲7六歩△8四歩▲2六歩に△3二金とすれば、▲2六歩型に雁木を選ぶというミッションはクリアすることができます。(△3二金に▲7八銀だと△3四歩と突いて矢倉に誘導されるため。これは最初に先手が角換わりを目指した方針と合わない。)
じゃあ「ここまでの話って意味あるの?」と言われてしまうかもしれません。
だから "マニア道" なんです。

拍手[1回]

KKK 2021/8/21

土曜日に行います。
来られる方はご一報を。


今回は青野流の続き。(6)△4一玉の変化について考えていきましょう。プロではかなり少数派の指し方です。
ただ、最近ではB級1組順位戦・阿久津vs横山戦で出現しており、有力な変化です。



上図からの指し手①
▲3六歩    △5一金    ▲3七桂    △6二銀    ▲3八銀    △2二銀



中原囲いに組む変化は以前も取り上げましたが、△2二銀を後回しにすることで速攻を防ぐ狙いです。
▲3六歩に△4二銀も考えられますが、△4二銀型の章で後日改めて取り上げようと思います。
▲3八銀で▲4五桂と断固仕掛けるのは、△8八角成▲同銀に△3三歩▲2四飛△2三歩とベタベタ歩を打ってしまって後手が十分。以下▲2五飛△4二銀…で難しいですが、桂を取りきることはできそうです。
さて、上図以降先手には(a)▲2四歩、(b)▲3五飛、(c)▲9六歩が考えられます。順に見ていきましょう。

上図からの指し手(a)
▲2四歩    △2七歩    ▲同 銀    △8八角成  ▲同 銀    △3三銀
▲3五飛    △2四銀    ▲3二飛成  △同 玉    ▲2二歩



(a)▲2四歩としたのが、件の阿久津vs横山戦の進行。後手の横山七段にとってはとっておきの作戦だったと推測しますが、阿久津八段も▲2四歩と新手(たぶん)で返します。ここでやはり▲4五桂と仕掛ける手も検証が必要ですが、今度は△8八角成▲同銀△2三銀▲3五飛△4四角▲7七角△7六飛で、難しいところはあるものの後手が指せそう。
△2七歩は青野流でよく出てくる手筋。先手の形を崩すことができます。
実戦は△2四銀で△2八角と打ち、▲4五桂△4四銀▲8七銀△3五銀▲2三歩成△同金▲8六銀…と飛車の取り合いになりましたが、△2八角には▲7七角で先手やや良しがウチのソフト説。しかし△2八角という手自体には警戒が必要です。
よって△2四銀ですが、これも激しい変化です。形勢不明。

指し手(b)
▲3五飛    △8二飛    ▲2五飛    △8六歩    ▲8五歩    △2四歩
▲3三角成  △同 銀    ▲2九飛    △8五飛    ▲8八歩



(b)▲3五飛にはいろいろな手があるものの、△8二飛と引く変化が有力。(▲8三歩~▲8四歩と叩かれる手が消えたため。)▲2五飛とすれば△2八角や△4四角は消えるものの、△8六歩にどうするか。▲4五桂とするのも考えられますが、△8七歩成▲3三桂不成△同桂▲同角成△同銀▲2一飛成△3一歩とこれまた激しい順に突入します。これも形勢不明です。
▲8五歩はのちに△8五飛と取ることができますが、▲7七桂が当たるのが気になるところ。上図以下、△5四角と△3一玉の実戦例があり、難解です。

指し手(c)
▲9六歩    △9四歩    ▲8七歩    △8二飛    ▲7七桂    △4四角
▲2四飛    △6四歩



(c)▲9六歩は角の可動域を広げた手。対して△9四歩と突き返すのは気が利かないようですが、先手に有効な手が無いのを見越しています。(仮に▲1六歩でも△1四歩と受けておきます。)
▲9六歩△9四歩の交換を活かすなら▲7七桂なのですが、△4四角が一旦桂の当たりをかわす手筋で、1局の将棋。
▲8七歩は手堅い手で、△8二飛で△8五飛なら▲7七桂△8二飛▲4五桂△4二角▲6五桂となって先手好調。しかし結局△8二飛にも▲7七桂としなければ、先手陣には△2八角の隙が残っています。(▲3九金と我慢する手もありますが。)後手はやはり△4四角と先受けし、△6四歩からは持久戦模様。後手がまずまずといえると思います。

指し手②
▲3六歩    △5一金    ▲3七桂    △6二銀    ▲3五飛



▲3八銀は形ですが、かえって△2八角を気にする必要がありました。よって先に▲3五飛はどうでしょうか。この手は藤井二冠が指しています。

上図からの指し手
△8二飛    ▲8七歩    △8八角成  ▲同 銀    △3三桂
▲2五桂    △同 桂    ▲同 飛    △6六桂    ▲同 歩    △3四角
▲2一飛成  △7八角成



