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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

アクセル踏み込む黄信号

わたくしは常に安全運転です(予防線

年度始めはこの大会から、県王将戦A級リーグ第1次戦が開幕です。
今年は強力な20代が多い印象ですが、ベテランも健在ですし小中学生の期待株も参加しています。

①T円澄三段
振り飛車党の事務局長、三間飛車に。私はエルモ囲いを採用しました。
…突然ですが、最近悩みがあります。将棋の内容がッ…思いだせんッ…!(言い訳しますが、体調が悪かったせいです。すまぬ…すまぬ…)
最終的には快勝して、○。

②M好くん
今回の最年少参加者。
戦型は相手の手に乗じて、角交換向かい飛車に。最近のブログの講座より2手得の変化で、生かすべく逆棒銀で仕掛けます。角と金銀の交換という凄い駒損になりますが、働きの差で難しい形勢。粘られたら大変でしたが、本譜の切り合いはこちらが早い。攻め勝って、○。

③F田さん
大ベテラン。
戦型は私の先手ゴキ中。相手は陣形を固めようとしますが、△6四歩とした組み合わせがやや疑問だったでしょうか。四間飛車に振り直して攻めかかります。幽霊角が厳しい手となり、優勢になりました。押し切って、○

④T場三段
プレイヤーとお世話役の二足の草鞋で、今回は役員のリーグ参加も目立ちます。
序盤に駆け引きがあり、相掛りに。後手番の私が横歩を取りましたが、直後の▲7七桂がT場さんのうっかり。△5五角が飛車桂取りになり、厳しい一着に。以下作った竜を活用して短手数決着となりました。○。

⑤Kくん
まだ中学生のはず。
戦型は彼の三間飛車に、私は左美濃から銀冠穴熊に潜る。お互い強気に反発し、竜を作り合って攻め合いに。難解な形勢でしたが、馬をうまく使って(抱腹絶倒ギャグ)優勢を得ます。私が竜を切って決めに行ったところで投了され、○。(私なら絶対金を打ち付けて粘りますが…

⑥S戸川五段
新婚。
S戸川の先手中飛車に対して、左美濃から1つ飛車を寄るのはちょっとした変化球。しかし4筋からガンガン来たのは意外でした。こちらも男気溢れて飛車をぶつけていってしまいましたが、あまりいい手では無かったようです。どう混戦に持ち込むかというところでしたが、△7三角が粘りを欠いた一手ばったり。竜を切られてそのまま寄せ切られ、×。
結婚式でお父様から、「こた(仮さんは高い壁ですから…」と言われたのがリフレインしていましたw

⑦N藤五段
指すのを嫌がるN藤さんを引きずり、決闘開始。
戦型はいつもの早石田。飛車を切ってくるだろうな、と思ったらやっぱり切ってきました。形勢は難しいところでしたが、陣形を整えながら機会を伺います。飛車を敵陣に打ち込んでからは素早く寄せて、○。

⑧T山くん
順調に勝ち星を重ねる有望少年。
戦型は矢倉ですが、相手は雁木模様。相手の緩手を咎めるべく、早繰り銀で素早く仕掛けます。それが功を奏して相手陣を上ずらせ、纏めづらい形になって作戦勝ち。飛車の転回は彼の力を見せた手ですが、こちらは自然な指し手で押していきます。自陣にも手が着くものの寄せ切り、○。

全勝は2438六段、T田五段、K下五段の3人で、1敗にシード上位陣が並びます。予選組の注目はM越Jrくんで、ズバリ言ってしまえばシード入りは確実でしょう。ここまでで8人。

今年は例年にも増して激戦の予感がします。

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KKK 2021/4/3

土曜日に行います。

今年は花粉症が楽になるのが早いです。
このまま治ってしまわないだろうか(切実


-▲2五歩+▲3六歩型の章-



実は▲3六歩には角交換保留を咎める意図がある。つまりは▲2四歩からのジャブを狙っている。▲3六歩は▲3七桂や▲3五歩を作って、攻撃的な一手だ。
まずは後手がこの手に乗じようとする指し方を考えてみよう。

上図からの指し手(1)
△3二飛    ▲3七銀    △3五歩    ▲同 歩    △同 飛
▲4六銀    △3四飛    ▲2二角成  △同 銀    ▲6八銀    △4二金



△3二飛から3筋交換を目指すのは、振り飛車党なら指してみたくなる手だろう。しかし先手も▲3七銀~▲4六銀と手順に進出する。
まるで石田流の変化(3筋の折衝は居飛車の2手損だが、振り飛車側も後手番+飛車振り直しで2手損。つまり同じ手数の計算である。)だが、先手の右銀は好位置とされる配置だ。実際自然な△3二金とすると、いいタイミングで▲5六角と打たれて抑え込まれる。
形勢は先手十分と思われる。振り飛車側が後手とはいえ、指す気は全くしない。

