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男子はいつまでも中2病、がコンセプトの将棋ブログ。

KKK 2023/1/21

土曜日に自宅で行います。
来られる方はご一報ください。


- KTF 相掛かり▲9六歩 No.4 -

基本図を再掲します。



基本図から①△5二金という手はほぼほぼ指されていないはずですが、△6二銀型なら力戦形として指されています。△7二銀型の場合は違和感がありありですが、現実はやっぱり難しいので考えてみましょう。

基本図からの指し手①-1
△5二金    ▲6八玉    △6四歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛
△2三歩    ▲6四飛    △6三銀    ▲6六飛    △4二銀    ▲2六飛



①△5二金のイメージは"山崎八段調"。
基本図から△6四歩の変化で、▲6四飛と取らせるのは損だと述べました(No.2にて)が、ひねり飛車模様に指されたときに一手で▲4八玉と上がられてしまいます。よって▲6八玉と指したのを見て△6四歩と突き、ひねり飛車を封じてから取らせます。
先手は2歩を手にしましたが、△5二金の効果で△6三銀とすぐに飛車を追うことができました。

上図からの指し手
△4四歩    ▲7六歩    △4三銀    ▲7七角    △3四歩    ▲8八銀
△6四銀    ▲5八金    △7四歩    ▲7九玉    △4一玉    ▲4六歩
△5四歩    ▲4五歩    △5五歩



後手は雁木形にして陣形を盛り上げます。先手は▲7七角から飛車先交換を防ぎ、こちらも陣形を整備。ただ△7五歩や△6五銀などの攻め筋が残っているので、神経を使います。
▲4五歩から先攻する手が映りますが、△5五歩と位を張って上図まで。大きく指して後手の主張が通った局面と言えるでしょう。

基本図からの指し手①-2
△5二金    ▲5八玉    △6四歩    ▲3六歩    △3四歩    ▲2四歩
△同 歩    ▲同 飛    △6三銀    ▲7六歩    △4二玉    ▲3七桂
△9四歩    ▲2九飛    △2三歩



今度はいきなり横歩を取らない変化を考えます。
▲3六歩とすると次に▲3五歩があるので、△3四歩と角道を開けるのが自然な指し手。そこで飛車先を切って、一見は普通の進行です。
先手は▲3七桂と跳ね、直接▲2九飛と引くのが狙い。
▲3七桂の前に(△4二玉を指さずに)△2三歩と打つと、▲3四飛と取る手が成立します。△4二玉と指した後に▲3四飛とされれば、後手に△3三金から飛車をいじめる手があり先手危険。実は、これは最初の△5二金の一手が災いし、後手の手が間に合っていない計算なのです。

上図からの指し手
▲4六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲8七歩    △8二飛
▲4七銀    △5四銀    ▲6八銀    △8八角成  ▲同 金



最初の▲4六歩では▲7七金という力強い指し手もあります。本譜は普通の指し方で、なんてことのない互角の局面に見えます。
しかし先手だけ左銀を中央に使っていること、スムーズに▲2九飛と引けている点が大きいのです。昨今はバランス型の評価が高く、一早くその陣形を構築している先手が、手が進むにつれ十分の大勢となります。
△6五銀~△5四角の仕掛けは部分的に成立する可能性がありますが、本譜の場合は(ちゃんと応対すれば)無理筋です。

△6五銀~△5四角の筋の一例(上図から)
△6五銀    ▲7七銀    △5四角    ▲4八金    △7六銀    ▲同 銀
△同 角    ▲8六歩    △同 飛    ▲7七銀    △8二飛    ▲6六角



しかしながら、この変化は先手が良くなるとしましたが、後手が△3四歩と突いてこない可能性はあります。

基本図からの指し手①-3
△5二金    ▲7六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲2四歩
△同 歩    ▲同 飛    △2三歩    ▲2五飛



△5二金に▲7六歩とする変化を考えます。お互い飛車先を交換した後、▲2五飛と引くのが狙いの一手。

上図からの指し手
△8二飛    ▲4八玉    △6四歩    ▲7七桂    △3四歩    ▲8五飛
△8四歩    ▲8七飛    △4二金左  ▲3九玉



▲7七桂~▲8五飛の指し方は、以前M越Jr.流としてご紹介させていただきました。△5二金型が飛車交換に弱い形なので、後手は歩を謝るぐらいになります。
後手不利とまでは言えないものの、不満が残る形といえるでしょう。ただ後手をもったとき、先手がこれを選んでくる可能性は低そう。そういう意味では①△5二金は一発勝負に温めておくのはアリかもしれません。

ここでさらなる工夫を考えます。

基本図からの指し手②
△1四歩    ▲3六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲5八玉
△8二飛    ▲8七歩    △6四歩    ▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛



上図までの手順は、実戦譜も多数存在します。ここまでの手の意味は改めて解説予定ですので割愛しますが、ここで後手は(a)△6三銀と指し、▲2六飛△2三歩▲3五歩と先手に位を取らせて指すか、(b)△3四歩と強く突いて、▲同飛なら△2三金▲3五飛△3三桂と飛車を目標に指すのが定跡でした。

上図からの指し手
△2三歩    ▲6四飛    △5二金    ▲3五歩    △3四歩



しかし△2三歩と打ったのが棋聖戦第4局、永瀬vs藤井戦。かの藤井棋聖の新手でした。
▲6四飛に△5二金とします。基本図から①△5二金の変化に比べ、▲3六歩と突いてあることで▲6六飛~▲2六飛とすることができません。しかし普通に▲3五歩が間に合いそうなので、問題が無いように思えます。
△3四歩が驚愕の一着。▲同歩は△5五角があるものの…

上図からの指し手
▲6五飛    △6三銀    ▲3四歩    △4二銀    ▲2五飛    △4四歩
▲2六飛    △4三銀



実戦通りの進行です。▲3四歩と取られては一見大失敗したようですが、飛車を2筋に戻す手に対しては△4二銀~△4四歩~△4三銀で取り返すことができそうです。
藤井棋聖の構想が素晴らしく、先手が面白くない局面だと思います。

代案としては▲2五飛とした手に代え、
(a)▲7六歩には△8八角成▲同銀△2八角▲3七角△同角成▲同銀に△2七角から馬を作る手があり、難解な形勢です。
(b)▲3五飛は△4四歩▲3六飛△4三銀▲2七銀(▲3七桂は△2四歩~△2三金で歩を取られる)△5四銀右▲3七桂△2四歩▲2六銀△4五歩のような展開が考えられます。こうなると歩の損得うんぬんより戦いになってしまいそうなので、形勢不明。

現在の私の結論としては、後手視点で工夫が出来そうな将棋ではあると思っています。ただこれが主流として指されることは相当無いかな、という印象を受けますね。

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