KKK 2021/7/4
来られる方はご一報ください。
-端歩の駆け引き-
「端歩の駆け引き」ということについて、私が最初に思い当たるのは、実は二上九段の将棋です。二上九段といえば昭和の名棋士で、大山十五世名人との対局では、対抗形の素晴らしい棋譜を数多く残しています。
「端歩の駆け引き」ということについて、私が最初に思い当たるのは、実は二上九段の将棋です。二上九段といえば昭和の名棋士で、大山十五世名人との対局では、対抗形の素晴らしい棋譜を数多く残しています。
その中で二上九段は、玉と反対側の端歩を難しいタイミングで突いたり、突き越したりしていることがあります。羽生九段の師匠でもありますが、「師匠の端歩はよくわかりません」と言われてしまったこともあるようですw(なにかの本か記事で読んだ気がする…ソースなし)
おそらく、二上九段(と大山名人)にしかわからない駆け引きが存在したのでしょう。
ここまで高度でなくても、舟囲い急戦の将棋には▲1六歩や▲6八金上で手を調整するという考え方がありました。
さて、現代ではさらに駆け引きは加速しています。相居飛車においても、端歩を突くタイミングや端歩三十六景(端歩のパターンが36通りあることから、端歩の形をこう呼ぶ)によって展開が変わるというのは日常茶飯事です。
ここまで高度でなくても、舟囲い急戦の将棋には▲1六歩や▲6八金上で手を調整するという考え方がありました。
さて、現代ではさらに駆け引きは加速しています。相居飛車においても、端歩を突くタイミングや端歩三十六景(端歩のパターンが36通りあることから、端歩の形をこう呼ぶ)によって展開が変わるというのは日常茶飯事です。
今回は対抗形について解説します。
序盤早々に、後手が9筋を打診するという戦術があります。3つのパターンに分けると、
序盤早々に、後手が9筋を打診するという戦術があります。3つのパターンに分けると、
①▲2六歩△3四歩▲7六歩△9四歩
②▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△9四歩
③▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀に対し、飛車をどこかに振ってから△9四歩
以前詳しく説明したところ、相手が目を丸くしていたので(笑)、超簡略化してお伝えします。
以前詳しく説明したところ、相手が目を丸くしていたので(笑)、超簡略化してお伝えします。
いずれも端歩を受けるかどうかで、それに見合った作戦を選ぼうとしています。
①のパターンなら、当然角道を止めない作戦が視野に入りますね。しかし△9四歩に▲2五歩とされると、もう△4四歩と角道を止めることできなくなる可能性があります。
②は端を受けるかどうかで飛車を使う位置(居飛車を含む)を決めようとしています。一例ですが、▲9六歩と受ければ四間飛車とし、受けなければ△9五歩と伸ばしてからトマホーク(三間飛車の作戦の1つ)を狙うなど…持ち球によって作戦や構想は様々です。
③はたまに見られますが、正直よくわかりません。例えば▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲6八玉△9四歩みたいな感じですが、△4二飛の次の手はほぼ▲6八玉であり、▲6八玉によって△9四歩を突く意味は無いと思います。△3二飛なら一応▲2五歩とするかどうかは見れるけれども…。単純に②のパターンの方が手が広いです。(テキトーに指している説か、一芸特化の可能性を疑いましょうw)
また、④相手の囲いを見てから、△9四歩を突くかどうかを決める戦術も考えられます。例えば▲9六歩のタイミングによって△9四歩を受けず、振り飛車穴熊にシフトチェンジするなどです。これは現時点では表舞台で取りざたされていないと思いますが、深い変化まで見通した指し方で、意外にも高度な戦略です。「▲9六歩と突かれたら△9四歩と受けようか」ぐらいの思想とは一線を画しており、可能性がある指し方だとひそかに思っています。(ただし難易度:激高)
居飛車側にとっても端歩を受けるかどうか、自分から突くかどうかは考えどころです。この辺りはやはり自らの指し得る将棋によって変わりますね。
これらは玉側の端歩についてですが、反対側(振り飛車後手なら1筋)の打診についても考えます。特に居飛車側にとっては幽霊角(△1五角)を消す意味があって、わかりやすいメリットがあります。
