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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2019/11/4

文化の日の振り替え休日です。
来られたい方はご一報ください。

将棋小話 -先手雁木-

雁木は以前から既に、相居飛車戦の重要領域を占めるようになっています。それほど有力な囲いと見られている雁木ですが、先手で始めから雁木囲いを目指す将棋はそれほど多くありません。
今回紹介するのは、先手雁木が少ない理由と、先手の”秘策”です。

プロ間で先手雁木が少ない理由は、「相雁木」にあると私は思っています。
以前ネット将棋で私もよく指していたのが下図。


雁木は相手の形を見て△6三銀型にするか△5三銀型にするか決めるのが一つのテクニックなのですが、後手で雁木を覚えたい方は△6三銀型をオススメします。相雁木ではぶっちゃけとりあえず腰掛銀にしておけばいい、ぐらいに個人的には思っています。

上の図までくると先手は手詰まりに近い状態。後手は△8一飛としてから、△4二金右~△5二金を繰り返してればOK。
①▲4五歩△同歩▲同桂△4四角▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛には、△8六歩▲同歩△8五歩の継歩が習いある攻めです。
②▲2九飛△8一飛▲4五歩△同歩▲3五歩には、△4六歩と突くのがこれも手筋。
いずれも先手でこれを目指すのか、という認識です。

先手が棒銀で積極策に出たのが、有名な朝日杯決勝の渡辺vs藤井聡太戦。



ここから△4五歩▲同歩△5五角が切り返しで、▲3七銀△3五歩と進みました。形勢は難しいのですが、後手持ちの人が多いのではないでしょうか。

というわけで、もっと主導権の取れる作戦が求められているのが現状です。そこでマニアックながら、「鎖鎌銀」作戦を紹介したいと思います。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲6六歩    △6二銀
▲6七銀    △4二玉    ▲7八金    △8五歩    ▲7七角    △5二金右
▲2六歩    △3二銀    ▲2五歩    △3三角    ▲3八銀    △7四歩
▲2七銀    △7三銀    ▲3六銀   



ポイントは飛車先を突く前に雁木の構えを作り、△4二玉と上がらせること。実は5一玉型に対してはつまらない作戦だと思っています。先手の序盤は振り飛車も有り得るので、8割ぐらいは上がってくれるような気がしますw
そして▲3六銀と構えた図の局面が、「鎖鎌銀」です。本来相掛りの戦法なのですが、雁木ではどのような将棋になるでしょうか。ちなみにこの構想は、女流棋戦で指されています。

▲3六銀からの指し手①
△7五歩    ▲4五銀    △7六歩    ▲同 銀    △8四飛    ▲6八玉
△3一玉    ▲5八金    △4二角    ▲3六歩    △3三銀    ▲3五歩
△同 歩    ▲6五歩    △3二金    ▲3四歩    △2二銀



後手は早繰り銀に出ているので、初志貫徹で仕掛けていきます。△7五歩には▲同歩もありますが、▲4五銀と出てみます。これで後手は駒が前に出ていきづらくなりました。矢倉に組みかえようとしたものの、壁銀を強いて上図。ここまでくれば先手が作戦勝ちです。

▲3六銀からの指し手②
△4四歩    ▲5八金    △6四銀
▲4六歩    △4三銀    ▲4五歩    △同 歩    ▲同 銀    △4四歩
▲3六銀    △3二金    ▲2四歩    △同 歩    ▲2五歩    △3一玉
▲2四歩    △2二歩


では△4四歩と銀を出させないようにするとどうなるでしょうか。これには4筋の交換を目指します。先手は当然銀を5六に繰り替えると思いきや、もう一度▲3六銀と戻るのが面白い。以下継歩が1歩交換の効果。上図まで進めば2筋を詰めることに成功しました。

雁木の世界は今なお広がり続けています。まだまだ話したい面白い指し方は尽きないのですが、本日はこの辺りで。

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矢倉 左美濃急戦 こた(仮流▲4六銀作戦

流行の作戦ですが、私なりの対策を書き留めておきます。
ほとんどオリジナルなので、実際の形勢は知りませんw


初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲6六歩    △6二銀
▲5六歩    △8五歩    ▲7七銀    △6四歩    ▲7八金    △6三銀
▲4八銀    △3二銀    ▲2六歩    △4二玉    ▲2五歩    △3一玉
▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △2三歩    ▲2八飛    △5二金右
▲5七銀    