指し手(2)
△8八角成  ▲同 銀    △2二銀    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛
△3一金



というわけで当初の予定通りに角交換する。しかし先手は遂に▲2四歩を決行。ただ後手も当然対策は用意している。△3一金は藤井猛九段が最初に指したと思うのだが、これを発想した人は天才である。

上図からの指し手①
▲2六飛    △3三銀    ▲2四歩    △1五角    ▲2八飛    △2四角



▲2六飛は定跡の一手なのだが。
△3三銀は△3一金の継続手。▲2三飛成と成れるのだが、△2二飛▲2四歩△2七角となると後手が優勢だ。
そこで▲2四歩と垂らすが、△1五角が私の気になっている手。上図はいかにも後手が危なそうに見えるが、咎めるのは難しそうだ。

指し手②
▲2八飛    △3三銀    ▲2四歩    △2二歩    ▲3七桂    △3二金
▲5八金右  △4四歩    ▲4六歩


今度は▲2四歩には△2二歩と受けるしかない。▲3七桂に攻めっ気に逸ると△4四銀なのだが、▲5八金右△3二金▲4六歩とされてイマイチだ。

上図からの指し手(a)
△6四角    ▲8六角    △同 角    ▲同 歩    △6四角    ▲4七金



△6四角は積極的な一手。先手は一度▲8六角と合わせておく。
上図以下、△4五歩▲同歩△同飛▲同桂△2八角成と強襲する手が考えられるのだが、▲8六歩と突いたことで少し玉が広くなっている。後手の攻めはやや無理筋か。

指し手(b)
△4一飛    ▲9六歩    △9四歩    ▲7七銀    △4二銀



上図は1局の将棋。▲2四歩と△2二歩の形が押しこめられているようだが、先手に飛車先を交換させないと思えば悪くない。振り飛車からすれば、後手番としてはまぁまぁの展開と言えそうだ。
ちなみに△4二銀の繰り替えでは△5一飛~△5四歩~△4二角とすれば2四の歩を取れるが、これは先手が指せる変化。4筋から歩がぶつかるのが大きい。

さて、もっと工夫できないだろうか。


-▲2五歩+▲1六歩の研究-


上図からの指し手
△1四歩    ▲3六歩    △8八角成  ▲同 銀    △2二銀
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3一金    ▲2六飛



今度は▲2六飛と引く。もうお分かりかと思うが、△1五角と打つ手が消えている。

上図からの指し手
△3三銀
▲2四歩    △2二歩    ▲3七桂    △3二金    ▲7七銀    △4四歩
▲4六歩    △9四歩    ▲9六歩    △4一飛    ▲6五角



▲2六飛と▲2八飛以外は先ほどと全く同じと思える手順だが、実は▲7七銀と▲5八金右が違う。ちょっとした絡繰りだが、▲6五角が狙いの強襲だ。
対して△5四角と打つと、▲2九角とバックするのが好手。このときに△7六角と取ることができない。後は先手だけ▲4七銀~▲5六銀と好形を目指すことができ、自然な流れで先手が有利になりそうだ。

上図からの指し手
△4二飛    ▲5八金右  △6四歩    ▲3二角成  △同 飛    ▲4三金



△4二飛には一度▲5八金右と締める。後手に有効な手が無いことを見越している。以下▲3二角成  ~▲4三金と強襲して先手が有利。
上図以下、(ア)△3一飛は▲2五桂△2四銀▲4二金で飛車が死んで先手よし。
(イ)△6二飛は▲5三金△3二飛▲4三金△6二飛▲2三歩成△同歩▲3三金△同桂▲2三飛成で先手が指せる。
ところで実はソフトは▲4三金で▲4五歩を推奨しており、理由は▲4三金に(ウ)△6五角で粘れると見ているから。しかしさすがに先手がやれるだろう。
よって最初の▲1六歩に、後手は△1四歩と受けることができないということになる。となると自然なのは△8八角成になるが、居飛車側は先に手を選ばなかった意味がある。つまりは以前、私は「2手指さなければならない」と述べたが、▲2五歩しか形を決めていない。
よって今までの結論が全く変わる可能性が出てくる。ここから先は思い思いに考えてみてほしい。

次回は感動の最終回!の予定w
次の戦型テーマを募集中です。

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KKK 2021/3/27

土曜日に行います。




今回は△4二玉とする変化を見ていこう。
現在進行形でプロの将棋では流行の兆しがあり、まさしく最新形といえるだろう。
未解決の分野がほとんどという将棋だが、ぜひ皆様も考えてみてほしい。