後手はやはり△8二飛と引きます(藤井vs永瀬戦)。対して▲2五飛が有力で、△2二銀▲8七歩は1局の将棋。
藤井二冠は単に▲8七歩としましたが、△8八角成▲同銀△3三桂で飛車を簡単には戻させません。さらに▲2五桂と跳ねたものの(たぶん疑問手)、上図まで進んだ局面は後手有利のようです。(ただし実戦は逆転勝ち。)

次回は(7)△5二玉を予定しています。
青野流で過去に最も多くの局数があり、そして最も難解な変化です。たぶん1回では終わりません。そしてまとまる気がしません。覚悟していきましょうw

拍手[0回]

KKK 2021/8/14

土曜日に行います。


-楽しく指そう向かい飛車-

横歩取りの連載は難しいので、もっと読みやすい戦術講座もいいかなと思ったりします。イメージは中級者~初段の方向けぐらい。
副題はNHK講座のノリw

初手からの指し手
▲2六歩    △3四歩    ▲2五歩    △3三角    ▲7六歩    △4四歩
▲4八銀    △2二飛



昨今は初手から▲2六歩~▲2五歩と指されることも、結構多いのではないかと思います。相居飛車戦において、初手から▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角の進行は手が狭い意味があり、プロの対局で指されることはほとんどありません。(ただし、相手の手を狭くしている=形を決めさせているという面もある。)ただ、この手を咎めることはほぼ不可能であり、いざ指されてみると悩む、という方もいらっしゃるでしょう。
テーマの「向かい飛車」は、相手が飛車先を突き越してきたときに威力を発揮します。ある意味、初手から▲2六歩~▲2五歩のアンチ作戦と言えるかもしれません。
△4四歩と角道を遮断し、△2二飛と振れば向かい飛車が成立します。

上図からの指し手
▲6八玉    △4二銀    ▲7八玉    △4三銀
▲5六歩    △6二玉    ▲5八金右  △7二玉    ▲5七銀    △8二玉



ここまでは駒組みで特に難しい手はありませんが、△4三銀は保留し場合によっては△5三銀型にするような作戦もあります。また△3一銀型のまま、機を見て△2四歩から開戦するような指し方も一時期注目されました。今回はこの辺りの細かいことは省略して、わかりやすく△4三銀型を解説します。
先手の▲5七銀は穴熊を視野に入れた手で、実戦でも同一局面が現れる可能性は高いと思います。(試しに私もネットで指したら、同じ局面になりましたw)

上図からの指し手(1)
▲7七角    △9四歩    ▲9六歩    △7二銀    ▲8八玉



△9四歩はこの辺りが突き時。先手も▲9六歩と受けますが、受けずにすぐに穴熊を目指すのは振り飛車側から急戦を仕掛けられて危険です。(この後の進行を見ればわかります。)

上図からの指し手①
△3二金    ▲7八銀    △1四歩    ▲3六歩    △2四歩    ▲同 歩
△同 飛    ▲2五歩    △2三飛



△3二金はがっつり仕掛ける構え。△2四歩の仕掛けを狙っているので、▲7八銀と締まるのは自然です。
後手は一度△1四歩と突いておき、△2四歩▲同歩△同飛と飛車をぶつけます。向かい飛車は、相手の飛車先を飛車で受ける守備的な作戦でもあるのですが、こういう攻撃的な指し方もできるのがやはり面白いところです。▲2四同飛と取ると、△同角▲4一飛△2三飛で召し取ることができます。よって▲2五歩ですが、△2三飛と1つ引くのが「小倉流」と呼ばれる作戦です。

上図からの指し手
▲1六歩    △1三桂    ▲3七桂    △3五歩
▲2六飛    △3六歩    ▲同 飛    △2五桂    ▲2四歩    △同 飛
▲3三飛成  △同 金    ▲4五桂    △3四飛



△1三桂が、先に△1四歩としていた狙い。以下流れるように△2五桂と跳ねだすことに成功しました。
もし仮に△2二飛と引いていた場合は、△2五桂に▲4五桂の跳ね違いが成立します。△2三飛は3三を強化している意味だったのです。
そこで先手は▲2四歩~▲3三飛成と凄い切り返しを放ちますが、最後の△3四飛が冷静で後手が有利です。これは後手の成功例ではありますが、向かい飛車特有の面白い変化と思います。

指し手②
△5二金左



次は本美濃で指す指し方を紹介します。
一見は持久戦模様なので、先手は穴熊に組みたくなりますが…

上図からの指し手(a)
▲9八香    △6四歩    ▲9九玉    △2四歩    ▲同 歩    △同 飛
▲同 飛    △同 角    ▲2二飛    △2八飛    ▲2一飛成  △9五歩