居玉のまま2筋を交換し、▲5七銀と構えるのが私が考えている作戦です。ここから△7四歩~△7三桂と攻めの形を目指すのと、△5四銀と狙いを察知して備える手を考えていきます。

▲5七銀からの指し手①
△7四歩    ▲4六銀    △5四銀    ▲5五歩    △同 銀
▲4五銀



△7四歩には▲4六銀とし▲4五銀の突進を見せます。よって△5四銀と受けますが、▲5五歩と戦いを起こします。△6三銀と引けば、▲4五銀△5五角▲3四銀△2二玉▲2四歩△同歩▲2五歩△3三歩▲4五銀△2五歩▲同飛△2三歩▲5六歩で角が死にます。△5五同銀にも▲4五銀とすれ違います。

▲4五銀からの指し手①
△3三銀    ▲2三飛成  △2四歩    ▲2五歩    △3二金
▲2四歩    △2三金    ▲同歩成    △4二玉    ▲3九金



こた(仮の形勢判断:先手優勢。
飛車が成れる変化ですが、△2四歩とふたをして殺すことができます。ただし、最後の▲3九金で飛車打ちを防ぐのが上手い手です。△2三金では△4二金右が勝りますが、やはり▲3九金としておけば先手やや有利。しかし自玉が薄いので、楽観は禁物。

▲4五銀からの指し手②
△3三角    ▲3四銀    △2四角    ▲5八金    △5六銀    ▲6八銀
△8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲5七歩    



よって△3三角~△2四角と受けます。△5六銀から攻めを狙いますが、最後▲5七歩と受けるのが強手。▲8七歩では△7六飛▲7七歩△7五飛で、▲5七歩に△4五銀と逃げる手ができてしまいます。

▲5七歩からの指し手①
△3三歩    ▲8七歩
△7六飛    ▲7七歩    △6六飛    ▲2五銀



こた(仮の形勢判断:先手よし。
△3三歩と受ければ、その瞬間飛車を追うのが万全の指し手。図まで進めて角取りと銀取りが残って先手よし。

▲5七歩からの指し手②
△8八飛成  ▲同 金    △3三歩    ▲2三銀成


こた(仮の形勢判断:先手よし。
飛車を切り落としてくれば、△3三歩に▲2三銀成と捨てるのが好手。後手陣を乱して先手十分。ちなみに▲2五銀は△3九角と切り返され危険。

▲5七銀からの指し手②
△5四銀    ▲4六銀    △4四歩    ▲5五歩    △4三銀引  


よって▲5七銀には△5四銀と備える手が必要です。こた(仮流はそれでも▲4六銀。以下▲5五歩には△4五歩と決戦を挑む順もあり、それは形勢不明の戦いとなります。△4三銀引と自然に固めると先手はどうすればいいのでしょうか。

▲5八飛
△3三角    ▲5七銀    △7四歩    ▲5六銀    △5一角    ▲6九玉
△8四角    ▲6八銀    △7三桂    ▲6七銀上  △6二飛    ▲7七桂


こた(仮の形勢判断:手が進むほど先手の形が良くなっていく局面。
先手は▲5八飛と5筋の位を確保してから、銀2枚の配置換えを行います。▲6八銀は後手の角転換を見てからでないと、飛車先交換をされるので注意してください。図まで進めると、先手は次に▲7九角~▲3六歩~▲3七桂~▲4六角と指したい手がいくらでもあります。後手からその間に打開できるかどうか?先手は▲9六歩と突いたあと、▲8五桂△同桂▲8六歩と打開する筋があり、楽しみがある局面と思います。ただし、ソフトにかけるとこの局面は先手がかなり悪いですが…。

机上の研究だけで実戦経験が無いので、人体実験をするしかないですね。

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藤井矢倉 永瀬新手▲3五歩

記事が無いのにカテゴリだけできている「将棋研究 -矢倉」を気にされていた方はたぶんいなかったのではないかと思いますが、ずっと構想がありながら放置されていたからなのです。(英春流も放置されているが…)
矢倉は私もずっと愛用している戦型です。たまに「一番得意な戦型はなんなの?」と聞かれると「一番勉強したのは矢倉ですかねー」と答えるくらいには得意です。