上図からの指し手(1)
▲5八玉    △7二銀    ▲2四飛


△4二玉の次の手は様々考えられるが、一番多く指されているのは▲5八玉だ。
後手は△7二銀(△7四歩と指した例もある)とするが、▲2四飛と戻る手が一番指したい手となる。これは△3三角型ではできない手である。

上図からの指し手①
△5二玉    ▲2八飛    △7六飛    ▲7七角    △7四歩    ▲8三歩


後手は△5二玉と形を整える。手損だが、▲2二角成~▲7七角の筋に備える意味がある。
後手から△8八角成▲同銀△3三角と攻め込むのは、▲2一飛成△8八角成▲9五角と反撃し先手よし。これまでにも出てきた変化だ。
本譜は▲2八飛に△7六飛と横歩を取り、後手が青野流のような構えになっている。▲8三歩が手筋の反撃で互角の勝負である。

指し手②
△5二玉    ▲1六歩    △1四歩    ▲2二角成  △同 銀    ▲7七角    △8九飛成
▲2二角成  △3五角    ▲2五飛    △3三桂    ▲同 馬    △同 金
▲2二飛成  △3二歩    ▲2五桂


▲1六歩と一度突いた実戦がある。△1四歩と受けると、なんと▲2二角成~▲7七角が成立する(△1五角がない)。
この変化は難しいところもあるが、先手優勢である。このようにわずかな違いで攻め筋の成否が変わるところに、横歩取りの一手の価値の高さが分かる。

指し手③
△7四歩    ▲2二角成  △同 銀    ▲7七角    △2三歩    ▲8六角    △2四歩


最近強く△7四歩とした実戦も出現した。対して▲同飛と取ると、△7七歩と打たれて痺れることになる。
怖い▲2二角成~▲7七角は、先手のみ角を手放す形となる。形勢は難しく、お互いバランスを取るのが大変な将棋だ。

指し手④
△7四歩    ▲2八飛    △7六飛    ▲2二角成  △同 銀    ▲7七金    △2七歩



千田vs飯島戦では▲2八飛と引いたが、△7六飛とやはり横歩を取りに行く。▲2二角成~▲7七金に△7五飛は▲6六角があるが、△2七歩と先に飛車先を抑えるのが好手。これは後手が指せそうだ。

指し手(2)
▲2四飛    △8八角成  ▲同 銀    △3三角



単に▲2四飛と寄るのもあるが、△4一玉型と同様にやはりこの変化は(一応)成立する。先手からすると1歩得して治めたい気持ちはあるが、▲2四飛はどのタイミングでもリスクがありそうだ。
当然▲3六飛も有力なのだが、この場合はそもそも△3三角が必要だったのか、という議論が必要だ。

Let's try!

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KKK 2021/3/7

日曜日に行います。


-▲2五歩+▲5六歩の巻-


上図からの指し手
△8八角成  ▲同 玉    △2二銀
▲7八銀    △3三銀    ▲3六歩    △2二飛    ▲5七銀    △4四銀



▲5六歩と突くと、△8八角成に▲同玉と取りやすくなる。理由は▲3六歩が突きやすいからで、△5五角の王手飛車を防いでいる。よって後手は△4四銀と第2の攻め筋を狙うが…

上図からの指し手(1)
▲4六銀    △5四歩    ▲3七桂    △3三桂    ▲2九飛    △2一飛
▲4八金    △4二金    ▲8六歩



先手は▲4六銀と銀対抗にする形が間に合っている。こうなると後手からの仕掛けは封じたので、お互い引き飛車にして囲い合いとなる。
しかし銀対抗の形は、先手からの打開も難しい面がある。普通は筋違い角で3四の歩を取るのが常套手段なのだが、▲5六歩型だとそれも難しい。千日手が懸念されるが、どうなるだろうか。

上図からの指し手①
△6四歩    ▲8七銀    △6三銀
▲7八金    △7二金    ▲7七桂    △7四歩    ▲5七銀    △5三銀
▲4六歩    △4四歩    ▲6六歩    △7三桂    ▲6八銀    △8四歩
▲6七銀    △1四歩    ▲1六歩    △6二銀    ▲9八香    △3二金
▲9九飛



長手数進めて申し訳ないが、やはりしばらくは駒組みである。本譜は後手が木村美濃を選択。先手は固めながら、地下鉄飛車を開通させた。歩を持てば3筋の桂頭がお互いに弱点になる。仮に△8三金なら、▲3八金~▲4九飛のような感じで打開を狙う。後手にも△4一飛があるので、なんとも言えない将棋である。一応千日手は回避できそうな気がする。