後手は▲9九玉にやはり△2四歩と仕掛けを断行します。△2四歩▲同歩△同飛に▲2五歩は、△2二飛▲8八銀△3五歩▲1六歩△3四銀▲1七桂△1四歩▲2四歩△1五歩…が一例。相手の穴熊がまだバラバラのうちに楽しく戦うことができます。△3五歩~△3四銀も向かい飛車ではよく出てくる筋です。
本譜は交換して▲2二飛と打ち込んできましたが、△2八飛と打ち返して△9五歩とどんどん攻めていきます。端は△8五桂の筋などがあり弱いところです。
整然とした美濃囲いで捌いて戦うことができれば、振り飛車党にとっては望むべき展開でしょう。上図以下、▲同歩△9七歩▲同香△3二銀!▲同龍△5七角成(取れば△9八銀まで)となれば後手有利。

指し手(b)
▲7八銀    △6四歩    ▲8六歩    △7四歩    ▲3六歩    △7三桂
▲6六歩    △6三金



先手に▲7八銀と締まられると、さすがに攻めることは難しくなります。
後手は高美濃に組んでじっくり指す展開。腕力勝負です。

居飛車目線の話をちょっとすると、▲7八銀に代えて▲6八金寄とすれば穴熊の含みを残すことができます。これには、初段ぐらいまでなら、△5四銀▲6六銀△6四歩…などで急戦の含みを残す方が勝ちやすいと思います。△2四歩だけでなく、△4五歩、△6五歩、△6五銀などの手があります。
堅い本美濃をそのまま残して、ちょこちょこ動いていくのが実戦的ですね。

指し手(2)
▲3六歩    △5二金左  ▲7七角    △9二香    ▲8八玉    △9一玉
▲9八香    △8二銀    ▲9九玉    △7四歩    ▲8八銀    △7一金
▲7九金    △5一角    ▲6八金寄  △7三角    ▲4六歩    △3三桂



最後に相穴熊をご紹介します。
▲3六歩は▲3七桂を見せ、△2四歩を警戒している意味があります。これを見て後手は穴熊に切り替えました。
以下相穴熊になりますが、△5一角~△7三角と角を転回できるのが向かい飛車の強み。振り飛車で△3三桂と使えるのは気分よし。
以下はやはり力のぶつかり合いになります。定跡ではないので、玉を固めて力勝負したい人にはオススメです。

一口に向かい飛車といっても様々な形がありますが、向かい飛車独自の指し方というのは意外といろいろあるのだと、私も再認識しました。
大きな魅力を持つ振り飛車ですね。

拍手[0回]

KKK 2021/8/7

土曜日に行います。


現代横歩取りは難しい。
ブログの記事をまとめていて、私はひしひしとそう感じています。この手もあの手も互角、という風に変化は多いのに、悪手を指すと一気に敗勢になることも珍しくありません。私も現在進行形で研究を深めているので、既に書き直したい変化もいくつか現れています。
何某に「横歩取りの奴は読み飛ばしてます」と言われる始末ですw

しかし、「難しい」ことは対局において、決してマイナスではありません。だって、対局相手にとっても「難しい」のだから。横歩取りの全ての変化を暗記、理解はできなくても、手筋をより多く学んでおくことで、応用できる局面は無数に存在しています。(それはバランス型全盛の現代将棋において、横歩取りの戦型のみに限らない。)

ぜひめげずに読んでみてください。

今回は(5)△4二玉の回ですが、これは△2二銀~△4二玉の変化と大体同じです。よって特に書くこともないはずだったのですが、漏れていた変化があったのでピックアップします。



上図からの指し手①
△2二銀    ▲3六歩    △4二玉    ▲3七桂    △5二金    ▲3八銀
△2六歩    ▲2八歩



△5二金とがっちり組んで、△2六歩▲2八歩まで利かして、先手からの速攻を絶対許さない姿勢。以前の変化は△8二飛と早く引いていましたが、かえって▲8四歩と抑えられた意味もありました。

上図からの指し手
△2三銀    ▲3五飛    △8二飛    ▲3三角成
△同 桂    ▲7七桂    △2七歩成  ▲同 歩    △2八角    ▲8三歩
△同 飛    ▲5六角    △7四歩    ▲8四歩    △同 飛    ▲8五飛
△同 飛    ▲同 桂    △2二歩



それでも先手が攻撃を仕掛ける順を本線とします。▲3三角成~▲7七桂は超が付くほど強気。ここでは▲8七歩と一旦攻めを諦める順も実戦例があり、△6二銀▲2五飛△4四歩▲2六飛△7四歩…のような感じでこれからの将棋です。先手はさらに1歩取ることができましたが、▲2八歩の形自体はつらい意味もあります。
本譜は△2七歩成~△2八角で、これが最善かどうかは判別不能。先手は当然飛車をぶつけて勝負。△2二歩でぎりぎりバランスが取れているかどうか、「難しい」。