例えば下の図の局面。これは以前の小話で取り上げた局面で、▲3六歩のところを▲1六歩としました。
①のパターンなら、当然角道を止めない作戦が視野に入りますね。しかし△9四歩に▲2五歩とされると、もう△4四歩と角道を止めることできなくなる可能性があります。
②は端を受けるかどうかで飛車を使う位置(居飛車を含む)を決めようとしています。一例ですが、▲9六歩と受ければ四間飛車とし、受けなければ△9五歩と伸ばしてからトマホーク(三間飛車の作戦の1つ)を狙うなど…持ち球によって作戦や構想は様々です。
③はたまに見られますが、正直よくわかりません。例えば▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲6八玉△9四歩みたいな感じですが、△4二飛の次の手はほぼ▲6八玉であり、▲6八玉によって△9四歩を突く意味は無いと思います。△3二飛なら一応▲2五歩とするかどうかは見れるけれども…。単純に②のパターンの方が手が広いです。(テキトーに指している説か、一芸特化の可能性を疑いましょうw)
また、④相手の囲いを見てから、△9四歩を突くかどうかを決める戦術も考えられます。例えば▲9六歩のタイミングによって△9四歩を受けず、振り飛車穴熊にシフトチェンジするなどです。これは現時点では表舞台で取りざたされていないと思いますが、深い変化まで見通した指し方で、意外にも高度な戦略です。「▲9六歩と突かれたら△9四歩と受けようか」ぐらいの思想とは一線を画しており、可能性がある指し方だとひそかに思っています。(ただし難易度:激高)
居飛車側にとっても端歩を受けるかどうか、自分から突くかどうかは考えどころです。この辺りはやはり自らの指し得る将棋によって変わりますね。
これらは玉側の端歩についてですが、反対側(振り飛車後手なら1筋)の打診についても考えます。特に居飛車側にとっては幽霊角(△1五角)を消す意味があって、わかりやすいメリットがあります。
例えば下の図の局面。これは以前の小話で取り上げた局面で、▲3六歩のところを▲1六歩としました。
この将棋は、振り飛車側も居飛車側の手を見ています。△7二玉型は振りミレや耀龍を視野に入れています。
さて、▲1六歩に対し後手は迷います。
①△1四歩なら、▲3六歩とします。以前の順を取り上げると、△8二玉▲3七桂△5四歩となり、△5四歩型にはポンポン桂はわずかに成立しないという結論でした。しかし今度は美濃囲いができていないので、▲4五桂が成立しそうですね。
②△6四歩はやはりポンポン桂が成立。以前の記事参照。
③△8二玉なら振りミレや耀龍の選択肢が(ほぼ)無くなりました。先手は穴熊や天守閣美濃など、持久戦を目指します。
①△1四歩なら、▲3六歩とします。以前の順を取り上げると、△8二玉▲3七桂△5四歩となり、△5四歩型にはポンポン桂はわずかに成立しないという結論でした。しかし今度は美濃囲いができていないので、▲4五桂が成立しそうですね。
②△6四歩はやはりポンポン桂が成立。以前の記事参照。
③△8二玉なら振りミレや耀龍の選択肢が(ほぼ)無くなりました。先手は穴熊や天守閣美濃など、持久戦を目指します。
天守閣美濃は振り飛車の8筋からの玉頭攻めが強力なので、△8二玉型は不都合になる場合があるのです。
また▲3六歩を突いていない局面は、△3二飛~△3五歩▲同歩△4五歩などの仕掛けの筋が無いメリットがあります。
④△5四歩も持久戦志向です。振りミレや耀龍は△5四銀型に組むので、やりづらくなっていますね。
このように、より良い形で仕掛けるということだけでなく、戦法や作戦そのものを切り替えるというのが現代的です。端歩の駆け引きに限ることではありませんが、戦法をシームレスに捉え、相対的に指し手をカスタマイズするのが大切です。
「一手一手に意味がある」のですね。
④△5四歩も持久戦志向です。振りミレや耀龍は△5四銀型に組むので、やりづらくなっていますね。
このように、より良い形で仕掛けるということだけでなく、戦法や作戦そのものを切り替えるというのが現代的です。端歩の駆け引きに限ることではありませんが、戦法をシームレスに捉え、相対的に指し手をカスタマイズするのが大切です。
「一手一手に意味がある」のですね。
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