指し手②
△7四歩    ▲8七銀    △8四歩    ▲7八金    △8三銀    ▲5七銀
△5三銀    ▲4六歩    △7二金    ▲4五桂    △同 桂    ▲同 歩



今度は後手が銀冠を目指してみよう。△7四歩で先に△8四歩は、この場合は▲7五角という打開筋がある。 
△8三銀の瞬間に▲5七銀がミソ。▲4六歩に△4四歩と対抗すると、▲6六銀に△6四銀なら▲5五歩が成立する(△同歩なら▲5四角)。よって▲6六銀△7二金▲5五歩となるが、これは先手が指せる将棋。
本譜は桂交換して一応打開できそうな戦いになった。形勢自体はいい勝負だろうが、囲い側が全く同じ形で反対側は居飛車の方が駒が伸びているので、先手の方が気楽ではある(千日手懸念を除けば)。ただ後手には△8三銀で△6二金のような一旦停車も考えられるところで、工夫の余地はありそうだ。

指し手(2)
▲6六歩    △3三桂    ▲6五歩    △2一飛    ▲7七桂    △4二金    ▲6七銀
△4五銀    ▲7八金    △3六銀    ▲5八金


銀対抗の形にすると手堅くはあるものの、ややスッキリとしない展開となった。そこで今度は▲4六銀で▲6六歩を見ていく。大きく指して相手に手を渡す、おおらかで昭和チックな指し方だ。わざとスキを作り、後手に攻めさせてカウンターするようなイメージもある。
▲6六歩△3五歩は有力で、▲同歩△同銀▲6五歩のような展開で1局。
本譜はもう少し形を整え、▲6七銀に△4五銀でポイントを奪いにかかる。ここでは△2五桂というのも振り飛車必修の攻め筋で、こちらも有力そう。また、もし後手が動かずに△7四歩なら、▲7八金△8四歩▲6六銀右のようにガッチリした陣形が完成する。これは既に居飛車やや有利と言ってもいいだろう。むしろ△7四歩からの陣形整備が玉頭攻めに当たりにきた感じだ。
上図まで進行して後手は歩得を果たした。ただまだジャブのような感じなので、先手は▲7五歩などでカウンターのための陣形整備を継続することになる。形勢不明。

次回は▲2五歩+▲3六歩を見ていきます。後手の角交換保留を最も咎めにいく手です。

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KKK 2021/2/28

日曜日に行います。

三寒四温を経て、春(読み:かふんしょう)がやってくる。
いや、もうキテるんですけど。


今回は先手が横歩取りの瞬間、(2)△4一玉とする形を考えてみます。
少し前にプロ棋戦ではほとんどが△3三角型だと述べましたが、最近の横歩取りは後手が定跡を外そうとする傾向が強いです。(3)△4二玉型と合わせて評価値もそれほど悪くなく、新たなトレンドとなるかもしれません。



指し手①
▲5八玉    △5一金



基本的には、後手は中原囲いを目指していると思っていいだろう。△7二銀型にするなら、△4二玉型の方がバランスが良く見える。
まずは先手がとりあえず中住まいにする順から。後手も△5一金と囲いを構築する。


上図からの指し手(a)
▲8七歩    △8八角成  ▲同 銀    △7六飛    ▲7七銀    △2六飛
▲2八歩    △6二金    ▲8四飛    △8二歩


この形のパイオニアは三浦九段である。この将棋は、藤井聡太現二冠との1局(JT杯)。
藤井二冠は▲8七歩と受けた。飛車を引いても1局ではあるが、この瞬間△8八角成が鋭い。(というか、とっておきの作戦だったのだろう。)
以下図まで進めば五分の将棋と言えるが、後手が主張を通したとみて間違いない。▲8四飛では▲8三角として馬を作り、先手も主張を作っておく方がよいかもしれない。
実戦は後手の三浦九段が勝利しています。さすみう。

指し手(b)
▲2四飛    △2三歩 
▲2六飛    △8四飛    ▲8七歩    △6二銀    ▲3八銀    △7四歩
▲3六歩    △7三桂



今度は豊島竜王vs三浦九段の1局。豊島竜王は▲8七歩に代えて▲2四飛と寄った。これに△6二銀は▲2二角成△同銀▲7七角が怖すぎるので、△2三歩と打つ。本譜は▲2六飛だったが、ここでは▲2八飛も有力。以下△7六飛は▲8五角のスキがあるし、△8八角成▲同銀△7六飛と先手を取るのも▲7七桂ぐらいで後手のバランスが悪い。よって横歩を取ることはできず、引き飛車を生かして戦うことができそうだ。
本譜は完全に1局の将棋としか言えない。以前なら△2三歩と打って1歩しか手持ちにない形は反射的にダメだと言われたものだが、普通にいい勝負であるw
実戦は積極的に後手が攻めていったが、先手の豊島竜王が(力で)勝っている。