指し手②
△8二飛
▲3六歩    △2六歩    ▲3七桂    △2七歩成  ▲4五桂    △8八角成
▲同 銀    △3七と    ▲8三歩    △同 飛    ▲6五角    △8二飛
▲5三桂成  △3三金    ▲8三歩



もう1つ漏れていた変化を。これは最近手にした羽生先生の著書「現代調の将棋の研究」で取り上げられていた変化だったのですが、完全に忘却していましたw
以前述べた通り、△8二飛~△2六歩は現在進行形で指されている変化の1つ。そこで▲8三歩と叩いていることが多いのですが、本では単に▲3七桂~▲4五桂とされていました。
△8八角成に▲同銀とすると、△3七と が厳しくなることは以前述べた通り。ただ△3七と では△2三角▲3五飛△5二金のような順も考えられ、難解です。
本譜は▲8三歩~▲6五角で別の将棋に突入。激しい戦いになり形勢不明です。

指し手③
△8二飛    ▲3六歩    △2六歩
▲3八銀    △4二玉    ▲3五飛    △2二銀    ▲3九金    △6二銀
▲8七歩    △8八角成  ▲同 銀    △4四角    ▲2五飛    △3三桂
▲2四飛    △8四飛



以前△8二飛~△2六歩に、先手が受けるのは利かされで「まぁ無いんじゃないの、知らんけど」ぐらいで流してしまいましたが、実は▲3八銀とした実戦例がありました。しかも指したのは藤井二冠!w 他の変化で△2六歩に▲3八銀や▲2八歩とすることはよくありますが、その機微はやはり難しく、経験が必要となるかもしれません。しかしながら、この辺りの感覚は前例に引っ張られる部分が大きく、結局どれも現れ得るのです(言い訳)。
本譜は▲3九金としたのが予定とは思いにくく、藤井二冠も想定を外れて手探りで指していたのではないかと推測します。△4四角からは先手の飛車が狭くなってしまったので、後手十分の形勢ではないかと思います。
ただ△2六歩に▲3八銀と受ける手自体は、まだ可能性があるのではないかという気もします。

拍手[1回]

いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、頓死です。

王将戦2次戦でした。

①vsN嶋くん
B級勝ち上がりの子、たぶん初対局。
対角交換振り飛車に、しっかり銀冠に組んで陣形差を主張します。筋違い角で積極的に攻めてきましたが、右辺をがっちり受け止めて優勢に。玉頭方面での戦いに移行した後、手厚く押し切る。○。

②vsO滝六段
相掛りで強く横歩を払い、序盤から小競り合いで難しい将棋。激しい変化が多く内包していたものの、持久戦に。ひねり飛車にして美濃に囲い、模様勝ちとなりました。左桂が天使の跳躍を果たして気持ちよく攻めが決まり、○。

③vsM越Jr.五段
The連敗中。
戦型は私の三間飛車。私にしてはやや珍しいチョイス。相手の作戦は昔ながらの▲5七銀左型急戦でした。序盤早々手順前後をするという失態で、反応で切り返したものの冷静に受け止められました。(前も同じミスをしたような…?)かなり悪そうな将棋でしたがこちらも飛車を捌き、ギリギリの寄せ合いに。なんとか勝ちを手繰り寄せ、○。

④vsS井五段
S井さんの1手損角換わり。早繰り銀のプロでもよく指される将棋でしたが、序盤で1本取って早々に指しやすくなります。さらに右桂がきっちり捌けて、絶好調の展開に。持ち駒の角銀で相手の飛車をいじめながら寄せ形を築き、○。

⑤vsM前四段
角換わりの序盤から、私が雁木に変化。雁木vs矢倉で飛車先を切って角交換するという、かなり初期の形になります。しかしそこから右玉に組みなおすのがM前さんの作戦だったのでしょう。機敏に動かれて形勢不明の戦いが続きますが、王手飛車を含みにした桂捨てが盤上この一手。最後は王手金取りで自陣の金を抜き、○。

⑥vsS藤五段
相三間から角交換型の相振り飛車に。作戦負けを恐れて果敢に動いていきましたが、途中で一旦自陣に手を入れるしかなかった。本譜は明らかに相手の攻めが一手早く、自陣角を埋めて粘りの体制に。しかし相手も受けに回ったため、混戦に突入します。最後明快な寄せを逃し2手スキを掛けた手に、S藤くんに攻めの手を指されます。長手数の王手を読んで、自玉はギリギリ詰まないと思った…詰めろを掛ける。そのときのS藤くんの「は?」みたいな表情は(3日は)忘れられないだろうw 3手で頓死して、×。

マイナスに振り切るSAN値。

拍手[0回]

KKK 2021/7/31

土曜日に行います。

今日道端で派手にすっ転びました。
運動能力の…低下っ…!


