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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

将棋小話 -è più la spesa che l'impresa-

緊急事態宣言延長に伴い、KKKも休止中です。解除という話も聞こえますが、5月中はお休みとしたいと思います。さすがに自粛疲れという感じもあるものの、致し方ないのでみんなで頑張りましょう。

さて、今回のお題は△3三金型振り飛車。以前からそろそろ流行るのではないか…と密かに思い続けているのですが、守り駒であるはずの金を繰り出す抵抗感からか、全く流行の兆しはありませんw
初手から、
▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二金▲2五歩△3三角▲同角成△同金▲6八玉△2二飛
と進むと、これは伝説の棋士の名を冠した戦法になります。


つまりは「坂田流向かい飛車」です。いかにも一点狙い感がありますが、プロでも糸谷八段が用いることがある戦法です。
以下は一例ですが、
▲4八銀△6二玉▲7八玉△7二玉▲8八銀△4二銀▲3六歩△2四歩


糸谷八段はこのように、囲いもそこそこに2筋から仕掛けていくことが多いですね。先手もどのような形で備えるかは難しいところ。
先手から見ると簡単に仕掛けられるのに不満を感じるところもあるし、後手からすると研究しやすい形でもあるので、もっと増えてもいい戦法のように私は思います。

実は△3三金型は古くから認知されながら、なかなか研究が広がることはない戦法でした。しかしそこに一石を投じたのが、振り飛車の話題メーカーである菅井八段です。坂田流の△2二飛に代えて、 △3二飛と振ったのが意表の一着。



初めて見たらクリックミスの類にしか思えない。しかしこれが指されたのはなんとタイトル戦!以下3筋の位を取り、△3四金と押し上げ、△3三桂と桂馬を活用するのが狙い。当時の王位戦では下図の局面に進みました。


△3四金がどれほど安定しているかは一旦置いておいて、とりあえず飛車先を守っているように見える。おかげで左桂が使いやすくなるのはポイントが高い。△3二飛も3筋の位を張るために、支えの駒となっていることが判ります。
しかしちょっと不安の残る形でもあります。例えば△3三桂と跳ねた瞬間、▲2四歩△同金(▲2三角があるので△同歩とは取れません)▲3四角!のような手が効くかもしれません。(この局面では無理筋だと思います。)▲6七角のような筋違い角も気になりますね。
しかし実際は菅井八段の研究と読みはそれらをしっかりカバーしていて、この△3三金型三間飛車で高い勝率を上げています。菅井八段は多彩なので、これに頼ることはないですが…。

次の形もこの戦法の進展例です。



今度は▲4六歩型に反応したのか、△4四歩と突き△4二飛と振りなおしています。この時点での形勢はともかく、後手からも打開はできそうな形ですし、やっぱり後手が勝っています。
角交換を一旦保留するのも有力です。



この将棋は初手から、
▲2六歩△3四歩▲7六歩△3五歩▲6八玉△3二金▲4八銀△3三金▲7八玉△3二飛
となった局面です。他にもこの局面に至る道程はあるかと思いますが、いずれはやはり金を押し上げるのが狙いです。角交換しないのは、先手の駒組みを牽制する意味があります。これは角交換振り飛車系の肝の部分でもあるのですが、私もきっちり説明ができないほど難しいので、はぐらかすことにしますw まぁそんなもんかと思っていただければ、というところですが、デメリットもあるので、さらに指しこなすのは難しい印象です。

さて、序盤や結果を見ると、△3三金型は非常に有力のように感じます。私もいつか流行るのではないかなどと勝手に感じているように、かなり有力だと思っています。しかし、実際問題として金を繰り出してしまう弊害があるのがどれほどあるのか、わからないところがあります。これが取られたり遊んだりすると、大きな痛手となるのが金という駒ですから。

先に金を出すところに、ちょっとした博打感はありますね。

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