指し手②
▲2四飛    △8八角成  ▲同 銀    △3三角



そしてこの前の朝日杯決勝、藤井二冠vs三浦九段である。三浦九段が再びこの戦法をぶつけていった訳だが、今度は藤井二冠が▲5八玉より先に▲2四飛と寄った。この辺り、どういう違いや思惑があるかは正直わからない。▲2四飛に△5一金として同じ様な展開も考えられたが、△8八角成▲同銀△3三角!とまたもや意表の作戦を投入してきた。

上図からの指し手(a)
▲2八飛    △2七歩
▲5八飛    △7四歩    ▲5六歩    △6二銀    ▲8七歩    △8五飛
▲3八金    △5一金    ▲2七金



さすがの藤井二冠といえども、意表を突かれたことだろう。▲2八飛と引いて一応の小康を得た。先手は歩を取り切り、2歩得になる。既に読み合いの将棋となっているが、形勢は何とも言えないところだ。私は後手から手を作るのが難しそうな気がするので、どちらかというと先手を持ってみたい気がする。
実戦は熱戦の末に先手が勝ち、藤井二冠が3度目(!)の朝日杯を手中にしました。

指し手(b)
▲2一飛成  △8八角成



では、▲2一飛成と乱戦に飛び込むと果たしてどうなるのか。後手としてはこの変化が解決できれば、有力な選択肢が増えることになる。
まず(ア)▲2四桂と攻め合いを目指すのは、△2二金▲3二角△4二玉▲3一龍△同玉▲4三角成と怖い変化に踏み込むことになる。しかしそこで△3三馬が好手で、以下▲5三馬なら△4二馬と綱渡りをしてギリギリ受かっている。これは後手よし。
(イ)▲9五角はこの形の手筋だが、△7六飛▲7七歩△8九馬▲7六歩△7八馬と進む。この進行も▲2四桂には△2二金で受かるため、先手を持って指しづらい変化だ。
また(ウ)▲7五角は、△7六飛▲7七歩△7五飛▲8八金△1二角ぐらいで後手が指せそう。
よって(エ)▲8七歩△同馬▲9五角と捻ることになる。以下△7六飛とするか、△2八歩とここで利かす手もあるようだ。いずれにしても先手にとっては指し手のハードルが高く、選びにくい将棋という感じを受ける。

この△4一玉型はかなり有力という印象です。ただしほとんどが未知の将棋であり、且つ変化が多岐に渡るため、今のところ指しやすさとか勝ちやすさが全くわからないというところです。
有志の検証を求む!w

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KKK 2021/2/21

日曜日に行います。
DIYムズイです。


-KKS▲2五歩+▲5八金右の巻-



角交換四間飛車に戻って参りました。
さて、今回は▲2五歩△7二銀に▲5八金右を考察する。ここまでのあらすじ忘れたって人は、以前の記事を見て拍手1回してくだち。

上図からの指し手
△8八角成  ▲同 銀    △2二銀



▲5八金右は部分的には一番自然な手。しかしこの手を指してしまうと、△8八角成に▲同玉と取りづらくなる。例えば▲同玉△2二銀▲7八銀△3三銀に、▲4六歩だと△4四歩~△4五歩が有力。▲7七桂は△2二飛▲3六歩に△5四角という筋が気になる。

上図からの指し手(1)
▲7七銀    △3三銀    ▲6八金上  △2二飛   



先手は金銀がぴっちりくっついた形。ここで①▲4六歩と②▲3六歩を見ていく。

上図からの指し手①
▲4六歩    △2四歩
▲同 歩    △同 銀    ▲5六角    △3三銀    ▲2三歩    △5二飛
▲3六歩    △3二金    ▲3七桂    △5四歩



逆棒銀に対して、この形だと自陣角を打つぐらいが対抗手段になる。以下一例の進行だが、形勢は難解だ。先手としては筋違い角が働くか不透明だが、後手も上手くまとめきれるかは微妙なところ。個人的な感覚では先手を持って気乗りはしない。

指し手②
▲3六歩    △4四銀    ▲4六歩    △3五歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲4七銀