-ポジティブ・フィードバック-

フィードバックといえば、過去について評価されるもののようなイメージを持っていました。しかし「未来の理想の状態に近づくために行うべき」という考えを目にして、なるほどと思いました。
お手本はどんどん活用すべし。

将棋に置き換えれば、負けたとき(形勢を損ねたとき)に「なぜ負けたのか」ではなく、「次はどういう手を指すか」ということになるでしょう。
自分自身への問いならそれで良いですが、他人へフィードバックを行う場合は、どうでしょうか。「この手がいいよ」と言うのは簡単ですが、"自分で気付く"ということも大事な要素です。とりあえずは、ネガティブな言葉を並べて、逆に意欲をそぐことは避けたいものです。(まぁ、世の中には良い手を掲示できないのに、評論家気取りの偉そうな人もいるのだが。)
塩梅が難しいですが、一緒に考えることが大切な気がします。

さて、名人戦、どうするかな。
キノさん、フィードバックをお願いしますw

拍手[0回]

KKK 2021/7/25

日曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


今回は青野流の(4)△8五飛について検証します。



(4)△8五飛には▲7七桂と跳ねる手がまずは見えるところ。対して△8二飛と引くか、△2五飛と転回するかは二者択一です。

上図からの指し手①
▲7七桂    △8二飛



△8二飛は△8七歩の先手となっています。▲7七桂が攻めに働くか、悪形となるかが優劣の分かれ目となるでしょう。
さて、実はこの将棋、私も指したことがあります。おととしの県アマ選手権、2438県名人vsこた(仮の一戦です。

上図からの指し手(a)
▲8五歩    △7二銀    ▲7五歩    △4二銀
▲3六飛    △4四歩    ▲2六飛    △2三歩    ▲9六歩    △9四歩
▲3八銀    △5四歩    ▲9七角    △5三銀    ▲7六飛    △4二角
▲4八玉    △4一玉    ▲3九玉    △6四銀    ▲6六歩



2438くんは▲8五歩と打ちました。この時点で早くも「やべぇ…研究外れた…」と頭を抱えていましたw
早々に▲8五歩と打つと一見負担になりそうに見えるので、少し指しづらい手です。よって私はこれを咎める構想が無いかと考えました。先手は▲7五歩からひねり飛車を目指しますが、左銀と△4二角でこれを圧迫する構想です。
しかし▲2六飛△2三歩の交換で歩を打たされているのが痛く、△6四銀に堂々と▲6六歩で問題ありません。(2歩持ちなら、△8六歩▲同角△7四歩という攻め筋がある。)
実戦は△9五歩から無理やり動いたものの、的確に差を付けられ完敗を喫す。

結局早い▲8五歩を後手の利にするのは難しい。指し手(b)でプロの実戦を基に再考します。

指し手(b)
▲9六歩    △4二銀    ▲7五歩    △7二銀    ▲3六飛    △4一玉
▲8五歩    △6四歩    ▲1六歩    △6三銀    ▲3八銀    △4四角
▲8六飛    △5四歩    ▲8四歩    △7二金



最初に▲9六歩の方が手が広い意味はあります。(梶浦vs大橋戦)といっても、本譜の先手の狙いはほぼ2438くんと同じです。
対して後手は△6四歩~△6三銀と組んで、普通のひねり飛車対策の陣形。実戦では△5四歩で△2八歩と強く打ち込みましたが、本譜も自然な感じです。後手としては歩損しているのをどう見るかですが、1局の将棋でしょうか。

指し手(c)
▲9六歩    △4二銀    ▲3六歩    △4四歩    ▲3七桂    △4三銀
▲3五飛    △8六歩    ▲8五歩    △5四歩    ▲2五飛    △2三歩
▲9七角    △4二角    ▲7五歩    △6二銀    ▲6五飛    △9四歩
▲8六角    △7四歩



▲3六飛でなく▲3六歩と突っ張る変化はどうでしょうか。(谷川vs大橋戦)
△4四歩~△4三銀と組めば▲3七桂の活躍は抑えられそうです。
△8六歩は一見▲8五歩で効果がなさそうですが、△4二角と引いて▲7五歩から▲8六角の瞬間、△7四歩で手を作ることに成功しました。後手もそれなりに指せると思います。

指し手②
▲7七桂    △2五飛    ▲2八歩    △7二金    ▲8四飛    △8三歩
▲8六飛    △5二玉



▲7七桂には△2五飛も有力です。上図まで妥当な進行ですが、少し▲7七桂型が角を閉じ込めて重いような感じを受けます。(先手が1歩得であり、悪いわけではない。)