さて、今回は藤井矢倉について取り上げます。

初手からの指し手
▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲7七銀    △6二銀
▲5六歩    △5四歩    ▲4八銀    △4二銀    ▲5八金右  △3二金
▲6六歩    △4一玉    ▲6七金    △7四歩    ▲2六歩    △5二金
▲2五歩    △3三銀    ▲3六歩    △4四歩    ▲3七銀    △3一角
▲7九角    △4三金右  ▲4六角    △6四角    ▲6八玉    △7三銀
▲7八玉    △3一玉    ▲6八金上  



藤井矢倉の一番ポピュラーな組みあがり図。実際はここまでに先後両方から仕掛ける手がありますが、割愛いたします。

△8五歩    ▲2六銀    △2二玉
▲1六歩    △8四銀    ▲6四角    △同 歩    



お互いに棒銀に出るのが定跡手順。先手の方が早く銀を進出しているようですが、▲6四角で▲1五銀と出ても△7五歩の攻め合いや△1四歩の態度伺いで先手つまらない(と思われているのでしょう。実際は難解な形勢だと思います)。また話が前後しますが、▲1六歩では▲9六歩とした手や、▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩▲2六銀とした実戦もあります。

△6四同歩からの指し手①
▲6三角    △7五歩
▲7四角成  △7六歩    ▲同 銀    △7三銀    ▲6三馬



こた(仮の形勢判断:先手面白くない。
藤井矢倉当初の定跡手順。図はもちろん難解なのですが、この図にとても違和感があります。というかそもそも、△7五歩に取らないというのが不自然に感じます。また▲6三角には△7三銀の変化もあって、これも難しい将棋です。よって、先手を持って誘導したくありません。

△6四同歩からの指し手②
▲3五歩    



そこで、▲3五歩と突き捨てにいったのが今年の棋聖戦、永瀬六段vs羽生棋聖の対局で出現した新手です。しかし実はこの手、私は3年も前に指している!w そもそもはさきほど申し上げた△7三銀とさせたくないという観点から思いついた手で、研究していました。

▲3五歩からの指し手①
△同 歩    ▲4一角



△3五同歩とさせてから▲4一角と打てば、△7三銀には▲3五銀が気持ちよい手で先手指せます。ここでは有力な手段が3つほどあると思っていましたが、棋聖戦と私の実戦の進行を見てみましょう。

▲4一角からの指し手①
△6五歩    ▲3五銀    △8六歩    ▲同 歩    △8八歩    ▲同 玉
△6六歩    ▲同 金    △3九角    ▲3八飛    △6六角成  ▲同 銀
△3四歩    ▲4六銀    △9五銀    ▲7七銀


こた(仮の形勢判断:先手優勢。
羽生棋聖の応手は△6五歩。▲同歩は△7五歩で勢いがつくし、▲7四角成も△6六歩~△7三銀ぐらいでつまらないでしょう。よって▲3五銀。以下後手の猛攻ですが、上図まで進めば明らかにやりすぎています。棋聖戦の実戦も永瀬六段が快勝しました。

▲4一角からの指し手②
△7五歩    ▲同 歩    △同 銀
▲7四角成  △8六歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲8三歩



こた(仮の形勢判断:後手攻め切るのは大変。
私の実戦。△7五歩に対しどうしても取りたかった。▲7五同歩にさらに△6五歩とくれば▲7四角成の予定。△7五同銀にも▲7四角成とし、入玉含みで受けに回ります。素人判断では、そんな簡単に手がつながるとは思えない。永瀬さんの予定がこうだったかはわかりませんが…

ちなみに私の実戦の棋譜。
http://lump381.hatiju-hatiya.com/yagura6-2.html
http://lump381.hatiju-hatiya.com/yagura6-3.html

▲3五歩からの指し手②
△7五歩    ▲3四歩    △同 銀    ▲7五歩    △同 銀    ▲3五歩
△4五銀



こた(仮の形勢判断:後手持ち。
そこで、棋聖戦では▲3五歩を手抜く順が検討されていたとのこと!△7五歩から攻め合い上図まで進めば、後手の△7五銀は捌けそうです。▲2六銀ものちのち捌けそうだし△4五銀も気になりますが、△6五歩のパンチの権利がある分後手をもってみたいという感触です。

棋聖戦の対局では永瀬六段が勝ったにも関わらず、結局この形は再登場していません。私も平成25年頃に3局ほど使っただけです(アマチュアでは独自の急戦矢倉などを得意とする方が多く、なりにくい戦型)。
今はプロ間では左美濃急戦などに興味が向いていて、この戦型が深められるのはしばらく後になるかもしれません。

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