▲3六歩に△2四歩▲同歩△同銀は、今度は▲3七桂で問題なし。これまでも出てきたが、逆棒銀は基本▲3六歩が突いてあれば大丈夫だ。ただ、もし▲5八金が浮いている形だと、△2七歩~△4九角の筋が生じる可能性がある。
よって後手は第2の筋、3筋交換に打って出る。△3五同銀には▲6六角と打ち、△4四角▲同角△同銀▲4七銀とすれば、先手としては場を収めることができる。これには△3二飛▲3六歩△2二飛…と先手に歩を打たせるのが定跡となっているが、これは私の感覚では手損で得策ではない気がしている。△5四歩か△6四歩で強く駒組み合戦にしたいところだ。

上図からの指し手
△3二飛    ▲3八飛    △2七角



△3二飛では△3六歩と打つのも形である。私も最近までこれで後手十分かと思っていたのだが、▲3八飛△3二飛▲2四歩△同銀▲6六角と進むとむしろ先手がやれそう。
よって単に△3二飛とし、▲3八飛なら△2七角で後手が指せそうだ。▲3八飛以外だと▲3七歩とかになってしまいそうだが、振り飛車党ならさすがに後手持ちだろう。

指し手(2)
▲3六歩    △3三銀    ▲4六歩    △2二飛    ▲4七銀    △4四銀
▲6八金上  △3五歩    ▲同 歩    △同 銀   



▲7七銀に代えて▲3六歩を見ていこう。△2二飛で△4四歩は、今度は▲3七桂で4筋交換を防ぐことができる。以下は先ほどの順と同じように進んでいく。

上図からの指し手①
▲3八飛    △3二飛    ▲3三歩    △同 飛    ▲2二角    △4四銀



今度▲3八飛はどうなるだろうか。対して△4四銀なら、▲4五歩△同銀▲6六角△4四角▲同角△同歩に▲3一角が強手。以下△5二飛に▲4二歩が利き、先手が指せる。
△3二飛には一見▲3三歩が痛そうだが、最後の△4四銀が好手。以下▲1一角成なら、△3八飛成▲同銀△3三桂と振り飛車らしく指して後手がむしろ指せる。▲3三角成△同銀▲2八飛…の飛車角交換の展開になりそうだが、これは形勢不明である。

指し手②
▲7七角    △4四角    ▲3六歩    △7七角成  ▲同 銀    △4四銀
▲7五歩



3筋の歩交換のタイミングで、▲7七角を利かすのが手筋。△4四角と合わせるしかないが、手順に▲7七銀を指すことができる。手得を生かし、先手は位を取って模様を張りに行く。

上図からの指し手
△5二金左  ▲6六歩    △6四歩    ▲7六銀    △6三銀
▲6七金直  △7二金    ▲1六歩    △1四歩    ▲3七桂    △5四歩
▲2九飛    △6二金左  ▲5六歩



上図までの指し手は一例。△6三金と高美濃にする手もあるが、それほど展開は変わらないはず。先手はバランスを取りながら、じっくり指し進める方針である。後手が自力で打開するのは難しそう。先手を持って指しこなす腕力があれば、有力な指し方だ。

今回の指し方は振り飛車の動きがあったり、バランス重視の戦いになったりと、居飛車としては指しこなす難易度が少し高いかもしれません。次回は△8八角成に▲同玉と取って深く囲うために、▲2五歩+▲5六歩とする指し方を考えます。

拍手[1回]

私のゴーストが囁くのよ…それは最善手ではないと

本日は福井支部親善将棋大会が行われました。
「どうせならカッコいいタイトル戦にしましょう!」と言っていたのですが、また来年提案していきましょう。

予選①M越Jr.五段
若手実力者。
先手中飛車を採用。M越くんの穴熊模様は彼の得意形なので、予想していました。早く5筋を切って動きましたが、うっかりがあって作戦負けの雰囲気。竜を作らせて勝負したものの、相手の陣が固くツラい展開。それでも「直観は最善手と思えない」という粘りで、なんやかんやで勝負形に。相手は時間が差し迫ります。こちらの方が残っていたのですが、手が動かない(肉体的にw)。いつの間にかこっちの針が先に落ちていて、×。歳かw

予選②T円澄三段
The事務局長。
角道を止める系の振り飛車を得意とされているT円澄さん、三間飛車に。私はまず2枚金型を作りました。これは急戦系と穴熊を天秤にかける指し方で、実は初採用。そのまま穴熊まで組みましたが、十分と思っていた組みあがりがそもそも良くなかったかもしれません。飛車を取って香得になったものの、2枚角を並べられて端を狙われた形が厳しく、気づいたら形勢不利に。攻め込まれて穴熊は木っ端みじんになりましたが、なんとか間隙を縫って反撃。頓死させたような感じで辛勝、○。