結論として、△8五飛にいきなり▲7七桂は先手がつまらないと思います。
本命は▲3六歩。

指し手③
▲3六歩    △4二銀    ▲7七桂



▲3六歩に△4二銀とすると、今度こそ▲7七桂が強力になります。やはり(a)△8二飛と(b)△2五飛が考えられます。

上図からの指し手(a)
△8二飛    ▲8三歩    △同 飛
▲8四歩    △8二飛    ▲6五桂    △5二金    ▲3七桂    △3一歩



△8二飛に▲8三歩~▲8四歩と行くのがミソ。(船江vs大橋戦)▲6五桂~▲3七桂と両桂の跳躍を狙います。
最後の△3一歩が強靭な一着で先手有利とまでは言い切れないものの、好調な駒運びです。

指し手(b)
△2五飛    ▲2八歩    △2二飛    ▲8四飛



今度▲7七桂に△2五飛と飛びのくのは、上図まで進んで先手が指せます。
指し手②の変化と比べて、▲3六歩と△4二銀の交換で▲3七桂~▲4五桂の筋が厳しくなっています。△2二飛と備えますが、▲8四飛にも△8二歩と凹むぐらいしかなく、あとは桂を跳ねていくだけでも相当でしょう。
ちなみに△2五飛に▲3七桂は、△2九飛成▲4五桂△2七歩と攻め合って後手よし。

指し手④
▲3六歩    △2五飛    ▲2八歩    △8五飛    ▲3八銀    △8二飛    ▲3七桂
△4四歩    ▲3五飛    △5四歩    ▲9六歩    △6二銀    ▲7七桂
△8六歩    ▲8五飛    △同 飛    ▲同 桂    △8二飛    ▲9三桂成
△同 桂    ▲6六角



よって▲7七桂と催促されなくても△2五飛と回ることになりそうです。この将棋は藤井二冠vs高橋九段戦で出現しています。
▲2八歩で▲3七桂と強気に攻め合いを目指すのは、△2九飛成▲4五桂△8八角成▲同銀△5二金▲7七桂…後手にとっても怖い変化なものの、先手の攻めが決まるかは微妙です。
▲2八歩に△8五飛と戻らないで△4二銀などと指すと、▲8四飛△8二歩▲3八金と進んで▲7七桂型の重い形を回避することができ、1歩得で先手十分です。
藤井二冠は陣形を整備したのち、▲7七桂~▲8五飛と飛車をぶつけていきました。高橋九段は△8二飛の自陣飛車で受け止めにかかりましたが、▲9三桂成~▲6六角が素晴らしい着想で手にしてしまいました。先手がやや有利と思われます。

結論として、私は(4)△8五飛では少し後手が面白くないと思います。

拍手[0回]

私は傷んだ葦を折らず 煙る灯心を消さない

昨日は県名人戦挑戦者決定戦が行われました。
今年からA,B,C級の同時開催となっています。

予選は5人組で1局目、Kくんと対局。研修会通いの中学生。
戦型は彼の雁木。序盤の細かな差異がこちらに利があると見て、颯爽と仕掛けていきました。ただその後飛車が憤死してしまったので、ちょっと無理筋だったのかもしれません。しょうがなく自陣(に相手に飛車を打ち込ませないためだけの)角を打って粘りにいきましたが、意外とこの角が攻めに働くことになりました。攻めが繋がってからは押し切り、○。

2局目はT田五段と。抜群の安定感を誇る、県シード陣の一角。
戦型は対三間飛車にエルモ囲い。持久戦模様になって玉を中央にお引越しした瞬間仕掛けられ、明らかに勝ちにくそうな展開に。一発で持ってかれないようにするのが精一杯でしたが、入玉が見える形になって楽しみが出てきました。しかしなんとか上には這い出したものの、突っ込み方が良くなく最後は寄り形に。しかししかし時間に救われて、○。

3局目はS井五段と。奥越地区で代表常連の強豪。
戦型は角交換振り飛車。以前もS井さんと指したような形になり、こちらから自陣角で積極的に打開します。強気な応酬で形勢はよくわかりませんでしたが、歩を無駄に渡したため玉頭を叩かれて嫌な展開に。なんとか崩壊しないようにと、自陣に桂を2枚入れた珍しい形が出現しました。最後はその桂が手に乗って跳ねだして攻めに転じ、○。

4局目、K畑四段との対局。私と同じく坂井地区の理事をされながら、プレイヤーとしてもご活躍されています。
私の四間飛車に対し、K畑さんの右四間飛車。天守閣美濃に組んだところで仕掛けて来られました。一段落したところで指し手が難しく、急所がはっきりしない将棋。ただそれはお互い様で、隙をついて捌き合いに持ち込みます。途中うっかりがあったりしましたが、まだ優勢は維持できていたか。最後5手詰めを逃しながらも、○。

