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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2020/9/20

日曜日です。


将棋小話 -時代を逆行する△6二銀型-

今回は相掛りのお話。相掛りはとても由緒ある戦法ですが、まだまだ評価が定まらない変化が数多く残された戦型です。

初手からの指し手
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲3八銀△6二銀



さて、今回は後手目線でお楽しみください。
先手の▲3八銀は最近の流行で、ほとんどがこう指されています。後手も△7二銀と追随する場合が大多数なのですが、△6二銀と上がってみます。これも当然ながら自然な形で、割と近年まで主流でした。

▲6八玉△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛▲7六歩△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△4一玉



飛車先を交換するタイミングがお互い考えどころというのは最新の相掛り事情ですが、簡明を期すため本譜は早めに交換しておきました。先手の陣形は最近よく見る形。後手は△4一玉型が近頃では珍しい。ほとんどが△5二玉か△4一玉(△7二銀型で)と指されています。

▲4六歩△5四歩▲4七銀△5五歩



 ▲4六歩に対し△5四歩は、▲6八玉型に特に有効な指し手。△5五歩と位を取ったとき、玉を移動しないと▲6八銀が指せないからです。ただし▲4六歩で▲3六歩と指された場合は、一度△5二金や△7四歩がオススメ。▲3六歩に△5四歩では、▲3七銀△5五歩▲4六銀と手順に位を目標にする手が厄介です。
こういう中央志向の作戦は現代では軽視されがちです。しかし相手の動きによって柔軟に以前の指し方を取り入れられると、作戦の幅がさらに広がります。

▲3六歩△5三銀▲3七桂△4二銀上▲4八金△7四歩▲2九飛△6四銀▲5八玉△7五歩



先手は▲4八金+▲2九飛という、やはり流行形を目指してみます。もちろん▲5八金型も有力。後手は右銀を繰り出しますが、位を支えるのかと思いきや7筋からの開戦を狙っていました。先手は自然な手を指し続けて(陣形だけ見れば)理想形に組み、もしかしたら途中は作戦勝ちを意識していたかもしれません。しかし△7五歩と仕掛けた局面は、既に後手ペースになっています(形勢はほぼ互角とはいえ)。

これは上手くいった例ではありますが、僅かな手順前後や配置によって将棋は常に大きな広がりを見せてくれます。81マスの宇宙なんてのは、ありきたりな表現ですけどね。
古い棋譜から使える形を掘り起こす楽しさが判ってきたら、貴方もマニアの第一歩を踏み出しているかもしれませんw

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