予選③O田さん
愛棋家のベテラン。
戦型は相掛り。お互い腰掛銀にし、私が銀冠、相手が矢倉という対抗。最近では珍しい、じっくりした戦いになりました。私の方から自陣角を打って積極的に打開していきましたが、読み間違いがあってちょっと無理気味。ただ強気に駒を捌いてこられたのが危険で、逆にこちらの攻めが切れなくなりました。銀と飛車を捨てる怒涛の攻めが決まって、○。

予選④H山さん
B級で優勝し、A級に初挑戦と聞きましたが、ここまで快進撃中。
戦型は相振り飛車。お互い美濃囲いですが、こちらの攻めの形の方が急所を突いている感じ。飛車角銀桂の好形が襲い掛かってくる前に動いてこられましたが、こちらの美濃にはなかなか響きません。反撃に転じ、手厚く寄り切り、○。

予選⑤S司くん
KKKメンバーですが、今日は不調だったよう。
角換わりに。相腰掛銀ですが、後手のS司くんが昨今ではあまり無い△3一玉型を選択。私は敢えて以前このブログで載せた形を選びました。しかし本譜は全然違う形になり、こちらから2つ良さそうな攻めが見えます。このチョイスが失敗で、この瞬間は悪くなっていたような気がします。本譜の進行は難しい将棋でしたが、こちらの攻めが上手く続き、○。

トナメ①O滝六段
県棋界のスーパー重鎮。
相掛りで私が△7六飛と取り、▲8二角と打たれる将棋。角金と飛車香の交換になりますが、この将棋はどちらを持ってもバランスを取るのが難しい。桂も換えたところではこちらが十分になったような気がしたものの、その桂を打つところを間違えたかも。意表の攻め筋を食らって、どう受けるのが最善か全くわかりませんでした。実戦的に玉を早逃げしましたが、やはりというか敗勢に。「最後のお願いが余されるまでは」と思っていたら、そこでO滝さんが投了!実はたまたまピッタリ寄っていました。私は読み切れてなかった…。逆転で○。

準決勝 S井五段
常勝の実力者。
序盤の駆け引きを経て、私の石田流に穴熊の対抗。相手の金銀が大駒を圧迫するような感じになりましたが、飛車を転回する筋を見せて馬を作り、網をかいくぐります。飛車角が潜り抜けてはこちらが優勢で、こちらも攻め込まれるものの駒が足りていません。S井さんも根性の粘りを見せますが、落ち着いて寄せ切り。○。

決勝戦 M越Jr.五段
リベンジ戦。戦型は私の雁木に。個人的には雁木は少し苦しさを強いられる感じで、あまり主戦力にはしていません。チャレンジ精神を持ってやってみました!w
たぶん序盤の細かい精査ができていなくて、やっぱり苦しそうな展開でした。早繰り銀で攻められ、居玉でなんとかバランスを取ります。忙しい展開でもあり、自ら銀を引き込んで無理やりカウンターに。どう考えても最善ではないでしょうが、相手にもプレッシャーがないとお話にならない。遂に角を切って決めにきましたが、△5四角の自陣角が渾身の勝負手。攻めたり受けたりの攪乱戦術?で混戦に持ち込みます。そして玉を上部に泳ぎにいきましたが、この判断がミスでした。角をボロ取りされる形になり、再び劣勢に。ひふみん張りの手つきで詰めろもどきを掛けたものの、M越くんは落ち着いていました。×。

言い訳ですが、今日の調子はあまり良くなかったですね(体調は良かったですが)。決勝まで来たからには勝って〆たかったですが、熱戦でしたし「良い将棋が指せた」という気持ちがあります。
激情が和らいだのはやっぱり歳かもしれませんが、最善を追求する面白さは変わりません。

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棋譜取りを千切るような指し手のスピードには決して負けないが、そのまま終わったら脳内詰将棋ができない

今週末のKKKはお休みさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

王将戦の坂井地区予選では、棋譜取りなどの役員の仕事をしてきました。代表には若い人が多いですが、30代~40代の参加が少ないですね。
将棋が一番強い年代のはずなので、ぜひ積極的に参加いただきたいと思います。(コロナの問題は未だにありますが…)


-横歩取り基本講座②-

お互い飛車先を切った最初の図。序盤早々いかにも気を使う展開だが、ちゃんとした基礎知識があれば大丈夫だ。恐れずにやってみよう。


ここではまず(1)▲5八玉という手が指されている。

上図からの指し手(1)
▲5八玉    △7六飛    ▲7七角    △7四飛



一例ではあるが、後手が横歩を取った形になる。先後が逆になったような将棋だが、先手は一手を生かせるかどうか。
△7六飛で△5二玉とし、▲2二角成△同銀▲7七角△8九飛成▲2二角成…のような激しい定跡もある。