トーナメント一回戦はS戸川五段との一戦。
S戸川の十八番ともいうべき石田流に対し、作戦は直前まで迷っていたものの相振り飛車を選択。端を伸ばした手には金でガッチリ備えられたので、攻めは諦め体勢勝ちを目指します。これも一手一手が難しい将棋でしたが、相手のちょっかいに応じて開戦。形勢はわずかに良さそうと見ていましたが、自玉の(歩の)屋根がなく非常に気を使う展開でした。最後は相手の突撃を試みる間隙に逆に寄せ切って、○。
S「こた(仮先輩と一緒に大盤解説したくないので、がんばって挑戦者になってください」
こた(仮「!?」

準決勝、Y本五段と。私と40歳も違う御方。驚異の一言。一回戦で敗れたキノ「完璧に指されて負けました」
戦型はY本先生の三間飛車に対して、ガチガチの銀冠穴熊に。攻め合いになりそうで良さそうな順が2つ浮かび、選んだ手が失着。途中で読み違いに気付いたものの、何食わぬ顔で竜に飛車をぶつけていきます。対して強く竜を切られると自信なしの展開でした。ただ本譜も難しく、寄せを描く局面で長考に沈みます。そして指した△5八桂成が会心の寄せ(最善ではないかもしれませんが)で、穴熊の遠さを活かして押し切り、○。

そして決勝戦、相手はW塚五段。前期本大会、アマ選手権に続き、三度の決戦と相成る。
戦型は相手の四間飛車にイビアナ。彼が振りミレに組むのはアマ選手権と同じ形。手番が同じならこれでリベンジを挑む腹積もりでした。序盤は細かな駆け引きの末、こちらから強攻をかけて戦いに突入。私はずっと難しいのかと思っていましたが、彼も自信がなかったようです。相手陣に打ち込んだ角が死にましたが、見捨てて▲6五桂が狙っていた一着。と金を作って攻めが繋がる形になったかと思いました。手駒と盤上の駒をきっちり使ってピッタリ寄り切りで、○。

というわけで3度目の名人挑戦を決めました。県下無双、2438名人との大一番は9月に行われます。
昨日は晴天で気温が高く、換気や、決勝に会場の都合で畳の部屋に移ったこともあって、かなり大変な対局環境でした。正直、夜まで指して私の体はフラフラでしたw それでも、最後まで集中し続けることを心に誓って指していました。
しかもまだ2438くんとの名人戦が残っているのです。冗談で「負けるも地獄、勝つも(2438くんに公開処刑されるから)地獄」とか言ってましたが、実際何度彼には苦渋を飲まされたことか…完全にオーバーキルですよw もうやめて!とっくにこた(仮のライフはゼロよ!

加藤一二三九段「私は傷んだ葦を折らず 煙る灯心を消さない」
(まぁ、普通に2438くんと指すこと自体は楽しみでもあるのだが…)

拍手[2回]

KKK 2021/7/17

土曜日に行います。
来られる方はご一報ください。


-穴熊の序盤と美濃囲いの速攻策-

最近の四間飛車は囲いが多様化し、新しい変化が続々と生まれています。
しかし今回は敢えて、昔ながらの指し方について研究したいと思います。福井ではS水師匠やY本さんがいつも小さな工夫を加えることで、現代っ子相手に序盤で作戦勝ちしていますね。

居飛車の持久戦模様に対して、四間飛車が序盤から動きを見せるというのは、(アマチュアでは)以前はよくある指し方でした。美濃囲いは完成に手数が掛からないので、居飛車の囲いが不十分なまま仕掛けることができそうだからです。

初手からの指し手
▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △9四歩
▲9六歩    △4二飛    ▲5六歩    △3二銀    ▲6八玉    △6二玉
▲7八玉    △7二銀    ▲5八金右  △7一玉    ▲2五歩    △3三角
▲5七銀    △5二金左  ▲7七角    △8二玉    ▲8八玉    △6四歩
▲6六歩    △4五歩



ここまで、特に難しい手順は無いかと思います。△6四歩は突いておきたいところで、▲6六歩~▲6五歩と6筋の位を取られる作戦は厄介です。
次の居飛車の手は、(1)▲6七金と(2)▲9八香に別れます。

上図からの指し手(1)
▲6七金    △4三銀    ▲9八香    △4四銀    ▲3六歩    △5四歩
▲9九玉    △5五歩    ▲6五歩



実は(1)▲6七金では▲7八金が一番無難。▲7八金とされると後手からの仕掛けはより難しくなるものの、穴熊にしたとき(作戦に依りますが)▲7九金を指すと手損になります。できれば▲7八金は省いて穴熊に潜りたい。
▲6七金には△4三銀~△4四銀で突撃を狙います。のちの△5五歩に手抜きできない(△5六歩に▲同銀、▲同金とも△5五歩がある)からです。四間飛車党なら誰でも一度は考えたことがある攻め筋でしょう。
△4三銀に▲6五歩と開戦するのは、△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛△2八歩で難しいですが後手も指せます。▲同飛なら△2七歩(取れば△4九角)があります。
▲3六歩は△3五銀の防ぎ。穴熊が未完成の状態で△5四歩~△5五歩と攻め込まれますが、▲6五歩が意表の一手。

上図からの指し手①
△同 歩    ▲8八銀    △6三金    ▲7九金    △5六歩
▲同 金    △7四金    ▲2四歩    △同 歩    ▲3五歩    △同 銀
▲3三角成  △同 桂    ▲5四歩    △5二歩    ▲6八銀



▲6五歩は△5六歩の取り込みを緩和した手。以下本譜は後手の動きを無視して穴熊を完成させることができました。
△7四金は意地でも戦果を上げようとする強い手ですが、先手も穴熊ができれば戦いは望むところ。最後の▲6八銀が柔らかい手で、先手が指せます。

指し手②
△5六歩    ▲同 金    △5五歩    ▲6六金    △6五歩    ▲同 金
△4六歩    ▲同 歩    △5三銀    ▲5四歩    △6二銀    ▲5五金
△5六歩    ▲同 金    △7七角成  ▲同 桂    △4七角



▲6五歩に△同歩は後手自信がなかったので、△5六歩はどうでしょうか。△5五歩に▲6六金とかわせるのが▲6五歩の狙いですが、△4六歩~△5三銀で飛車先を通します。
△4六歩▲同歩に△5六歩も突き捨てるのは、▲同銀△5三銀▲3三角成△同桂▲5四歩△6二銀に、▲5七角が盤上を制圧する好手で先手よし。
▲5四歩を利かされるのは痛いですが、上図まで進めば先手も嫌な形です。

指し手(2)
▲9八香    △3五歩    ▲7八金    △4四飛    ▲6五歩



(2)▲9八香には△3五歩が有力。▲7八金で▲3八飛は後述します。
△4四飛~△3四飛の組み替えを許すと後手陣が軽いので、▲6五歩と反発。

上図からの指し手①
△3四飛    ▲3三角成  △同 銀    ▲3二角    △1二角    ▲6四歩
△同 飛    ▲6六歩    △5四歩    ▲4一角成  △5一金寄  ▲3一馬
△4二金上  ▲6七金右  △6一飛    ▲4二馬    △同 金    ▲1六歩



飛車を逃げる△3四飛には強く▲3三角成~▲3二角と打ち込みます。
以下この角は捕獲されてしまいますが、上図まで進んだ局面は先手がやや有利です。△1二角がひどい駒ですね。

指し手②
△同 歩    ▲4四角    △同 角    ▲7七桂    △3三角    ▲5五歩
△同 角    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3三角    ▲2六飛
△2四歩



よって飛車角交換の変化が有力です。
▲7七桂に△6六歩も考えられますが、▲2四歩△同歩▲同飛△3三角▲2六飛△4九角▲6八金左△5八角成▲同金△6七金▲6八金…怖い変化ではあるものの、先手受かっていそう。
先手も歩の補充ができなければ大変ですが、▲5五歩とすれば叶います。▲5五歩に対して△同角の前に△3六歩を利かそうとするのは、▲5六銀△3七歩成▲同桂で逆用されてしまいます。
上図までで形勢不明。飛車角交換で茫洋とした展開を厭わないなら、やってみる価値はあるでしょう。

指し手(3)
▲9八香    △3五歩    ▲3八飛    △4三銀    ▲7八金    △3二飛
▲2八飛    △4四銀    ▲6七金右  △5四歩    ▲9九玉    △4二角
▲6五歩    △3四飛    ▲6四歩    △3三桂    ▲2六飛    △6四角



△3五歩に▲3八飛は部分的に定跡とされる手ですが、△4三銀~△3二飛から石田流への組み替えを狙われます。(▲9八香で▲6七金右なら▲3六歩と仕掛けやすい。)
▲2八飛は△2二角~△3四飛を防いだ手。
▲6五歩では▲8八銀ももちろんあり、△3六歩か△3四飛で1局。最近多かった三間飛車からの組み替えの変化と似ており、比較してどうかというところです。
本譜も互角の形勢で、先手の手番で手が広く難しい将棋です。

これらの変化は、先手の組み方次第で現れる可能性があるわけですが、スルーされることがほとんどです。むしろ意識さえしていない人が多数かと思います。
しかし大体の新戦法というのは、過去の既存の手順の組み合わせです。他人が意識していない領域を突き詰めることで、新戦法のクリエイターになれるかも? ぶっちゃけトマホークとか藤井猛九段の手順を四間→三間に丸々流用しただけだし…。

拍手[0回]