また、(2)▲2六飛とすれば△8二飛▲8七歩△2三歩のように、相掛りの定跡形と合流することが多い。これは以前の感覚では先手が不満と思われていたが、最近は見直されている。先手としては相掛りが得意なら、有力だろう。
先手が最初の図でパスしたとしても、後手となるだけ…、そういう発想でいけば、(3)▲1六歩や、(4)▲9八香!のような半分ハメ手もある。興味がある方がいれば解説しよう。

指し手(5)
▲3四飛

プロではほとんどこの手が選ばれている。そもそも最初の図の局面自体が、この▲3四飛を指すための順だと言ってしまってもいいだろう。
ここで後手の指し手は分岐し、以下の手が考えられる。
①△8八角成
②△4一玉
③△4二玉
④△3三桂
⑤△3三角
本命というかほとんどは⑤△3三角だが、まずは①△8八角成を考えてみよう。

上図からの指し手①
△8八角成  ▲同 銀    △2八歩    ▲同 銀    △4五角



後手は▲3四飛と横歩を取られた局面で、次の▲2二角成を防がなくてはならない。よって逆に△8八角成と角交換し、続けて△2八歩と襲い掛かる手がある。(ちなみに、ここでは△3八歩と隣から打つ裏定跡もある。)
以下△4五角と打った形が、有名な横歩取り△4五角戦法だ。基本的には先手有利と言われているが、先手は一手間違うと逆転する難しい局面が続く。(後手の方が指し手がわかりやすい。)
横歩取りを指すからにはこの変化も深い研究が必要だが、変化が複雑なため割愛させていただく。

指し手②
△8八角成  ▲同 銀    △7六飛



これは相横歩取りと言われる定跡になる。後手は自分から角交換しないと横歩を取れないため手損になるが、先手良しとも言い切れない。
△7六飛は金取りなので(a)▲7七桂、(b)▲7七銀、(c)▲7七歩が考えられる。
(a)▲7七桂は比較的穏やかな変化(相横歩の中では)で、力将棋になりやすい。

指し手(b)
▲7七銀    △7四飛    ▲同 飛    △同 歩    ▲4六角
△8二角    ▲同角成    △同 銀    ▲5五角    △2八歩    ▲8二角成
△2九歩成  ▲4八銀    △2七角



▲7七銀は昔かなり定跡化され、難解な変化も多い。
△7四飛には▲同飛とせず、▲3六飛とかわす手もある。ただ先手からすると、△8四飛を一度決められてしまうのが味が悪い。
飛車を交換した後、▲4六角と打つのは定跡手。この後は一例となり、全ては解説しきれない。
最後の△2七角では△3八歩と垂らす手が有名だが、△2七角はアマ間で伝わる(?)有力手。
どの変化になっても先手が勝てると巷では言われているが、どちらを持っても怖い将棋である。(形によっては最後▲8五玉とかいう符号が出てくるくらい難しい定跡)
指し手(c)
▲7七歩    △7四飛    ▲3六飛    △3三桂    ▲2六飛    △2五歩
▲5六飛    △4二銀    ▲8六飛    △8二歩    ▲8三歩    △7二金
▲8二歩成  △同 銀    ▲8三歩



この変化はPONANZAvs村山七段戦で有名になった。
△7四飛に以前の定跡は▲同飛だったが、▲3六飛がPONANZAの意表の着手だった。▲2二歩があるので△3三桂と受けるが、▲2六飛~▲5六飛がまた意表をつく。△4二銀と上がらせた方が得というのは、初見ではなかなかわからない。
▲8六飛に実戦は△8四歩だったが、▲8三角と打てれば先手が十分。△4二銀を上がらせた効果で、飛車を取った時の▲2一飛が厳しくなっている。
よって△8二歩はどうかだが、攻め立ててやはり先手が指せる形勢だ。最後▲8三歩に△同銀は▲6五角、△7一銀は▲8二角という要領である。

余談ですが、私は今このブログを朝日杯の決勝を見ながら書いています。この将棋で、②△4一玉という手が出現しました。この手は古い手ですが、後手の三浦九段が少し前にも採用しており、有力な変化球として「ちょっと研究してみようか」と思っていたところでした。この手は次回取り上げてみるとして、この決勝戦は将棋の内容にも注視したいですね。

それにしても、青野流とか最新の定跡は全然頭に残らないのに、子供のころ勉強したものは使わないのに覚えているものです。

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